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     N0.5




スロベニア編


旅のコース





首都リュブリャナ観光
バルカン半島の旅、4日目。6時に起床してみれば窓外はしょぼ降る雨模様である。昨日から不安定な天候が続いているのだが、とうとう雨の旅になるのだろうか? 少し意気消沈して気合いが入らない。


今日の予定は朝食後、まずはリュブリャナ市内を徒歩観光。その後、西へ移動して国境を越え、クロアチアに入国して首都ザグレブに至る。そしてその足で徒歩による市内観光を行う予定である。本日は2ヶ所も徒歩観光があり、健脚が問われるところである。それに備えて、十分にウォーミングアップしておこう。出発は9時と余裕の出発である。 


バイキングの朝食を済ませて付近を散策するにも、ホテルの辺りはビルが並ぶばかりでウィンドーショッピングできる店は一店もない。なんとも殺風景な地域で外出をあきらめざるを得ない。しょぼ降る雨では足も外へ向かない。TVでも見ながら部屋でゆっくりしよう。

(リュブリャナ市内の航空写真:上下左右に移動して見られます)

リュブリャナ市内中心部。円形マークはプレシェーレン広場、その右側面がフランシスコ教会、下の橋が3本橋。


三本橋
リュブリャナは首都にしてはこじんまりと小さな街で、観光ポイントも徒歩圏内にまとまっている。そこでぶらぶら歩きながら当地の現地ガイド(男性)に案内されて巡ることになる。彼に尋ねてみると、連日仕事が詰まっていて忙しいとのことである。この街の観光客も結構多いらしい。


ホテルを出ると運よく雨も上がり、人影もない日曜日の静かなストリートを我々一行だけがてくてく歩いて行く。通りの向こうにはフランシスコ教会の尖塔が見える。いかにもヨーロッパらしい素敵な風景だ。


向こうにフランシスコ教会の尖塔が見える

まず向かった先は三本橋。変わった名前の名所だが何のことはない、文字通り3つの橋が並んでいるだけのことである。だがこの橋は、リュブリャナのシンボルの一つとなっているそうで、1280年に木製の橋がこの位置に架けられたが火災に遭い、その後1800年代にイタリアの建築家によって設計された新しい橋に取り替えられている。そして1929年にはスロベニア人の建築家が橋の両側に歩行者専用の橋を付け加える設計をした。これで計3本の橋となり、その名が付けられたそうだ。


市内を流れるリュブリャニツァ川に架かるこの橋の前に立つと、3本の橋が重なり合って何だかごたついた感じで、外見的にはあまり感心したものではない。最古の中央の橋は自動車専用のようで、歩行者は両脇の橋を安全に渡ることができる。だが、中央橋を少し広げて歩道を十分に取れば済むことであり、それだと1本の橋にすっきりまとまるだろうに・・・。ま、いろいろ見方はあるだろうし、余計なお世話かもしれない。なお蛇足だが、この一方の橋の下には有料トイレがある。


リュブリャナのシンボル・3本橋


これが3本橋の中央の橋。この先の奥に赤屋根の市庁舎が見える。


市庁舎の裏手の丘にはリュブリャナ城の塔が見える

プレシェーレン広場
この3本橋のたもとには、リュブリャナの中心プレシェーレン広場がある。それほど広くはなく、その川沿い寄りに銅像が建っている。これは有名なスロベニアの詩人フランツェ・プレシェーレンと彼のムーサ(ギリシャ神話で文芸の女神)の像である。


広場の片隅に建つ詩人プレセーレンとムーサの像



 リュブリャナの中心プレセーレン広場。左手にプレセーレンの銅像、そのすぐ先には3本橋が続いている。




フランシスコ教会
広場の北側にはバロック様式のフランシスコ教会が建っている。静かに入ってみると、ミサの真っ最中である。そう、今日は日曜日なのだ。しばらく過ごして、そっと退出する。


広場に面して建つフランシスコ教会


日曜のミサの最中


リュブリャナ大聖堂
次は3本橋を渡って左に曲がり、通りを進んで行くとすぐに大聖堂に出る。ここもミサの真っ最中で中央祭壇まで入れない。そこで手前から静かに撮影を試みるだけである。この大聖堂の室内装飾は豪華絢爛で、壮大な天井画や数々の壁画で埋め尽くされている。内部造作も見事で金色に輝いて荘厳な雰囲気をただよわせている。


(動画)リュブリャナ大聖堂のミサ風景




大聖堂


豪華絢爛な大聖堂の内部

この聖堂のメインドアはブロンズ製で、歴史を感じさせる重厚なものである。扉には彫像が浮き彫りにされ、迫力のある雰囲気を醸し出しているが、これは1996年に著名なスロベニアの彫刻家によって彫られたものだそうで、1250年間におよぶスロベニアのキリスト教の歴史を表しているという。ドアは全面青さびがふいており、その中で、人の手が触るドアノブだけがピカピカとてかり、異様に輝いているのがとても印象的である。


ブロンズ製のメインドアの見事な浮き彫り。ノブが輝いている。


聖堂横手のドアの彫刻


リュブリャナ城
大聖堂を後にすると、石畳の上り坂を小高い丘に向かって移動する。


中世の香りが残る石畳の坂道を丘へ向かう。

しばらく歩くと、丘のふもとにあるリュブリャナ城へ昇るケーブル乗り場に出る。丘の急斜面には延長70mの超短い斜面エレベーターが設置されている。これを利用すれば城への坂道を歩くことなく、楽に上ることができる。このケーブルは06年の末に完成したというから、まだ出来てから新しい乗り物である。あっという間に昇り上がると、そこはお城の狭い中庭に通じている。


