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                NO.6




5.ケアンズ散策
 
今日は予定なしの日。ベッドの中でゆっくり過ごしながら8時に起床。2日連続で島に渡り、陽に焼けながら泳ぎ慣れないシュノ−ケリングをやったので、さすがにお疲れである。中休みの日を設けていて正解である。高年ともなると、無理した後のたたりが怖い。背伸びをしながらテラスに出ると、今日も穏やかな快晴である。こんな日にアクティビティ無しというのはもったいない気もする。だが、ここははやる心を抑えて静かに過ごそう。
 

何事にもゆっくりと時間をかけ、のどかな時の流れを楽しむ。朝食には買い置きのパン、牛乳、コ−ヒ−、リンゴ、オレンジなどを並べ、南国の朝日に輝く窓外ののどかな風景を眺めながら、時間をかけてゆっくりといただく。ゆとりのひとときは、人の心を和ませ、心の底まで癒してくれる。特に現代人には、ゆったりと流れる時を感じさせる環境づくりが必要だ。旅に出ると、がめつく駆けずり回りたくなるのが常だが、逆に非日常の世界にひたれるのはこの時しかないこと思えば、世の動きに煩わされることなく、たまにはのどかな空間に身を置くのもいいものだろう。
 

何もしないと言うぜいたくな時間がゆっくりと流れていく。テラスの椅子に深く座って目の前に広がる通りの風景や遠くの海の様子をいつまでもぼんやり眺め入る。そうかと思えば、寝転んで案内パンフに目を通す。そして今度は、日常では習慣がない朝風呂に入ったりする。旅先では、いくら時間があってもできるだけTVは観ないことにしている。世事から切り放された世界に身を置きたいからである。
 

昼食は海鮮ヌードル
のんびり過ごしていても、お腹だけは不思議と空いてくる。胃腸も健全に活動しているらしい。では、彼らに敬意を表して昼食に出かけることにしよう。今日も同じ場所なのかな?と言う彼らの問いかけに、もちろん!と答えて、得意先のエスニック食堂へ足を向ける。雲一つない青空が視界いっぱいに広がり、太陽がさんさんと輝いて容赦なく地面を照らしている。家並みの影を見つけながら、のんびりと歩いて行く。
 

勝手知ったる食堂に入ると、さて今日の料理は……と各店舗のメニュ−写真を見回しながら物色し始める。そうだ、まだ海鮮料理は食べていないなあ……よし、今日はこれにしよう。そう決めると、エビなど魚介類が入ったヌ−ドルを注文する。あっさりした味付けのヌ−ドルは野菜もたっぷり入ってボリュ−ムも十分だ。これがコクのあるス−プで麺が変われば、長崎チャンポンになるところだ。
 

公園で憩いのひととき
お腹が満たされて食堂を出ると、前のエスプラナ−ド通りを横切ってラグ−ンのある公園に出る。今日も相変わらずプ−ルには人影が見える。プ−ルにつかっているのはほとんどが子供たちで、大人たちは芝生の上でのんびりと甲羅干しに余念がない。年間を通して陽光あふれる土地柄なのに、それでもなお日光を浴びたいというのだろうか? 太陽光の少ない北欧の人たちなら分かる気がするのだが……。とにかく、のどかな午後の風景ではある。



 この5月、埋立地に新設されたプール(通称ラグーン)。昼下がりののどかな風景。



公園の片隅の木陰にベンチを見つけて腰を下ろす。午後の居場所はここに決めよう。広々とした公園の芝生が目に優しく、照り返しもなくて渡る風も爽やかだ。真夏のケアンズは知らないが、今の時季は快適に過ごせる。いい気分で座っていると、隣に若いカップルがやってきて腰掛ける。挨拶を交わして話を聞くと、なんと二人は昨日結婚したばかりだと言う。まさに新婚ほやほやなのだ。「ご結婚、おめでとう!」と言葉をかけると二人とも照れた様子。住まいはこの地に住んでいるそうだ。
 

話を聞くと、太っちょの新郎はギリシャ出身で、新婦はイタリア出身だと言う。移民同士のカップルらしい。そこで、以前覚えたギリシャ語で「ヘ−レテ(こんにちは)」と挨拶すると、懐かしい言葉に喜んだのかギリシャ語で応答してくる。だがそれ以上、分かるはずがない。新婦にはもちろん「ブォンジョ−ルノ」と声をかける。ギリシャ語やイタリア語が話せれば、もっと話がはずむのかもしれないが、こればかりはどうしようもない。しばらくすると、2人は腰を上げて「アリヴェデルチ!(さようなら)」と手を振りながら立ち去って行く。
 

