8.ポルトガル・・・・シントラ・ロカ岬
昨夜はよく寝て、今朝は7時に起床。今日は遠出をしてロカ岬とシントラの町を探訪する予定である。ぐずぐずしてはいられない。朝食を手早くすませると、早速出発である。見上げる空は、今日も快晴。今度の旅を始めて以来、ずっと快晴続きで、旅行者にはなんともラッキ−なことである。おかげで、どこに行っても素敵な風景が見られ、旅の醍醐味が満喫できてうれしいかぎりだ。
今日のコ−スは鉄道でシントラまで行き、そこからバスに乗ってロカ岬を訪れ、それからUタ−ンしてシントラに戻る。そこからペナ宮殿などを観光して帰るというコ−スである。だからまずは、ロシオ駅へ出なくては事が始まらない。
ロシオ駅
ホテルを出ると、フィゲイラ広場とロシオ広場を通り抜け、その裏手にあるロシオ駅へ向かう。この駅は少し変わっていて、傾斜地に造られており、そこまで坂道を上りあがらないといけない。普通、主要駅であれば平地の要所に設置され、駅前広場などが見られるのだが、斜面地帯の狭い場所に設けられているので、この駅にはそれが見られない。
ロシオ広場の裏手へ出て、近道になっている狭い階段を上り、ジグザグの広い坂道を上ると、その正面に駅の玄関口が見える。中に入ると広々としたコンコ−スがあり、一角にキオスクがあるぐらいで、スカッとした感じである。この駅舎ビルは4階建てで、その4階が駅のコンコ−スになっている。コンコ−スから下の階には各種の店舗が入っていてショッピングセンタ−みたいになっている。傾斜地を利用して造られているので、こんな変形な駅になったのだろう。
まずはシントラ行きの切符を買わなくてはと窓口へ行くと、人の姿もなくひっそりとしている。そこで、「Um
bilhete de segunda classe para Sintra,por
favor.(シントラ行き2等切符を1枚ください。)」と覚えたてのポルトガル語を使って無事ゲットする。だが、こんな長々と言葉を並べなくても、ただ
「Sintra,por favor.」でOKだ。というのは、シントラ行き列車には2等車はないからである。
広々としたきれいなホ−ムへ出ると、8時38分発のシントラ行き列車が待っている。時刻表を見ると、シントラ行きの列車は15分間隔で頻繁に発車している。この様子からみると、この沿線の町は、きっとリスボン市のベッドタウンになっているのだろう。
ロシオ駅ホーム
この時間帯は乗客も少なく、車内はがらんとしてゆったりと腰掛けられる。静かに滑り出した列車は、車内もきれいで、乗り心地も快適。途中、幾つかの駅に停車するのだが、大きな駅もあれば小さな駅もある。駅に止まるごとに乗客も減り始め、とうとう最後にはたった私1人の貸し切り車両になってしまう。なんだか、気の毒な気がしてくる。そうこうするうちに、列車は45分で白亜のシントラ駅ホ−ムに滑り込む。ここが終点だ。
車内風景
シントラ駅
この駅は清楚で感じもよく、美しい駅だが、田舎にあるためか人込みもなく、ひっそりとしている。さすがに空気も新鮮で、ほっとするような雰囲気がただよっている。駅舎は白壁にレンガ色の屋根が乗ったこぢんまりとした建物だが、駅舎とは思えない素敵な趣のある造りで、この場所の雰囲気によくマッチしている。
美しいシントラ駅ホーム
趣のあるシントラの駅舎
シントラの町
この町は緑豊かな中に広がる閑静な小さい町で、駅の南側には高さ数百メ−トルの山並みが続き、その山間部に王宮やペナ宮殿、それに山上にはム−アの城跡などが点在している。その緑深い山裾には中世の香りがただよう建物も残り、王宮を中心とした文化的景観は95年に世界遺産にも登録されている。
今は国内有数の観光地となっているそうだが、大航海時代の昔から栄華を誇った王家の離宮をこの地に造るなど、古い歴史を残す町でもある。リスボンまで電車で45分という地の利は、そのベッドタウンとしては最良の地かもしれない。私がリスボンに勤め先があるのなら、きっとこの町に居を構えるだろう。
ユ−ラシア大陸の最西端・ロカ岬
このちっちゃな駅舎内に観光案内所があり、そこでロカ岬のことやペナ宮殿のことなどを尋ねる。観光パンフレットを示しなら英語で案内してくれたが、それによるとロカ岬行きのバスは約1時間半に1本の間隔で運行されており、今からだと10時25分発のバスがあること、そして、シントラ観光用にバスがほぼ20分〜30分間隔で循環バスが出ていること、などを教えてくれる。切符は、いずれも道路向かいの切符売り場で買えばよいとのこと。
駅前の静かな道路に出ると、中華飯店やスナック店、カフェなどが並んでおり、その並びにバスチケット売り場がある。窓口でロカ岬+シントラ周遊券(7ユ−ロ=約830円)を購入。出発まで間があるので、付近をうろついてみる。駅前通りながら、これといっためぼしい店もなく、ほんとにひっそりとして真面目な感じの町である。
ようやくバスがやって来て乗車すると、西に向かって走り出す。乗客はほんのまばらで、その中に珍しく新婚らしい日本人カップルが乗っている。バスはのどかな田舎道を走り抜け、ゆるやかなスロ−プを海岸線に向かって下りて行くと、その向こうに赤い灯台が見えてくる。あれがロカ岬の灯台なのだ。バスはシントラ駅から約40分かかって灯台前の観光案内所前のバス停にストップ。ここで降りたのは、日本人カップルと私だけである。
辺りを見回すと、なだらかな野っ原が広がるだけの殺風景だが、その切り立った断崖の先には紺碧の大西洋が、ここしか見るものはないぞ言わんばかりに視界いっぱいに広がっている。この場所には、灯台の施設建物と観光案内所の建物、それに小さな土産品店があるだけで、他には何一つない。自然環境保護の立場から、配慮されているのかもしれない。この時点での観光客はまばらで、バスでやってきた私たちとマイカ−でやってきた人たちがいるだけである。 |
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