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              NO.4




4.フランクランド島(無人島)観光
 
3日目。今日は無人島行きで出発が早いため、6時起床。テラスから見上げる空は快晴だ。これはありがたい。ほっと安心したところで、朝食の用意だ。昨夕調達したチキンとフライドポテトを並べ、これに買い置きのパン、ジャム、牛乳を添える。今日の昼食はランチ付きだから心配いらない。今日もタオルを借りて行こう。
 

ディラ−ルへ
身仕度が終わると、7時30分にやって来る予定のピックアップバスをロビ−で待つ。ほぼ正確にやって来たバスに迎えられ、最初の乗客となる。このホテルのピックアップが最初らしい。その後、数ヶ所のホテルで乗客を拾いながら、バスは海側とは反対の南の奥地へと向かう。乗客を見回すと5、6人の欧米人がいる他は、みんな日本人ばかりである。この街はどこへ行っても日本人ばかりだが、もし日本人客が来なくなったら旅行業はあがったりだろう。事実、SARS騒ぎで日本からの旅行者が途絶えた時は、ガイドなどの仕事がなくて困ったとのことである。
 

バスは郊外の平野が広がる地域をひた走る。この地域にはサトウキビ畑が広がっているのだが、今は収穫が終わった後のようで、それが生い茂ってそよぐ風景は見られない。そう言えば、このケアンズの街は砂糖の集積地でも知られているのだ。途中の所々に、紫色のジャカランダの花や真紅の火焔樹の花が咲いている。それらの樹木がたまにぽつりとあるだけで、並木になっていないのが惜しまれる。ジャカランダや火焔樹の並木が見られたら、実に壮観なのだが……。
 

こうしてバスは走ること約1時間、発着地のディラ−ルに近づいて来ると左側に川が見えてくる。これがマルグレ−ブ川なのだ。おいおい、海の無人島に行くのに、どうして川へ? 不審に思っていると、バスは川岸でストップ。周囲には家らしい家もなく、人里離れた感じで、ただ荒れ地が広がっているだけである。川岸にはマングロ−ブの木々が鬱蒼と生い茂っている。こんな所に船の発着所が? タ−ミナルの建物ひとつさえ見えない。
 

案内される方をよく見ると、なんと樹林の陰にクル−ザ−が見えるではないか! 桟橋もない川岸に船は直付けの形で停船している。そこにはただ船側まで降りる渡り階段が作ってあるのみ。それを伝って、みんなは乗船を始める。このクル−ザ−はグリ−ン島行きの船とは違ってやや小型であり、キャビンは1階のみで、2階はデッキになっている。みんなの乗船が終わるとエンジン音を響かせながら出航である。
 





 
ここが乗船場











マルグレ−ブ川の風景

船は静かな流れをたたえるマルグレ−ブ川を河口に向かってゆっくりと走り始める。海の離島に行くのに、面白いコ−スをたどるものだ。目指す無人島は、1日の上陸人数が100人と限定されており、このクル−ズの船だけしか通わない。それだけに、秘境の匂いがするのだが、さてどんな島なのか心わくわく、期待に胸がふくらむ。船は鏡のような川面を切り裂きながら、ゆっくりとスロ−ペ−スで航行する。川の区域では敢えてスピ−ドを出さないらしい。川の両岸に鬱蒼と広がる熱帯樹林の景観を鑑賞させるためなのか、それとも規則でスピ−ド制限されているためなのだろうか?
 





鏡のような川面をゆっくりと進む














鬱蒼とした熱帯雨林に覆われたマルグレ−ブ川









デッキの上から眺める景色は実にのどかな大自然の風景で、それがゆっくりと流れて行く様はなんとも言えず人々の心を和ませてくれる。その中には富士山に似た三角形の整った山も見える。ほんとに、これから海上の島に行くのだろうかと疑いたくなる。



 この大自然の風景に抱かれながら、船はゆっくりと流れるように進む。








富士山のような三角形の山が見える









そのうち、シュノ−ケリング用具の貸し出しが始まる。自分のサイズに合ったフィンをもらい、マスクも空気漏れがないかを確かめて受け取る。これが今日の大事な商売道具だ。座席に戻ると、モ−ニングティのサ−ビスが始まる。いい気分で喉を潤していると、日本人スタッフ(1人だけ同行している)から救命具など安全対策についての説明が始まる。同時に今日の日程についての案内がある。
 





