(背景写真はバルーン船上より俯瞰したバガン遺跡の眺望)







     N0.2
ミャンマー連邦共和国

 
3.バガンへ
ミャンマー2日目。早朝4時前に起床。早起きは慣れているので、特に問題なし。今朝は早朝5時ホテル出発で空路バガンへ向かう。だから朝食を食べる間はない。バガン到着後、現地のホテルで食する予定という。それまで、お預けである。


5時に出発し、車で空港へ向かう。20分で国内便のロビーに到着。ふと目に留まったのが新聞と雑誌売りの2人の少女。2人とも顔の両頬に白いオシロイ風のものを塗っている。これはミャンマーの人たちの日焼け止め兼おしゃれなのだ。そこで少女に許しを乞って写真を撮らせてもらう。このオシロイ風のものは老若男女が頬に塗っている。


日焼け止め兼おしゃれの白子

行き届いたことに、なんとガイド氏がサンドイッチなどの弁当差し入れを持参し、みんなに配っている。バガンのホテルでの朝食までには時間がかかるので、それまでの空腹の補給に差し入れてくれたのだ。なんとも心憎い心配りである。


6時半に飛び立った機は一路バガンに向かう。窓から朝日を眺めながらの1時間10分の飛行でバガン空港に到着。


飛行機の窓より朝日を眺める



ミャンマー語で書かれた機内雑誌

バガンの気温は25℃と快適である。こぢんまりした空港に降り立つと、目に飛び込んできたのが黄金に輝く空港屋舎の装飾である。なんとパゴダ(仏塔)を模して造られているのだ。表玄関の装飾はいっそう豪華である。空港管制塔の屋根まで黄金に輝いている。こうした風景を目にすると、いやが上にもバガン遺跡の地に来たのだという実感が湧いてくる。


バガン空港屋舎の装飾


バガン空港表玄関の装飾


空港の管制塔の屋根も黄金の装飾が・・・


バガン空港ロビー


バガンのこと
バガンはミャンマー・マンダレー地域にある地名で、旧名はパガン。カンボジアのアンコール・ワット、インドネシアのボロブドゥールとともに、世界三大仏教遺跡の一つと称されており、イラワジ川中流域の東岸の平野部一帯に、大小さまざまな仏教遺跡が林立している。この地域に点在する仏塔は約3000基を超えるとも言われる。


これらの仏塔(パゴダ)は10~14世紀のバガン王朝の時代に造られたもの。この時代に上座部仏教が伝えられて、釈迦の家であるパゴダが建てられるようになった。この時代、数万~数十万のパゴダが建立されたと言われている。


最初の寺院
出迎えの専用車に乗って空港を後にすると、朝食摂りにホテルへ向かう。その途中にある寺院に立ち寄る。草原の中に建つレンガ造りの寺院で、朝日を受けて2基の寺院が輝いている。


寺院のシルエットが美しい


朝日に輝く寺院

中に入ると、黄金の壁をバックに大きな黄金の仏像が安置されている。仏像の大きな顔が優しく見下ろしている。思わず手を合わせる。


中には大きな仏像が・・・



(動画)途中で立ち寄った寺院


ホテルへ

寺院を後にしてホテルへ向かう。到着したホテルはパゴダ風に造られた素敵なところで、そのガーデンテラスでバイキング料理をいただく。傍には南国らしくブーゲンビリアの花が咲き誇り、異国らしいなんとも素敵な雰囲気を演出している。


寺院風の洒落たホテル


素敵なテラス


ブーゲンビリアの花が美しい


マーケット見物
朝食が終わると、地元のニャンウー・マーケット見物である。かなり大きな規模で、果物・野菜をはじめ、肉、魚類、そして雑貨などが所狭しと並んでいる。なかにはミャンマー伝統の民族衣服ロンジー(巻きスカート)の生地を売る店もある。


バナナなどの果物類


野菜類


マーケットの賑わい


見慣れない穀物が・・・


女性と子供が使用する日焼け止め、「タナカー」の元になっている木。
石台の上で摩り下ろして顔に塗る。



美味しそうな揚げ物


鶏肉


大きな魚のぶった切り


民族衣装のロンジーの生地を売っている


マーケットを托鉢僧が歩く


我らが専用車



(動画)ガイド氏がミャンマーの民族衣装(ロンジー)の着用法を説明


パゴダ・寺院めぐり
マーケット見物を終わると、次はパゴダ(仏塔)、寺院めぐりである。ここでパゴダと寺院の違いを述べておくと、パゴダは塔だけで内部には入れない仏塔。寺院は塔の内部に仏像を配置して、人々が入って拝めるものである。


また、パゴダや寺院の礼拝のマナーだが、いずれも境内や内部に入る場合は靴やソックスを脱いで素足になることだ。土足で神域を歩くことは神に対して失礼になるわけだ。裸足になるのはいいのだが、直射日光下では境内が焼けてアッチッチと大変である。


