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   NO.6




6.モ−レア島観光
 
タヒチの旅5日目。夢の旅もだんだんと終わりに近づいてくる。今日は、あのミュ−ジカル「南太平洋」で有名なバリハイ山のあるモ−レア島の観光に出かける。ボラボラ島行きの途中で機上から眺めたモ−レア島は、起伏に富んだ山並みのある島なので、どんな光景を見せてくれるのか楽しみだ。8時前に迎えに来るというので、6時に起床して準備する。
 

食堂の風景
身仕度を整えて1階の食堂に行くと、ここも素晴らしい雰囲気のダイニングル−ムである。プ−ルのある庭園に向かって、窓も何もないオ−プンのテラスになっているのだ。もちろん天井はあるのだが、庭園側の窓がすっぽりとなく、そのまま庭園に通じている。だから、とても開放的な気分になれて気持ちが良い。ところが、ここでは珍しい光景が見られる。ボラボラのホテルではエサに群がる小魚たちが見られたのだが、ここではそれに代わって今度は小鳥たちの来訪である。
 

なにせ、オ−プンになっているから、山と積まれたこの食堂の食物が彼らの絶好のエサになるというわけだ。だから、自由に飛来しては、勝手に食物の上を歩き回りながらついばむわけだ。ホテル側もちゃんと心得ていて、その防御策として食物の上にはすべてナプキンを被せている。それでも彼らは嘴を隙間から差し入れようと懸命である。スタッフも毎度のことなので、追い払うでもなく無関心を決め込んでいる。
 

そんなのどかで心なごむ光景を目にしながら、ナプキンをめくっては好みの食べ物を皿に盛っていく。ここもボラボラのホテル同様、豪華な食べ物がそろって見事である。目の前に広がるトロピカル風庭園の様子を眺めながら、朝食のひとときをゆっくりと堪能する。ここもボラボラと同系統のホテルだが、いずれも建物のレイアウトや設計など、なかなかのものである。また、高級ホテルだけあって、設備もゴ−ジャスである。タヒチのバカンスをのんびりと過ごすには、おあつらえ向きであろう。
 

モーレア島へ
朝食を済ませて玄関ロビ−で待っていると、約束の時間に迎えの車がやって来る。それに飛び乗って港へ向かう。車で賑わう早朝の道路を突っ走ること30分、到着したのは昨夜ルロットが開かれていたすぐ隣の波止場で、そこからモ−レア島行きの高速フェリ−が発着している。シャワ−があったのか、地面には水溜りができている。雲が多いようだが、天候は大丈夫だろうか。参加者は私一人だけで、そのための送迎とは恐縮である。
 





郊外から中心街の波止場へ向かう道路の風景









チケットを手渡され、見晴らしのきく2階のキャビンへ上って行く。この時間のモ−レア行き乗客は少ない。9時15分に桟橋を離れた高速フェリ−は、ゆっくりと向きを変えて港を後にする。少し沖合に出るのを待ってパペ−テ港の全景を撮影する。目の前には左右穏やかに海岸線に向けて裾野を引く斜面が広がっており、その海沿いにパペ−テの中心街が開けている。波静かな港には帆船やクル−ザ−が停泊しており、港の風景にアクセントをつけている。こうして見ると、ダウンタウンだけにビルや民家も多く、山の斜面にまで広がって建っている。
 


 港の風景。海岸沿いにダウンタウンが広がる。



到着した初日の朝、空港からその姿を遠望したように、モ−レア島はここから18kmの至近距離にある隣り合う島で、天気さえ良ければその美しいシルエットをいつでも見せてくれる。画家ゴ−ギャンは、この島を「古城のようだ」と言ったそうだが、1000mを超える山々がそびえ重なる島の景観は、いろんな角度から印象的なシ−ンを観賞させてくれる。高速船で30分足らず走ると、そんな素敵な憧れの島が次第にクロ−ズアップされてくる。間もなく到着だ。
 

島内観光
接岸して下船すると、通路に出迎えのプラカ−ドを持った人たちが並び、車が雑然と並んで混雑している。私の名前がないかと探すが、どこにも見当たらない。おかしいなあと不審に思いながらしばらく待っていると、若いタヒチアンが遅れてやてくる。彼が出迎えたのは、老フランス人夫妻とアイルランドからやって来たという若いカップル、それに私の5人である。彼らは他の旅行社から参加したのだろう。ガイド兼ドライバ−の彼はフランス語と英語を話す。 


全員そろったところで出発である。波止場から右回りに海岸線をしばらく走って行くと、モ−レアの空港に立ち寄る。そこで、出発前からすでに助手席に座っていた1人のフランス人が下車する。彼も旅行者なのかな?と思っていたのだが、ガイドの話によると空港に勤める彼の知人らしく、便乗してここまで送って来たと言う。タヒチとはいえ、のんきなガイドである。この地では一事が万事この調子のようで、そのリズムにこちらも合わせないとうまく運ばない。 


トアテアの展望台
空港から戻って再び波止場の方向へ向かって走り出すと、間もなく上り坂になり、そこから海岸を見下ろせる高台に出る。ここがビュ−ポイントの一つ、トアテアの展望台である。ここでフォトストップとなり、一行は下車して眼下の景観に見入る。そこには美しいタ−コ−ズブル−のラグ−ンが一面に広がっており、そこに突き出た水上コテ−ジがタヒチらしい風景を演出している。そして、はるか向こうにはタヒチ島が穏やかな姿を静かに浮かべている。潮風に当たりながらこの風景を眺めていると、いまタヒチの地に立っているのだという実感がじんわりとわいてくる。 



