NO.5
(アメリカ編)
4.ニュ−ヨ−ク・・・・ 翻弄されたホテル探しとサムソナイト
この街を最後に今日一日の観光を終わり、トロント空港へと向かう。まだ三時過ぎなのだが、ここから二時間かかる空港に午後七時半出発の二時間前に到着するには、この時間に発たないといけないのだ。今夜はニュ−ヨ−ク到着が遅くなるということで、ホテルでの夕食の代わりに幕の内弁当が渡される。空港ではたっぷり待ち時間があるので、この間に食事をすませましょうということになり、みんな寄り合って店開きを始める。天ぷらやお煮染めの混じる日本食特有の匂いが、あたりいっぱいに広がって他の待合い客に気が引ける。空港のアナウンスが、各自の持ち物には気を付けるよう絶え間なく注意を促している。よほど事故が多いのだろうか。
ニュ−ヨ−クへ
一時間少しの飛行で九時前、夜のニュ−ヨ−クへ到着。出迎えのバスに乗ってニュ−ヨ−クの中心、五番街近くのレキシントン通りにあるロ−ズ・ニュ−ヨ−ク・ホテルへチェックインする。この近辺には超高層ビルはないので、ニュ−ヨ−クらしいきらびやかな夜景は見られない。部屋に入ると早速、目星をつけていたホテルに宿泊予約の電話を入れてみる。ところが、もう遅くてコンピュ−タ−がロックされているので、また明日電話してくれという。明日からツア−と離れて一人旅になる。うまく取れればいいのだが。
夜のレキシントン街
コンセルジュに行って観光案内パンフをもらい集める。マンハッタン島の摩天楼の夜景を海上から見ながら夕食を楽しむディナ−・クル−ズのことを聞いてみると、各ホテルへの送迎はなく、自分で波止場まで出向かなくてはいけないという。往きはよいのだが、夜の十時過ぎに終わって帰る際が、地下鉄はもちろんタクシ−にしてもちょっと危険すぎる。これは断念するしかない。私のグル−プでは、一八、〇〇〇円のオプションで明夜同じディナ−・クル−ズを楽しむ予定になっている。自分で行けば六二ドルで六、〇〇〇円とかからないのだが……。送迎バス付きとはいえ、どうして日本のツア−はこんなに高いのだろう。そんなことを思いながら、ニュ−ヨ−ク第一夜の夢を結ぶ。
第七日目。今朝は珍しく雨がパラついている。予報では午後から明るようにいっていたので大丈夫だろう。昨日午後まで大雨が降っていたそうで、私たちはついている。今日の観光予定は午前中ニュ−ヨ−ク市内観光、午後は自由行動、夜はオプションでディナ−・クル−ズとなっている。ツア−一行のみなさんは、今日を最後に明日は帰国の旅である。「もっと居たいなあ。せめて途中のハワイででも一泊できたらいいのにね。」と口々に残念がっている。
宿泊ホテル前の朝の風景
市内観光
コンセルジュに市内地図と地下鉄マップ、バスマップをもらい、出迎えのバスに乗って市内観光へ繰り出す。シャネル、ティファニ−、グッチなど高級店やデパ−トがずらりと並ぶ有名な五番街やミッドタウンの中心に二十一ものビルが林立しているロックフェラ−・センタ−、ミュ−ジカルで有名なブロ−ドウエイなどを巡り、エンパイア・ステ−ト・ビルへ向かう。
ここは自由の女神と並びニュ−ヨ−クの顔となっている高さ三八一メ−トル(塔の上までは四四三メ−トル)、一〇二階もある超高層ビルである。これは彦山(長崎の山)の高さと同じだ。いまでこそワ−ルド・トレ−ドセンタ−やシカゴのシア−ズ・タワ−に追い越されてしまったが、それまで長い間世界一の高さを誇っていたのだ。
ビルの谷間からエンパイア・ビルを望む
見上げるビルはさすかがに高い。まずエレベ−タ−で八〇階まで上がり、そこで乗り換えて八十六階の展望台へ到着する。ここは吹きさらしになっていてトロントのCNタルワ−展望台より少し低い位置だが、眼下に広がるマンハッタンの摩天楼街を一望する眺望は、またそれとは異なる趣がる。まるで雨後の竹の子が一斉に地表からニョキニョキと突き出てきたかのように、ビルの“竹の子”が所狭しと林立している。この壮観な光景を三枚続きのカット写真に収める。この上にもう一段高い一〇二階の展望台がある。
|
|