再び一人きりになって、のどかな午後のひとときを過ごす。気温は30度を超えているのだろうか? 木陰にいると渡る風も爽やかで、それほど暑さを感じない。湿度が低いせいだろう。日本の夏よりも過ごしやすい感じだ。日本からの飛行時間も7時間と短いし、アクティビティも充実していて楽しめるし、この地が日本人にとってハワイ化しているのが分かるような気がする。
 

のびやかな午後のひとときを過ごし、全身から芯が抜けたようなリラックス気分になる。埋立地に素敵な公園が生まれたものである。あと10年もすれば、樹木なども成長してもっと雰囲気のある落ち着いた公園になるのかもしれない。そのころ、また来てみたい気がする。どんな街に変わっているのだろう? 今回は8年ぶりの訪問だが、その間にこれほど広大な埋立地が出現して変貌を遂げている。自然を大事に残しながら、素敵に変貌してもらいたいものである。
 

夕食は中華のテイクアウト
長時間過ごした後、ようやく腰を上げホテルへ戻ることにする。その前に、まずは夕食の手配をしなければ……。そこで再びエスニックの食堂に行き、中華料理のテイクアウトをすることに。それをぶら下げて歩きながら、今度は途中にあるス−パ−マ−ケットに立ち寄る。ここでパン、オレンジ、リンゴなどを買い込んで持ち帰る。ホテルの前にさしかかると、カジノのド−ム屋根が陽光に輝いている。そうだ、今夜あたりこのカジノ見物に出かけてみるとしよう。 






 カジノの建物










夕暮れ時まで部屋でゆっくりと過ごした後、やおら夕食にとりかかる。あまり代わり映えのしない食事内容だが、慣れている食べ物がいちばん無難でよい。デザ−トはリンゴにオレンジでしめくくり、満足感十分の夕食は終わる。一息入れて小休止すると、身仕度を整えてカジノへ出かける。ここはちょっと服装に気をつけよう。入場拒否されたら困るので、ショ−トパンツはやめて長ズボンに着替えて出動する。
 

カジノ見物
ホテル前の道路を横切れば、その真ん前がカジノのあるホテルである。このホテルに付属して別棟のド−ムに設けられたカジノで、その入口には二人の係が立っていて入場者をチェックしている。内部は円形状の広いスペ−スで吹き抜けの2層になっており、客はゆったりした気分でゲ−ムに興じることができる。すでに多くのゲストたちが、それぞれのギャンブルに興じている。まあまあの客の入りようだ。トライするつもりはないので、ただ“Just looking”である。1階はル−レット、トランプゲ−ムなどのテ−ブルゲ−ムが主で、2階にスロットなどの機械が並んでいる。
 

2階に上がってみると、日本人青年がスロットを楽しんでいる。背後からのぞいてみると、けっこう当たりが出てかなりの得点を稼いでいる。なかなかやるじゃない! スロットはパチンコと似た原理だが、パチンコのように鉄球の出入りがないだけ音が静かである。それに近年は電動になってボタンを押すだけであり、昔のように大きなハンドルをガチャリンコンと回すこともない。パチンコも同様の歴史をたどっている。動作の労力は省けるのだろうが、なんとなく機械的で面白味がないような感じがする。
 

ナイトマーケット
青年の稼ぎぶりを見るだけでは面白くない。そうかと言って、ゲ−ムをする気はないので、ここらで退場してナイトマ−ケットに行くことにする。ここも夜のマ−ケットだけに、電光が点る頃になればシャッタ−が開き、俄然活気づいてくる。ここへ来ると何か掘り出し物がありそうな気がするのだが、何度回ってみてもそれらしき物は見当たらない。結局、幾箱かのチョコレ−トを買ってお土産にする。ここで買っておかなければ、明日はその間もなさそうだ。  


お土産を手にすると、もうあとは用無しとばかりに、ホテルへ向かう。とはいいながらも、やはり途中の土産品店にも首を突っ込み、さらには巨泉の店にも立ち寄ったりしながらひやかして回る。だが、見慣れた品ばかりで、これはと関心を引く物は見当たらない。今夜はここまでとあきらめてホテルへ引きあげる。
 

明日はいよいよ旅の最終日。最後を飾って世界遺産のキュランダ観光に行く予定である。どんな素敵な思い出を抱かせてくれるのか楽しみだ。テラスに出て夜空を見上げると、満天の星がこぼれそうである。南十字星はあの星かな? 明日の天気も心配なさそうだ。


(次ページは「キュランダ村観光」編です。どうぞお楽しみを・・・。)










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