お城へ昇る斜面エレベーター。延長わずか70m。

この丘には、すでに紀元前12世紀には人の痕跡があったらしく、後年、14世紀には城が存在して地域の統括本部として長年統治を司っていたらしい。現在の城は当時のものより大きくなっているそうだが、これは皇帝フレデリックⅢによって建てられたものという。その時、堅固な城壁に囲まれた中庭やコーナーに建つ塔、それに2つの入門塔を備えた城砦が築かれている。また、15世紀のゴシック形式のチャペルを除いては、現存する城内の内装は16~17世紀のものとなっている。


丘の上に建つリュブリャナ城(パンフより転載)

19世紀初頭になって、しばらくの間牢獄として使用されていた城だが、1905年にリュブリャナ市当局が州よりこの城を買い取り、修復している。現在、2階にはウェディングホール、1階には訪れる人々の人気場所となっているカフェがあり、またずっと以前から開放されている展望塔がある。さらにまたリュブリャナの歴史が分かるバーチャル・ミュージアムもある。この展望塔へは132段の階段があるのだが、その鉄板造りのステップが模様入りで面白い。


お城の展望塔へ上る模様入りのステップ

長い螺旋階段を上って展望塔のトップに出る。オ~! ナイスビュー!! そこには赤屋根が印象的な市街地の様子が360度に開けて俯瞰される。レンガ色の屋根と緑のコントラストが美しく、ここでも申し合わせたようにヨーロッパ共通の風景が見られる。日本は灰色瓦のくすんだ風景だが、ヨーロッパ諸国では鮮やかなレンガ色の屋根屋根が陽光に映えて美しい。 


(動画)リュブリャナ城展望塔よりの眺望




(動画)リュブリャナ城の中庭&市街風景




(動画)お城のふもとの展望所よりの眺望





 展望塔より眺めた首都リュブリャナの風景



 上の写真の右側続きの風景。お城の中庭が少し見える。




市庁舎
お城の見学が終わると、再びケーブルに乗って丘の麓の通りへ下り出る。ここを西へ進むと3本橋から伸びるストリートと交差する。その真ん前に時計台の尖塔が立つリュブリャナ市庁舎がある。玄関口にはユーロ、スロベニア、リュブリャナの3本の旗がひらめいている。


時計台のある市庁舎

建物の壁面いっぱいに浮き彫りにされたリュブリャナの市街地図が見られる。その前の広場には塔の建つ円形噴水(Francesco Robb’s Fountain)が設けられて潤いを添えている。


市庁舎の壁面に描かれた市街図


市庁舎前の噴水(Francesco Robb’s Fountain)

ここで寄り道して庁舎の地階に下りて行く。下り立ったところに、大理石で造られたナルキッソスの像がひっそりと置かれている。これは噴水だが、ちょろちょろと流れ落ちる水が水面を作っており、それを覗き見している美少年のナルキッソスの像が影を落としている。ナルシストの語源となった美少年である。この像を見ただけで、他には用なしである。


大理石で造られたナルキッソスの像

リュブリャナ大学
市庁舎を後にして、石畳の路地を通り抜け、リュブリャニツァ川を渡ったりしながら歩いて行くとリュブリャナ大学前に出る。この大学はスロベニアで最初に設立された国内最大の大学で、その歴史は1810年に遡るという。約56,000の学生を抱えるこの大学は世界で最大規模の大学とされる。


石畳の路地


リュブリャニツァ川の風景。川辺にはカフェテラスが並び夜景が美しいという。


歴史のあるリュブリャナ大学

大学前を素通りして、きれいな公園を通り抜け、路地に入って進むと、最初の3本橋に出る。


人影もない素敵な公園


このストリートの先は3本橋

骨董市
3本橋のたもとの川沿いでは白いテントを張った骨董市がずらりと立ち並び、人出で賑わいを見せている。毎日曜日に催される定例市のようで、出品されている物は種々雑多なガラクタ品である。時間をかけて物色すれば、何か掘り出し物が見付かりそうで、マニアには垂涎の市なのかもしれない。


川沿いに並ぶ骨董市


市庁舎へ通じる通りにも市が並ぶ


3本橋たもとの市場ではガラス製品が並ぶ

レストランで昼食
市内観光をひとめぐり終わると、昼食の時間である。旧市街のレストランに移動し、楽しいランチタイムである。メニューは野菜サラダ、メインはポークステーキ、そして甘いクリーム状のデザートと続く。飲み物は昼間とあってオレンジジュースを注文。1カップ2ユーロ(約340円)と少々高い。


お腹を満たした後は、ここリュブリャナから西へ移動して国境を越え、クロアチアの首都ザグレブを目指して移動する。


リュブリャナの観光情報
プレシェーレン広場から3本橋を渡って市庁舎へ向かう通りの2つ目の辻にインフォメーションがある。そこで観光情報について係が案内してくれる。また、市内地図や案内パンフもあるので、これを見ながら余裕時間に応じて自力観光ができるようになっている。


係の話では、シティーツアーが毎日3本(午前10時、午後2時、午後5時)ほど出ているとのこと。ただし、冬季は土曜・日曜に限られているそうだ。また、予約によるツアー、市内センター~リュブリャナ城間を結ぶツーリスト・トレインの運行、ボートツアー、リュブリャナカードなどがある。(08年5月現在)



(次ページは「クロアチアの首都ザグレブ観光」編です)










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