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             NO.25




17.ケルン・・・ 五〇九段と四七一一番

車中、六時半に目覚める。七時二十分着の予定が一時間以上も遅れて、快晴のケルン中央駅にやっと到着。この町はベルギ−との国境寄りにあるロ−マ時代からの古い町、そしてドイツきっての大文化都市でもある。京都と姉妹都市関係を結んでいるそうだ。また、ライン河下りの船の終着点にもなっており、オランダやベルギ−、あるいはパリから北へ向かって入るドイツの玄関口でもある。(99年6月中旬には、世界の主要国G8の首脳が一堂に会し、ケルン・サミットが開かれた。)   


ホテル探し
ホ−ムで再び出会った昨夜のコンサルタント氏と一緒に両替をすませ、別れを告げてから案内所へホテル探しに出向く。ライン河に近いホテルをとってもらい、手数料五マルク=三〇〇円を払って今夜の宿を確保する。まだ朝の九時で早いが、チェックインしてくれるというので行ってみよう。
 

ホテルは大聖堂の真横でライン河沿いにあり、一泊九九マルク=六、一〇〇円(朝食付き)とまあまあである。通された部屋はツインル−ムでバスタブもあり、タオルは四種類も用意されている快適でデラックスなホテルである。今度の旅で泊まったホテルの中でベストワンのホテルである。部屋の窓からは大聖堂がまともに拝め、時を告げる鐘の音の慈愛に満ちた響きに思わず手を合わせてしまう。       

ケルン大聖堂
早速旅装を解いて一服すると、近くのチケット販売所へ出かけ、明朝九時発の水中翼船の予約を取る。料金はマインツまで四九マルク=三、〇〇〇円。普通船ならユ−レイルパスを見せればOKなのだが、水中翼船の場合は半額負担となる。その後大聖堂の見学へと足を運ぶ。この聖堂は一二四八年から六百三十年もかかって今から百年近く前に完成したもので、高さ百五十七メ−トルもある大ゴシック建築のカトリック寺院である。






 ケルンの大聖堂

















 大聖堂の内部















入館料と思って窓口で三マルクを払ったら、これがなんと尖塔へ上るコ−スの料金なのである。頂上からの眺めは素晴らしいらしいが、何せ螺旋階段が五百九段もあると知っていたので、英国で足の痙攣を起こした身には無理なことと当初からあきらめていたのである。だが、払った料金が無駄になると、さもしい根性が頭をもたげ出し、思い切って上ることにする。途中で足が痙攣でもしたら大変と、いたわりいたわりゆっくりと時間をかけて上って行く。薄暗い目の回るような螺旋階段を一汗かきながら上りつめ、無事頂上へたどり着く。
 

上から眺める景色はさすがに抜群である。ゆるやかに蛇行しながら眼下を流れるライン河の眺めにしばし見とれる。価値あるものを手に入れるためには、何でも苦労が必要なのだろう。汗して上った値打ちは十分で、それでもお釣りが来そうだ。






大聖堂の塔上から眺めるライン河の風景









素晴らしい景観を堪能した後、一階に下りて堂内に入る。数百年の時の流れを刻み込んだ堂内の雰囲気は荘厳で森厳、大窓のステンドグラスがなんとも美しい。奥行百四十四メ−トル、幅八十六メ−トルというから、いかに壮大な寺院であるかが想像できよう。この大聖堂が、ケルン中央駅のど真ん前にそびえているのだから驚きである。
 

“4711”のオーデコロン
すぐ近くの目抜き通りに出て、広場のカフェテラスで昼食。サンドイッチとコ−ヒ−で一一マルク=六八〇円。ガイドブックによれば、駅前にオ−デコロンの店があるというので探してみよう。ここケルンは、オ−デコロンの発祥の地だそうである。フランス語の「オ デ コロン(ケルンの水)」からきているそうで、ナポレオン時代にケルンにいたフランス兵が里帰りするとき、妻や恋人に“ケルンの水”を持ち帰ったといわれる。そういえば、ドイツ語の発音では日本語的発音の「ケルン」ではなく、コロンに近い発音をするのでうなずける。


うろうろ見つけているうちに、オ−デコロンのブランド“4711”の看板を横壁に掲げた店を発見。この数字は、最初に売り出された店の地番だそうである。店内にはオ−デコロンをはじめ各種の香水が置かれていて、素敵な香りが店内いっぱいに漂っている。講釈つきのいいお土産になると、故事にならって小ビン四本を購入する。(一本七・五マルク=四六〇円) オランダで木靴のお土産を買って以来のことである。重量制限をしているので、もうこれ以上お土産は増やせない。
 








 オーデコロン”4711”の店














目抜き通りを歩いていると、ボツボツ日本人の顔が見える。カルチェやルイヴィトンなどのしゃれた店が並び、小ぎれいでおしゃれな店が多い。デパ−トもセンスがあって美しい。ケルンはこぢんまりして小ぎれいな町である。観光客もわりと多い。
 

公園散策
再びライン河沿いに戻り、ほとりの公園で行き交う船や人の様子などを眺めながら、のんびりと時を過ごす。それにしても、河の水がどうしてこんなにも泥水なのだろう。茶色っぽいところをみると、どこかの土を削り取りながら流れ下っているのだろうか。期待していたヴェネツィアやアムステルダムでも、きれいな水には出会えなかった。美しい清流にはなかなか出会えそうにない。


七十メ−トルはあるかと思われる細長い運搬船が、頻繁に往き来している。なかでも石炭を満載した船がよく通る。近くのベンチでは、老人が群れるハトにエサを与えながら楽しんでいる。ショ−トパンツのサイクリング姿でマウンテンバイクに乗ってやってきた初老の男性は、木陰に自転車を止めていとおしそうに磨き始める。のどかな風景を満喫した後、バナナ二本とオレンジ二個を買ってホテルへ戻る。
 

まどろんでいると、カッポカッポという馬の蹄の音と、カランコロンという鈴の音が窓から聞こえてくる。のぞいて見ると、二頭立ての可愛い小馬に鈴をつけた観光客用の馬車が通っている。誘われるようにして夕食へ外出する。目星をつけていた“パスタとサラダ”の看板の出ている店に入り、スパゲティ・ミ−トソ−スは注文で、ポテトサラダ、野菜サラダはセルフサ−ビスで取り、これにビ−ルをつけて夕食にする。代金二六・二〇マルク=一、六一〇円。


(次ページは「ライン河上り・フランクフルト編」です。










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