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8.ルクセンブルク観光

今日はルクセンブルクへ移動の日だ。今朝は早目の6時半に起床して朝食を済ませると、部屋に戻って少ない荷物をまとめにかかる。まとめるといっても、洗面道具類やデイバッグをショルダ−バッグにしまい込めば終わりである。天候は快晴に次ぐ快晴で、何一つ心配することがない。3泊したホテルをチェックアウトすると、足取りも軽くセントラル駅へ向かう。発車時刻は7時40分である。
 

昨日のうちに中央駅でルクセンブルク行きの往復チケット(30.20ユ−ロ=4,260円)を購入し、出発時刻もちゃんと事前に調べてある。だから、慌てることもなく、落ち着いていられる。ルクセンブルク行きの列車は1時間に1本の頻度でIC列車が走っている。所要時間はブリュッセルからちょうど3時間の距離である。
 





 ブリュッセル中央駅










駅でホ−ムの番号を確かめ、滑り込んできた列車に乗り込む。車内は空いており、向かい合わせ2人ずつの4人掛け座席に1人ゆったりとした気分で腰を下ろす。静かに走り出した列車は、しばらく地下ル−トを走る。すると間もなく、車内の案内表示盤に次の停車駅が「ルクセンブルク」との表示が出される。ん? もうルクセンブルク? しかし、そんなに近いはずはないがなあ……。何かの間違いかな?と思っていると、止まった駅は「ブリュッセル・ルクセンブルク」となっている。こんな駅が市内にあるのだ。な〜んだ、人騒がせな……、お陰でどきっとさせられる。この駅は、昨日訪れたサンカントネ−ル公園の近くにある。
 

地上に出た列車は、一路南に向かって走り続ける。郊外に出ると、そこにはいつもの美しい緑の田園風景が広がっている。その中で放牧された馬や羊たちが、のどかに牧草をはんでいる。どこまでも続く田園風景の中に、こんもりと茂る森に囲まれて小さな村落が所々に見られる。そのどれもが教会を持っているのが心休まる風景を描き出している。疲れた旅人には、こんなのどかな田園風景が心にしみ入るようだ。
 





車窓から眺める田園風景










のどかに移り行く車窓風景を眺めながら走ること3時間、10時40分に列車はようやくルクセンブルク中央駅に到着する。長いホ−ムを歩いて駅のコンコ−スに出ると、そこはすきっとした感じで美しく、正面玄関の大きなステンドガラスが優しく出迎えてくれる。規模は大きくなく、こぢんまりとした駅だが、クリ−ンで落ち着いた雰囲気をもっている。






ルクセンブルク中央駅ホーム

















 同上 コンコース





















ルクセンブルク中央駅










ルクセンブルクのこと

正式国名はルクセンブルク大公国で立憲君主制。EUの加盟国でもある。首都はルクセンブルクで人口は約44万、面積は神奈川県ほどの広さである。民族はルクセンブルク人で宗教はカトリック、母国語はルクセンブルク語で公用にはフランス語が多く用いられ、ドイツ語を話す地域もある。
 

人口も少なく、面積も狭いこの小国は、ベルギ−、フランス、ドイツに囲まれて押しつぶされそう。だが、深い渓谷と緑豊かな森に覆われた堅固な城塞都市でもある。首都のルクセンブルクは旧市街と新市街に分かれ、深い渓谷に架かるアドルフ橋によってこの両地域は結ばれている。新市街には欧州裁判所や欧州議会事務局などの国際機関が集中し、旧市街には欧米の一流銀行をはじめ、日本の多くの金融機関も進出している。こうして今や、ロンドンに次ぐ第二の金融センタ−を形成している。


ホテル探し
早速、本日の宿探しにインフォメ−ションを訪れる。この地ではホテル予約なしなのだ。コンコ−スの一角にある案内所に行くと、中年の女性スタッフが応対してくれる。そこでホテルを予約したいと申し出ると、びっしり載ったホテルリストを見せてくれる。だが、これではその所在地を示した地図との照合もままならず、ここでの依頼をあきらめる。自分で行き当たりばったりに決めてみようと思う。そのほうが分かりやすい。もっと、合理的なホテル案内の方法はないものか? 改善工夫がほしいところである。
 

そこでガイドブック掲載の地図を片手に探すことにする。割安のホテルが駅の近くにあるので、まずそこを当たってみよう。駅前通りを右の方に少し歩み進み、多分この辺りのはずだがと思って眺め回すが付近には見当たらない。そこで、店頭で掃除をしている青年に尋ねると、そのホテルは知らないという。通りを間違ったのだろうか?
 

