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旅のコース




7.ユングフラウ観光、絶景ハイキング・・・またもや雲で見えず
スイスの旅7日目。5時起床と今朝も変わらず。旅もいよいよ大詰めで今日と明日を残すのみ。今朝は二度目の挑戦となるユングフラウの姿が果たして見られるのか? 一番気になるところである。だが残念ながら空は曇っている。あ〜あ、やはりだめなのか・・・? 16年前に訪れたが、その時もユングフラウは雲で見えずだった。


(動画)夜明け前、山の端に浮かぶ月(グリンデルワルトにて)


今日の日程はまずユングフラウヨッホの観賞、その後、絶景ハイキングを楽しむ予定である。今日はこれだけで、ゆとりのある一日である。最大の問題は山が見れるかである。曇天だけに、いちばん気にかかるところである。


ユングフラウヨッホ(JUNGFRAUJOCH)観光
8時にホテルを出発し、8時半の登山電車に乗車。16年ぶり、懐かしの電車である。途中、草原の風景やアイガー(スイスを代表する山でその北壁は有名)などを眺めながら約1時間少々をかけて山頂駅に到着。


朝のグリンデルワルト駅


ユングフラウに向かう登山電車の車内風景


車内では老婦人がきれいな刺繍入れ作業をしている


登山電車の車窓風景


(動画)ユングフラウに向かう登山電車の車窓風景


電車はまずグリンデルワルト駅からユングフラウ鉄道の始発駅クライネ・シャイデック駅(Kleine Scheidegg)へ向かい、そこで電車を乗り換えて山頂駅へ向かう。


クライネ・シャイデック駅のホーム


クライネ・シャイデック駅から眺めるアイガー


(動画)ユングフラウに向かう登山電車の車窓風景。アイガーが見えてくる。



(動画)ユングフラウに向かう登山電車の車窓風景。



(動画)登山電車の車窓風景。氷河が見えてくる。



(動画)登山電車の車窓風景



(動画)登山電車の車窓風景。氷河が見える。


(ユングフラウ登山電車のルート)



(ユングフラウ山頂ハウスの案内図)




クライネ・シャイデック駅前から氷河を望む




ここから一つ先のアイガー・グレッチャー駅(Eigergletscher)まで上ると、その先からトンネルに入り、ここから約50分で山頂駅に到着する。この長いトンネルはアイガー、メンヒの2つの山の岩盤をくり抜いた隧道(トンネル)で、さらにユングフラウをくり抜いたトンネルを通過し、終点のユングフラウ駅に到着する。


この終点駅は標高3454mもあり、ヨーロッパで最も標高の高い鉄道駅となっている。この標高では高山病が発症する高度でもあり、注意が必要だ。この長いトンネルの中は風景は何も見えないが、途中にある2つの駅(アイガーヴァント駅:Eigerwandとアイスメーア駅:Eismeer)ではそれぞれ下車してくり抜かれた岩盤の展望窓から外の絶景を眺望できるようになっている。電車はその観光のために必要な時間(10分程度)を取って停車してくれる。


アイガーヴァント駅ホーム


アイガーヴァント駅の表示板


(動画)アイガーヴァント駅の展望窓からの風景



アイスメーア駅の表示板



(動画)アイスメーア駅の展望窓からの風景


それぞれの展望窓は駅ホームから20mぐらい岸壁側に移動した所に設けてあり、かなりワイドなガラス窓になっている。そこからガラス窓越しに下界を眺望するわけである。アイガーの山をくり抜いて造られたこれらの展望窓は、それぞれ向きが異なっており、アイガーヴァント駅の展望窓はグリンデルワルト方面の草原と山岳の壮大な風景が見渡せ、アイスメーア駅のそれは谷合に流れる大氷河の壮観な光景が見られる。この展望窓眺望のための停車サービスは上りのみで、下りの電車はそのまま通過する。


山頂駅(Jungfraujoch Top of Europe)3454m
アイスメーア駅を出ると間もなくで山頂駅に到着。ここにはホームにつながって、かなり規模の大きいハウス建物が設けられており、レストラン、カフェテリアなど5店舗(年中無休)、土産品店、案内所などが揃っている。山頂から郵便も出せるようになっており、日本製の赤ポストまで設置されている。3000m級の山岳で、これほどの設備を有する所は他では見られない。


ユングフラウ山頂駅の案内板


ユングフラウ山頂駅ホーム


アドルフゴヤー-ツェラー像
スイスの起業家でユングフラウ鉄道の創設者



ユングフラウヨッホ山頂の表示板


同 上


山頂ハウスのショップ


山頂ハウスのスタンドカフェ


山頂ハウスには日本のポストが・・・


山頂ハウスの案内所

この山頂での主要な観光場所は「スフィンクス展望台(Sphinx Observation Terrace)」、「氷の宮殿(Ice Palace)」、それに「雪原(Plateau)」の3個所である。このスフィンクスと氷の宮殿・雪原は両端に離れているので移動が必要だ。


