NO.7
6.海と山、そしてジャングルを楽しめるリゾ−トタウン・・・・
ケアンズ
今朝もギラギラの快晴。今日はケアンズへの移動日だから雨にも遭わず有難い。オバサンが焼いてくれたト−ストとティで朝食をすませると、予約していた迎えのバスに乗って空港へ向かう。宿から一緒に乗り合わせたのは、韓国からオ−ストラリア旅行にやって来たという親子四人連れの家族である。大学生の娘が英語を話せるのでいろいろ会話がはずむ。父親は六〇歳でまだ現役。彼が幾つか日本語の単語を話すので、どこで勉強したのかを娘を通じて尋ねると、「ショウガッコウ、ショウガッコウ」と本人が答える。話によると、現地に開設されていた日本の小学校で子供時代しばらく教育を受けたそうだが、今ではすっかり日本語も忘れて覚えていないという。戦中のことだから日本に対するいい思い出は少ないだろうと思い、それ以上立ち入らないことにする。
韓国一家と別れアンセット航空のカウンタ−へ行ってチェックインすると、係の女性が「おはようございます。ムカイさんですね。」と流暢な日本語で話しかけてくる。おや、と思って尋ねてみると、彼女が日本滞在中に知り合った日本人男性と結婚しているという。預ける荷物はないかと聞くので、機内持ち込みだけだと答えると、私のバッグを見ながら「ゲ−ジで計りましたか?」と問い質す。そこで、「少しオ−バ−するけど、これまでパスしてきましたよ。」というと、「ここは厳しいですからね。もしダメということになったら、うるさいことになりますよ。私は保証できませんから、あなたの責任でならどうぞ。」と、優しい口調ながら厳しいことをおっしゃる。ちょっと考えた末、「じゃ、お願いしましょう。」と機内持ち込みをあきらめ預けることにする。到着先での荷物待ちロス時間と紛失の心配があるが、やむを得まい。
ケアンズへ
十時前にブリスベン空港を飛び発った飛行機は進路を北に取り、赤道により近いケアンズへ向けて二時間近くの飛行を始める。隣席には岡山から来た新婚カップルが座っている。挙式後そのまま旅立ったそうで、子供時代からの顔見知りながら、お見合い結婚だという。新郎は公務員、新婦は看護婦さんで、体格もがっしりとしてしっかり屋の新婦のほうが、おとなしくほっそりとした新郎を尻に敷きそうである。彼らはシドニ−、ケアンズ、エア−ズロックを回るフリ−ツア−で、現地ではガイドが送迎してくれる。これから先の行程が私と偶然一緒になっている。よもやま話をしている間に、機は正午過ぎケアンズ到着である。「お陰で楽しく話ができ、退屈せずにすみました。」と、礼をいわれながら別れを告げる。
ここの気温は三十二度。冷房のきいた空港バスにホテルまで送ってもらう。ここはヤシの樹も茂っていて、ブリスベンよりも一段と熱帯ム−ドが漂っている。市街の中心部はこぢんまりと小さく、見るべきところは特にない。観光地は全て郊外にあって、ここはその基地の街といったところである。部屋に行く前にフロントで明日のグレ−ト・バリア・リ−フ観光の予約を入れておく。通された部屋はびっくりするほど豪華な部屋で、大理石張りの広いスペ−スにキングサイズのダブルベッドと他にシングルベッドが置かれた三人部屋になっている。それに朝食までついて一泊四十五ドル(三、六〇〇円)だからバカ安だ。でも、結果的には税金が高くて倍額になってしまうのだが……。
ベッドに横たわって明日参加予定の観光パンフレットを読んでいると、リ−フ(珊瑚礁)では用意されているスノ−ケルを使って自由に泳げると書いてあるではないか。そうなると、折角リ−フまで行くのに泳がない手はない。そこで早速、水着の調達と昼食に出動する。フロントで観光ポイントをマ−クしてもらった市街図を手に街へ繰り出すと、すぐ近くに大きなス−パ−マ−ケットを発見。そこで九〇〇円の水着と昼食用にサンドイッチとバナナ、ミネラルウォ−タ−を購入、街路樹の木陰に設けられたベンチに座って一人昼食を食む。
エスプラネ−ド
海岸通りのエスプラネ−ド(遊歩道)にはヤシの並木が涼しい緑陰をつくり、遠くに山影が落ちる広い湾内には静かな海が横たわっている。まるでハワイか南太平洋の島に来たような錯覚を覚える。 |
|