ジャンネケ・ピスの小便童女
折角だから、話の種に1987年になってお目見えしたというジャンネケ・ピスの像を探して見に行ってみよう。これは小便小僧を意識して造られたのだろうが、小さな女の子が小便をしている像だという。それを聞くと、みんなはどんな姿を想像するのだろう?
そんなことを思いながら広場を横切り、ショッピングア−ケ−ドのギャルリ−に入って、その途中から先夜夕食をしたあの狭いレストラン街を通り抜けて行く。
その途中で、ある海鮮料理店の店頭に見事なまでに魚介類でレイアウトして絵画のように仕立てあげたディスプレイが目に留まる。あまりにきれいなので、一言断って写真に撮らせてもらう。前にも述べたように、この通りには海鮮料理の店が多く、それらの店ではそれぞれに工夫をこらしながら、競うようにディスプレイ模様を作り、人目を引くようにしている。私が見比べた範囲では、この写真の店の作品が頭抜けて見事な仕上がりになっている。
魚介類で見事に模様を描いたディスプレイ
ここを通り抜けてしばらく直進すると、右側に入る道幅2mほどの狭い袋小路がある。ここのはすだがと思って路地に入っても、ピスの像らしきものがどこにも見当たらない。そこで、店の人に尋ねると、その奥だと言う。だが、指差すその奥には何も見えない。不思議に思って進んで行くと、路地の奥まったどん詰まりに当たる右側の壁面に、それをくり貫いて像が置かれている。これでは隠れて見えないはずだ。だから突然現れるので驚いて眺め入ることになる。
像を一目見るなり、これはいただけないなあと言うのが率直な感想である。素裸の女の子がしゃがみ込んで放尿する姿なのだが、いくら童女とはいえ、真正面を向いているだけに目のやり場に困ってしまう。大人の男性の不純な考えがそういう気にさせるのだろうか? これでは小僧のように愛嬌もなく、ただ「ちょっとこれは……」といった困惑の気持ちがわいてくる。
見るのにちょっと気が引ける
ジャンネケ・ピスの像
小便小僧の印象とはあまりにもかけ離れた感じで、果たしてここまでしてピスの像を作る必要があったのだろうか。それは作らずもがなの観さえある。作者の意図が奈辺にあるのか分からないが、それが小便小僧のパロディだとすれば、あまりにも的外れの感じがしてならない。こんなことを言うと、作者に怒られそうだが……。この像を訪れる人は、みんなどんな思いを抱いて帰るのだろう。
グラン・プラス
再び広場に戻り、今度はじっくり周囲の建物を鑑賞することにする。全面石畳になっている広場の中央にたたずみながらゆっくり眺め回すと、それぞれが建築の粋と趣向を凝らして造り上げたという感じで、その競い合う姿はまさに壮観である。まず南のコ−ナ−に立って西面と北面を眺めて見る。西面側には割りと細い建物が6棟並び、その昔はパン屋、油商、樽屋、射手、船頭、小間物商などの各同業組合(ギルド)が集会場として利用していたという。現在はカフェ、旅行社、銀行などが入っている。
北側面に目を移すと、その中央にひときわ大きく目立つ華麗な建物が左右に並ぶ建物を従えるかのように建っている。これが「王の家」で、実際には王様は住んだことがない名ばかりの建物である。中世時代には新教徒を監禁する牢獄としても使われたそうだが、今は市立博物館になっている。この3階には世界各国から小便小僧へ贈られた衣装のコレクションがあり、その中には日本からのものもあるという。他の建物には現在、チョコレ−ト屋、レストラン、カフェ、コ−ヒ−ショップなどが入っている。 |
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