N0.5




馬車で遊覧
1頭立て4人掛けの馬車に乗って、いよいよ遊覧開始である。カッポカッポとひづめの音を響かせながら夕暮れのナツメヤシの並木道を走る。両側に鬱蒼と茂るナツメヤシの樹林の中を縫うようにして走り抜ける。スベイトラ遺跡から3時間の走行をやっとのことで終えた身には、この馬車から眺める珍しい風景と流れる風が何とも心地よい。


右側には用水路が流れる


ナツメヤシの樹林の中を走る


おや?象のお出ましだ!(これはレプリカの象)


怪獣もいるぞ!

ナツメヤシのこと
国を問わず、どこのオアシスでも必ずといっていいほどこのナツメヤシの木が植えてある。よほど砂漠地帯には相性のよい樹木なのだろう。それは根が深く張り、乾燥や熱暑に耐性があるそうで、砂漠化防止に有効とされるからである。メソポタミア付近が原産とされ、紀元前3000年ごろには栽培が始まっていたという。現在は中東からアフリカの乾燥熱帯・亜熱帯に多く、果実はアラブ地域の砂漠の遊牧民の貴重な携行食品でもある。


樹高は30mに達し、樹齢は80年に及ぶという。雌雄異株で開花の時季には雄株の花粉を採取して、それを雌株の樹に登ってその花粉に受粉させるという。こうすれば果実が多く採れるという。この受粉作業は1本1本の樹に登って行うので大変らしく、それは男性の仕事となっている。


このナツメヤシの実、葉、幹、すべてが有用なので、何一つ捨てる部分がなく、古来より富の象徴とされている。直径50cmにもなる幹部分は建材、橋材など各種用材として、葉は屋根葺きや繊維として、また果実はジャムやゼリーとして利用される。果実を乾燥させると小粒の干し柿に似た甘味があり、これは土産品としてよく売ってある。


ナツメヤシの実は写真のように房状になる

樹登りのデモ
馬車は樹林の中で停車し、そこで下車して灌漑施設や樹林の様子を眺めたりしながら奥へ歩いて行く。


ナツメヤシの樹林の中を奥へ歩いて行く


灌漑用の水路施設


バナナもなっていますよ

その一角で、これから樹登りのデモンストレーションを行ってみせるという。高さ20mは優にあると思われる1本の樹の前に男性が現れ、素足になると、いとも身軽にするするとよじ登って行く。その早業は見事である。てっぺんに登り上がると、樹の葉を揺さぶってみせる。しかし、この樹登りはココナツの樹登りよりた易いのではないかと思われる。それは幹の表面がつるつるのココナツより、足がかりになる葉の根が付いているからである。








 この男性が樹登りデモを見せてくれ
 ます























 スルスルと登り始めました






















 半分ほど登りました
























 トップに登りあがりました















木登りデモを見終わると、馬車に戻って残りのコースを周遊する。こうして1時間の馬車遊覧は終わりとなり、ホテルへ移動する。珍しいナツメヤシの樹林を縫いながらの馬車遊覧は、ちょっとしたジャングル探検気分にもなれて興趣に富むものである。ナツメヤシの樹林の中に入れる機会は滅多とないだけに、なかなか珍しい体験といえよう。


道路脇の用水路にはきれいな水が流れる


ホテルで夕食
ホテルは昨夜のケロアンの宿よりランク上のようだが、ここでもぬるま湯しか出てこない。これではバスタブにお湯を張れないので、シャワーで我慢するしかない。夕食の時間となって食堂に行くと、欧米人観光客であふれていて満席の状態。バイキング料理なのだが、彼らに先を越されて料理もかっさらわれ、これという料理は空っぽになっている。係に言っても補充が追いつかない状況だ。


今夜の宿泊ホテル


素敵な中庭

ガーデンの方で生のソーセージをジージーと煙を立てながら焼いているので、まずはこれをもらい、他はスパゲッティのスープ、サラダなどをいただく。デザートにはケーキとアイスクリームを盛る。飲み物は缶ビールを注文(3.5ディナール=350円)。


おいしそうなソーセージを焼いている

夕食後は、すぐ近くにあるメインストリートへ出て散策してみる。近くの市庁舎やモスクのミナレットはライトアップされて夜景を演出している。道路沿いにはショップが並び、長いバゲットパンや鳥の丸焼き、それにナツメヤシ、カーペット、衣類など、様々な品が見られる。一通りめぐってUターンする。夜は方向感覚が悪くなるので、もと来た道を慎重にたどりながらホテルに戻る。


ライトアップされた市庁舎









 ミナレットには電光飾が・・・
















おいしそうなバゲットパン


絨毯と衣類の店


これがナツメヤシの干物。干し柿の味で甘くておいしい。


鶏の丸焼き

明日は早起きでサハラ砂漠のサンライズ見物だ。今度の旅の楽しみの一つにしていただけに見逃すわけには行かない。それも天候に左右されるので気がもめる。しかし、明日の天候にかぎっては、まず心配なさそうだ。夜9時、期待に胸を膨らませながら床に就く。



(次ページは「サハラ砂漠のサンライズ・サンセット鑑賞&オアシス探訪」編です。)










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