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旅のコース





3.ベルニナアルプス、絶景ハイキング・・・ベルニナ特急・ディアボレッ
  ツア展望台

スイスの旅3日目。旅も佳境に入って来る。今日の旅程はベルニナ特急で
Bernina Diavolezza駅まで乗車。そこからディアボレッツア展望台へ登り、ベルニナアルプスの大景観を観賞。その後は絶景ハイキングを楽しみ、再びホテルへ戻るという予定である。


今朝は6時に起床。窓外を見ると、なんと今朝は雲ひとつない快晴の空。心はずみ、うきうきルンルンである。山の観賞とハイキングだけに、好天は絶対条件なのだ。だが、山の天候は変わりやすいので当てにはならない。


やはり、昨夜の小さいベッドでは落ち着かず、寝心地が悪くて快眠できずである。部屋のスペースは広くて素敵なのだが、それに比してベッドのなんとお粗末なことか・・・。普通サイズのベッドを置いてほしいものだ。


朝食は6時からと言うので、身支度を整えて食堂へ。朝食はハムとパン、コーヒーのみの簡素過ぎるメニュー。これがスイスの朝の定番料理だそうだが、それを見越してか、旅行社が予め玉子とソーセージ料理を特別に追加注文してあるのでありがたい。これで何とかお腹も満足。


付近散策
朝食を終えると、出発まで時間があるので付近の散策に出かける。


(動画)朝の風景(サンモリッツの宿泊ホテル前)



一点の曇りもない快晴の空を見上げながら、湖の方向へ進んで行く。間もなく青空の中に尖塔が吸い込まれるように建つ教会が見えてくる。その先には雪解け水が轟々と流れる小さな川がある。


サンモリッツの教会


雪解け水を集めて流れる川

そこを過ぎるとバス停が見える。日本の田舎のバス停とまったく同じ待ち合い所が設けてある。屋根付きでベンチまで備えてある。早朝のことで、まだ乗客の姿は見えない。


サンモリッツのバス停


バスの案内表示板


(動画)サンモリッツの朝。冠雪した山並みが美しい。


さらに進んで行くと、その向こうには冠雪した素晴らしい山並みを背景にして静かに横たわる湖面が見えてくる。まさに絶景シーンである。この素敵なシーンを独り占めしながら、しばしたたずむ。ここでUターンし、もと来た道をホテルへ戻る。


(動画)冠雪したアルプスの山並みと湖の風景(スイス:サンモリッツ)



冠雪したアルプスの山並みと湖の風景(サンモリッツ)




ベルニナ特急
いよいよ今日はベルニナ特急の初乗車である。このベルニナ・エクスプレスはサン・モリッツとイタリア領のティラーノを結ぶベルニナ線(旧ベルニナ鉄道路線)で、アルプスを南北に縦断する感動の絶景ルートを走る。アルプ・グリュムまで、カラマツの美しい森や滝、4000m級のベルニナ山群の名峰、雄大な氷河が織りなす迫力の山岳風景が車窓に次々と展開する。


1910年に開通したベルニナ鉄道(現・レーティッシュ鉄道ベルニナ線)は、歯車を使ったラック式鉄道ではなく、一般的なレールを使った鉄道でアルプス最高地点を走る鉄道として、すぐにその技術が大きな話題となった。万年雪を冠った4000m級のベルニナ山群の名峰や氷河が輝くアルプスの世界から、葡萄畑や栗林に囲まれた素朴な谷を越えるイタリアまでの縦断ルートである。2253mから429mまでの高低差を結ぶ絶景の連続シーンが見られる。サンモリッツ~ティラーノ間の所要時間は約2時間半である。


9時になってホテルを出発し、サンモリッツ駅へ向かう。鏡のような湖面を左手に眺めながら走ること10分で駅に到着。


バスの車窓より湖の風景


同 上


青空に映えるサンモリッツ駅

ここがベルニナ特急と氷河特急の発着点駅なのだ。この列車名は有名なだけに、これまで何度も文字の上では読まされてきたものだが、現地で実物を見るのは初めてのことである。


チケット販売窓口(サンモリッツ駅)

ホームに入ると、真っ赤な車体の列車が静かに停車している。車体部に大きく「GLACIER EXPRESS」の表示が目立つ。これは氷河特急の車両なのだ。全車両がパノラマ展望になっている。明日はこれに乗ってツェルマットへ行く予定だ。いやが上にも胸が高鳴る。


ホームには氷河特急の列車が・・・


「GLACIER EXPRESS」は氷河特急のネーム

本日は9時45分発のベルニナ特急に乗車するのだが、この車体も同様に真っ赤な目立つ色をしている。発車まで時間があるので、駅のキオスクをのぞいてみる。ついでにミネラル水を1本調達しておこう。小ビン1本3.5フラン(350円)と割安である。初日のチューリッヒ空港で買った同じミネラル水が1本5フラン(500円)もしたのだから!


