(旅のノウハウ集)




<入国手続き>
機が空港に停止すると、いよいよ降機します。これにはいろんなパターンがありますが、およそ次のとおりです。
・エプロン(機体に接続する通路)に接続して、そのまま空港フロアへ出る。
・いったん出迎えのバスに乗り換えて到着ロビーへ運ばれる。
・タラップで飛行場へ降り、歩いて到着ロビーへ出る。

<入国審査の手順>
1.審査官の審査を受ける
2.荷物受け取り(機内持ち込み荷物だけの場合は不要)
3.税関申告
4.到着ロビーへ(いよいよ国内第一歩を踏み出す)

こうして到着フロアへ出たら、入国審査へ向かいます。次の案内板に注意しながら方向を間違わないように進みましょう。

ARRIVAL(到着)・・・この方向へ進む。
IMMIGRATION(入国管理)・・・ここで入国審査があるので、ここへ進みます。
            この表示は「PASSPORT CONTROL」と書かれている場
            合もありますが、入国審査と同義語です。 

<どの列に並ぶか>
ここへ到着すると、次のような表示がブースの上に掲げられて分かれています。

RESIDENT(居住者)・・・この区域はその国の住民が並びます。 
FOREIGNER(外国人)・・・この区域のブースに並びます。

ユーロ圏の諸国では、「EURO」(ユーロ圏に住む人たち)と「OTHERS」(その他)に分かれて表示されている場合もあります。


列に並ぶと、パスポート(カバーは取る)、出入国カード(これが要求される国の場合)、税関申告書(これが要求される国の場合)、それに帰路の航空券を取り出して準備します。厳しい国(英国、アメリカなど)では航空券の提示が求められますが、その必要がない国もあります。いずれにしてもすぐに取り出せるように準備しておきましょう。ブースの前にはラインが引かれており、順番がくるまでそこで待機します。

<審査を受ける>
順番が来て係官の前に進み出ます。このとき、「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」など、その国の言葉で挨拶しましょう。相手も人間です。これで係官の気分も和みます。なかには、「コンニチハ」「オゲンキデスカ?」などと日本語でにこやかに話しかけてくれる係官もいます。ここでは

・パスポート
・出入国カード(必要ない国は省略)
・アメリカの場合は帰路の航空券及び質問書

を提示し、入国のスタンプを押してもらいます。ここで航空券を求められたら、それも提示します。ここでは税関申告書はまだ提出しません。

≪アメリカ入国審査の際の指紋撮影など≫(09年9月現在)
アメリカではテロ防止策のために審査官の前で指紋と顔写真の撮影が行われます。その要領は次のとおりです。
@右手の4本指を指紋撮影機の上に乗せて撮影し、次は親指1本を乗せて撮影。
A左手指の撮影が上と同じ要領で行われる。
B次は目の前のレンズを見て顔の撮影が行われる。
これらの全てが終わるまでに約40秒程度がかかります。この撮影はアメリカ入国の都度、行われます。前回の入国の際に撮影していても再度行われます。


<審査官との問答>
審査官の質問はない国が多いのですが、個人旅行の場合、特に英国、米国ではいろいろと質問されるので、それに備えて前準備をしておきましょう。ツアーのグループがいたら、その列に紛れ込んで一緒に並ぶのがいいかもしれません。質問される場合は普通、次のような質問がなされます。

・旅行の目的は?(サイトシーイング(観光)と答える)
・滞在日数は?(出入国カードに記入した内容と同じを答える)
・滞在先は?(出入国カードに記入した内容と同じを答える)
・どこから来たのか?
・次はどこへ行くのか?
・職業は?

終わったら、「ありがとう」と現地語で挨拶し、次の点をチェックしましょう。

・スタンプの日付が間違いないか(もし違っていたら、出国の際にトラブルになりま
 す。悪意の間違いもあるようなので注意しましょう。)
・出入国カードの半券または2枚目を渡される場合があります。これは出国までパ
 スポートと一緒に大事に保管します。これを紛失するとトラブルのもとになります。
 (アメリカの場合は、半券が渡されます)

<アメリカの場合の特例>
・2004年9月30日より、テロ対策強化のため米国に入国する全ての人に対して
 指紋スキャン(左右人差し指)と顔写真撮影が行われるようになりました。ただし、
 14歳未満、80歳以上の渡航者と外交関係者は対象外となります。出国の際に
 も同様のことが実施される空港もあります。

・米国内のすべての空港では、預け手荷物について新型探知機が導入されてお
 り、それが強力なためほぼ100%の確率でフィルムがダメージを受けます。です
 から、フィルムは機内持ち込みにしましょう。

・検査官の判断で預け荷物を開ける場合があり、不審点があれば場内放送で持
 ち主を呼び出したり、または即時に鍵を壊して検査する場合があります。


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<トランジット>
直行便でない場合、どこかの空港で一時寄港して乗り継いだり、乗り換えたりすることになります。これには次の2通りがあります。

