(背景写真はバルーン船上より俯瞰したバガン遺跡の眺望)







     N0.3
ミャンマー連邦共和国

 
4.バルーン乗船&ポッパ山
ミャンマー3日目。今朝は初体験のバルーン乗船だ。その後は2時間かけて777段の階段を上るポッパ山行きである。


朝5時に送迎バスが迎えに来るという。それに備えて早起きだ。もっとも早起きは普段慣れているので特に問題なし。3時に目覚めたので、そのまま起きることに。柔軟体操などで身体をほぐし、全身を目覚めさせる。


バルーン乗船
洗面を済ませ、身支度を整える。カメラと水をバッグに入れて、ホテルのテラスでバスを待つ。5時に少し遅れてやって来たのはポンコツのバス。あちこちのホテルから乗客をピックアップしているので、多数の乗客が乗っている。みんな欧米人ばかりだ。


さらに2~3のホテルに立ち寄って乗客をピックアップする。それからバスは、まだ薄暗い中を町はずれへ走行する。空き地に到着して下車すると、パイロットがやって来て、自分のバルーンへ登場するメンバーの点呼を始める。我らが搭乗メンバーは13名である。1機のバルーンに結構な人数が乗船できるものだ。我らがパイロットはイギリス人である。


点呼が終わると、横のテーブルに用意されたモーニンコーヒーとサンドイッチなどのスナックをいただく。なかなか乙なことをやるものだと感心することしきり。これでお腹は満たされ、朝食まで大丈夫だ。そこで皆に記念の帽子が配られる。


(動画)乗船前のモーニングコーヒー

皆が立食している間に、横ではスタッフが熱気球の準備をしている。暗い中でゴーゴーとすごい音を立ててガスの噴射テストをしている。やがて空が白み始めると、地面に広げたバルーンに大型扇風機で空気を吹き入れ、それが少し膨らむと、今度はガスバーナーを噴射して熱空気を吹き入れる。すると大きなバルーンが上空へ少し上がり始める。


ガスバーナーの噴射テストをしている


立ち上がり始めたバルーン


(動画)バルーンの空気入れ


(動画)バルーンに熱噴射

バルーンの下部には人が乗船するための大型バスケットが取り付けられている。金属だと重くなるので軽い素材できたバスケットなのだ。バルーンが少し立ち上がった状態で乗客が乗り込み始める。ところがこれがなかなか大変なのだ。バスケットの丈が胸ぐらいの高さがあるので、簡単には跨げない。そこでバスケットの小穴に足先をつっかけて跨り乗ることになる。脚が弱かったり、体力がない人は乗船や下船が無理な感じである。


バルーンの乗船バスケット

こうして13人の乗船客が乗り込むと、上昇開始である。ガスバーナーをゴーゴーと噴射させ、大きな炎をバルーンの中に吹き付けながら徐々に上昇していく。何の振動もなく、ふんわりと浮き上がるので、なかなかの乗り心地の良さである。


(動画)バルーン上昇開始

バルーンが上昇するに従い、地面がどんどん遠くなり、鳥の目で見るような視界が開けて来る。見下ろす眼下には大きなパゴダが見える。それを見ながらバルーンはゆっくりと旋回する。操作を見ていると、天井部の空気穴を開閉させながら方向を変えて行く。


上空から眺めた地上


(動画)バルーン上昇中

やがて正面に朝日が地平線から昇るのが見える。なんと素晴らしい光景だろう。淡い曙光を浴びながら広がるバガン遺跡の原野に、何機ものバルーンが浮かぶ様は、まさに幻想的である。


朝日を受けながら浮かぶバルーン


(動画)バルーン船上より朝日を拝む


(動画)バガン遺跡のサンライズ(船上より)

機は静かに回転しながら方向を変えて行く。乗客の皆が公平に360°の景色が楽しめるようにとの配慮なのだろう。高度100mほどの高さから俯瞰する眺望はまさに値千金である。飛行機のように高速で飛行するのではなく、超スローで静かに浮遊する感じになるので、なんとも心地よいかぎりである。


(動画)エーヤワディー川上空


(動画)バルーン船上で記念写真。バルーンにカメラが装着してあり乗客の記念写真を撮影。

やがてバルーンはゆっくりと下降を開始する。着地はなかなか難しいようだ。目指すポイントに正確に降下できそうにない。それで最初のスタート地点から、かなり離れた空き地にランディングすることになる。どうにか着地すると、そこへ地上スタッフが車で駆け付けるという具合である。