ベルニナ特急の列車

乗車前にパス(エンガディン・パスでサンモリッツ周辺の鉄道やバス、ロープウェーなどが夏期に無料で乗り放題の大変お得なカード。エンガディン地方の加盟ホテルに2泊以上宿泊すると貸与される。)を渡される。これはベルニナ、氷河の両線で乗り放題のパスとかで、個人で買うとかなり高価なものらしい(1等1ヶ月のスイスパスの場合で約8万円)。それを滞在ホテルのサービスで必要時に貸し出してくれるとか。だから、使用後は返却しなければならない。


これがエンガディン・パス

これからベルニナ特急で向かう先は、サンモリッツ駅から2駅先のベルニナ ディアボレッツア駅である。そこまでの所要時間は45分となっている。ホームに出て列車に乗車する。座席は自由席なので勝手に座るようにとのこと。そこで現地ガイドに、「眺めがいいのは左右どちら側の席ですか?」と尋ねると、「左側は川の風景で、右側は山岳の風景が見られます。」との答え。


そこで右側の席を選んで座ることにする。この車両はパノラマの展望車ではなく、普通の車両形態である。列車は間もなく静かに動き出す。走行するスピード感はなく、時速40~50kmぐらいなのだろうか? 


ベルニナ特急の内部


ベルニナ特急の車内案内板

やがてカラマツ林の風景が見え始め、その向こうにベルニナ・アルプスの冠雪した山並みが見え始める。雪解け水を集めた川の流れも見られる。カラマツ林の中をマウンテンバイクで走るカップルの姿も見られる。なんとも気持ちよさそうだ。


カラマツ林の向こうに冠雪した山が見えて来た


雪解け水を集めて流れる川


草原の向こうに冠雪した山並みが・・・


サイクリングする若いカップル

おゝ、今度はカラマツ林の向こうに真っ白に冠雪したアルプスの連山が見え始める。車内ではその景観に歓声があがる。次はごつごつした岩場を勢いよく流れる滝の流れが見えてくる。すると今度はカーブに差しかかる。列車は車輪をきしませながら急カーブを曲がって行く。外では見物人がベンチに座って列車が通り過ぎるのをのんびり眺めている。


ベルニナ・アルプスの連山が見えて来た



(動画)ベルニナアルプスの山並みが見えてきた。(ベルニナ特急の車窓より)



滝の流れも見えて来た


カーブを曲がるベルニナ特急


アルプスの山並みが・・・


ベルニナ・ディアボレッツア駅(Bernina Diavolezza駅)
ここまでで、列車はずいぶんと高度を高めたようだ。45分の乗車で、やがて目的のベルニナ・ディアボレッツア駅に到着。ここで下車してディアボレッツア展望台へ登り、アルプスの景観を観賞することになる。この駅は山裾の開けた場所にある殺風景な駅で、ただホームが設けられているだけといった感じである。だが、この地点は標高2093mの位置にあり、周囲は冠雪した山々に囲まれて素敵な風景が見られる場所でもある。


ベルニナ・ディアボレッツア駅。簡素な駅名表示板


ベルニナ・ディアボレッツア駅ホーム


ロープウェーで展望台へ
下車した駅の真ん前には展望台へ登るロープウェーが見える。この駅で下車した観光客は一斉にこのロープウェー駅へ向かう。ここでのお目当ては展望台だけしかないから当然のことである。乗客が増えたのでロープウェーのピストン輸送が始まる。駅から展望台までの900m差を一気に上るわけである。


ロープウェー駅


ロープウェー駅の表示。標高が書いてある。


ロープウェーのワゴン

ロープウェーからの眺めは絶景。上りの風景は荒涼とした山肌が見える山岳風景で、頂上付近には、まだら模様に残る真っ白な雪渓が見える。眼下に広がる大景観を眺めていると約15分ほどで山頂駅に到着。この地点の標高は約3000mである。


(動画)ディアボレッツア展望台へ登るロープウェーよりの眺め。



雪が溶けないように白いシートで覆っている


ベルニナ・アルプスの雄姿
ロープウェーを降りて駅舎を通り抜けると、前面に真っ白に冠雪した4000m級のアルプスの山並みが見える。そこには迫力満点の大景観が惜しげもなく広がっている。ピッツ・バリュ(3905m)、ピッツ・ベルニナ(4049m)、ピッツ・ロゼック(3937m)の名峰が居並んでいる。右手には雪渓の谷間から大氷河が流れ出ているのが見える。ここの氷河は泥の飛散がないとみえて、灰色がかった汚れが見えず、きれいな白色をしている。


