N0.2−1





昼食はキブツのレストランで
約1時間ほどをかけてメギド遺跡を見学した後、午後1時過ぎ、近くの「キブツ・ダリア」へ移動する。ここで初の昼食である。バスを降りてキブツの構内に入ると、広大な敷地の中に青々とした緑の木立が出迎えてくれる。そこを奥へ進んで行くとレストランがある。


高い樹木と広々としたキブツの構内


同上。遠くに高い煙突が見える。

中に入ると、びっくりするほどの広々としたスペースが広がっており、すかっとして清潔感にあふれている。だが、普通のレストランのイメージはなく、団体が利用する大食堂といった感じである。事実、多くの旅行団体が利用している。


広々として快適なキブツの食堂

料理はビュッフェスタイルで、各自が好きに取り分けていただく。パン、スープ、魚、肉、サラダ用の豊富な野菜、スイカなどのフルーツが揃っている。特徴的なのは、どこのキブツやホテルの食堂に行っても、新鮮な地元産の野菜が豊富に出され、雨の少ないこの国ながら、その栽培能力には驚かされる。


種類豊富な料理が並ぶキブツの食堂


世界遺産アッコ
約1時間をかけて昼食を終えると、ここから北上して53km離れた地中海沿岸のアッコの町へ1時間かけて移動する。


アッコへ向かう途中の風景


アッコへ向かう途中の風景。丘の上に住宅が並ぶ。

ここの旧市街は2001年世界遺産に登録されている歴史ある町でもある。そしてこの町には中世の十字軍時代の宗教騎士団「聖ヨハネ騎士団」(別名ホスピタル騎士団)の要塞跡がある。







アッコの町の案内掲示板
こんな掲示板や道路標識はすべて
ヘブライ語、アラビア語、英語の3ヶ国
語で表示されている。


「ACRE」はアッコの英語表記













バスを下車してみると、静かな庭園の向こうに騎士団の要塞とグリーンのドームにそびえるミナレット(塔)を輝かせながら、イスラム教モスクが仲良く建っている。その昔、いかにもイスラム勢力が騎士団とアッコの町を制圧したのだと言わんばかりである。このモスクはアラブの町アッコのシンボル的存在となっている。


グリーンに映えるモスクのドームと騎士団要塞(手前)

目を横にそらすと、おや? 何やら新婚カップルが見えるぞ。側に寄ってみると、カメラマンによる記念写真を撮影しているところである。若いカップルで純白のロングドレスに身を包んだブロンド美人の新婦だが、辺りに華やかな雰囲気を漂わせている。海外を旅行していると、よくこんなシーン出遭うことが多く、その度に幸多かれと祈りながら、微笑ましく眺めている。


初々しい新婚カップルの記念撮影風景



(動画)新婚カップルの撮影風景


まず、観光用映画館でアッコについての簡単な紹介ビデオを観賞して見学に移る。


要塞跡
まずは騎士団の要塞跡の見物である。聖ヨハネ騎士団は11世紀に起源をもつ宗教騎士団で、本来は聖地巡礼に訪れたキリスト教徒の保護を任務としており、当初は病院・宿泊所としての役割が強かったが、その後次第に軍事的要素を強めて行った。13世紀になってイスラム軍の手に落ち、騎士団はキプロス島へ落ちのびたという。その当時の要塞跡が残っているのである。


建物内に入ると、石積みの重厚な造りになっており、部屋の仕切りは分厚い壁で、その中央はアーチ型に繰り抜かれて出入りができるようになっている。そのアーチが半円形ではなく、中央がやや尖った砲弾型に組まれているのが特徴である。アーチの中心にはキーストーンがしっかりと組まれており、当時の高度な建築技術がしのばれる。このアーチ形はイスラム建築によく見られるイワーン(アーチ)によく似ている。


イワン型アーチで造られた重厚な石組の要塞


広いスペースの部屋

もう一つ特徴的なのは、幾つかの部屋の天井部分に、十字架を意味するクロスの梁が組み込まれており、その精巧さに驚くばかりである。こんなところにもキリスト教徒の願いが込められ、祈りができるようになっているのだろう。


