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     N0.1





3000年の歴史とカルタゴのロマンを秘める国

幾世紀にわたり様々な異文化が交流し織り成した国

  サハラ砂漠に沈む夕日に浮かぶラクダのシルエットが似合う国



チュニジア旅行日程(10日間)

日付 日数 ル − ト 泊数 タイムテ−ブル・内容
2007年
/16(月)

 中部国際空港 → ドバイ 
 機内 23:00発→
 
 
  17(火)  ドバイ → チュニス〜ケロアン   1 ドバイ06:10着 
ドバイ9:00発
チュニス12:55着
  18(水)  ケロアン〜スベイトラ〜トズール   1 ケロアン観光、スベイトラ観光
  19(木)  トズール〜 ドゥーズ    サハラ砂漠サンライズ観賞
3ヶ所のオアシス観光、塩湖横断
  20(金) ドゥーズ〜マトマタ〜エル・ジェム〜ス〜ス
  ベルベル人の穴居住居、円形劇場
  21 (土) スース〜ナブール〜ケルクアン〜チュニス    3 スース市内観光、ケルクアン遺跡
  22(日)  チュニス〜ドゥツガ〜チュニス イシュケル国立公園、ドゥツガ遺跡
  23(月)  チュニス〜カルタゴ〜チュニス カルタゴ遺跡、シディ・ブ・サイド、チュニス市内観光
  24(火)    チュニス → ドバイ  機内 14:10発
  25(水) 10  ドバイ → 中部国際空港  機内 2:45発 16:50着



チュニジアの位置




旅のコース




1.ドバイへ

遠い国
チュニジアへの直行便はない。だから中近東かヨーロッパで乗り継ぐ必要がある。今度の旅はまずドバイへ11時間半かけて飛び、そこで3時間待ちして、さらにチュニジアへ7時間の飛行である。名古屋の中部国際空港を飛び立って実に21時間超を経過している。遠い国ではある。


今度の旅はツアー参加である。短期間で1国を周遊するとなると、移動効率のよいツアーにかぎる。現地ガイドや添乗さんの解説付きなのもありがたい。総勢21名が集まると、いざ出発だ。アフリカに位置するとはいえ、地中海に面しているだけに、なんだかヨーロッパに行く感じである。さて、どんな旅が楽しめるのか、心うきうきである。


多国籍の乗務員
中部国際空港から搭乗した機はエミレーツ航空。朱色の帽子に白いスカーフを流した独特のコスチュームに身をまとった乗務員がにこやかに出迎えてくれる。お陰で機内は異国ムードぷんぷんである。3人の日本人乗務員が搭乗しているそうだが、後でそれぞれに尋ねてみると、シンガポール人あり、フィリピン人あり、オーストラリア人ありと、なかなか国際色豊かなスタッフで構成されている。


チュニジアンムードたっぷりの乗務員

センスある食器デザイン
日本人一色の乗客と多民族のスタッフを乗せた機は定刻23時に離陸し、一路中国大陸を目指して順調に飛行する。これからアジア大陸を横断し、ペルシャ湾を目指す長い旅が始まる。そんな中で唯一の楽しみは機内食だが、やがて深夜の食事配膳が始まる。おや? これは・・・。目に留まったのは食器類のセンスあるデザインである。


これまで搭乗した数あるエアーラインの食器類の形は、いずれも申し合わせたように四角と円形である。ところがこのエミレーツの食器はそうした定番の型ではなく、いずれも柔らかなカーブでデザインされた三角形なのだ。この新鮮な感覚に感じ入りながら食事を始める。味気ない機内食を少しでも楽しんでもらおうとの心づかいが感じられ、なかなか好感が持てる。献立内容もなかなかよい。


星空の天井
食後の一段落が終わると消灯され、お休みの時間である。ところが、ここでも見せ場が待っている。暗くなった機内の天井を見上げると、なんと星空が広がっているではないか! 天井のパネル一面に極小のライトが点いており、それがチカチカと点滅しているのである。機内でこんな心なごむ光景を見るのは初めての経験であり、これにもうならされてしまう。


天井には極小のライトが点滅して星空を演出

この便は空席がたっぷりあるらしく、中央部のシートでは5席全部を使って横寝している人が多い。私は窓側の2席を使ってなんとか横になり、睡眠を確保する。横になるとよく眠れるのでありがたい。エコノミーでもこんなラッキーなことがあるのだ。眠れるということは疲れも取れる上に、飛行時間を忘れることができ、一石二鳥の利得がある。時には目覚めて後室キャビンへ行き、飲み物をもらいながらスタッフと話に興じる。これも空の旅の楽しみの一つである。


目覚めの合図は小鳥のさえずり
よく眠った感じでふと目を覚ますと、天井の間接照明が柔らかなオレンジ色に輝き始めている。同時に、どこからともなく小鳥のさえずりが聞こえてくる。おや? 誰が小鳥を持ち込んだのだろう?と周囲を見回すがその気配はない。なんと、これがお目覚めの合図なのだ。朝日を思わせるオレンジ色の照明、それに小鳥の声を流して心地よい目覚めを促す。なんと行き届いた演出なんだろう? こんな経験も初めてである。