 トアテアの展望台からの眺望。向かいの島はタヒチ島。



ここからさらに進むと、先ほど上陸したフェリ−の波止場に出る。ここを通り過ぎて緑豊かな海岸線を走って行く。今は花の時季なのか、道路沿いには赤や白のハイビスカスをはじめ、さまざまな花が咲き揃っている。たまに火焔樹(フランボヤン)の花が枝いっぱいに咲き開いて、その名のように燃え上がる炎の様相を見せている。1年前のこの時季、カレドニアでも火焔樹を見たのだが、この地ほどの見応えはなかった。
 





沿岸沿いに走る1周道路











入江の風景
やがて車は、静かな入り江の見えるポイントにさしかかる。ここで下車して、その静かな風景に見とれる。正面の山並みにはポツンと取り残されたように突っ立つ尖ったバリハイ山が見え、右手には雲に遮られた高い山がそびえている。穏やかに広がる海面は、岸辺の木陰を映し出し、南国らしい風情を添えている。



       ある入江の風景。中央にポツンと突き立つのがバリハイ山(880m)。右手の雲に隠れるのはトヒエア山(1207m)。





白亜の教会とパンの木
ここから進むと間もなく、右手に教会が見えてくる。ここがハアピティの村だろうか? ここで車はストップする。欝蒼と茂る南洋樹林を切り開いて造られた芝生の庭園の中に、ぽっかりと浮き立つように白亜のカトリック教会が建てられている。人影はなく、辺りは静まり返っている。ふと見上げると、教会の向こうにはバリハイ山がそびえている。う〜ん、なんと言う素敵な眺めだろう。バリハイ山が格好の緑の背景になって、この教会の姿をいっそう浮き立たせている。その絶妙のコントラストに、独り感じ入ってしまう。教会の2つの塔の間にバリハイ山を入れて写真を撮る。
 





白亜に輝くカトリック教会
塔の間にバリハイ山が見える








この庭園の片隅に大きなパンの木があり、いま幾つもの実をぶらさげている。これを粉末にしてパンのようにして食べるのだそうだ。その木の下に、ドライバ−が車を止めて立っている。そのスナップを記念に撮っておこう。
 





パンの木
大きな実がなっている














この車で島内観光
横に立つのはドライバー











ティキ・ビレッジ
ここからひとしきり走ると、「ティキ・ビレッジ」に到着である。ここでかなりのフリ−タイムを過ごすことになっており、今日のランチもここで取ることになっている。ここは山裾のビ−チ沿いに建てられたこぢんまりとしたポリネシア文化村で、ちょっとしたシア−タ−が設けられて、いろいろなポリネシアン・ショ−が見られるようになっている。そして、この村の中には幾つもの草葺きで造られたポリネシア伝統の家屋が建てられており、それぞれポリネシアンの手工芸品を展示したり、画家ゴ−ギャンの絵のギャラリ−があったり、タトゥ−を彫る刺青師がいたりする。
 

到着すると、パレオをまとった若い日本人女性が出迎え、村を案内してくれる。本来はドライバ−と一緒にフェリ−の波止場まで私の案内役として出迎えに行くべき予定だったのが、手違いで行けず、ここで待っていたと言う。彼女は結婚して1人の子持ちだそうで、この近くに住みながらガイドの仕事をしていると言う。彼女は英語、フランス語を話す語学堪能な女性である。
 

まず一行が彼女に案内されたのは、このビ−チ沿いにある黒真珠の売店である。こんな場所でも商魂たくましく欧米人の女性が商いをしている。そこで真珠の母貝で黒真珠を養殖して製品になるまでの過程を実演をまじえながら英語と日本語で説明してくれる。
 





真珠母貝を開けて真珠を取り出す









それが終わると、今度はビ−チの少し沖合に設けられている真珠の養殖場の見学に行くという。そこで船外機付きのボ−トに乗って養殖イカダまで渡る。そこにはイカダに吊るされた多くの真珠の母貝が海中に並んでいる。こうして一定期間養殖して真珠を取り出すのだと言う。ところが、このイカダは本物の養殖場ではなく、観光客用に設けられたデモ用の模型だとう言う。実際には別の海域で養殖しているのだと言う。
 





このボートでイカダに向かう















真珠養殖のイカダ
ネットに入った母貝がいっぱいぶら下がっている













ティキ・ビレジの全景










陸に戻ると、今度はタヒチアンによる村の案内である。彼らは石彫りの工芸が得意らしく、庭のあちこちに石彫りの作品が置かれている。そして土産品として展示している物もある。
 





庭の隅に置かれた石像















石のローラースケート















石像の展示販売品










ある建物の前に来ると、何かジ−と言う音が聞こえてくる。見ると、刺青師が女性にタトゥ−を彫っている最中である。タヒチアンは男女共タトゥ−を彫り込むのが習慣のようで、みんなが身体のどこかに彫っている。今は電動の器具で彫るらしく、作業もし易いようだ。






タトーを彫っている










その他、羽根飾りを置いた寝室があったり、女性が植物の葉っぱで装飾品を作っていたり、母貝の貝殻で作ったネックレスなどを売っている家があったりなど様々である。






羽飾りの置かれたベッド















葉っぱで装飾品を作っている









また、画家ゴ−ギャンの絵のイミテ−ションを展示したギャラリ−があり、そこで大小の絵を売っている。さすがはゴ−ギャンが暮らした地元だけあって、何かと彼を宣伝の材料にしているようだ。この一角にゴ−ギャンゆかりの建物もある。
 





ゴーギャンの絵のイミテーション
これが彼の最初の妻の絵













壁の横たわる女性が2番目の妻の絵












(次ページへつづく・・・)










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