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   N0.7
(&ルクセンブルク)




7.再びブリュッセル市内観光
 
5日目。今日は終日ブリュッセル市内観光に当てる予定だ。グラン・プラスもまだ十分に見ていない。今朝は7時に起きて物足りない朝食を済ませると、いざ出発である。見上げる空は今朝も見事な快晴。当地に到着した折のどんより垂れ込めた曇り空の霧雨日和とは打って変わり、翌日からは気の毒なほど雲一つない快晴が続いている。お陰で快適な旅がエンジョイできる。


サン・ミッシェル大聖堂
口笛を吹きたいくらいの爽快気分で、足取りも軽やかに歩いて行く。まず目指すのは、サン・ミッシェル大聖堂である。ホテルからすぐのところにあるこの聖堂は、初日にその外観だけを遠景で見たところである。聖堂の前は、いま生憎と工事中のバリケ−ドで囲まれ、それが辺りの雰囲気を壊してしまっている。
 

正面に立つと、左右対称に二つの鐘楼がそびえ、ここから時折カリオンの美しい音が響き渡る。しかし、その美しい音色も前面を走る大通りの車の騒音が混じって聞こえるのが惜しい。これがブル−ジュの鐘楼のように静かな環境であればカリオンの音も冴え渡るのだろうが……。この大聖堂は13世紀に内陣が造られ、それから300年後の15世紀に鐘楼が造られたという。1516年にカ−ル5世がここで戴冠式をあげたり、前国王が結婚式を挙げたことでも有名だという。
 





 サン・ミッシェル大聖堂










浅い階段を数段上って中央入口に行くと、そこはまだ閉ざされている。おや、まだ入れないのだろうか? と思って辺りを見回すと、誰かが右端の入口から入っている姿が見える。そちらへ移動し、続いて中へ入る。早朝とあってか、人影ひとつない寺院内はひっそりとして静寂さだけが厳かに流れている。中央祭壇へ進むと、その背後の大窓から朝日を受けてまぶしいほど燦然と輝いて見える。






 同上の中央祭壇










ベルギ−の寺院は、祭壇の背後に採光のための大窓が設けられている例が多い。この静寂で厳かな雰囲気にひたりながらたたずんでいると、突然カリヨンが鳴り響き始める。ここから耳に入る音は柔らかな響きを持っている。ここのは何分置きに鳴るのだろうか? 


サンカントネ−ル公園と凱旋門
寺院を出ると、ここから東方向に位置するサンカントネ−ル公園を目指す。そこにカッコイイ凱旋門があるのだ。すぐ近くの中央駅から地下へ下り、そこからメトロ(地下鉄)に乗って4つ目のシュ−マン駅を目指す。5回券(6.3ユ−ロ=890円)のチケットを買って乗り場を確認し、やって来た列車に乗って移動する。
 

シュ−マン駅で下車して地上に出ると、辺りにはEU関係のビルが立ち並び閑静な雰囲気がただよっている。ビルの谷間から遠くを眺めると、その向こうに朝もやの中にたたずむ凱旋門が見える。なかなか素敵な風景である。






 朝もやの中に凱旋門の
 シルエットが・・・









そのまま真っ直ぐ進んで凱旋門を目指す。歩くにつれて凱旋門がだんだんとクロ−ズアップされてくる。朝の逆光の中に浮かぶ凱旋門の美しいシルエットが絵のような風景を見せている。
 





 朝の逆光に浮かぶ凱旋門










この凱旋門一帯はきれいな公園地帯になっており、よく手入れされたグリ−ンの芝生と森に囲まれている。ここがサンカントネ−ル公園で、1880年に開催された博覧会の会場として造られたという。その中心に立つ3つのア−チを備えた凱旋門は、1905年にレオポルド2世の命によって建てられたもので、その両翼にはシンメトリ−な神殿風の建物が配置されている。この建物の中にはサンカントネ−ル博物館や軍事歴史博物館、クラシックカ−400台が展示されているオ−トワ−ルドなどがある。
 

凱旋門の中央には国旗が下げられてはためいているのだが、これはパリの凱旋門と同様の風景である。門の上には馬車に乗る複数の人物像があり、それを逆光で見ると素敵なシルエットを演出してくれる。この上は屋上になっていて、そこから美しい公園や市街地一帯を眺望することができる。
 





 中央アーチに国旗が
 ひるがえる凱旋門









門をくぐって何気なく左側の建物の中に入ると、そこは軍事博物館になっており、自由に見学することができる。そこには中世の甲冑類から第二次大戦までの軍服、武器などが1階と2階に展示されている。1階には戦争絵画や何台ものキャノン(大砲)が整然と並び壮観である。2階には中世時代の鎧兜類が展示されている。このフロア−からさらに階段を上って上の階に行くと、そこから屋上に昇るエレベ−タ−がある。それに乗って屋上に出る。
 





 居並ぶ大砲の列















 中世時代の甲冑類










ここからの眺望は素晴らしく、眼下に広がる緑のサンカントネ−ル公園が一望に見渡せる。この辺りは郊外になるのだが、その向こうには入り組んだブリュッセル市街が広がっているのが見える。ひとしきり見物し終わると階下に下り、案内係に最寄りの駅を尋ねて凱旋門を後にする。






 凱旋門屋上より眺めた
 サンカントネール公園
 (市街地方向を望む)