(動画)ベルニナ・アルプスの大景観(ディアボレッツア展望台)


(動画)ベルニナ・アルプスの大景観(ディアボレッツア展望台:位置を変えて撮影)




4000m級のベルニナ・アルプスの大景観。右側には氷河の流れが見える。




展望台と言っても特設の台は何もなく、ただ自然の地面に立って眺望するだけである。駅舎に続く建物の中には土産品店やレストランがある。展望台にはそれ以外には何もなく、抜けるような真っ青の空を背景に広がる周りの絶景シーンが唯一最大の見せ場となっている。現地ガイドの彼女が言うには、「私が15、6年ガイドをやっているが、こんな見事な快晴の日は経験したことがない。ほんとにラッキーです。」と、しきりに強調するほどの素晴らしい快晴ぶりである。


この後、積雪の中を少し上りあがって眺めたり、位置を変えたりしながら絶景シーンを観賞する。展望台の気温、ただいま11.5℃(午前11時ごろ)。意外と暖かである。服装は防寒の必要はなく、普通の服装で十分だ。欧米人の中には半袖シャツの姿も見られる。


外気温を示す温度計

山頂のジャグジー五右衛門風呂
横手の方でわいわいと歓声が上がっているので、ふと見ると、なんとこの山頂で2人の女性が入浴を楽しんでいるではないか! 直径1m超の鉄製風呂が置かれており、それにつかるわけである。日本で言えば五右衛門風呂というところだ。この風呂はただの風呂ではない。なんと浴槽内でぶくぶくと泡立つジャグジー風呂なのだ。熱源はガスで沸かしているようだ。


3000mのジャグジー風呂


シャンパンで乾杯するご満悦のお2人。


これがジャグジー風呂

標高3000mの大自然の中でアルプスの絶景を眺めながらの入浴は、素敵な記念になること間違いなしだ。入浴中の2人の女性は、入浴しながらシャンパンを飲んでいる。おゝ! なんと乙なことをするものだ。こちらも一緒に入りたい衝動に駆られる。この展望台でこんな体験までできるようになっているのだ。だが、そんなに利用客はなさそうだ。料金が幾らなのか尋ねる機会をなくしてしまう。


昼食は山頂レストランで
12時近くまで自由時間を過ごし、昼食時間となる。展望台にあるレストランでランチとなる。ロープウェーの駅舎につながった建物の中にあるのだが、このレストランのロケーションは抜群で、食事よりもその窓から見える景観のほうに見とれてしまうほどの素晴らしさである。大きな窓の外には、今眺めて来たアルプスの絶景が真正面に見えるのである。まるで大自然の景観を額縁の絵に取り込んだ感じである。その大景観を眺めながらの食事は、これほど贅沢なものはない。こんな体験は初めてのことである。


レストラン内部よりの眺望

メニューはスープ、びっくりするほどの大きなソーセージとポテト、これにデザートは甘いムースである。メインはでかいソーセージだが、これがなかなか美味しいのである。配膳係のウェイターはイタリア人で、日本語で話しながら皆を笑わせるなかなか愉快なご仁である。尋ねてみると、ここのスタッフはイタリア人が多いとのことである。


でかいソーセージの料理


下山&ハイキング
食後も自由時間を過ごし、2時ごろになって下山する。これから待望のハイキングである。ロープウェーで一気に下りながら、今度は上りと反対側の風景を眺める。右手前方の遠くには湖面の白い湖が見える。これが「ラーゴ・ビアンコ」と言う湖なのだが、これから始まるハイキングはこの湖の側を通ることになるのだ。


下山のロープウェーは空いている


(動画)下りのロープウェーの風景(ディアボレッツア展望台)




(動画)下りのロープウェーの風景(ディアボレッツア展望台)。右下前方に見える
     湖が「ラーゴ・ビアンコ」(Lago Bianco)



ロープウェーを降りて、のどかな風景の中にあるディアボレッツア駅に出る。間もなくやって来た各駅停車に乗って、ここから2駅先の「Ospizio Bernina」へ移動する。所要時間10分で到着。


(動画)ディアボレッツア駅に列車が到着


ここで下車して、いよいよハイキング開始である。このオスピツィオ・ベルニナ駅はベルニナ線の最高到達地点(2253m)でもある。


オスピツィオ・ベルニナ駅

服装は旅行当初から変わらずで、肌着の上に薄い毛のシャツ、そしてその上は上下のジャージ姿。靴はこれも当初からウォーキングシューズの履きっぱなしである。帽子は野球帽でサングラスは手放さずである。


