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           NO.9




ローマ市内観光

第三日目。朝食はパンと牛乳・ソ−セ−ジですませ、ロ−マ半日観光へ出かける。(費用三九、〇〇〇リラ=二、六〇〇円) トレヴィの泉、パンテオン、セント・ピ−タ−寺院、バチカン市などをめぐりながら、市内を観光するコ−スである。いつも多国籍の人たちが乗る観光バスなので、数ヶ国語をあやつるガイドさんの説明が忙しい。その分だけ各国語の説明量は少なくなる計算だが、それでも聞いていると、いかにも外国に来たという感じがしてなかなか楽しいものである。
 

ロ−マの街をめぐっていると、歴史の重みと建物の壮観さに圧倒される。二千年前とか何百年前とかいう歴史のある石造りの建物が多く、そのどれもが美しい彫刻で飾られた外観は感嘆の声が出る
ほど素晴らしい。こうした建物が構成する街並みの風景は、荘厳さと風格に満ちあふれ、何ともいえ
ぬ落ち着いた雰囲気をかもし出している。また、セント・ピ−タ−寺院やパンテオンに入ると、ミケランジェロの作品その他の豪華絢爛さにド肝を抜かれてしまう。








黄金色に輝くバチカン美術館の回廊



 















バチカン美術館の絵画

















 美しい絵画に見とれる。






















 
 バチカン美術館の天井画





















2世紀に再建された神々の神殿・パンテオン
そのドームの天井画に見とれる。




















セントピータース寺院の内部













ローマ市内を流れる川
















 セントポール大寺院














セントポール大寺院の内部の庭園















 ローマ市内の噴水










トレヴィの泉に行くと、観光客で埋まっている。日本人の団体ツア−もいっぱいだ。五月のゴ−ルデンウィ−クを利用して一斉に繰り出して来たのだろうか。






トレヴィの泉
後向きでコインを投げたのだが・・・。












トレヴィの泉の周りには観光客ががいっぱい。










このトレヴィの泉はスペイン階段とともに、私にとっては特に忘れ得ぬ思い出の場所なのである。それは映画「ロ−マの休日」にまつわるちょっとしたエピソ−ドがあるからだ。


ヘプバーンからの手紙      
今から四十年ほど前、私の青春時代に「ロ−マの休日」が日本で初めて上映されたのだが、洋画が好きな私は早速この映画を見に行ったのである。そして、新鮮なオ−ドリ−・ヘプバ−ンの魅力と名演技にいっぺんに魅了された私は、帰ってから早速英文のファンレタ−を懸命に書いて送ったのである。その手紙では、彼女の好演をほめ称えた上で、今後の活躍を祈る旨を書き、長崎の絵葉書を一緒に同封して送ったのである。
 

しばらく経って大封筒の外国郵便が届き、中を開けて見るとオ−ドリ−・ヘプバ−ンのサイン入りのポ−トレ−ト写真(惜しいことに、その後紛失してしまった。)が入っているではないか。私は小踊りしながら喜び、額縁に入れて大事に自分の部屋に飾ったものだ。その後、別便で次のような丁寧なお礼の手紙が届いた。   





        (日本語訳)

 親愛なるイワモト ヤスオさんへ

素敵で心のこもったお便りと美しい長崎の絵葉書をいただき、大変ありがとうございます。それらを大事にしまって置きたいと思います。
あなたが「ロ−マの休日」を楽しんで下さり、大変嬉しく思います。そして、私の演技に対する素晴らしい評価にも非常に感激しました。
これからもますます映画の夕べを楽しまれますよう心より願っております。
(注:宛名のイワモトは私の旧姓)







今は亡きオ−ドリ−・ヘプバ−ンとの遠い昔の思い出にひたりながら、トレヴィの泉を後にする。バスでは、建設会社の財務担当をしているという韓国の青年と知り合い、写真を撮り合う仲となる。彼は、休暇を取って一週間の旅行中である。


観光の途中、日本人団体ツア−の女性ガイドが一服しているので、現地の事情を聞いてみる。話によると、ロ−マは日本人観光客が多く、そのため日本人ガイドが不足しているそうだ。でも現地では、観光ガイドの免許がないとガイドの仕事はできないそうで、ほとんどがイタリア人の有資格者を雇って一緒に回ってもらうのだという。彼女は二部屋のアパ−トを二人で借りて住んでいるそうで、ガイドの収入で十分暮らせるとのことである。
 

