ベネズエラ(エンジェルフォール)の旅  N0.4−2





カバックへ40分の飛行
前回と同じ双発機にそそくさと乗り込み、いざ出発。チャーター機だけに他には誰も乗っていない。46人乗りの双発機に添乗さんも含めわれわれ13人のみとは贅沢な話だ。エンジェルフォールが見えるコースを飛行するというので、みんなの期待感が高まる。これが初の対面となるわけだが、果たして雲に邪魔されずに見えるかが問題だ。


飛行コースは着陸地点のカバック上空を通り過ぎ、わざわざエンジェルフォールを見るために迂回して飛行してくれる。予定では午後の飛行の時にエンジェルフォールを遊覧しながらカナイマへ移動するのだが、今の好天のうちに先にエンジェルフォール遊覧をしておこうとの計らいである。


ギアナ高地最大の卓状台地であるアウヤン・テプイの上空を飛行しながら滝をめざすのだが、珍しい卓状台地の迫力ある景観が窓から次々に飛び込んでくる。その中で幾つもの滝が見え隠れし、すわエンジェルフォールか!と勘違いする場面もあったりなど、期待とスリルに富んだ飛行である。


アウヤン・テプイの上空を飛んでいる

やがてついに待望のエンジェルフォールの姿を発見! その初対面に歓声があがる。運よく雲もかかっておらず、その雄姿が丸見え状態である。パイロットも心得たもので、左右の座席が平等に見られるように、わざわざエンジェルフォール上空で旋回して見せてくれる。


(動画)アウヤンテプイ上空を飛行中。エンジェルフォールが見えてきた!



(動画)窓ガラスが曇ってエンジェルフォールが鮮明に見えない


(動画)これがエンジェルフォールだ!


(動画)台地の上からエンジェルフォールに迫る


(動画)アウヤンテプイの真上を飛行中


(動画)アウヤンテプイ上空を飛行中


(動画)カバック着陸寸前


カバック到着
やがて機は台地を抜けると高度を下げ始め、興奮冷めやらぬうちにカバックのウルジェン飛行場に着陸。この村はエンジェルフォールのあるアウヤン・テプイの麓にあるので、テプイ(卓状台地)が目の前に迫って見える。明日はこの台地の奥の渓谷にあるエンジェルフォールを地上からアタックするわけだ。ここの飛行場も広い野っ原の中に短い滑走路があるだけののどかな場所で、片隅には藁ぶきのロッジが幾つも並んでいる。


(動画)カバックの飛行場とロッジ。向かいに見えるのはアウヤンテプイ。



 のどかな風景の中に建つカバックのロッジ。手前は飛行場。正面の山はアウヤン・テプイ。




滝見物
ここはタバナベレパの滝見物とランチのために立ち寄ったのだが、話によると2時間遅れの到着だったため予定の滝見物の時間が取れず、最寄りのアカ・レオパの滝見物に変更するとのこと。水遊びもできるというので、メンバーの有志はロッジに入って水着に着替え始める。準備ができたところで、いざ出発である。


とは言うものの移動用の自動車がいかにもお粗末。見事に古びた小型トラックの荷台に木製のベンチが両側に取り付けてあるだけ。これに13人も乗れるの?と首をかしげてしまう。乗れたとしても揺れで人がこぼれ落ちそうである。


えっ!このトラックに13人も乗れるの?

そんな思いをよそに、左右のベンチと真ん中にぎゅうぎゅう詰めになりながら発車オーライである。山道をガタピシと揺れながら走行すること10分、1人もこぼれ落ちることなくポイントに到着。ここから徒歩でテプイの山裾へ入って行く。野っ原を通り抜け、茂みをかき分けながら進むこと15分で、せせらぎの聞こえる細い川に出る。この川の奥手に目指す滝がある。


野原をどんどん奥へ歩き進む。先頭は現地ガイド。


茂みをかき分けながら進む

滝の側まで近寄るのが大変で、川渡りをしないと行き着けないのである。そこで、やおら靴を脱ぎ、ソックス履きのまま滑りやすい川床に足を入れて歩き渡る。川が小さいだけに二段になって流れ落ちる滝の規模も小さく、迫力はないが水遊びするには十分の場所である。


靴を脱いで川渡り

一緒に連れ立って来たドライバーの息子が手本よろしく、岩場を慣れた足取りで滝まで渡ってみせる。それに次いで、水着姿の皆さんは滝へと進む。早速、少年は飛び込みを開始。時にはバック転飛び込みの技も見せる。かなり遊び慣れた風である。これにつられるように我が仲間の男性1人が逆飛び込みで滝つぼへドボン。お見事〜! 飛び込みの国際交流だ。小さい規模の瀧ながら滝壺は結構深みがあるようだ。


(動画)アカ・レオパの滝で現地少年が水遊びしている


(動画)アカ・レオパの滝で現地少年と我が同行仲間の1人が飛び込み国際交流


昼食はローストチキン
ひとしきり滝遊びをした後、再び川につかって渡り、もと来た道を戻ってロッジへ。そこで待ち受けていたのは豪快なチキンのバーベキュー。建物の裏手でジージーと音を立てながら焼いている。焼きあがったところでテーブルに座ってランチとなる。小ぶりのチキンだが、焼き立ての肉はなかなかおいしく、これにポテトとサラダを盛っていただく。飲み物はコーラと水。


ジージーと音を立てながらチキンのバーベキュー


食卓風景


カナイマへ
こうしてカバックの村で約3時間を過ごした後、本日の最終目的地カナイマへ向かって飛行する。同じチャーター機で20分の短時間飛行。あっと言う間にカナイマの飛行場へ着陸。その寸前になってシャワーに見舞われる。ここで初の雨傘出動となり、雨の中を降機して空港ロッジに避難する。


