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     N0.6





旅のコース




7.ジャメル砂丘

チュニジア3日目。今朝は待望のサハラ砂漠で日の出の観賞だ。早朝の出発なので5時に起床、身支度を整える。外はまだ暗くて空の様子は分からないが、このところの快晴続きからすると、まず雨の心配はなさそうだ。


今日の予定は、これから砂漠でサンライズの観賞後、ホテルに戻り朝食。その後、3ヶ所のオアシスを探訪したあと、大塩湖ジェリドを横断し、ドゥーズへ向かう。そこでラクダに乗って今度は砂漠の夕日を観賞する。こうして朝夕の砂漠の風景を眺め、それもラクダに乗ってのことだから、この旅一番の期待のこもる日である。


ジャメル砂丘へ
まだ明けきらない早朝6時半、四輪駆動のランドクルザーに分乗してホテルを出発。街中を抜けて郊外に広がる砂漠地帯に向かう。見上げる空は上々で雲もなく、待望のサンライズが確実に拝めそうだ。期待に胸を膨らませながら車に揺られること30分、郊外の砂漠地帯に到着。トズールの町はサハラ砂漠の至近距離に位置するオアシスなのだ。


下車した地点は砂地の地面がどこまでも広がる真っただ中である。波打つような砂の山が見えるわけでもなく、ただ車輪もめり込まない固い砂地の地面が広がるだけである。わずかに太陽が昇る方向に低い稜線が見えるだけで、自分なりに描いていた砂丘はどこにも見当たらない。ここがジャメル砂丘というのだろうか? 想定外の様子に完全に当てが外れた感じである。タクラマカンで見たような大砂丘を想像していたのだが・・・。


砂砂漠は少ない
アフリカ大陸の1/3を占める世界最大のサハラ砂漠だが、その70%は礫砂漠で、残りの30%が砂砂漠と山岳・岩石砂漠だという。最大の砂丘はアルジェリアのテネズルフト、ニジェールのテネレ、エジプトとリビアの国境のリビア砂漠にあり、全サハラ砂漠の10分の1にすぎないという。残りの地域は、石ころだらけの土漠なのだ。だから完全な砂砂漠はほんのわずかな部分しかないということだ。このジャメル砂丘は一応砂砂漠の範疇に入るのだろうが、足がめり込むような砂地ではないので、あまり期待しないほうがよい。


砂漠の朝はかなり冷え込んでいる。シベリアみたいな寒さだと現地ガイドさんが予告するので、それに備えて今朝は肌着の長袖シャツを1枚増やしてジャンバーを着込んで出かけたが、それほど大げさな寒さではない。風もなく穏やかな夜明けの砂漠の中に立っていると、不思議な感動が込み上げてくる。サハラの大地にいま立っているのだ!




 夜明け前のジャメル砂丘の風景





まだ明けきれない薄暗い時なのに、早くも物売りがやってくる。砂漠に住んでいる遊牧民のベルベル人の人たちだ。“砂漠のバラ”や手作りの品を持って買ってくれと迫ってくる。彼らも観光客が来るのをちゃんと知っているのだ。今朝は我々一行だけで、他に観光客の姿は見えない。商売になるのだろうか?


ベルベル人の物売りがやってきた


サンライズ
いま、ようやく東の空が曙光に輝き始め、サハラの夜明けを迎えようとしている。この感動的な風景を逃さないようにまずカメラに収める。晴れ上がった空にわずかにたなびく雲が美しいオレンジ色のグラデーションを見せている。サンライズの場所はここだよと言わんばかりに、その上に傘のように広がる雲が赤く染まり始めている。息を殺してじっと見つめる。この瞬間を見るために、はるばるとこの地までやって来たのだ。


上空の雲が赤く染まり始める


日の出の瞬間

上空の雲が一段と赤く染まったかと思うと、やがて地平線の一点が赤く破れて朝日が恥ずかしそうに顔をのぞかせる。次の瞬間、コロナのような傘を広げながら思い切ったようにぐんぐんと姿を現す。シャイな太陽なのか、コロナに包まれながら地平線を離れて昇って行く。何万年と繰り返されてきたこの日の出のドラマは、どれほど多くの人々を感動させ、崇高な気持ちにさせたことだろう。しかし、このドラマも地平線を離れると同時に終わりを告げることになる。


太陽の上にコロナみたいな傘が広がる


太陽が姿を現した瞬間



 ジャメル砂丘のサンライズ風景








 背後の方には遊牧民のキャンプが見える




記念の砂
感動的なサンライズ観賞が終わると、さらさらの砂を見つけてそれをキャップにすくい、サハラの記念に持ち帰る。“砂すくい作業”が終わると車に乗って帰途に着く。途中、白塩が浮き出た砂漠地帯で停車し、しばし見物する。この地域一帯は地下から塩が浮き出ていて地表が霜が降りたように白くなっている。砂漠に塩が?と、その不思議な自然の現象に目をこらす。サハラはいろんな顔を見せてくれるものだ。



 地表に白い塩が吹き出ている。ここも塩湖の一つ。




塩湖の不思議
アルジェリアやチュニジアにはこうした塩湖が多く見られるらしいが、これは海水とは関係なく、砂の下が岩盤のため雨水が1箇所に溜まり、そこへ砂の成分が流れ込み、これが乾燥して蒸発し、その土中の塩分が噴き出したものという。それが塩の結晶となったもので、これができるまでには4〜5千年かかるという。アトラス山脈の降雨量が比較的多いため、サハラ北部には塩湖が多いという。ついでに述べると、“砂漠のバラ”の結晶は、この塩分がないとできないらしい。


ここを見終わると、ホテルへ向けてもと来た道をまっしぐら。来る時は暗い道だったので道中の風景はよく分からなかったが、太陽が昇ったいまは、朝日を受けた砂漠の様子がよく分かる。車窓からは起伏のない平面の砂漠がどこまでも広がっている風景が見えるのみである。こうして大砂丘は見られないままホテルへ帰還する。


砂漠の中を4WDで突っ走る


ここにも塩湖が・・・


8.オアシス探訪

朝食を済ませ、荷造りすると出発である。これから山岳地域にある小さなオアシスの村を探訪する。再び4輪駆動車に分乗して走り出す。砂漠の中の悪路を走るので、小回りのきく4輪駆動が適しているのだ。車はトズールの町を外れて砂漠地帯に出ると、塩湖に出会ったりしながら突っ走って行く。石ころだらけの広大な土漠が広がっている中に、野生のラクダの群れが見える。ラクダはオス1頭にメス50〜100頭でハーレムを構成するらしい。この付近でフォトストップとなる。


ホテルにはしゃれたプールが・・・


親子連れの野生のラクダ


土漠の中を多くの野生ラクダがさまよっている



 広大な土漠の風景。前方の山並みはアトラス山脈か?




ミデス
ここからさらに走ったところで、最初のオアシス・ミデスに到着。ここは深い峡谷に囲まれたオアシスで、切り立つ断崖の上にナツメヤシの樹林と民家が見られる。こんなところが典型的な山岳・岩石砂漠というわけで、サハラ砂漠の一部なのだ。ここの住民は少ないようで、路傍に砂漠のバラを無造作に並べて売っている。



断崖の上に民家とナツメヤシの樹林が・・・


深い峡谷が見える


無造作に置かれた砂漠のバラの土産品



 廃墟になっている住居跡







(次ページへつづく・・・)










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