8.オールド・スーク観光
ドバイの旅5日目。今朝も6時に起床。今夜は帰国するので、今日が最後の滞在日となる。本日5日目は、実はオマケの1日なのである。と言うのは、本来ならば旅行期間は5日間で昨日が帰国日なのだが、たまたま帰国便が航空会社の都合で欠航予定になっていたのだ。そこで旅行社が1日追加泊をプレゼントしてくれたのである。そんなことで、本日5日目はありがたい貴重な1日なのである。
案内地図を見ると、クリークの対岸にオールド・スークがある。そしてその近くにバスタキヤ歴史地区というオールドタウンがある。今日はそこを訪れてみよう。
オールド・スーク
ゆっくりと朝食を済ませ、10時ごろにホテルを出発。このスークは宿泊ホテル前のクリークの対岸にあるので、連絡船のアブラ船で対岸へ渡ることになる。ホテル玄関前から200mほど離れたアブラ船の発着桟橋に向かう。
国旗が翻る波止場には行き先別に幾つもの桟橋が分かれている。そこで「オールドスーク?」と尋ねて乗船桟橋を教えてもらう。停泊しているアブラ船には、すでに乗客が乗って、間もなく出航の感じ。船頭に運賃1ディルハム(20円)を渡し、船べりに腰掛けて待つ。やがてエンジンを吹かしてのんびりと出航である。
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連絡船アブラの発着桟橋
アブラの乗船風景
クリークは結構多くの船が行き交っている。それを縫うように対岸に向けて航行する。約5分で対岸の波止場に到着。上陸すると可愛い猫のお出迎えである。猫と挨拶を交わして通り抜けると、木造アーケードのショッピングストリートに出る。これがオールドスークである。両側に店舗が行儀よく並んでいる。この時間の人通りは少ない。
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クリークの風景
同 上
猫のお出迎え
オールド・スークのアーケード街
このオールドスークはドバイで最も古くから栄えていたスークだそうだ。ストリートの端まで通り抜けて探索してみると、特に珍しい商品は見当たらない。商店のほとんどが民族衣装のテキスタイル布地を売る店ばかりで替わり映えがしない。このオールドスークはテキスタイル専門店街なのだ。ちょっと失望して細い路地などに入り込んでぶらついてみる。
民族衣装を売っている
路地に入り込む
オールドスーク側から眺めたクリーク
バスタキヤ歴史地区に行けず
オールドスークの近隣にバスタキヤ歴史地区がある。そこを訪ねてみようと通行人に尋ねてみる。「オールドタウンはどこですか?」と尋ねると、みんな申し合わせたようにオールドスークを指さして教えるばかり。目的のバスタキヤ歴史地区が分からない。実は迂闊にも案内地図を忘れたために“バスタキヤ”の名前が出てこない。これではお手上げである。
このバスタキヤ歴史地区はアラブの伝統的な建築や装飾の建物が並び、エキゾチックな雰囲気を漂わせているそうで、人気の観光スポットになっている。仕方なく記憶の片隅にあった地図を思い出し、バスタキヤの方向にぶらぶら歩いてみる。しかし、モスクの塀にぶっつかってしまう。
先へ進むにはこのモスクを迂回しなければならない。果たしてその先がバスタキヤ地区なのかどうか分からない。ここで無駄足を踏んだらと思いとどまり、引き返すことに。こうして地図を忘れたばかりにバスタキヤ探訪は断念せざるを得なくなる。
ホテルへ
もと来た道を引き返してオールドスークに戻る。そこからクリークの海岸に出てアブラ船の桟橋へ。再び船に乗って対岸の船着き場へ航行する。上陸すると5分ほど歩いてホテルに到着。昼12時ごろの早い帰還である。
高級連絡船
昼食はカップラーメン
まずは昼食を取らないと落ち着かない。帰路の船上で考えたのがカップラーメンだが、スーパーへ買い出しに出かけなくてはいけない。ホテル界隈には飲食店は見当たらない。そこでスーパーが活躍する。
宿泊ホテルの近隣には2軒のスーパーがある。その1軒は昨日訪れて買い物したばかり。そこで今日は他の1軒のスーパーに出かけてみたい。ホテル横の路地を裏通りに抜けて昨日のスーパーとは逆の右方向へ進む。つまり一昨日出かけたメトロ駅のバニヤス駅の方向である。話ではその近くにスーパーがあるとのこと。
そこで通行人に尋ねてみると、駅の右手にあるビルの中にスーパーがあるとのこと。そこを訪ねてみると、階上にかなり規模の大きいスーパーがある。品ぞろえも他のスーパーより揃っている。そこで調達したのは・・・
・カップラーメン2個・・・@3.75ディルハム(約80円×2個)
・ドーナツ・・・1袋・・・2.50ディルハム(50円)
・ミルク・・・2.75ディルハム(60円)
合計 12.75ディルハム(約270円)
これで夕食の分もOKである。カップラーメンは中国製のものである。ホテルに戻ってお湯を沸かし、ほどよく溶かしていただく。まあまあの味で空腹を満たすのには問題ない。食後はしばし部屋で休息とする。
一息入れると、階下のビジネスセンターへ出かけ、パソコンを開く。ビジネスセンターと名前はついているが、パソコン2台が置いてあるだけである。家族にメールを送りたいのだが、このPCはなかなか思うように言うことを聞いてくれず、あきらめざるを得ない。
この部屋には常駐の女性スタッフが1人座っている。暇つぶしに彼女と雑談を交わす。彼女はフィリピン女性で同国人と結婚し、この地に住んで働いているという。ドバイはスリランカ、インド、パキスタンなどの出身者も多いが、フィリピン人も至るところで働いているのを見かける。