天井にはクロスに組まれた梁が見える


戦闘に使われた石玉


旧市街スーク
ここを後にすると、世界遺産の旧市街見物である。ここには多くのアラブ人が住んでおり、スーク(市場)には彼らの店が並んでいる。狭い迷路のようなスークの路地を通り抜けて行く。その両側にはいろんな店が雑然と並んでいる。お菓子屋あり、衣類雑貨あり、香辛料あり、魚屋あり、八百屋ありと、目をきょろきょろさせながら興味深く通り抜けて行く。ここでは迷子になりやすく、もし迷子になったら、その場を絶対に動かず、迎えが来るのを待つようにとの注意を受ける。うろたえてあちこち歩き回ると、見つけ出すのに大変だという。


お菓子を売る露天商


スークの路地


多種類の香辛料が並ぶ


魚屋さんもある。もう売れてしまったのか魚はない。


スークの賑わい


豊富な野菜が並ぶ


豆類を売っている


隊商宿
スークを抜けた所にモスクのような見事な隊商宿(キャラバンサライ)が残っている。中庭を四角に囲んで建つ2階建ての建物は、美しい均整のとれたイワン型アーチが並ぶ回廊で囲まれている。この建物はカイザリアの柱を流用して造ったらしい。1階が馬、2階が商人たちが泊まる所と言う。


時計台の塔もある隊商宿


均整のとれたアーチが並ぶ隊商宿


城 壁
スークを抜けて海岸に出ると、海岸沿いにのびる当時の城壁が見えてくる。この城壁に上って海岸線を眺めながら歩いて行く。その昔、この城壁でも十字軍とイスラム軍の激しい攻防戦が繰り広げられたはずである。恐らくこの折に使ったと思われる大きな石玉が要塞に残っている。こうして往時の激戦をしのびながら、城壁を通り抜けて行く。


地中海沿いに伸びるアッコの城壁


城壁の上を歩く


城壁はつづく。向こうにバスが待っている。

また、1799年にはナポレオンがこの地に侵攻し、3ヶ月間の攻防の末、敗北して撤退した場所でもある。この難攻の城壁は18〜19世紀のオスマン帝国時代のもので、アッコの町はこの城壁に囲まれている。


城壁の側でしぼりたてのフレッシュオレンジを売っていた。1杯約130円。

この城壁を最後にアッコの町に別れを告げ、バスの人となる。ここでおよそ2時間をかけての見物である。


ハイファへ
午後5時過ぎ、アッコを出発して21km離れたハイファの町へ移動する。


街並みが見えてきた


丘の上に住宅が見える

約40分の走行で、今宵の宿泊地で海沿いの町ハイファに到着である。海沿いに建つ宿泊ホテルは、なかなかデラックスで、部屋はオーシャンビューと素晴らしい。目の前の地中海には、今まさに夕日が落ちるところで、静かな海面に今日最後の輝きを見せている。ホテルのすぐ前は鉄道線路になっており、時折列車が行き来してる。


地中海に落ちる夕日(ホテルよりの眺め)


ホテル前をブルートレインが通る


しょうしゃな宿泊ホテル



(動画)ハイファのホテルの窓より眺めた地中海の風景


夕食はホテル
旅装を解いてシャワーを浴び、洗濯を済ませて一息つく。夕食はホテルの食堂なので、外出しないから気楽である。さっぱりした気分で身支度を整え、食堂へ。ビュッフェスタイルの食事で、好きな物を盛り合わせていただく。チキン、魚、野菜、スープ、パン、フルーツ、スィーツなど、盛りだくさんの料理が並ぶ。目玉は七面鳥の肉である。これにビール(小ビン:6ドル)を注文してグ〜ッと一杯喉を潤す。イスラエルのビールもなかなかグーである。


イスラエルのキブツやホテルの食堂では、サラダ用の野菜がどこも豊富に取り揃えてあるのが特徴だ。トマト、キューリ、レタス、キャベツ、もやし、ブロッコリー、パプリカ・・・などなど、とにかく種類豊富である。新鮮なこれらの野菜を眺めるだけで心うるおされる思いがする。サラダだけでお腹満腹となる。


夕食後は部屋に戻ると何もすることはなく、明日に備えて早寝としよう。時計を見るとまだ9時過ぎである。こうして、イスラエル2日目の夜は潮騒の音を聞きながら静かな眠りに落ちる。


ホテルの部屋からビーチの夜景を眺める



(次ページは「ナザレ・カナ・タブハ・カペナウム」編です。)











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