オーストラリア・シンガポール編




4.ハ−バ−ブリッジとオペラハウスがシンボルの街・・・・ シドニ−
 
今日はシドニ−への移動日。晴れた気持ちのよい朝、十一時発のアンセット航空に乗るため空港へ向かう。便利なことに、出発時間を予約しておくと空港バスがホテルの玄関まで迎えに来てくれるので有難い。この送迎サ−ビスは国内いずれの都市も全く同様で、ホテルさえ決めてあれば空港までの往復はほんとにラクチンである。空港の待合いには日本の老人ツア−グル−プの一行が座っている。隣のお人好しのオジサンに話かけてみると、福島から来た農家のグル−プという。仕事は子供夫婦に任せ、妻をなくした現在は時々海外旅行を楽しんでいるという。それが東北弁丸出しで話すので、英語と同じくらい聞き取るのが難しい。
 

ホテルへ
飛行機は二十分遅れで離陸し、一時間ちょっとでシドニ−到着である。空は厚い雲に覆われているが、雨だけはなんとか降らずに保っている。シドニ−一番の歓楽街キングス・クロスの一角にあるホテルまで、エアポ−トバスで送ってもらう。車窓から眺める大都市の第一印象は、なんだか東京や大阪に似ていているなあという感じである。なにかゴミゴミと汚く、雑然としているからだろうか。これは意外である。
 

二時頃ホテルに到着すると、以前に予約した時の物静かな女性がフロントで出迎える。早速、観光のことで相談すると、ブル−マウンテン行きは明後日のほうがいいでしょうという。今朝まで大雨で、明日もこの分ではすっきりしない天気だろうから、霧のかかりやすいブル−マウンテンは延ばしたほうがよいという。彼女の忠告を聞き入れて、明日は市内観光にしておこう。


それでは今夜は夜の観光へ繰り出そうと、その場で予約を入れてもらう。それまでゆっくり時間があるので部屋に入り、用意されたポットでお湯を沸かしティを飲みながら一服する。ここもキングサイズのベッドにもう一つシングルベッドが備えてある三人部屋である。メルボルンのホテルもそうだが、どちらもこれで一泊四千円程度と割安である。いずれもテレビ・エアコン・冷蔵庫付きである。
 

一息入れると早速、周辺地域の探索に出掛ける。ここのメイン・ストリ−トであるダ−リングハ−スト・ロ−ドを歩いてみると、その賑やかなこと。新宿・歌舞伎町に似た歓楽街とあって、ファ−スト・フ−ドをはじめインド、タイ、韓国、日本その他さまざまな国際色豊かな飲食店レストランが列を連ね、ゲ−ムセンタ−にディスコやストリップショウなどもそろって二十四時間眠らない街となっている。通路に出ている屋台のフル−ツ店なども「二十四時間」と書いて貼り出している。団体旅行の見学コ−スにもなっているらしく、日本人グル−プの一団がコンダクタ−に引率されて見物している姿も見られる。再びホテルに戻って休息を取る。  


当てられた部屋へのル−トが複雑で、まずリフトで三階まで上がり、それから途中二ヶ所の扉を開けながらフロアをL字型に通り抜け、さらに階段を上がって四階の部屋に到着する。そこで、夜の観光に外出しようと部屋を出たのだが、リフトの方まで行くのはめんどうなのでそのまま階段を降りてみる。すると薄暗い一階の裏口らしいところに出る。ふとドアの上を見ると赤字で「アラ−ムがセットされている。」と書いてある。「?」と思いながらも、ままよとばかりドアを開けて外へ出る。


と同時に警報ベルが鳴り響き、ガ−ドマン二人が駆け付けて来て、細い路地裏をスタコラ歩いている私を呼び止めにかかる。一人は見覚えのあるガ−ドマンで、私の顔を見るなり、「ここから出てはいけません。これになりますよ。」と息を弾ませながら手首をクロスして手錠を掛ける仕種をして見せる。「どうも騒がせてすみません。」と笑いながら、集合場所になっている高級ホテルのガゼボ・ホテルへの行き道を教えてもらう。とんだ騒ぎを起こしたものだ。
 

市内観光
途中、早夕食を取ろうとあちこち物色するのだが、これほど飲食店は多いのに好みの店が見つからない。やむなく、韓国料理店に並んでいるビ−フカレ−を選んで夕食とする。観光バスは定刻の五時五〇分に出発、夏時間と少し青空がのぞき始めたせいで夕暮れとは思えない明るさの中を走り出す。乗客は十数名と少なく、外国人の老若男女カップルや友人仲間らしい乗客が乗っているだけでガラ−ンとしてる。


バスはシドニ−の観光目玉ハ−バ−・ブリッジを渡り、対岸の橋のたもとで写真撮りのための小休止をする。なるほど、ここからの眺めは素敵なアングルで、ハ−バ−・ブリッジの橋桁の向こうに絶好の位置でオペラハウスの印象的な白亜の建物がおさまっている。ここで一枚記念写真を撮ってもらう。








 ハーバーブリッジとオペラハウス















その後、二年ぐらい前に完成したという海底のハ−バ−・トンネルを抜けて中心部へ戻り、オ−ストラリア海軍の停泊地前を通り、そして最もトレンディな郊外で瀟洒なテラス・ハウスが並ぶパディントンへと向かう。そして格好の撮影ポイントで再び小休止、ドライバ−はなかなか心得たもだ。このポイントは先ほどの撮影場所とはちょうど真反対の位置関係になるが、暗くなりかけた西の空には夕日に映える茜色の雲が広がって、ダウンタウンの高層ビル群とハ−バ−・ブリッジが遠くに美しいシルエットでスカイラインを描き出している。こんな素敵な光景は、雲の多い日にしか見られない数少ない機会だろう。
 





夕日に映えるシドニー中心街










その後は、イルミネ−ションきらめく市内中心部のヘイマ−ケット、チャイナタウン、ダ−リング・ハ−バ−、ロックスなどを巡り、最後にシドニ−タワ−へと向かう。このタワ−は高さ三 二四メ−トルと南半球一の高さを誇るもので、眼下に広がる見事な夜景をたっぷりと楽しませてくれる。展望台の下の階にはレストランがあって、ディナ−付きのコ−スを申し込むとここで夜景を見ながら夕食となる。だが、老カップルと私の三人だけはディナ−なしを選んでいるので、他のみなさんと別れて帰路につく。三時間半の行程を終えてホテルに送り届けてもらったのが夜の九時半である。


夜のキングス・クロスは一段と活気を増して、赤や青のネオンの光が道行く人を魅惑するように揺らめいている。ストリップ・ショウの入り口前では、呼び込みの兄さんたちが片っ端から通りの人をとらまえては誘いをかけている。そんな賑わいの中を通り抜け、ホテルへ帰り着く。今夜も眠らない夜が続くのだろう。



 


夜のキングス・クロス                    










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