今度はこの隣にもう一つ通りがあるので、そこに移動してみる。ここはリベルテ通りというバスも走るメインストリ−トで、アドルフ橋へ通じている。大きなホテルがあちこちに見かけられるこの通りを進んで行くと、間もなく右手に目指すホテルの看板が見える。やっと探し当てた! 小さな看板なので注意しないと見過ごしやすい。果たして空部屋はあるのだろうか?
 





 リベルテ通り
 この先がアドルフ橋









ドアを開けて中に入ると、そこはカフェになっており、カウンタ−にはおばさんが一人いて客の応対をしている。まだ11時頃というのに、数人の老人客がテ−ブルに座ってビ−ルを飲んでいる。そこで、「空いた部屋がありますか?」とフランス語で尋ねると「ウィ」という返事。「2泊したいのですが…。」と告げると、また「ウィ、ウィ」という返事が返ってくる。これで宿が確保できて一安心。入口横の階段から階上の部屋へ案内され、安堵の気持ちで旅装を解く。部屋の設備その他はさほどないが、駅への利便さと料金の割安さが気に入るところである。
 

1階の店に下りてチェックインの手続きをしていると、おばさんはにっこり笑いながら1杯のビ−ルを差し出してくれる。おゝ、なんと言ううれしいサ−ビス。そのタイミングの良さに感謝しながら、一気にグイと飲み干す。なんとも家庭的な雰囲気の流れるホテル兼カフェである。ビ−ルを飲みたくなったら、ここで居ながらにして飲めるので便利である。


旧市街観光
ビ−ルで生き返った後、早速市内観光へ繰り出す。この地の主な見所は狭い範囲にあるので、すべて徒歩の圏内である。表のリベルテ通りを北へ向かってぶらりぶらりと見物しながら歩いて行く。通りの両側にはビルが立ち並んでいるが、それほど高い建物はない。10分足らずで深い渓谷に架かる有名なアドルフ橋にさしかかる。ペトリュッス渓谷に架かる高さ46m、長さ84mのこの橋が新市街と旧市街を結ぶ主要な橋になっている。この橋の上を渡っていると、右前方に鋭い尖塔をもつ寺院が見える。あれがノ−トルダム寺院の優美な姿なのだ。
 





旧市街と新市街を結ぶアドルフ橋
下はペトリュッス渓谷














前方にノートルダム寺院が見える










胸踊らせながらこの橋を渡り、右側へ折れて歩道を進むとすぐに憲法広場に出る。渓谷の断崖の端に位置するこの広場からの眺めは息を呑むようである。その緑の洪水に埋まったパノラマ景観は、ここを訪れる人の心を間違いなく捉えて感嘆の声をあげさせるに違いない。ここから眺めるアドルフ橋の優美な姿がとても美しく、それが描く見事なア−チのシルエットがこの渓谷に素敵なアクセントを付けている。この絶景は何枚の写真、何枚の絵に撮られたり、描かれたりしたのだろう。その中の1枚として、私も撮っておこう。広場の中央には黄金の女神像を乗せた第一次大戦の慰霊塔が静かに立っている。
 

 緑に埋まったペトリュッス渓谷の景観。橋はアドルフ橋。








 女神像が立つ慰霊塔















ここからノ−トルダム寺院の方へ歩いていると、素敵な雰囲気のカフェが目に留まる。ホテルの建物の中にあるカフェで、店内には見るからに食欲をそそられるおいしそうなケ−キが並んでいる。よし、ここで昼食にしよう。そう決めると、おいしそうなケ−キを選んで切り分けてもらう。これとサラダとビ−ルを注文する。ベルギ−はお菓子作りの本場だが、ここルクセンブルクの方が見た目には美しく、きれいに出来上がっている。甘い物が苦手な私だが、果たして口に合うのだろうか?
 