ハイキングのコースはオスピツィオ・ベルニナ駅から次駅のアルプ・グリュム(Alp Grum)駅までの1駅の区間である。このエリアではかなりの人気を誇るルートだそうで、白い湖と氷河と山々と赤い電車の絵は何枚写真を撮っても飽きないほどの景色という。このコースでは高山植物の可憐な花々が多数見られる。


現地ガイドの後について出発である。草原の中の野道かと想像していたが、案に相違して小石の多い砂利道である。周囲に広がる山々も岩肌の多いごつごつした斜面で、緑も少ない潤いのない風景である。


ハイキングコース


そんな中に可憐に咲き誇る高山植物の数々を愛でながら、草花を覗き込んではガイドの解説を聞き、そしてまた先へと歩いて行く。立ち止まる度に花の写真を撮るのだが、切りがないほど種類が多く、そのうち写真は割愛することに。


岩陰に黄色い花が・・・


カルタ・パルストゥリス?


不明


不明


不明


不明


不明


プルサティラ・アビイフォリア

何とも愛らしい花々なのだが、中でもお気に入りなのが「コケマンテマ」という花である。この名前だけ記憶しているのだが、一行の皆さんにも人気の花である。ボウルのようにふっくらと膨らんだコケの中に、愛らしい薄ピンク色の花が咲いているのである。そのグリーンとピンクのコントラストが素敵で、コケのボウルが何とも愛らしいのだ。ハイキングコースでは大小さまざまのコケマンテマがあちこちで見られた。写真のコケマンテマは中でも一番姿が良いものである。


これが「コケマンテマ」

コケマンテマというから、てっきりコケの中に咲く花とばかり思っていたのだが、実はそうではないのだ。コケに見えるグリーンの部分は、この花の葉っぱだそうだ。確かに、触るとトゲトゲしていて痛い。


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                アルプスの高山植物

     標高2000~3000mの高地に育つ高山植物は背丈が小さく
     て、小さい花が咲くのが特徴。開花時期は場所や気象条件で
     異なり、同じ地域でも日当たりの具合によって差が出る。花の
     種類は順々に変わって行き、5月下旬~9月中旬ごろまではハ
     イキングを楽しみながら見ることができる。アルプスの各地でピ
     ンクや紫、黄色、青、白などの色あざやかな可憐な花が見られる。       
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前半のコースはベルニナ線の線路沿いに走る道で、時折り電車が走り抜けて行く。右手には白濁した湖面が見えるが、これがロープウェーから眺めた「ラーゴ・ビアンコ」(Lago Bianco)なのだ。この湖は発電用の人工の湖だそうで、近くの氷河が溶けて流れ出た水が溜まるのだという。湖面が白く濁って見えるのは、氷河に含まれている石灰分や小さな鉱物が混ざっているためだという。


列車がやって来た。右側の湖は「ラーゴ・ビアンコ」(Lago Bianco)


列車が近付いた(ベルニナ線)


列車が頭上を通過する

この湖の端まで来たところで小休止となる。湖面の側に腰を下ろしながら、渡る風に身をまかせる。なんと心地良いことか。湖の上空には帯状の白い雲が流れ、青い空とアルプスの山並み、それにラーゴ・ビアンコの静かな湖面が陽光に映えて、なんとものどかで素敵な風景をつくり出している。


ラーゴ・ビアンコののどかな風景


ラーゴ・ビアンコの傍らで憩う

コースの後半になると、今度は線路を横切って右手の方向へ進んで行く。前半と違って山間部を縫って走る山路を歩いて行く。どうにかハイキングらしいコースになってくる。雪渓の側を通ったり、深い谷あいの向こうにイタリア領が見えたりと、風景も変化に富んでくる。途中、スイス3大名花(アルペンローゼエーデルワイスエンチアン)の一つアルペンローゼ(正式名:ロドデンドロン・フェルジネウム(ツツジ科)の花を愛でるのも忘れない。この花もあちこちに咲いており、日本のツツジとそっくりである。


ハイキングコース。前方の分岐点を左へ進む


きれいなアルペンローゼ


不明


雪渓を眺めながら進む


深い谷あいの風景


川のように見えるのは鉄道のトンネル


雪渓を眺めながら・・・


トゥロリウス・エウロパエウス?