最初は寺院で美しい8層の塔を備えた寺院である。内部には黄金の仏像が安置されている。


美し塔の寺院


中には黄金の仏像が・・・


お供え用の花を売っている


参道には売店が並ぶ


次はシュエジゴン・パゴダ。バガン郊外のニャウンウー村の西のはずれに建つパゴダで、11世紀にバガン王朝の始祖が建設に着手したが、在位中に完成せず、1089年に第二代王が完成させた。
  

「シュエ」は「金」、「ジゴン」は「勝利」、「栄光」、あるいは「祝福された土地」という意味のミャンマー語。その名前どおり、金色に輝き、遠くからも目立つ。この寺院には、仏骨・仏歯(釈迦の骨と歯)が安置されているといわれる。


その姿は絢爛豪華、そして壮大にして荘厳とはこのことかと思わせるパゴダで、黄金色に輝くその姿は辺りを圧倒している。ここは寺院ではないので、周囲を一周しながら外観を眺めるだけである。


金色に燦然と輝くシュエジゴン・パゴダ



愛らしい案内嬢


(動画)シュエジゴン・パゴダの光景


次はアーナンダ寺院。バガン遺跡を代表する、約1000年もの歴史を持つ寺院。東西南北に4つの入口があり、それぞれの入り口に、高さ10mぐらいの巨大な仏像が一体ずつ祀られている。この、四方向に仏様が一体ずつ祀られる構造は、ミャンマーのお寺でよく見かけられる定番のスタイルのようだ。内部に入ると、数体の黄金仏像が安置されている。かなり規模の大きな寺院である。


花模様の飾りが美しい


アーナンダ寺院の看板


そびえるアーナンダ寺院


内部には高い仏像が・・・


同 上

次はマヌーハ寺院。小規模ながら東西南北に四つの参道が造られ、その頂にも黄金の仏塔が造られている。この寺院は1059年にマヌーハ王によって造られたもの。地元の人たちの参拝者が多い。


マヌーハ寺院

寺院内には巨大な仏像が安置され、なかでも圧巻なのは寝釈迦像である。つまり釈迦の涅槃像ではなく、目を覚ました状態で横寝している“寝釈迦像”なのである。その長さ、なんと50m超もある巨大な物。それが黄金色に輝いていて、圧倒される。


大きな仏像


巨大な寝釈迦像(上半身)


同 上(下半身)


(動画)巨大な寝釈迦像



巨大な器は賽銭入れ。梯子を上って・・・。


昼食は中華料理
ここで昼食の時間となり、レストランへ移動する。ここはエーヤワディー川(旧称イラワジ川)のほとりに建つ素敵なレストランである。開放的な食堂の目の前には広々とした川が広がっている。この時期は水量が少なく、かなり干上がって河原が広くなっている。その川沿いの席に陣取って食事が始まる。


この奥にレストランが・・・


(動画)エーヤワディー川の風景

この川はミャンマー中央を流れる川で、ヒマラヤ山脈の南端を源泉としてミャンマーを北から南に縦断し、9本に分かれて広大なデルタ地帯を形作りマルタバン湾に流れ込む。


出された料理はスープ、肉の揚げ物、野菜の炒め煮など、中華風の料理が並ぶ。ピリカラ料理のミャンマー料理に比べ、安心して食べられる。久々に食べたという感じでお腹が満たされる。


中華料理


漆工房見学
食後は漆器の町工場を見学。工場の片隅には漆器製品が並んでいる。傍らでは絵付けをしたり、竹細工をしている。


絵付けをしている


竹籠をつくっている


寺院めぐり続き

工場を後にすると、次はティーローミンロー寺院。規模の大きな寺院で、建物は2層になっている。その中の四面に各1体ずつ、計4体の仏像が収められ、その仏像の脇には、絵がわりときれいな形で残っている。


ティーローミン寺院


中の仏像


横から見た仏像


ホテルで休憩
ここで今夜の宿泊ホテルへ移動し、夕刻の日没風景観賞に備えて、4時30分まで、しばしの休息である。チェックインして部屋でくつろぐ。


移動中に、こんなパゴダが次々に見えて来る。


同 上


同 上


シュエサンドーパゴダでバガンの夕景観賞
4時半にホテルを出発し、夕景観賞のためシュエサンドーパゴダへ向かう。ここは、アノーヤター王がモン人の国タトゥンを征服した直後の1057年に建てたパゴダ。今日では登れるパゴダとして最も有名なものとなっており、夕陽鑑賞の絶好のポイントとされている。