<入国手続き無しの乗り継ぎ>
入国審査を受けることなく、次の手順で空港内を移動し、乗り継ぎ便の搭乗ゲートへ向かいます。
1.機内持ち込みの手荷物は全部持って出る。
2.到着ロビーの乗り継ぎカウンターで航空券を見せる。
3.搭乗券が乗り継ぎ地までの場合は乗り継ぎ便の新たな搭乗券をもらう。それ
  が目的地までの場合はトランジットカード(乗り継ぎの証明カード)をもらう。
4.搭乗ゲートへ移動する。
5.預け荷物はスルーになって目的地まで運ばれる。

(注)
給油のために寄港し、一時降機するだけで同じ機体を使い再び目的地へ飛行する場合があります。この場合は証明用のカードをもらい、待合室で再搭乗まで待つことになります。機内持ち込みの手荷物は全部持って出ましょう。紛失、盗難のもとになります。

<入国手続きをする乗り継ぎ>
目的地に着いた時と同様にいったん入国審査を受けます。それから再度改めて出発ロビーでチェックイン手続きを行います。この場合は時間がかかるので、乗り継ぎ時間の余裕に注意が必要です。米国がこの例に当たります。次の手順で入国し、再度チェックインします。
1.手荷物は全部持って出る。
2.到着ロビーで入国審査を受ける。
3.預けた荷物を受け取る。
4.税関申告を行う。
5.搭乗券が乗り継ぎ地までの場合は、航空会社のチェックインカウンターで航空
  券を見せ目的地までの搭乗券をもらう。搭乗券が目的地までの場合は、搭乗
  券を見せて荷物を預ける。
6.出国手続きをする。
7.出発ゲートへ移動する。

(注)
アメリカの場合は、同時多発テロ以後、トランジットなどはすべていったん入国手続きを行い、改めて再度チェックインする必要があるようです。そのため、かなりの時間を要するので十分注意しましょう。

<乗り継ぎ待ち時間の活用>
待ち時間が3時間程度ならいいのですが、これが5時間とか8時間ともなれば最悪です。この中途半端な待ち時間をどうやって過ごすのかは頭の痛いところです。シンガポール・チャンギ空港のように、いろんな設備が整っているところでは様々な過ごし方ができる場合もあります。こうした待ち時間の過ごし方として、一般的には次のことがあげられます。

1.待ち時間4時間以上の場合、荷物を預かり所に預け、入国手続きをして市内
  散策に出かける。
2.入国手続きをして空港ロビーでショッピングや食事その他を楽しむ。
3.空港内にホテルや仮眠室があれば、これらを休憩に利用する。
4.ベンチで過ごす。

(注)
シンガポールのチャンギ空港では、待ち時間が5時間以上の旅行者には無料の市内遊覧バスが用意されています。


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<荷物の受け取り>
入国審査が終わると、まずは一段落です。ほっとしながらも次は預け荷物の受け取りです。「Baggage」(手荷物)の表示のある方向へ行き、そこで自分が乗ってきたフライトナンバーが示されたベルトコンベアの前で待ちます。出てきた自分の荷物を受け取り、税関申告へ向かいます。

・ロスト・バッゲージの対応
荷物が見つからない(ロストバッゲージ)場合やバッグなどが破損した場合には、慌てずに出発空港で荷物を預けた時に渡されたタッグの半券(クレームタッグ)を空港係員に提示し、航空会社の責任で対応してもらうようきちんと要求します。次の手順になります。

1.近くにある「ロスト&ファウンド」カウンターでクレームタッグと航空券を提示し探
  してもらう。(航空会社の係員は航空機の中に荷物が残っていないか調べま
  す。)
2.なければ、手荷物事故報告書に必要事項を記入します。
  ここでは、見つかった場合の連絡先を記入して、その連絡がいつ、どのように
  来るのかを確認します。荷物が破損して戻ってきた場合も程度によっては賠償
  範囲となるので確認が必要です。
3.当面の旅行を続けるのに必要な日用品を購入したら、レシートとともにその費
  用を航空会社に請求します。(航空会社によっては現金を渡す場合もあります)
4.帰国しても荷物が戻ってこなかった場合は、弁償金を航空会社に請求をしま
  す。

通常、荷物が手元に届くまでには1〜2日の時間を要するので、できれば1泊分ぐらいの着替えは機内に持ち込むことです。


機内持ち込みの手荷物だけのあなたは、こんな気遣いをすることはありません。多数の荷物待ちの人たちを尻目に、ここは素通りし、まだ人のいない税関へ直行して真っ先にチェックを受けましょう。

<税関申告>
Customs」(税関)の表示を見ながらそこへ向かいます。通常、荷物受け取り場所のすぐ近くにあります。ここでは「申告あり・・・DECLARATION」と「申告なし・・・NO DECLARATION」に区分されています。その国で指示された申告物を持っている場合は「申告あり」の区分へ、それがない場合は「申告なし」へ並びます。ここではパスポートと税関申告書(必要な国の場合)を用意して提示します。

・最低次の応答に備えましょう。
 *申告するものはありますか?(Anything to declare?) 
   →何もありません(Nothing to declare.)  
 *バッグには何が入っていますか?(What's in your baggage?)
   →身の回り品だけです(Just my belongings.)