出されたケ−キを口にしてみると、やはり甘過ぎて私の口には合わない。生クリ−ムばかりが多くて、私好みのスポンジケ−キの部分がないのだ。こちらのケ−キには、そんなものが多いのだが、見損なったケ−キに少し失望する。とにかく、ケ−キとサラダを食べながらビ−ルで流し込む。お腹はけっこういっぱいに満たされる。


ノ−トルダム寺院
ここを出て奥の方へ進むとすぐにノ−トルダム通りに出る。寺院や高い石造りの建物が並ぶこの通りは、人通りも少なくひっそりとして落ち着いた雰囲気がただよっている。






 ノートルダム通りの
  静かなたたずまい











そこを少し先へ進むと右手にノ−トルダム寺院の入口がある。17世紀に建てられたこの寺院はイエズス会の教会となっている。中に入るとステンドガラスに彩られた大窓から差し込む柔らかな光を受けて中央祭壇がひそやかに輝いている。高い天井を持つ寺院の空間には、人気のない午後の静けさだけがただよっている。
 








 ノートルダム寺院の中央祭壇














寺院を出て横手へ回ると、そこには石畳の小さな広場がある。その一角には慈愛に満ちた女性像が優しく立っている。ここにたたずんで眺めると、ノ−トルダム寺院の鋭い槍のような尖塔が目の前に迫って見える。「汝、この塔を仰ぎ見よ。されば汝の思いは天国へ届くであろう。」と言わんばかりに、この塔は高く天に通じている。









 横手裏から眺めたノートル
  ダム寺院






















 
優しい女性像が・・・











ギョ−ム広場と市庁舎

ここから少し北のほうへ歩くとギョ−ム広場に出る。この中央にはオランダとルクセンブルク大公国の王であったウィリアムUのりりしい騎馬像がある。






 ギョーム広場の中心に
 立つウィリアムU像









この広場に面してこぢんまりとした市庁舎が建っている。その正面入口の左右には、無頼の輩は入れないぞと言わんばかりに2頭のライオンが睨みをきかして鎮座している。この長方形の広場は、町の中心的存在になっているのだろうが、それにしては変哲のない広場である。






 
市庁舎
 
入口の両側にはライオ
 
ン像が・・・










大 公 宮

広場から一つ辻を渡ると大公宮に出る。正門前には銃を持った衛兵がいるところを見ると、この宮殿には王が住んでいるのだろう。この町ではいちばん大きな石造りの宮殿らしい建物だが、かつては市庁舎の建物だっという。たまたま今、門の前では衛兵の交代式があっている。


銃を肩にかついだ2人の衛兵が門内から出てくると、歩調をとりながら当番衛兵の前へ進み、そこで交代を行う。門前の警備は1人の衛兵で行われている。観光客がその様子を盛んに写真に撮っている。なかには衛兵を背景に記念写真を撮る者もいる。何処も同じ風景である。





 宮殿の正門















 衛兵の交替式

















 
大公宮の建物


















ホテルへ
少々歩き疲れたので、今日の半日観光はこれで終わりにしようと宿泊ホテルへ戻り始める。帰路は別のル−トを辿ってみようと、ノ−トルダム寺院寄りにある橋を渡って帰ることにする。てくてくと橋のたもとまで歩いてくると、そこにちょっとした芝生の公園があり、ベンチまで備えてあるので、これ幸いにこの緑陰で一休みすることにする。
 

橋の向こうに見える豊かな緑の森を眺めていると、心までが洗い流されるようでほっとした気分にさせられる。そうするうちに、ついうとうとと、まどろんでしまう。あまりにも心地よく、心許せる環境にひたったためだろう。ここには午後の静かなひとときが流れている。
 

目が覚めたところで、橋を渡り始める。この橋の上からの眺望も素晴らしく、緑に埋まるペトリュッス渓谷の眺めは抜群である。この橋はアドルフ橋とは違って24のア−チを持つ高架橋で、下から見上げる眺めはきっと素晴らしいに違いない。それは明日以後の楽しみにとっておこう。