シュノーケリング用具の配布が始まる











今日の日程
それによると、上陸後間もなくしてシュノ−ケリングツア−があり、その後、半潜水艦によるツア−がある。それが終わると楽しいランチだ。小休止した後、スタッフの案内で島内散策、その後は出発まで自由時間。ただし、15時出発の予定のところ、本日は引き潮の関係で川の航行が難しくなるため、時間を早めて14時過ぎの出発に変更するとのこと。それだけ滞在時間が短くなるので残念なことだ。ついでに、本日の参加人員は33名とのことである。これだとひっそりと過ごせそうだ。後で聞いた話だが、いちばん多い時季は年末・年始のころで、それ以外は滅多と定員の100名に達することはないという。
 

川のコースをたどる理由
そうこうするうちに、船は河口にさしかかっている。再びデッキに上がると、その向こうに大洋が開けている。と同時に、やや風も出始めている。






河口に到達。先には大洋が広がる。









ここまで到達するのに出発から約30分かかっている。河口を出ると、船は急に速度を上げ、高速運転に入る。どうしてこんなコ−スをたどるのか疑問に思うので、スタッフにその理由を尋ねてみる。すると、答えはこうだ。つまり、ケアンズの波止場からだと、フランクランド諸島まで2時間かかるそうで、それでは航行距離が長くなり、乗客にも負担がかかる。そのため、1時間の短時間で航行できるこのコ−スをとるのだという。そのうちの半分は川だから船酔いの心配もないというわけだ。なるほど、そんな理由から川の上流から出発するという珍しいコ−スをたどる訳だ。
 

フランクランド諸島
河口から半時間足らず走ったところで、早くも前方沖合に小さな島影が見え始める。これが目的地のフランクランド諸島なのだ。この諸島は小さな6つの島からなる無人島で、出発地点のディラ−ルから15kmほどの距離にある。われわれが上陸するのは、そのうちのいちばん左端にあるノ−マンビ−島である。ここは無人島なので桟橋はもちろん、トイレ、シャワ−などの設備は一切ない。だが、トイレの用ができた時は、その旨を告げれば小型ボ−トで本船まで往復してくれるので心配無用だ。
 





フランクランド諸島が見えてきた














この左端の島が上陸するノ−マンビ−島









島に近づくにつれて、風が強くなってくる。波頭が見え始め、船も揺れ出している。この様子ではシュノ−ケリングは無理かな?という不安が胸をよぎる。どうなることかと気にしながら見守っていると、船は島に近づき、100mほど沖合で停泊する。そして、そこから半潜水艦に乗り換えて上陸することになる。この船は珊瑚礁観賞用のもので、この島に常時停泊させてあり、本船と島の間の連絡船にも使われている。
 

島へ上陸
乗客を乗せると半潜水艦は本船を離れ、島のビ−チへ向かう。ざざ〜っと船底からビ−チに乗り上げながら停船すると、いよいよ上陸開始である。海が時化ているせいか、海水の透明度は期待したほどではない。このビ−チは風下で島影になっているためか、波は穏やかで波立ちはない。ちっぽけな貸し出し用テントが数張りあるのだが、先に上陸した者が先取りしてしまい、遅れた者には当たらない。早い者勝ちとは、ちょっと問題である。
 





これがグラスボトムボート(半潜水艦)
これに乗り換えて上陸










このビ−チから樹林の中を通り抜けて反対側の風上のビ−チに向かう。そこへ出てみると、一瞬立ちすくんでしまう。海面には大きな白波が一面に立ち上がり、それが長いビ−チへ向かって打ち寄せているのだ。そして波打ち際まで達すると、巻き込むように大きなうねりとなって砕けている。これでは海水に入るのは到底無理だ。波打ち際では身体を波に巻き込まれてしまいそうだ。みんななす術もなく、ただぼう然と立ちつくすのみ。



 この時化の海では・・・。うらめしそうに海を眺めるのみ。ここがメインのビーチで、シュノーケリングが楽しめるのだが・・・。



それを横目に、スタッフたちはテントの設営に大忙しである。傍の木陰に大型テントの設営場所があり、ここに昼食用のテ−ブルが設置される。これらの用具は、これも木陰に設けられた大きな保管箱の中にしまわれており、そこからスタッフが取り出してテントを張ったり、テ−ブルを広げたりしてセッティングするのである。今日は風が強く、この場所を吹き抜けて行くため、テントも吹き飛ばされそうで、設営にも困難を極める。ようやく2張りのテントを張り終えたものの、手前のテントは風にあおられて浮き上がる始末。なかなか大変な様子だ。


(次ページへつづく・・・)










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