5.カラクリ湖観光・・・悪路の連続・高山病・民族舞踊
3日目。今朝は6時起床。砂塵のためか空はどんよりと雲って青空は見えない。でも雨の心配はなさそうだ。昨夜は休息時間がたっぷり取れたので、休養十分である。今日は1日がかりで標高3600mのパミ−ル高原に横たわる世界で二番目に高いカラクリ湖行きである。(世界一高い湖は南米のペル−・ボリビア間に横たわるチチカカ湖で標高3800m)。天候に恵まれれば7000m級のパミ−ルの山々が拝めるのだが……。そんな期待を胸に抱きながら、いざ朝食へ。
朝の風景
朝の涼しい空気に当たりながら、敷地の片隅にある昨夜と同じレストランへ向かう。その前にちょっと辺りの様子を見てみよう。ホテル前を走る色満路に出てみると、早朝7時過ぎとあって車や人通りも少なく、ひっそりとしている。やはりこの街では自転車組が多いようだ。道路向かいには食堂や店舗が並んでいるのだが、その看板文字が面白い。アラビア文字に似たウイグル文字と中国語が併用表示されているのだ。このことが中国内とはいえ、異民族のウイグル人社会であることを端的に物語っている。
ホテル前の色満路の早朝風景
ウイグル文字と中国語で書かれた看板
カラクリ湖へ
相変わらずの中華料理で朝食を済ませると、いよいよ出発である。8時半、マイクロバスに乗った一行は、これから190km離れたカラクリ湖へ向けて登坂する。時速100kmで走れる舗装された高速道路であれば、わずか2時間の距離である。ところが、ここではそうは問屋が卸さない。ここから5時間以上はかかるはるか彼方の山上である。ここカシュガルの標高が1300mだから、これから数時間かけて標高差2300mを上りあがることになる。
標高3600mといえば、完全な高山病発症の高度である。高山病は南米ペル−のクスコとチチカカ湖でいやというほど体験しているので、その症状はわかっている。問題は現地滞在時間がどのくらいかだ。それが長ければ、確実に発症すること間違いない。そんな思いが中巴道路を西へ向けて走り始めたマイクロバスの中でふと脳裏をよぎる。山岳地帯を走るので、安全をとって小型のマイクロバスで向かうことになる。
すさまじい悪路
郊外に出ると、それまでの舗装道は切れて地道に変わる。途端にガタピシと上下振動が激しくなる。ガイド君がにやにやしながら、「これからマッサ−ジ道路が始まりま〜す。」とのたまう。これはとんだマッサ−ジの連続だ〜……。そんな揺れる車窓からポプラ並木や黄金色に波打つ麦畑の風景が流れ込む。この地もいま麦秋の季節なのだ。日本と同じ風景に、つい懐かしさを感じてしまう。
後方座席は揺れが大きいだけに、そこに座っている人は大変なようだ。時折、車が大きくバウンドするごとに、座席から跳ね上げられて頭が天蓋にぶっつかりそうになる。それに先行車や対向車が巻き上げる砂塵がものすごく、それは砂嵐同然で前方が全く見えなくなってしまう。それに建設中のハイウェイの道路工事がいたるところで行なわれており、迂回させられたりして余計に揺れがひどく、時間もかかる。
人力作業
その道路工事たるや、ツルハシとショベルだけの手作業でのんびりと進められている。ブルド−ザ−の姿を見るのは希で、人力に頼る作業が主である。この国では、作業の効率よりも人海戦術による雇用の創出を優先しているようにみえる。炎天下で暑いためか、よく作業を休んでいる姿が見られる。
軍用トラックの隊列
ガタピシと揺られながらどんどん進んで行くと、間隔をとりながら走行する軍用トラックの長い隊列に追いつく。もうもうと砂塵を巻き上げながら走るトラックの後方につくと大変である。バスはトラックを追い越しながら走るが、いくら追い越してもトラックの列は途切れない。それもそのはず、なんと30台以上のトラックが行列をつくっているのだ。その積み荷はどれもコ−クスを満載している。これはこの先の国境にあるクンジェラブ峠(標高5000m)の警備兵宿舎の暖房用燃料だという。酸素が薄いため石炭は燃やせず、コ−クスでなけばだめなのだという。冬に備えて今から準備しているのだ。
休憩ストップ
周囲に草木はなくなり、瓦礫が広がる砂漠に出る。その遠く向こうに、ようやく目指す山並みが見えてくる。カラクリ湖はあのパミ−ル高原の一角にあるわけだ。バスはここで休憩ストップである。折角追い越したトラックの行列が、粉塵を巻き上げながら横を通り過ぎていく。またこの後に続けば砂塵をかぶることになるのだが……。 |
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