スペイン階段
半日観光が終わって昼食をすませると、次の旅程に必要なヴェネツィアー>ニ−ス行きの寝台車予約をテルミニ駅でとる。追加料金二一、九〇〇リラ(一、四六〇円)。その後再び、バルベリ−ニ広場のト−マス・クックへ出かけて両替をすませ、ここから歩いて思い出のスペイン広場へ向かう。ここも若い観光客であふれている。二十歳前後の若者たちで埋まっている。








 スペイン広場の近くにある塔















ここではぜひやっておきたいことがある。それは、このスペイン階段に立ちながらアイスクリ−ムを食べることである。「ロ−マの休日」で、ヘプバ−ンがスペイン階段でアイスクリ−ムを食べるシ−ンを思い出し、実感しながら、四十年前に思いを馳せたいのである。そこで早速近くの店でアイスクリ−ムを仕入れ、思い出のスペイン階段に立つ。そこには階段の余地がないくらいにツツジの花がいっぱいに置かれている。近くの若者に「キャンニュウ テイクア ピクチュア フォウ ミィ?」と撮影を頼むと、「オゥ シュア」とにこにこしながら引き受けてくれる。花の中に埋まりながらアイスクリ−ム持ち、そこでパチリと記念の撮影は終わる。                     




「ローマの休日」で有名な スペイン階段で記念撮影











夜のローマ観光
夜八時過ぎに迎えのバスに乗り、ディナ−付き夜のロ−マ観光に出かける。(費用九〇、〇〇〇リラ=六、〇〇〇円) 昨日デイトを約束したモニカ嬢は果たして来るのだろうかと、期待に胸が段ふくらむ。集合場所に着くと彼女が乗ってくる。やはり約束を守ってくれたのだ。私を見つけるなり、スマイルをたたえながら滑り込むように私の横に座る。素敵にドレスアップして昨日のTシャツ、ジ−パン姿とは打って変わり、一段と輝いてまぶしい。イルミネ−ションに輝くロ−マ市内をめぐりながら、二人の楽しい会話が続く。なんとロマンティックなロ−マの夜だろう。
 

再びトレヴィの泉を訪れる。昼間と違って夜のライトアップされた泉は、一段とロマンティックである。昼間より観光客は少ないが、それでも結構人出が多い。ここで思い出にと、二人で後ろ向きになり、ファウンティンにコインを投げ入れる。果たして再会できるのだろうか。ひととおり夜のロ−マをめぐり終わると、最後はレストランでのディナ−である。
 






 夜のトレヴィの泉
















私たちのグル−プはアメリカ、メキシコ、ブラジル、ドイツから来た人たちで、私を含め十二人である。素晴らしいカンツォ−ネの歌が響きわたるレストランの中で、みんな和気あいあいのうちにワインで乾杯、そして郷土料理に舌つづみを打つ。私の左側には五週間の旅をしているという二十代のアメリカ人美人姉妹、右側にはドイツのモニカ嬢、向かい側にはメキシコの中年カップルとブラジルのカップルが座っている。向かい側の婦人は英語は話せないが、手振り身振りでスペイン語を使いながら懸命に話しかけてくる。なんとか判読しようとするのだが、モニカ嬢も私もほとんどわからない。それでも楽しいディナ−のひとときが過ぎて行く。 


カンツォ−ネがまた素晴らしい。アコ−ディオン弾きの伴奏に合わせて年配の男性歌手と女性歌手が交互に歌うのだが、その声量には本当に圧倒されてしまう。各テ−ブルを回りながら歌うのだが、額に汗が吹き出るほどの熱唱振りにみんな拍手喝采である。最高に盛り上がって、私たちのグル−プは思わずみんなで手をつなぎ合い、テ−ブルを囲んで輪をつくりながら音楽に合わせて調子をとる。なんと素敵な夜だろう! ワイングラスに夢のような和やか夜のム−ドが溶け込んでいく。
 

奥のほうに陣取っていた日本人ツア−の団体さんたちが、早々と引き上げていく。私たちは、それからたっぷりと歌を聞きながら楽しい時を過ごし、十一時ごろになってレストランを引き上げる。今夜の素晴らしい体験は、ロ−マを忘れ得ぬ思い出の地とさせることだろう。帰りのバスの中で、モニカ嬢から明日コロッセオ(有名な円形闘技場)に行かないかと誘いの申し込みがある。建築家らしく、もう一度見たいのだという。私も行く予定だったので、二つ返事でOKする。デ−トの場所を決め、明日への楽しみを胸に秘めながら手を振って別れを告げる。


(次ページは「バチカン美術館・コロッセオ編」です。)










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