(動画)下降開始

着地したバスケットから出るのも一苦労。胸までの高さもあるバスケットを乗り越えて地面に飛び降りることになる。足をかけてまたがろうとするが、足が届かない。そこでお尻を押し上げてもらって跨り、飛び下りるという情けない体たらくだ。


(動画)バルーン着地

こうして何とか地上の人となり、約1時間のバルーン飛行は終わりを告げる。ほっと一息ついていると、目の前には駆け付けたスタッフがセットしてくれたテーブルに飲み物が用意されている。それがなんとシャンペンなのだ!う~ん、なんと洒落たことをしてくれるのだろうと感激することしきり。注がれたシャンペンを一気に飲み干す。出発時のモーニングコーヒー&スナックといい、着地後のシャンペン乾杯といい、その行き届いた接待ぶりに感心させられる。


(動画)シャンペンで乾杯

すぐ目の前では着地して空気が抜かれてぺたんこになったバルーンを地面に広げ、それを丁寧に折り畳んでいる。地元スタッフ10人がかりの大仕事だ。畳んだバルーンをコンパクトにまとめ、それを数人がかりでトラックに積み込んでいる。出発の準備といい、着地後の整理と言い、スタッフの協力なしには飛行はできない。


バルーンを折り畳んでいる

パイロットの話では風がある日は飛行できないそうで、夜が明けて明るくなり始めた時刻から日が昇るまでの釣りでいう“朝まずめ”の時間帯が風がなくてよいそうだ。夕暮れ時もいいが、風が出やすいという。そんなわけで、1日1回しか飛行しない日が多いという。


ホテルへ
乾杯が終わって一段落すると各ホテルへの送り届けである。10分ほど走ってホテルに8時過ぎ到着。今度はわがホテルが最初の順番だ。皆に別れを告げてバスを降りる。振りかえって考えると、バスの送迎、出発時&到着時の飲食サービス、そして本番の飛行と合わせて、やはり4万円台の料金は十分値打ちのあるものだと納得する。


到着するとホテル2階でビュッフェの朝食だ。オープンのテラスがあるので、スクランブルエッグを調理してもらい、その他いろいろを取り合わせていただく。外の空気は早朝とあって、快適気温である。


ホテル2階のテラス


ポッパ山へ
食事を終えると、9時の出発というので部屋に戻り身支度を整える。今夜もここに1泊するので荷物はそのままである。


ポッパ山には標高737mのタウン・カラットが突き出おり、その頂上に寺院があって多くの参拝客を集めている。そこへこれから向かうわけである。


その途中、椰子製品を扱う工場を見物に立ち寄る。付近にはココナッツ椰子が植林されており、椰子が林立している。話によると、数本の椰子の木で家族一家が生活できるという。それは椰子がさまざまに加工されていろいろな産物製品になるからだ。


椰子の木。樹液をとるパイプが付けられている。


(動画)椰子の植林地帯を走行中

椰子の実の液体は発酵させて椰子酒にしたり、或は煮立てて甘い固形の菓子風のものにしたり、椰子の葉はいろんな民芸品に加工する。こうして何一つロスになることはなく、すべて販売されて収入になるわけだ。


ココナツの液を煮て固めた糖の部分


椰子の葉で作られた民芸品


ココナツの液を発酵させて椰子酒にする


椰子で作られた各種商品


椰子の葉から民芸品をつくる

工場の一角では、例の「タナカの木」を石の上でこすって白粉のもとをつくり、これを顔に塗っている。同行仲間の一人が白粉塗りをたのしんでいる。白粉を頬に塗り、それをヘラでそぎながら装飾模様をつけている。単に白粉を塗るだけでは妙がないわけだ。完成したのはなかなかの出来栄えである。


タナカの木を砥石でこすり白い液をつくる。これを顔に塗る。


白粉を顔に塗って模様をつけている


ふるまわれた茶菓


(動画)椰子の実を絞っている

ここを後にすると、一路ポッパ山へ向けて走行する。1時間少々走ってタウン・カラットの麓に到着。狭い場所に出店や車で混雑しており、駐車もできない有様だ。そこから見上げる山頂には寺院が輝いているのが見える。そして、山の向かって右側面には屋根付きの階段が設けられているのが見える。ここから上りあがるわけだ。