 オレンジ色のライトアップが曙光
 を告げる















これは昨年10月から就航したというエアバスの最新鋭機だそうで、その乗客の心を癒す数々のエンターテインメントシステムは業界トップという。そんなムードのある機内で最後の朝食が始まる。機はすでにインド上空を通過し、アラビア海に入っている。ドバイまであと2時間あまりと、ようやく目鼻がついてきた感じである。横になって寝れたので、疲れはあまり感じない。


心あたたまるプレゼント
到着間際になると、ひょっこりシンガポール人のスタッフがやって来てトランプカードをプレゼントしてくれる。思わぬ珍しいプレゼントに礼を述べていると、今度は入れ替わりにオーストラリア人スタッフがやって来て、エミレーツ航空のマーク入りボールペンをプレゼントしてくれる。2人ともちょっとした話友達になっていたのだが、そのフレンドリーの証としてプレゼントしてくれたのだろう。こうした心づかいが見られるのも、このエミレーツの特質なのかもしれない。l


小雨のドバイ空港に到着
朝の6時過ぎ、11時間半の飛行でやっとドバイ空港到着である。小雨降る空港は気温18℃。上着を着ていては暑いぐらいである。ここで時差マイナス5時間を調整。ここはアラブ首長国連邦で、その一つドバイはアラビア半島の最大の商業都市であり、冬はヨーロッパからの避寒地としても有名である。またこのドバイ空港は国際ハブ空港として多数の航空会社が乗り入れており、それだけにハイレベルな設備が整っているという。


時間かかる乗り継ぎゲートへの道
とはいうものの、着陸してからが大変である。多くの到着機は直接エプロンに横付けできず、駐機場へ移動する。ところが、どこまで行ったら止まるの?と不安になるほど、その広大な飛行場を走り続け、なかなか駐機場へ到達できない。20分ほど走り続けてやっと駐機。それから出迎えのバスに乗り換えるのだが、これがまた大混雑である。この時間帯は到着便が多いらしく、ゲートに向けてバスが行列をつくるのである。それもなかなか進まない。というのは、乗り継ぎゲートでセキュリティチェックが行われており、その順番待ちでなかなかはかどらないのである。こんな体験は初めてのことである。


こうして下車するまでに優に20分はかかってしまう。このバス移動の場合、トランジットゲートと到着ゲートの降車場所が別々になっているので注意が必要だ。最初に停車するのがトランジットゲートで、乗り継ぎ客はここ下車することになる。次いで2番目の停車場所が到着ゲートとなっている。このことはバス内で繰り返し英語でアナウンスされている。


我々は乗継ぎ客なので、最初の停車場所で下車。そこでセキュリティチェックのための長い行列に並んでチェックを済ませると、やっと解放されてロビーへ。ここで3時間待ちの後、さらに7時間かけて最終目的地のチュニスへ向かうのだが、気が遠くなりそうである。ほんとに遠い国である。


トランジットロビーの様子
この空港は大規模な国際ハブ空港だけに、トランジット客であふれている。この点はカタールのドーハ空港と同じだが、その規模が格段に違うのである。1階には多数の免税店が並んで賑わっている。カメラ、時計、シャネルや資生堂などの化粧品類、ギフトショップ、チョコレート、衣類などの店舗が軒を連ね、早朝というのに賑わっている。そう、ここは24時間眠ることのない空港なのだ。


ロビーはトランジット客で混雑


賑わう免税店

ひとわたりウィンドーショッピングをした後は出発ゲートのある二階へ上がり、やっとのことで空いたイスを見つけて朝のシェービングを済ませる。その後は何もすることがない。フロアの中央に無料のインターネット設備が数台並んでいるが、ここにも順番待ちの行列ができている。これでは話にならない。あきらめて搭乗ゲートへ移動する。それが遠いこと、遠いこと。


モニター表示もアラビア文字


2.チュニジアへ
ベンチで隣り合わせになったリビア人男性らと雑談したりしながら時間をやり過ごし、搭乗時間を待つ。こうしてやっと搭乗したのは9時発の同じエミレーツ航空で、この機も多国籍スタッフがそろっている。離陸した機は7時間かけてペルシャ湾からサウジアラビアを横切り地中海を目指す。軽い昼食が配膳されるが、時差の関係でさっぱり体内時計が分からない。









 フィリッピン人スタッフ

















入国カード
やがて機内では入国カードが配られる。チュニジア国は、これが要求されるのだ。だが、記入項目は簡素なもので、次の内容になっている。

・氏 名
・生年月日&出生地
・国 籍
・職 業
・パスポートナンバー
・発行日&発行地
・出発地
・現地の住所

以上であるが、これとほぼ同内容を下部の半券にも記入する。この半券は入国審査の時に切り離して渡されるので、出国まで大切に保管しておく。


チュニス空港到着
カードの記入を終われば、あとは到着を待つばかりだ。機は地中海上空を飛びながらチュニジアの首都チュニスを目指す。午後1時、機はようやく着陸態勢に入り、チュニス・カルタージュ国際空港に到着。やれやれ、とにかくこれで長い往路の片道は消化したわけで、これから陸地の旅が始まる。チュニスの空は快晴で気温20℃と暑い。ここで時差調整マイナス3時間。これで日本との時差はマイナス8時間となる。