しばらく歩いていると、小さな水溜りに出遭う。そのすぐ側をベルニナ線の鉄道が走っている。ガイドさんの話では、列車がうまく来合わせれば、この水溜まりに列車が映って“逆さ列車”が見られるという。列車の時刻を調べるとタイミング良く、あと5分ぐらいで通過するはずになっている。そこで皆は待つことにする。


今かいまかと待っていると、やがて列車の音が聞こえ始める。皆、一斉にカメラを構えて準備する。列車が通過する。小さな溜池だけに、列車はあっと言う間に逆さ列車の影を池に落としながら走り去ってしまう。その様子を次の動画に収めるのに成功する。


(動画)溜池に映る“逆さ列車”


列車の通過を見送った後、重なり合う山あいの風景に見惚れながら歩を進めて行く。やがてループ状の美しい曲線を描く線路が目に入る。今ちょうどそこを赤い列車が通過している。慌ててカメラを用意しているうちに列車は通過してしまう。う~ん、残念!


谷あいの遠く向こうはイタリア領


冠雪した山が見える


アルプ・グリュム駅付近のループ



(動画)ループを曲がる列車


このループポイントを通過して斜面を下って行くと、目的の駅「アルプ・グリュム」が眼下に見えてくる。ここまでが本日のハイキングコースなのだ。所要約2時間の行程である。途中、たびたび立ち止まっては数々の草花を観賞したので時間を食ったが、道草せずに歩けば1時間半足らずの距離であろう。


眼下にアルプ・グリュム駅が見えて来た


アルプ・グリュム駅
このアルプ・グリュム駅は山の斜面に位置するひなびた駅で、人影もなくひっそりと静まり返っている。この駅を利用するのはハイカーたちぐらいなのだろうか?ふと駅舎の壁を見ると、何やら日本文字の看板が見える。良く見ると、なんと日本の箱根鉄道がこのベルリナ線の鉄道会社と姉妹関係を提携した時の記念の掲示板なのだ。27年前のことである。これを見て、とても身近で親しみの感情が湧きあがってくる。


アルプ・グリュム駅


駅名の表示


箱根鉄道の提携記念板


列車が到着


サンモリッツへ
しばらく待っていると、赤い列車がやってくる。4時半発の列車に乗ってサンモリッツへUターンである。流れる窓外の景色は、すでに朝来る時に見ているので妙はない。朝の景色のおさらいをしながら、列車の揺れに身をまかせる。


1時間かかって出発点のサンモリッツへ到着。駅のホームの掲示板を見ると、ここにも日本語で書かれた掲示板がある。やはりアルプ・グリュム駅と同様に箱根鉄道との姉妹提携の記念板である。


箱根鉄道との提携記念板(サンモリッツ駅)

時間があるので駅の売店やキオスクを再度のぞいてみる。商品の値段調べをしてみよう。
・バゲットパン1本・・・7.4フラン
・トースト・・・8
・ハンバーガー・・・7.4
・ピザ・・・13
・ミネラル水(小)・・・3.5
・オレンジなどジュース類・・・2.5
・コーラ類・・・3.5
・缶ビール・・・4


夕食はレストランで
今夕食はレストランでとのことで、駅に到着すると、そのままサンモリッツのメインストリートへ移動する。


サンモリッツの町は、北側の丘の上のドルフ地区(St. Moritz-Dolf)と西側の平野部にあるバート地区(St. Moritz-Bad)に分かれている。ドルフ地区は行政的にも村の中心で、ホテル・レストラン・ショップなどが多くあるエリア。バート地区はその名前からわかるように温泉の湧出する保養地で、サンモリッツの村そのものの発祥はこちら側だそうだ。


夕食はこの丘の斜面にあるドルフ地区のレストランで、駅から徒歩で移動する。メインストリート(マイストラ通り)の両側には高級ブランド品の店やホテル、レストランなどが立ち並んでいる。だが、この時間(午後6時ごろ)の人通りは少なく、ひっそり閑散としている。夜になれば賑わうのだろうか?


サンモリッツのメインストリート


同 上

出されたメニューはスープにパスタ、デザートは甘いケーキである。ビール(小ビン6.5フラン=650円)を注文して喉を潤す。お腹は満腹。後はホテルに戻るのみである。


帰路はバス
ホテルまで歩くには距離があるので、路線バスで帰ることに。しばらく待っていると、Dorf~Bad間を走るバスがやって来る。これに飛び乗ってホテル近くのバス停で下車。10分もかからない。運賃は今朝渡されたパスが通用するので、問題なしである。


路線バス

ホテルに戻り、バスタブにつかって疲れを癒やす。今日の一日、素晴らしい快晴に恵まれてベルニナアルプスの大景観が観賞できたことに感謝しながら床に就く。



(次ページは「氷河特急でツェルマットへ」編です。)












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