・内容のチェック
全員ではありませんが、ケースによっては係官がバッグやスーツケースを開けて内容のチェックをしたりします。モスクワの空港では所持する現金まで数えたりすることがあります。その国によって厳しさが異なるようで、一般に米国、ニュージーランド、オーストラリア、ロシアなどが厳しいようです。

<到着ロビーへ>
さあ、これで入国の手続きはすべて終わりました。晴れて目的の国へ入国です。手続きで少し緊張しましたが、これで自由の身になりました。羽を伸ばして、自分らしい旅をエンジョイしましょう。多分、あなたは誰よりも真っ先にここへ出られたはずです。さあ、行動開始です〜!


<鉄道の場合の入国手続き>
列車は訪問した国の国境駅を出ると、しばらく走って国境線を越え、目的国の最初の国境駅で停車します。そこで係官が乗り込んできますが、最初がパスポートコントロールの係官、その後から税関の係官と続きます。前者にはパスポートを、後者には税関申告書(必要な国の場合は車内に用紙が備えてある)や荷物を見せます。パスポートには検印が押されます。空路の場合と同じ要領で審査を受けましょう。


鉄道のほうがより容易な感じです。立って並ぶ必要もないし、順番が来るのを座って待つだけです。ただし、全部が終了して発車するまでに1時間〜2時間ぐらいかかります。気長に待ちましょう。


<国際バスの場合の入国手続き> 
国際バスで旅をすると、国境を越えるごとに出入国の手続きをすることになります。国境地帯に国境管理のゲートが設けられ、そこで手続きが行われます。係官が車内に乗り込んでパスポートを集め、それを事務所に持参して検閲し、スタンプを押して返却にきます。それまで半時間ぐらいかかります。荷物類のX線検査はありません。


これは鉄道の場合と同様に、現在国と隣国のゲートでそれぞれ行われます。これはまた両国が共同管理して一度に出入国手続きをすませる場合もあります。


<船舶の場合の入国手続き>
船舶の場合は波止場の待合所に降船ゲートがあり、そこで入国手続きが行われます。要領はパスポートの提示だけで、荷物類のX線検査はありません。


<シェンゲン協定国間の出入国>
協定国外(日本など)から協定国内に旅行する場合は、最初に訪問する協定国で入国手続きを行い、協定国内から協定国外に旅行する場合は、最後に出発する協定国において出国手続きを行うことになります。


ブリュッセル空港ではシェンゲン協定国間の旅行者と協定国外からあるいは協定国外への旅行者は別のターミナルを使用することになります。協定国間の旅行は国内旅行のようなもので出入国審査は一切行われません。

<私の例>
パリで入国手続きを終わり、鉄道でベルギー、ルクセンブルクを回りましたが、これらの国への出入国はフリーパスで、あたかも1国内を旅行している気分でした。

シェンゲン協定による協力はベルギー、 オランダ、 ルクセンブルグ、フランス、 ドイツによって1985年に始まりました。その目的は人の移動が自由な地域を設けるというもので、域内では加盟国間の検問を廃止し、その一方で国境を越える犯罪対策で密接な協力をしていくというものです。その後シェンゲン協定はEU内の協力関係に組み込まれ、今ではアイルランドとイギリスを除くすべてのEUのメンバー国(2004年現在ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、ドイツ、フランス、ポルトガル、スペイン、イタリア、ギリシャ、オーストリア、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、ノルウェー、アイスランドなど。さらに07年12月にはポーランドやチェコ、ハンガリー、スロバキア、スロベニア、エストニア、ラトビア、リトアニア、マルタの計9か国が加わって24ヶ国に拡大しました。)が加盟しています。

北欧諸国は1954年以来Nordic Passport Union(ノルディック・パスポート・ユニオン)に入っています。アイスランド、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、そしてノルウェーは、この組織の下、互いに入国の際に規制を設けていません。北欧のEU加盟国デンマーク、スウェーデン、フィンランドがシェンゲン協定に参加したため、ノルウェーとアイスランドはシェンゲン協定加盟国と協力関係を結びノルディック・パスポート・ユニオンを維持することになりました。



(次ページは「現地旅行」編です。)




流れ図へ 現地旅行編







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