突き出た形のタウン・カラット。頂上には黄金に輝く寺院が見える。


(動画)タウン・カラット


タウン・カラットへ
この階段こそが、777段の意味ある階段だ。さあ、階段上りに取りつこう。最初の200段は土足でもいいが、残りの500段あまりは靴・ソックスを脱いで素足で上らないといけない。階段にはがっちりした手すりが設けられ、階段も上りやすい段差と幅で問題はない。階段の両側には出店が並んで賑やかだ。


階段の途中に仏像が飾られている


同 上


こんな階段を素足で上る

ただ、階段の側面には多数の猿が生息していて出没し、思わぬところから手を伸ばして通行人の持ち物をはく奪する。だから、帽子は被らないようにとの注意を受ける。猿がちょろちょろする中を上り下りする。



猿が出没


エサをもらっている

頂上まで平均40分かかるそうだ。息を弾ませながら一段々々上って行く。途中から見下ろす眺めは絶景である。眼下に広がる風景を眺めながら一息つく。そしてまた、一段一段上り続ける。


頂上近くになると、階段幅が狭くなり、上下する人で混雑気味になる。幅1.5m幅の最後の階段を上りあがると、頂上に出る。そこには黄金に輝く細長いパゴダが立っている。


上部になると混雑してくる


階段から眺めた風景


(動画)登坂中の階段より眺めた風景


前方に山並みが見える


(動画)タウン・カラットからの眺望


これが最後の階段


頂上に輝くパゴダ

寺院内は思ったより広いスペースで、登坂の達成感にひたる多数の参詣者が憩っている。体力のない人は途中で断念し、ここまで上れない。


頂上の寺院で休憩する登坂者たち

仏像に参詣し、一息つくと下山開始である。下りは楽で足取りは早い。両側の出店の陳列を横目で見ながら、どんどん下っていく。500段ぐらい下ったところで、おもむろに靴を履く。こうして777段のタウン・カラットを制覇する。


昼 食
そこから移動して、すぐ近くにあるレストランへ。そこは開放的なレストランで、涼しい風がそよぐ。料理は中華料理で、タウン・カラットの山裾を眺めながらいただく。


涼しいレストラン


中華料理


途中で立ち寄ったパゴダで仏像を売っている


立ち寄ったパゴダ


バガンへ
昼食が終わると、一路バガンへ戻りを急ぐ。1時間半超の走行で3時前、ホテルに到着。ここでしばしの休息を過ごし、5時に夕景を眺めに行くという。そこはガイド氏自慢の丸秘スポットだという。それを楽しみにしながら、休息をとる。


夕景観賞
5時になって出発し、案内されたのはエーヤワディー川のほとりで、4基の小さな寺院が建っている。確かに人影はなく、ひっそりとしてエーヤワディー川の落日風景を観賞するには最適の場所である。普段、あまり人は来ないようだ。


(動画)夕日観賞(ガイド氏の丸秘スポット)

ところが残念なことに、厚い雲がかかって夕日が見えない。そのうち雲が途切れるかもしれないと淡い期待を抱きながらしばし待つ。だが、とうとう最後まで雲は途切れず、夕日は姿を見せないまま落日を迎える。


レストランへ、その後ホテルへ
自然の動きには抗えず、残念な気持ちを引きずりながら夕食のレストランへ向かう。到着して中に入ると、素敵なガーデンにテーブルが並んでいる。なかなかの雰囲気である。やはりここでも欧米人の姿が目に付く。


ガーデンにセットされたテーブル

今度の旅では珍しい洋食ということで期待した。メインディッシュはビーフステキーキである。出されたステーキは薄い肉片2枚である。これではステーキにならない。期待外れに少々がっかりしながら、とにかくいただくことに。


ビーフステキーキ

昨夜と同様に、ここでも操り人形や民族舞踊のショーが上演される。これらをひと通り観賞した後、ホテルへ引き上げる。


(動画)操り人形


(動画)民族舞踊


(動画)象の踊り

ホテルに帰着したのは夜の8時。今日はバルーン乗船や777段のタウン・カラットに上ったりと、高いところにばかり上がった一日であった。心満たされる思いでシャワーを浴び、床に就く。



(次回は「ヤンゴン市内観光」編を掲載予定です)





     







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