夜のクリーク
クリークにはダウ船という大きな木造船が行き交っている。そのダウ船を利用したディナークルーズが催行されている。ディナーをいただきながら夜のクリークを遊覧するという趣向。料金は結構高く65USドル(送迎込み)である。
ダウ船によるディナークルーズ
ディナークルーズは他国で何度か体験済みだが、その経験によればあまり勧められたものではない。一見したところ優雅な感じはするが、なにせ食事してる間は折角の外の景色は見られないし、夜景が気になって落ち着かないのだ。やはり景色と食事の二股は私の好みに合っていない。
そんなわけで、ドバイ最後の夜はディナークルーズと行きたいところだが、クリークが宿泊ホテルの目の前にあるだけに、陸からの夜景を眺めれば十分だろうと判断。陸からの夜景を見物することにしよう。
昼食はカップラーメンで済ませた後、午後はゆっくりと部屋で休息。そして夕食には再びカップラーメン(違う種類)を開き、これとドーナツ&ミルクでお腹を満たす。
夕暮れ5時35分が日没時間なので、それまで食事などをしながら待機。6時過ぎになると辺りは暗くなって夜の訪れとなる。そこでやおら腰を上げ、クリークの夜景を眺めに出かける。
陸橋を渡って岸壁へ向かう。人ひとりとして通らぬ夜の道を進む。障害物がなくて撮影に適した場所を探索していると結局、昼間のアブラ船の桟橋まで来てしまう。クリークにはライトアップした遊覧船やダウ船が静かに浮かんでいる。思ったよりも灯りが少なく、100万ドルの夜景とまでは行かない。これでは遊覧船もぱっとしないだろう。そんな感想を抱きながら、波止場に立って静かなクリークの夜景を撮影する。あとは独りとぼとぼと暗い道を帰路につく。
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クリークの夜景
桟橋前の露店にはココナッツが・・・
ドバイの路線バス
ホテルに戻って休息すると、あとは空港へ出発するのみである。飛行便は夜11時。9時には空港に到着しないといけない。車で15分の距離だから、慌てる必要はない。ゆっくりとドバイ最後の夜を見おさめておこう。
9.帰 国
8時過ぎになって帰国の身支度を済ませ、1階へ下りてフロントでチェックアウト。すると滞在中に飲用したミネラル水3本の代金を請求される。そこで押し問答が始まる。初日の到着の際、現地旅行代理店から「滞在中、1日1本の水のサービスがあります」との案内を受けていたのだ。金額は小額だが、不必要なお金を支払う必要はない。
そこでその旨を告げると、フロントの係はそのことを知らずに戸惑っている。「旅行社に問い合わせください」と告げると、奥の部屋へ入って上司と話している様子。しばらくして戻って来た係が言うには、「分かりました。無料サービスにさせてもらいます。」とのこと。これで水の問題は一件落着となる。
その時、奥の部屋から若い男性スタッフが現れる。そして私に向かって日本語で話しかけてくる。「トラブルがあって、どうもすみません。」とあやまっている。それをきっかけに、彼といろいろ話が始まる。
彼はつい最近、シリアからドバイに来てこのホテルで働いているという。そこで、シリアの政情混乱のことについていろいろと質問する。反政府活動と政府側の弾圧などについて尋ねると、自分もこの地に来るまでデモ活動をやっていたと言う。そして上手な日本語で私の質問に答えてくれる。
そこで日本語はどこで習得したのかと尋ねると、シリア大学の日本語科で学んだと言う。日本にもぜひ行きたいと話す。そのためにお金を貯めていると言う。なかなかの好青年で、あなたの日本語なら大丈夫だから、ぜひ日本訪問を実現してほしいと励ます。
そんな話をしていると、玄関から私の送迎係のスタッフが入ってくる。もう時間です。出発しましょうと告げられ、フロントに別れを告げて車上の人となる。夜のストリートを空港まで車で15分。間もなく到着し、すぐにチェックインしてセキュリティチェックを済ませ、出発ロビーへ。
ドバイ空港出発ロビー
このロビーは4年前、チュニジア旅行の際にトランジットで立ち寄った時以来で、懐かしの場所である。ロビーから見下ろす免税店のなどが並ぶ風景は今も変わっていない。ついでにぶらりとウィンドーショッピングをしながら見物して回る。
出発ロビーにある免税店ショップのフロア
この出発ロビーにもインターネットブースがあるので、様子を見てみよう。前回の時は利用者で満席でなかなか空かなかったが、今日はどうなのだろう? ブースに行ってみると、案の定今回も満席状態。今度もダメかとあきらめの境地で近くのベンチに腰掛けて様子を見る。
空港にあるインターネットブース
しばらくすると、偶然にも1席が空く。素早く席を陣取り、パソコンを開く。ここのブースは2列に背中合わせに並んで狭い空間。それに腰掛けもなく立ち席で利用しずらい。ソウルのインチョン空港のそれとは大違いである。そんな思いを抱きながら、とりあえずは家族へのメールを送って要件を済ませる。
これで後は搭乗を待つばかり。モニターをみると定刻出発となっている。これからインチョン空港まで11時間の空の旅が始まる。自分に「辛抱」の2文字を言い聞かせながら、ゆっくりと搭乗ゲートへ向かう。世界一だらけのアラブの国ドバイとも、これでおさらばである。 (完)
(2012年4月11日 脱稿)
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