 凱旋門屋上より眺めた
 サンカントネール公園
 (市郊外方面を望む)










 凱旋門屋上よりブリュッセル市街を望む。


ルイ−ズ広場
この周辺には高級ブランドのブティックが集中するショッピング街があるという。目の保養に出かけてみることにする。案内係の話では、シュ−マン駅よりもメロ−ド駅の方が近いというので、来た道とは反対の方向へ歩いて行く。凱旋門前の広場を抜けて一直線に走る緑豊かな広い道路を進んで行くと、間もなく左手にメロ−ド駅が見える。ここからメトロでルイ−ズ駅を目指す。途中で乗り換えて6つ目の駅である。
 

地下鉄ルイ−ズ駅で降りて地上に出ると、広い通りの交差点である。そこのバス停で待っている女性にショッピング街はどの通りかと尋ねると、高級ブランドならこちらの通り、より庶民的なものだったらこちらの通りだと教えてくれる。そこで高級ブランド店のある通りへ行ってみることにする。
 





 高級ブランド店が並ぶ
 ルイーズ通り









横断歩道を渡ってルイ−ズ通りの歩道に出ると、世界に名だたる有名ブランド店がシックに軒を連ねている。角からルイ・ヴィトン、ディオ−ル、フェラガモ、シャネル、ベルサ−チ、ロゼッティ、グッチとゴ−ジャスに並んでいる。名前だけは豪華絢爛たるものだが、この時間には誰一人として買い物客は見当たらず、付近の歩道はひっそりとしている。
 





 高級ブランド店の様子
 (左側の列)









折角、来たついでに、フェラガモの店に入って冷やかすことにする。「ボンジュ−ル!」と挨拶しながらこぢんまりした店内に入ると、買う気のない客と見えたのか、店員は応対する素振りさえ見せず無視した格好である。確かにブランド品には興味がないのだが、それが見破られたのか、「あなたの来るところではない。」といったム−ドである。どんな高級靴を見ても猫に小判の類だから、早々に逃げ出すことにする。
 

シャネルの店の前で、おしゃれに着こなした店のお兄さんが出ているので、「ルイ−ズ広場はどこですか?」と尋ねると、「そこですよ。」と笑いながら指差している。なんとそこはただの交差点なのである。広場とは名ばかりで、その実体は存在しないのだ。昔と今では変わってしまったのだろう。買う気のないショッピング街見物はこれで十分とばかりに、セントラル駅へ戻ることにする。 


グラン・プラス探索
再び地下鉄に乗って中央駅へ戻り、ひとまず宿泊ホテルに入って一息つく。小休止した後、まずは近くの行き付けのイタリアンレストランに入ってビ−ルとスパゲッティで腹ごしらえをする。元気が出たところで、グラン・プラス界隈の観光めぐりへと繰り出す。


セルクラ−スの像
広場を横切って市庁舎の左横の通りに入ると、その道路向かいの「星」の家の壁面に「セルクラ−スの像」が取り付けられている。こちらを向いて静かに横たわるその像は、1388年に暗殺されたセルクラ−スという町の英雄なのだ。ブリュッセルを訪れた人々がこの像に触れると幸福をもたらすとの言い伝えがある。
 





 幸せをもたらす
  「セルクラ−スの像」










それを知ってか、通行人は決まってその像の前に立ち止まり、身体のあちこちを撫でさすっている。そのため、金属製の像はテカテカに光り輝き、錆びることを知らない。私も幸せを授かろうと、迷惑顔をしている彼の全身を丹念に撫で回す。


小便小僧
幸せをもらったセルクラ−スの像を過ぎて200mほど奥へ進むと、この街のシンボルでもあり、また世界的にも有名な「小便小僧」が立っている。この像は1619年、デュケノワによって造られたというから、相当の年代物である。彼は別名“ジュリアン君”と呼ばれて親しまれており、その造られた由来については諸説紛々で定説はないという。
 

広場から入って3つ目の辻のコ−ナ−に愛らしい裸の小便小僧が立っている。その名のとおり、おしっこを飛ばしているのだが、最初に見た感想としては、あっけないほど小さいということである。身の丈1mにも満たないその像は、いかにもちんまりとして可愛く感じられる。これがでかいと様にならならいのだろうが、もう少し大きくても良かったのではないかと思われる。そんな感想を抱きながら小僧を後にする。
 





 正面より見た小便小僧

















 横から見た小便小僧










この小便小僧にぴったり寄り添うように隣接して土産品店がある。ここでは裸の小僧に着せるさまざまな色とりどりの衣装を取り揃えて売っている。こんなに豊富に衣装を揃えて売っているのはこの店だけで、まさに地の利を生かした小判鮫商法である。小便小僧にぴったりくっついてそのおこぼれを頂戴しようという商法なのである。小僧の像を目の前にしないと、着せ替えの衣装だけではイメ−ジがわかない。その点では、この至近距離の場所でしかできない独占的商法であろう。
 

広場への帰り道、私も記念にちっちゃな小便小僧の人形を買おうと、立ち並ぶ土産品店の一つに立ち寄る。が、どれを見ても、小僧の出来栄えがあまりよくない。もう少し可愛く作れないものかと不満を抱きながらも、やむなく1個(2.5ユ−ロ=350円)買うことにする。



(次ページへつづく)










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