 橋の上から見たペトリュッス渓谷の景観。右端に見える尖塔はノートルダム寺院。




橋を渡って一直線に伸びる駅前通りをそのまま進むと、ルクセンブルク中央駅に至る。ホテルはこの隣のリベルテ通りだから、ここから右へそれてリベルテ通りに入る。ここを駅に向かっててくてく歩いて行くと、その左側にわがホテルが見える。やっと到着である。時計は4時半を過ぎたところで、これから夕食タイムまで休息だ。


夕食はアラビアン料理 
ベッドで横になりながらゆっくりと休息した後、6時過ぎになって夕食へ出かける。中央駅のコンコ−スの一角にセルフサ−ビスのビュッフェがあるので、そこへ足を伸ばしてみる。駅まで歩いて数分の距離なのですぐだ。駅舎内に入って目指すビュッフェへ行くと、もう店仕舞いしているではないか! 店員に尋ねてみると、もう終了だと言う。その早い閉店にがっかりである。ここは昼間だけの開店のようだ。
 

それなら仕方ないと、きびすを返して戻り始める。駅に来る途中で目に留まったアラビアン料理の店へ行ってみよう。小さな食堂という感じで、よく見かける光景だが、この店でも円筒形に分厚く肉を重ねたものを回転しながら焼いている(この名称を思い出せない)。ただよう匂いはシシケバブのものだが、その串焼きがあるのかな?と思って入るとそれはない。ただ、回転焼きの羊肉をスライスして売っているだけである。
 

仕方なくその肉を1人前持ち帰り用にパック詰めにしてもらい、それにフライドポテトを添えてもらう。ビ−ルが欲しいのだが、残念ながらここには売っていない。そこでホテルに戻り、ここのカフェでビ−ルを調達する。これで夕食の準備はできあがりだ。部屋に持ち帰り、ほどよい塩加減のケバブを頬張りながら、ビ−ルで一人乾杯する。久々に口にするケバブの味だが、これが串焼きだともっとおいしいのにと残念がることしきりである。
 

ケバブとポテトでお腹は満腹となり、途端に睡魔が襲ってくる。半日とはいえ、今日はよく歩き回ったものだ。この町はバスやタクシ−などの乗物を利用するには狭過ぎて距離がないし、そうかといって歩き回れば結構疲れ果てる。日中は気温が高く(27、8度?)、歩き回っていると汗だくになる。上はスポ−ツシャツ1枚なのだが、長袖のため暑い。半袖シャツを持参すべきだったと後悔する。汗ばんだシャツの洗濯をして、明日に備えて早く寝るとしよう。明日もこの脚で歩くしかないのだ。


【ルクセンブルクの現地ツア−】
この街の旧市街はほとんど徒歩で観光できる。だから、ツア−としては郊外の観光が多いようだ。一応次のツア−が用意されている。ただ、ミニトレインだけは大人気のようだから乗りはぐれないように要注意だ。

・ミニトレイン……3月14日〜10月31日まで毎日。10時〜18時まで。所要50
          分。大人6.5ユ−ロ(=920円)、子供4.25ユ−ロ(=600
          円)。発着は憲法広場。ペトリュッス渓谷からグルント(低地)まで
          を周遊する。なかなか素敵なコ−スでお勧め。

・CITY TOUR……3月16日〜11月9日まで毎日。憲法広場14時15分発。所
            要2時間15分。大人12ユ−ロ(=1,700円)

・STADTTOUR……憲法広場14時15分発。所要2時間15分。大人12ユ−ロ
             (=1,700円)

・BURG VIANDEN UND NATURROMANTIK……憲法広場13時発。
             所要約5時間。大人15ユ−ロ(=2,100円)

・TOUR DE VILLE DE LUXEMBOURG……3月16日〜11月9日ま
             で毎日。憲法広場14時15分発。所要2時間15分。大人
             12ユ−ロ(=1,700円)

・VIANDEN ET UNE NATURE ROMANTIQUE……4月26日〜10
             月5日までの土・日曜日。憲法広場13時発。所要約5時間。
             大人15ユ−ロ(=2,100円)

・VIANDEN CASTLE AND ROMANTIC SCENERY……4月26日
             〜10月5日までの土・日曜日。憲法広場13時発。所要約
             5時間。大人15ユ−ロ(=2,100円)
 


(次ページは「ルクセンブルク観光編(2)」です。)










              

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