スフィンクス展望台
1996年に完成した展望台で、山頂駅ホームのレベルから高速エレベーターで3571mの展望台までの108mを一気に25秒で上りあがる。ガラス張りの展望台からアレッチ氷河、ベルナーアルプス、ヴァレーアルプス、ジュラ山脈など360°の大パノラマが楽しめる。天気がよければ外のバルコニーに出て、その大景観が眺望できる。


この展望台からは東にメンヒ、西にユングフラウ、そして南にヨーロッパ最長のアレッチ氷河のパノラマを見ることができる。アレッチ氷河の全長は22km、氷の厚さ900m、1年に180mの早さで流れているという。


展望台テラスに出てみると、今日は生憎の天候で辺りは深い霧に包まれて白一色の世界で何も見えずである。気温マイナス10℃で風も強く、良いところなしである。これが好天なら素晴らしい景観が見えるのだろうにと残念至極である。


スフィンクス展望台。残念ながらガスで何も見えない。


スフィンクス展望台からの霧の眺望


氷の宮殿
アレッチ氷河の下、深さ約20〜30mのところに造られたアイスパレス(氷の宮殿)である。青白く幻想的な氷の洞窟の中にさまざまな氷の彫刻が並んでいて観光客を楽しませてくれる。2002年春からは、氷原が目の前に広がるプラトー展望台とアイスパレスが連結され、氷河へのアクセスがより便利になっている。


「氷の宮殿」の案内表示板。日本語も見える。


宮殿内に入って行く


氷の彫像


同 上
















雪 原(プラトー)
氷の宮殿を出ると、そのままプラトー展望台へ。扉を開けて外に出ると、そこは雪原が広がっている。テラスも何もないただの雪原で、ロープが張ってあるのみ。適当な位置に立って景観を楽しむわけだ。


だが、今日の展望台は強風が吹きまくり、辺り一面にガスがかかって視界はゼロ。文字通り五里霧中の世界が広がっているのみである。好天なら、素晴らしい絶景が望めるはずなのだが・・・。


「雪原」への案内表示板。日本語も見える。


(動画)雪原の展望台の様子。ロープが張ってあるだけ。ガスで何も見えず。


絶景ハイキング
山頂駅で1時間少々を過ごした後、次は待望のハイキングである。今度の旅ではベルニナ、ツェルマットに続いて、これで3回目のハイキングとなる。


ここグリンデルワルト地域には一般向けコースから中級・上級コースまで驚くほど多くのハイキングコースが設けられており、それぞれの好みに応じてコースを選択できるようになっている。1時間コースから6時間コースまで実に76本が設定されている。今日の我々のハイキングはEigergletscher駅〜Kleine Scheidegg駅間1時間20分の一般向けコース(下り)である。


まずは山頂駅からハイキングのスタート地点となるアイガー・グレッチャー駅まで移動する。下車してみると、他に数グループの日本人団体客がおり、なんとも賑やかなハイキングである。ここでも現地ガイドに案内されてハイキングすることに。


アイガー・グレッチャー駅


アイガー・グレッチャー駅ホーム


アイガー・グレッチャー駅前。背後にはアイガーが見える。


ここもギザギザが付いているラックレールが使われている。

このコースは穏やかな下りのコースでアイガー、メンヒ、ユングフラウの3山を眺めながらハイキングする素敵なコースだが、生憎と山岳には霧がかかってその姿は見えない。全貌は見えないが、山岳から流れ出る氷河の一部が眺められたりするぐらいである。草原が広がる中をハイキングするので爽快な気分にひたることができる。これが好天で視界が開けていたら、爽快気分この上なしだろう。


今度の旅でベルニナアルプス、ツェルマットの2ヶ所でハイキングを楽しんだが、このグリンデルワルトのコースが山岳と草原の風景に包まれて一番素敵に思えるハイキングである。時には高山植物を愛でたり、通過する登山電車の音を聞いたり、また目の前に迫るアイガー北壁を眺めたりしながらのハイキングはなかなかのものである。ただ惜しむらくは天候のみである。


ハイキング開始


眼下にエメラルドブルーの池が見える


ハイキング中


頭上を登山電車が通過する


(動画)ハイキング中。アイガー北壁が見えてくる。



雄大な風景の中をハイキング中。右手前方の遠くに見えるのはハイキングの終着点クライネ・シャイデック駅




かなり歩み進んだところで前方の丘の突端に1軒の小さな小屋が建っているのが見えてくる。何の建物だろう?と思えば、ミッテルレギ・ヒュッテ(ミッテルレギ小屋)だという。これは2001年5月末に、ヘリコプターでアイガーグレッチャー駅上の丘に移築されたもので、かつて槙有恒氏がミッテルレギ陵の初登攀に成功した偉業を記念して1924年にこの小屋が建てられたと言う。その後、手ぜまとなって2001年に大きなものに建て替えられたため、この丘に移転されたという。