到着してみると、大型バスをはじめ多数の車がパゴダの前に集まっている。見上げるパゴダは壮観で、基壇がいくつもあって上れるように手すり付きの階段が設けてある。それも急な階段である。これは大変そうだな・・・と、アンコールワットの恐怖の階段を思い出す。最上段まで上れば、かなりの高さになる。その最上段には観光客が鈴なりになって見物している。バガンの観光客全員が集合した感じだ。


シュエサンドーパゴダの階段

ガイド氏から「上る時は後ろを振り向かないように、そして日没過ぎまで下りないように」との注意を受けて、いざ階段上りに取り組む。鉄パイプ製の頑丈な手すりを持ちながら一段、一段上り始める。


階段の段差のなんと高いことか。40cmはあるだろうか。だから、上るのはかなりの脚力が必要だ。しかし、ステップ幅が広いので足を乗せるのには安定感があり、問題ない。手すりをしっかり握り、段数を数えながら上って行く。頂上まで53段だった。アンコールワットの恐怖の階段と比較すると、ステップ幅の広さと傾斜が緩やかなこと、基壇ごとに踊り場があること、その上、階段の両側にしっかりした手すりまでついている。だから楽勝である。


同 上

最上段に上って眼下に広がるバガン遺跡群を眺望する。う~ん、これがバガンの原風景なのだ。これを見に、この地まではるばるやって来たのだ。バガンの原野に雨後の竹の子のように林立するパゴダ群が夕空の中に美しいシルエットをつくっている。なんと素敵な光景だろう。感動のため息をもらしながら、その夕景に見入る。


                                  最上段から眺めたバガン遺跡の眺望


基壇の人混みをかき分けながら一周し、360度の風景を動画に収める。そして基壇の石に腰かけ、刻々と変わる夕景を眺めながら、陽が水平線の彼方に沈むのを待つ。


(動画)バガン遺跡の夕景(シュエサンドーパゴダより)


(動画)バガン遺跡の夕景(その2)


ようやく陽は沈み、手すりを持ちながら一段一段慎重に下り始める。もちろん、このパゴダに上り下りする時は素足である。


地上で待ち受けていたガイド氏と合流し、すぐ前にある堅固なレンガ造りの建物に案内される。中に入ると、なんと薄暗がりの中に巨大な寝釈迦像が横たわっているではないか!倉庫風の建物の中に仏像が安置されているのは意外な感じである。


この中に寝釈迦像が・・・


大きな寝釈迦像


レストランへ
これでバガンの夕景観賞を終えると、夕食のレストランへ向かう。今夕は珍しい操り人形劇を見ながらの食事という。到着して内部へ入ると、広い庭にテーブルが並べられ、団体観光客が席に着いている。欧米人が多いのだが、その中に混じって日本人の団体客も見られる。そして正面には人形劇の舞台が設けられている。


席に着いてまずは夕食である。今宵の食事はピリカラのミャンマー料理である。出された料理を見ると、昨夜のミャンマー料理よりは食が進みそうだ。


ミャンマー料理

食事がひと通り終わると、いよいよ人形劇の始まりである。人形師が自分で歌を歌いながら1人で操る。人形の滑稽なしぐさがなかなか面白い。扮装の異なる数体の人形があり、それを取り替えながら一人で操る。


(動画)操り人形(レストランにて)


その合間に、今度は民族舞踊が始まる。女性が一人で踊ったり、集団で踊ったり、フロアーで踊ったりなど、いろいろな踊りを見せてくれる。いずれも穏やかで、そしてしなやかな仕草の踊りである。


(動画)民族舞踊(レストランにて)


(動画)民族舞踊(レストランにて)


(動画)民族舞踊(レストランにて)



ホテルへ
レストランを引き上げ、宿泊ホテルへ戻る。着いたのは夜の8時である。シャワーを浴び、床に就いたのは9時半のことである。


ところで明日は早朝から珍しいバルーン乗船である。日本出発前に、たまたまバガンでバルーン乗船ができるらしいとの情報を仕入れていた。可能ならば乗ってみたい。そこで、ガイド氏にそのことを告げると早速、予約を入れてくれる。申し出たのは私と他の1人。


ガイド氏の話だと、人気があってなかなか予約が取りにくいという。なんとか2名分の予約が確保できる。そこで料金を尋ねると、なんと4万円台とのこと。しまった! そんなに高価なら現金の持ち合わせもないのでキャンセルしたいとガイド氏に申し出ると、キャンセル料が高くつくとのこと。そこで明日、仕方なくカード払いの手続きに事務所に行くことに。申し込みの事前に料金を確かめるべきだったが、後の祭り。


シュエサンドーパゴダからの夕景観賞で十分だったのではないか・・・。そう思いながら、少々、後悔の念にさいなまれながら第二夜の眠りにつく。


(次ページは「バルーン乗船&ポッパ山」編です)

 



     



    





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