突然のスコールに見舞われる。でもすぐに通り過ぎるので心配なし。

カバックからカナイマへ飛行する途中、再度エンジェルフォール上空を飛行して遊覧するのだが、午前と違って午後になると生憎雲が出て滝は覆われ上空から見えずで残念である。このように、エンジェルフォールのあるアウヤンテプイは標高が2560mもあるため、刻々と気象状況が変化するのだ。それだけに、この滝におめもじするには運が伴うということだ。


ここカナイマの村はカラオ川に沿ったジャングルの中にあり、人口は1000人にも満たないらしい。しかし、周囲700kmで、頂上部分の面積はほぼ東京23区と同じというギアナ高地最大のテーブルマウンテン、アウヤンテプイの至近距離に位置し、そのテプイ(卓状台地)にあるエンジェルフォール観光とギアナ高地観光の拠点の村となっている。


また、ここにはカナイマ湖というかなり大きな湖があり、その周囲には幾つもの滝が流れ込んで壮観な風景をつくり出しており、格好の観光ポイントともなっている。今宵の宿は、その湖畔に建つ素敵なタプイロッジである。


ロッジへ&ユリの滝へ
しばらく待つとスコールも通り過ぎ、バス型大型トラックですぐ近くの宿泊ロッジへ移動する。


ここが宿泊するタプイロッジ。左側に部屋が並んでいる。各入口前にはハン
モックがぶら下げてある。


設備の整った部屋に入って一息つくと、午後4時過ぎユリの滝見物へ出発である。再びトラックに乗ってボート乗り場へ向かう。かなり走ってボート乗り場に出ると、そこからボートに乗り移ってカラオ川を下る。夕空に浮かぶテプイ(卓状台地)の姿をを眺めながらの走行は格別の気分である。


車上から眺めるサバンナとテプイ(卓状台地)


(動画)カラオ川をボートで下る


15分ぐらい走ると下船して上陸。そこから歩いてジャングルの中へ入り、薄暗く足場の悪い道を進んで行く。途中、水溜まりや小川があったり、不安定な丸太の上を渡ったりしながら歩き進む。なんとまあ足もとの悪い道だ。メンバーの中には渡る足場が怖くて立ちすくみ、自力で動きが取れない女性もいるほどの悪路である。この道を15分ほど歩いてやっと滝へ出る。


薄暗いジャングルの中を歩く


足もとが悪い


小川の上にかかる狭い渡し板の上を歩いて渡る


川にかかる丸太の上を渡る。平均台のバランス感覚が必要。


バランスを崩したら下の川に転落!

目の前に広がるのは、落差はないがかなりスケールの大きい滝で、何となくイグアスの滝の雰囲気を漂わせる滝ではある。幅180mの3段になった滝で、流れ落ちる滝の音は轟々と響き渡る。滝の水は茶色で泥水かと見間違うが、これは川沿いの植物の葉っぱから滲出したタンニンのせいらしい。だから、“コーラの滝”と別名が付けられているとか。


幅180mのユリの滝

撮影は最初上部から見下ろす位置で撮影し、今度は位置を下部に移して撮影を試みる。下部の方から眺めたほうが滝の落差がよく見取れるので、滝の豪快さが感じ取れる。


(動画)コーヒー色の水が特徴のユリの滝(上段からの撮影)



(動画)ユリの滝(下段からの撮影)



ひとしきり、記念撮影なども終わると、もと来た悪路の道を引き返す。夕暮れが迫る中、ジャングルの道は一段と暗く、歩きにくくなっている。


帰りの道はいっそう暗い

やっとボート乗り場へ出ると、ボートで出発点へ快走する。再びトラックに乗ってロッジに到着したのは暗くなった6時過ぎのことである。

デラックスホテル並みのロッジ
これから2連泊するこのタプイロッジは、この地でこんな宿があるのかと思わせるほどのデラックスさである。エアコンはもちろん、見事な洗面、バスタブもそろって、まさにデラックスホテル並みの設備である。これまで宿泊したロッジがいかにも素朴だっただけに、その極端な格差に驚きと喜びを隠せない。特に昨夜のロッジが自然味あふれる所だっただけに、その感じがひとしおである。


きれいなバスタブ


ベッドも豪華版


夕食まで時間があるので早速、シャワー浴びと洗濯にかかる。ふんだんに出るお湯や水を眺めていると、もったいなくて、こんなに使ってもいいのだろうかと気が咎める。快適空間と設備の中で、シャワー浴びも洗濯も快適そのもの。気分爽快になって夕食ディナーへ向かう。


夕 食
食堂は宿泊ロッジ前の別棟で、なかなか素敵なスペース空間が設けてある。カフェとレストランを兼ねた南国ムードただよう場所である。それにふさわしく、テーブルセットも洗練されたセッティングである。料理の盛り合わせも、なかなかしゃれている。メインは魚料理で、川魚を塩漬けして干したものをむしった感じの料理である。良い気分になってお腹いっぱいいただく。


素敵な食卓風景


これが夕食の料理

部屋に戻ると、快適なベッドで横になる。いよいよ明日は待望のエンジェルフォール挑戦の日だ。これまでの4日間の旅は、そのプロローグに過ぎない。明日がこの旅のクライマックスであり、ハイライトでもある。明日の天候はどうなのだろう? ボートは果たして最後の前線基地まで遡れるのだろうか? ハードなジャングルウォークは大丈夫か? などなど、さまざまな思いが脳裏をよぎって気持ちが高ぶる。


明日は早朝4時のモーニングコールだ。早く眠らなければ・・・。だが、興奮でなかなか寝付けない。そのうち心地よい睡魔に襲われ、眠りに落ちる。



(次ページは「エンジェルフォール挑戦」編です)








 




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