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            NO.38




ヴェルサイユ宮殿
第三日目(六月十七日)。ガンガンの好天気、午後の炎天下には三十度近くもありそうな感じで、とにかく暑い。今日の観光予定は、昼間のベルサイユ宮殿と夜のセ−ヌ河クル−ズである。九時前ホテルを出てヴェルサイユへ向かう。宮殿はパリ郊外にあるので、RER(高速地下鉄)に乗り換えて行かなければならない。メトロ(地下鉄)に乗ってアセンブレ・ナショナル駅へ行き、そこでRER(C)5線に乗り換えて終点のヴェルサイユ・リブ・ゴ−シュ駅で下車する。


RERはユ−レイルパスが通用するのでタダで乗れるが、自動改札口を通るとき機械にかけるチケットがないので、窓口でユ−レイルパスを示して通行券をもらう必要がある。そこで「パス パッサ−ジュ シルブプレ」といいながら通行券をもらい、乗り継ぎにもたつきながら、やっとヴェルサイユ行きの一等車に乗り込む。三十分ぐらいで終点に到着。そこから宮殿まで歩いて七分ぐらいである。






ヴェルサイユ宮殿前










ヴェルサイユ宮殿とその大庭園は、十七世紀フランス芸術の最も美しい集大成とされる。当初ルイ十三世の狩猟のための小さな城館であったものが、その嫡子ルイ十四世により改築、拡張され、宮廷とフランス国政がここに据えられた。その後ルイ十五、十六世時代に、十八世紀の装飾を施された新しい居室が加えられて華麗に変貌している。






 ヴェルサイユ宮殿















 ネプチューンの泉















ヴェルサイユの庭園















 これも同庭園










たっぷり時間が使えるので、ヴェルサイユ〜トリアノン・パスポ−ト(宮殿、大トリアノン、小トリアノンを見学できる共通チケット)を購入して入場する。ここにも“六十歳以上割り引き”の表示があるので、「ジュ スュイ スワサ−ントゥ アネ」といって六〇フランのところを四五フラン=八二〇円に割り引きを受ける。


宮殿内に入ると、案内用カセットテ−プの説明をイヤホ−ンで聞きながら、ルイ十四世の居室、有名な鏡の回廊、王妃の居室などをめぐって行く。華麗で豪華絢爛とは、このことをいうのだろうか。ルイ十四世が、財政難に陥るほどの浪費と情熱を注ぎ込み贅のかぎりを尽くしてつくった宮殿だが、そのため庶民の生活は困窮し、フランス革命へのきっかけになってしまったという。






 王の寝室

















 王妃の寝室















宮殿内を見回していると、夜毎繰り広げられた栄華三昧の宴のさざめきが、今にも聞こえてきそうである。耳をすますと、フランス革命で断頭台の露と消えたマリ−・アントワネットの足音さえも聞こえそうである。鏡の回廊は、幾つも下がる豪華なシャンデリアときらめくような装飾で飾り立てられた大きく長いホ−ルの感じで、庭園側に並んだ大きな窓と反対側に設けられた同形の窓々には、全面にわたり鏡がはめ込まれていて壮観である。






豪華絢爛な鏡の回廊










この宮殿を取り巻く庭園のスケ−ルの大きさにはド肝を抜かれる。なにせ小庭園だけで九十四ヘクタ−ル(二十八万五千坪)の広さがあり、その数倍にも及ぶ森のように広がる大庭園を加えると全体の広さは想像を絶するものがある。大庭園のほうには、そのど真ん中を貫くように大きな十字形をしたグラン・カナル(大運河)がくり貫いてあり、そこで多くの行楽客たちがボ−トを浮かべて楽しんでいる。






ヴェルサイユの庭園















これもヴェルサイユの庭園















 グラン・カナル










これほど広大な庭園だけに、歩いて回れば一日がかりの遠足になってしまう。運河の近くにある大トリアノンに行こうと歩きかけてみるが、遠すぎて建物の影さえ見えない。徒歩だと二十分もかかるという。そこで引き返し、庭園内を周回するミニトレインを利用することにする。
 

大トリアノンの少し手前にある小トリアノンでミニトレインを降りる。この小トリアノンは、マリ−・アントワネットが愛した離宮という。彼女が恋人とひとときを過ごした愛の神殿がある。森で囲まれた一角に、こぢんまりしたたたずまいを見せている。そこから数百メ−トル先へ歩くと大トリアノンである。






 プティ・トリアノン
















 大トリアノン














 大トリアノンの内部















大トリアノン内の王の寝室















 大トリアノンの庭園










この離宮はルイ十四世が政務から離れて静養するために建てられたもので、退位後は恋人のマントノン公爵夫人とここで暮らしたという。一階建てのイタリア様式の建築で、ラングドック地方産のバラ色の大理石柱が使われているのが珍しく、それがソフトであたたかい雰囲気を醸し出している。この大理石の円柱の柱廊から眺める庭園は素晴らしく、静かな雰囲気を漂わせている。内部にはルイ十四世の寝室や鏡の間、オテルの回廊など豪華な部屋が幾つも並んでいる。                    
 
大トリアノンから宮殿へ戻るミニトレインを待つが、なかなかやってこない。二時半スタ−トのガイド付き案内で、マリ−・アントワネットの居室を見学するコ−スに二三フラン=四二〇円 で予約しているのだが、これでは間に合いそうにない。大トリアノンの庭園があまりに美しいので、休息を兼ねてゆっくりしすぎたのがいけなかった。宮殿へ戻ったのはスタ−トの時間より十分遅れで、見学には参加できず残念。その代わりに、ルイ十五世と十六世の居室を見学する英語案内のコ−スが間に合うので、それに変更する。寝室、執務室、書斎など、豪華な装飾と調度品が残る数々の部屋をめぐりながら、見学は一時間で終わる。         


昼食は宮殿の地階にあるカフェテリアですませ、朝の十時から午後四時まで、たっぷり一日かけたヴェルサイユの旅を満喫して帰る。五時過ぎホテルに到着し、一服してからお馴染みのカフェテリアへ夕食を取りに出かける。魚、ライス、サラダにビ−ルで七一・一〇フラン=一、三〇〇円。夜はセ−ヌ河クル−ズだ。



(次ページは「パリ市内観光編」です。)










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