前方に小さな小屋が見えてくる


これが「ミッテルレギ小屋」

右手に雲のかかったアイガー北壁を眺めながら、さらに進んで行く。すると、その麓に小さな溜池が見えてくる。ふと水面を眺めるとそこにはアイガーの影が投影されているではないか。なんと「逆さアイガー」なのだ! ツェルマットで「逆さマッターホルン」が見れなかっただけに、これに救いを求めるとしよう。


氷河が流れ落ちる


雲に隠れるアイガー北壁


池に映る「逆さアイガー」


(動画)池に映る「逆さアイガー」


この溜池のほとりに転がる大きな岩石の幾つかには、ネームが彫られている。その中には日本人の名前も見られる。これらはアイガーで遭難死した人たちの名前らしい。アイガーを目の前に見上げる位置にあるだけに、さぞや故人たちも満足至極なのかもしれない。


池のほとりの石に刻まれたアイガーで遭難死した故人のネーム


日本人の名前もある


(動画)ハイキング中。登山電車が下って行く。
これから少し進んで行くと、遠くにクライネ・シャイデック駅が見えてくる。ハイキングの終着点である。ここまでで1時間ちょっとの所要時間である。ここで昼食となる。


クライネ・シャイデック駅が見えて来た


(動画)ハイキング中。前方にクライネ・シャイデック駅が見えてくる。



草原に咲く高山植物の花


同 上


アイガー北壁を背景に咲く花


昼食は駅のレストランで
12時過ぎに無事にクライネ・シャイデック駅に到着すると、駅舎の中のレストランへ。食堂は団体客でいっぱいである。ハイキングに来た人たちは、ここで昼食を取るものだから、混雑することになる。次々に客が到来するので、ゆっくりの食事はできない。追い立てられるようにして昼食を終える。メニューはスープ、メインはアルペンマカロニ、デザートはプリンである。


アルペンマカロニの料理

このレストランのメニュー価格をリストアップしておこう。
・赤ワイン・・・4.5フラン(450円)
・白ワイン・・・4.5フラン(450円)
・ビール・・・5.2フラン(520円)
・オレンジジュース・・・4.8フラン(480円)
・コーヒー・・・4.0フラン(400円)
・紅 茶・・・4.0フラン(400円)
・日本茶・・・4.0フラン(400円)
・ウドン・・・10.5フラン(1050円)


昼食後は出発までフリータイム。駅の周囲をぶらついて様子をうかがう。外のテラスに設けられたテーブルの上には食べ残しの残飯が載っている。それがカラスたちの絶好の餌になっている。人の傍で悠々と群がってつついている。残飯とは言え、彼らにはちと贅沢過ぎる食事である。


クライネ・シャイデック駅のテラス


食べ残しをあさるカラスたち


クライネ・シャイデック駅のホーム


マウンテンバイクで颯爽と・・・


グリンデルワルトへ
クライネ・シャイデック駅で1時間ほどを過ごした後、2時過ぎの電車でグリンデルワルトへ。3時ごろ到着すると、しばしの散策である。短いメインストリートをウィンドーショッピングしながらのぞき歩く。ウドン1杯が1000円を超える値段には驚かされる。その後はホテルに戻って休息。


ベランダの花壇


グリンデルワルトから見たアイガー


グリンデルワルトのメインストリート


同 上。ここで商店街は途切れる。


夕食は自室で
今夕食はツアーには珍しく含まれていない。各自で適当に食事をとのこと。そこで4時過ぎになると、すぐ近くにある「COOP」の店に出かけ、夕食用の食糧&飲み物を調達。次の買い物をする。とにかく、高物価のスイスにあってはCOOP店の安さは目を見張るものがあり、何でも驚くほど超安い。ミネラル水など、駅のキオスクで買えば350円もするが、この店ではたったの80円で買えるのである。

・サンドイッチ1個・・・2.6フラン(260円)
・ミネラル水1本・・・0.8フラン(80円)
・ハイネッケン缶ビール1本・・・2.15フラン(215円)
・オレンジジュース・・・1本・・・1.75フラン(175円)
・オレンジ2個・・・0.55フラン(55円:@27.5円)
合計・・・7.85フラン(785円)


COOP店内で物色していると、買い物にやって来た同行仲間2人と遭遇。そこで話がまとまり、我が部屋で一緒に夕食することに。それぞれの買い物が済んだところで、それらを持ち寄り、3人での楽しい夕食が始まる。こうして和やかに談笑しながら、スイスの旅最後の夜は更けて行く。


(次ページは「トゥーン湖遊覧&ベルン観光」編です。












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