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             NO.26




18.ライン河上り・フランクフルト・・・ ロ−レライとソ−セ−ジと

マインツへ
今朝は、思わず声が出そうな素晴らしい快晴である。穏やかで絶好の河上りである。ケルンからは流れを遡って行くので“河上り”である。九時発の水中翼船に乗船する。乗客は十人前後と少ない。ここから終点のマインツまで四時間。普通船だと十時間以上もかかり、直航便もないので途中のどこかで一泊する必要がある。スピ−ドは高速船だけあって、さすがに早い。                    





 この高速船で出発










ライン河はスイス・アルプス山中の小さな湖、ト−マ湖に源を発し、>スイス、オ−ストリアの国境>スイスのバ−ゼル>フランスとドイツの国境>ドイツのケルン>デュッセルドルフ>オランダ>北海と、ヨ−ロッパのど真ん中を流れる全長千三百二十キロの大河川である。
 

東京から来たという二十九歳のバッグパッカ−青年と乗り合わせ、フランクフルトまで同行することになる。彼もヨ−ロッパ二ヶ月の旅を始めたばかりだそうで、ブリュッセルからスタ−トしてまだ四日目という。大学の卒業旅行でヨ −ロッパに一度きたことがあるそうだ。話によると、東京にある私立高校の事務職に就いていたそうだが、自分を再発見して何かをつかみたいとの思いで退職を決意し、今度の旅に出たという。長期旅行者同士ということもあってか、いろいろと話がはずむ。


河の両岸のなだらかな斜面には、緑の葉をいっぱいに茂らしたブドウ畑が並んでいる。と思うと、切り立った岸壁の上にロマンティックな古城がこつ然と姿を現す。時折、中世の面影を残す小さな村々が河岸に静かなたたずまいを見せる。






 ライン河風景















山の中腹にに古城が見える















 ここにも古城が・・・















船上より見たライン河風景










途中、ハイネの詩で有名な「ロ−レライの歌」に因んだ “ロ−レライの岩”が見られる。河岸に突き出た垂直に近いガケに“Loreley”と書かれているだけで、なんの変哲もないただのガケである。ライン河岸の岩上に出没し、美しい歌声で舟人を誘惑して船を難破させたという魔女への思いは、この岩からは結びつかない。






正面のガケがローレライの岩










マインツ到着
茶色に濁った川面を突っ走ること四時間、高速船はようやく終点のマインツに到着。それにしても、この高速船は早すぎる。この速度では河下りの情緒がなさ過ぎる。第一、風圧がきつ過ぎて船上のデッキには立入禁止だし、エンジンの振動も強くて乗り心地が悪い。ウカウカしているとシャッタ−チャンスもないくらい、あっという間に通り過ぎてしまう。時間節約のために高速船を利用してみたが、やはりライン河下りは普通船でのんびりと両岸の景色を愛でながら楽しむのが正解であろう。
 

フランクフルトへ
マインツからは列車でフランクフルトへ移動するので、波止場から彼と一緒に駅へ向かう。歩くには距離がありそうなので、タクシ−を拾おうと通りへ出て待つがなかなか見つからない。やっとつかまえて駅まで乗りつける。タクシ−代一一マルク=六八〇円。午後一時三十八分発の列車に乗って一時間足らずでフランクフルト到着。お互いの長旅の無事を祈りながら、彼とはここでお別れ。彼はユ−スホステルへ、こちらは案内所でホテル紹介を申し込む。駅近くの一泊八七マルク=五、三六〇円(朝食付き)のホテルに決める。



 


 フランクフルト駅










ここフランクフルトは、旧西ドイツの商業の中心地として繁栄している都市で、ドイツの国際玄関として空と陸の交通の要衝となっている。また、ライン河下り、ロマンティック街道、古城街道など観光ル−トの起点にもなっている。私のこれから以後の旅行コ−スは、日本の観光ツア−が取り入れている人気ル−トに従って進める予定である。そこでヨ−ロッパバスの案内所へ立ち寄り、古城街道とロマンティック街道の様子を聞いてみると、まだそれほど込んでいないのでバスの予約は不要だという。時間表の載ったパンフをもらってホテルへ直行する。 

このホテルでもツインル−ムになるが、昨夜のデラックスホテルとは随分と差がある。ホテル前には果物店や食品店が並び、買物に便利なところである。ここのハウプト・バンホフ(中央駅)には、いろんな店舗がそろっていて非常に便利である。とりどりの果物や野菜を並べた果物屋、各種の飲食店、本屋、それに映画館までそろっている。そして駅地下街にも商店が立ち並び、果物・食料品店などが多くて充実している。
 

六時ごろ駅の食堂街に出かけ、そこの中華スタンドで焼き飯、ス−パイコに似たブタ炒め煮込み、それにビ−ルは売っていないというのでミネラル水をとって夕食、代金は一九マルク=一、一七〇円と結構高い。すぐ近くのハム・ソ−セ−ジ店でおいしそうなソ−セ−ジをつくっているので買ってみる。長さ十二センチぐらいの腸詰めソ−セ−ジが二本つながりで三・五マルク=二一〇円。出来立てのホヤホヤで、これがとてもおいしく、これまで食べてきた中で一番のもの。やっと本場のソ−セ−ジに出会った感じである。
 

ダウンタウンへ
夕食後の散歩にメインストリ−トのカイザ−通りへ出かけ、ゲ−テ広場までぶらついてみる。商店街の並ぶメインストリ−トから横道に入ると、バ−やキャバレ−などがネオンに輝いている。時間が早いせいか、夜の盛り場もまだ人通りは少ない。この界隈は危険地域らしいので、ほどほどに退散する。この地は、ベルリンやケルンの町に比べてガラはよくなさそうで、道行く人たちにもそれが感じられる。しかし、ショッピング街や食品店などが多く、生活感のあふれた活気のある町である。


(次ページは「ドイツ・ハイデルベルク編」です。)











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