チュニス・カルタージュ国際空港

両 替
入国審査を済ませると、空港で早速両替だ。両替窓口は2〜3箇所ある。レートは1ディナール=93.41円(2007年1月17日現在)。あまり買い物の予定はないので小額を円で交換する。


チュニジアという国
日本から延べ21時間もかけてはるばるとやって来たここチュニジア国だが、いったいどんな顔をしているのだろう? この国の横顔をのぞいてみよう。その歴史をたどれば紀元前814年頃、地中海交易で活躍していたフェニキア人が交易拠点としてこの地に移住し、偉大な都市国家カルタゴを建国。その後繁栄をきわめるが紀元前146年にローマに滅ぼされ、以後700年に及ぶローマ支配が始まる。その遺跡は現在世界遺産となっている。


5世紀になるとゲルマン系のヴァンダル人が侵入し、ヴァンダル王国が建国されるが、その後、東ローマ帝国によって滅ぼされる。7世紀末になるとイスラム勢力が侵入し、アラブ化が進められた。16世紀後半よりオスマン帝國の属領となるが、19世紀になるとフランスが侵攻し、その保護領となる。


20世紀に入ると独立運動が高まり、フランスはその独立を認め「チュニジア王国」が成立。その後、1957年には共和制を宣言し、ハビブ・ブルギベが初代大統領に就任、1959年6月1日には独立後、初めての憲法が採択された。


この国の略史を眺めると以上のようだが、地理的に地中海沿岸諸国の中心部に位置し、アラブ、アフリカ、ヨーロッパ諸国の交差点にあたるところから、諸外国の影響に翻弄された感が強い。しかし、それがまた様々な文化を織り成すゆえんともなっている。その足跡ともいえる遺跡(世界遺産登録7ヶ所)が国内各地に散在しているのが、それを如実に物語っている。


3.聖都ケロアンへ
さあ、これから3時間かけて、今夜の宿泊地聖都ケロアンへ向かって移動開始である。空港前に出迎えた専用バスに乗ると、そのまま郊外の有料ハイウェーに入る。道路は整備されていて快適な走行ができる。しかし、これから1週間お世話になる我らがバスだが、クーラーの効きも悪い、ややくたびれかけた車体で、無事の完走を願うばかりである。


ハイウェーを走る

郊外に出ると緑の草原が広がる中を快適に南下する。窓外に流れる風景は草原ばかりで変化のある景色は見られない。ケロアンまで約3時間の走行だが、途中のガソリンスタンドで20分の小休止を取るとさらに走行を続け、夕方5時ごろケロアンの町に入る。


郊外に出ると緑の草原が・・・


草原の中を突っ走る


途中休憩したガソリンスタンド


どこまでも広がる草原

ここケロアンの町はチュニスの南165kmにあり、世界4大イスラム聖地の一つで、メッカ、メディナ、エルサレムに次ぐ4番目の聖地として信仰を集めている。北アフリカにおけるイスラム発祥の地で、11世紀にチュニスに移転するまでアラブ王朝の首都として栄えた古都でもある。7世紀にイスラム勢力が侵入した際、この町に拠点を置いたのである。


ホテル到着
この町には9世紀に造られたという大きな貯水池があるのだが、今夜の宿はこのすぐ近くにある。7時から宿泊ホテルの食堂で夕食と言うので、それまで小休止である。部屋に入ると暖房が入っている? 昼間は暖かいが夜には冷えるのだ。でも、この暖房、効きが悪く温度が上がらない。とまれシャワーを浴びてさっぱりしようと蛇口をひねるが、これまた生ぬるいお湯しか出てこない。田舎町の三ツ星ホテルなので、あまり文句は言えまい。とにかくシャワーを済ませてしばし仮眠する。


夕食はビールで
7時になって食堂へ。夕食はコース料理でスープ、サラダ、メインは好みによりチキンかビーフ&バター炒め飯、デザートはオレンジ1個のみでコーヒはなし。飲み物はビール(小ビンで3.5ディナール=約350円)を注文。アルコール厳禁のイスラム社会だが、旅行者は例外となるのでありがたい。ただし、屋外での飲酒はご法度で、屋内だけに限られる。


お腹が満腹すると、あとは寝るしかない。飛行21時間、バス移動3時間、時差8時間で疲れ切った身体をとにかく休めよう。それにしてもこの部屋寒いぞ。頼りないベッドには毛布1枚しかない。暖房も効かないのに、これで大丈夫かな? ベッドカバーも利用するとしよう。床に入って時計を見ると8時過ぎである。これだと朝までたっぷり眠られそうだ。移動に次ぐ移動に明け暮れた旅の1日目は、こうしてやっと終わりを告げる。



(次ページは「ケロアン観光・スベイトラ遺跡・トズール観光」編です。)










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