(シリア編)
7.ボスラ・円形劇場観光
検問所
ジェラシュ遺跡を後にしたバスは、一路真北の国境を目指して走行する。ジェラシュから60kmほど走ると国境の町に到着する。このはずれに国境検問所があり、ここで出国手続きを行う。団体なので現地ガイド氏がパスポートをまとめて窓口へ行き、手続きをしてくれる。一行はバスの中で待機しているだけ。ここで出国税8ドルを徴収される。入国税は不要だが、出国税が必要なのだ。検問所区域は撮影禁止になっているので、その様子が写真で伝えられない。
ヨルダン国境の町アル・ラムタ
ヨルダン国境検問所手前に立つ国王の写真看板
トイレの謎
ここはまだヨルダン側の検問所だが、受付窓口をのぞいて見ると、そんなに混雑はしていない。バスを降りたついでに用を足しておこうと、ゲートの検問小屋にいる係官に場所を尋ねると、「向こうの建物だ。」と、少し離れた建物を教えてくれる。そこへ行ってみると、男性トイレの様子がなかなか変わっているのである。初めて見る方式で、写真のように腰かけ風の円柱が並んでいる。トイレをするのに、これが邪魔になってしようがない。これはいったい何だろう?
男子トイレに並ぶ円柱の腰掛は何?
仲間の話では多分、大便の場合にそこに後ろ向きに腰かけて用を足すのだろうという。なるほど、そう言われてみれば納得がいく。でも、あの高さから落下するのではなかなかうまく行かないのではと気になってしまう。確かに、前面の壁には各所に水道の蛇口が並んでいる。これで流すのだろうが、用便中の様子はお互い丸見えである。これではプライバシーも何もない。所変われば品変わるである。
出 国 税
半時間以上待って、やっと手続きが終わったらしく、ガイド氏が戻ってパスポートを返してくれる。それと一緒に出国税のチケットを渡される。これは次の検問で必要とのこと。バスは出発し、少し走った所に検問の係官が立っている。その前でストップすると係官が車内に乗り込み、1人ひとり出国税の半切れをちぎって確認する。全員分の確認が終わったところで係官は下車し、ゴーサインを出す。これでやっとヨルダン国を出国することになる。
これが出国税のチケット(左側の半切れ)
これからいわゆる国境の緩衝地帯を走って行く。農地が広がる風景を見ながら10分ほど走ってシリア国境の検問所に到着。そこでも同様の手続きが行われる。ガイド氏がみんなのパスポートを預かり、代表で入国手続きを行う。ここでもかなりの時間を要し、やっと入国スタンプの押されたパスポートが返される。こうしてヨルダン出国とシリア入国の手続きを完了し、いよいよシリア入りとなる。ここでヨルダンのガイド氏とはお別れし、代わってシリアのガイド氏が乗車する。バスとドライバーはそのまま代わらずである。
シリア入国
検問所を通過すると、そこはシリア国境の町、ダラーである。
シリア国境の町ダラーに入る
賑わう通り
くるまも多い
ボスラへ
ここを抜けて東へ進路をとると、その地域は見渡すかぎり広大な農地が広がっている。
ボスラへ向かう途中の広大な農地
同 上
ボスラのこと
この中を通り抜けて40kmほど走るとボスラの町に到着する。この町はナバテア人が築いた隊商都市で、紀元前後から栄え、その後ローマの属州となってからは首都として発展する。ペトラが南の首都であったの対し、このボスラは北の首都だったという。
イスラム時代になって遺跡の上に都市が造られ、それが現在でも住民の居住区域となっているため、遺跡として観光できるのは円形劇場と旧市街の一部のみとなっている。ここの円形劇場はローマ帝政時代のもので、当時の劇場としては唯一完全な姿で残っている。中世時代には十字軍の侵攻に備えた要塞としても使われたという。ここボスラの町は1980年に世界遺産に登録されている。
玄武岩でできた円形劇場
ボスラのはずれに来ると、黒っぽい石積みの高い外壁が見えてくる。これが目的の円形劇場なのだ。この前は広場になっており、その一角にあるレストラン前でストップ。ここが本日の昼食場所である。今日の昼食は、珍しく個別料理だという。いつものバイキング料理ではないらしい。どんな料理が出るのか楽しみだ。
円形劇場の外観
おいしい昼食
席について待っていると、大き目の皿にライスとシチュー風のものが添えられた料理が出される。ちょっと見にはカレーライスのようなものである。ラム肉とジャガイモ、野菜類が煮込まれてなかなかいい味が出ている。味わいはカレーとハヤシライスの中間の味と言えばいいだろうか?
カレー風の料理
ライスは例によってパサパサだが、これをかけて食べると意外とおいしくいただける。なんだか久々に日本食を食べたような気分になる。これに味をしめて、以後のバイキング料理ではライスを見つけると、これに汁をぶっかけて食べるスタイルを多用することになる。
円形劇場見学
食事が終わると目の前の円形劇場の見学である。暗い回廊を通って観覧席最上段の入口へ案内される。ここでもペトラの時と同様に、ガイド氏が目を閉じるようにと指示し、それに従ってそろりそろりと入って行く。「目を開けて!」で一斉に目を開けると、目の前には見事な半円形の観覧席が急傾斜をなして並んでいる。その谷底のように見える下部にはステージが設けられている。なるほど、これは完全な姿が保存されているといっても過言ではない。これで5000人も収容できる大劇場である。観覧席に座って、しばしローマ時代の面影が残るその景観をじっくりと眺め楽しむ。
暗い回廊を通って行く
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