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               No.7





6.大都市オ−クランド

 
今日は最後の訪問地オ−クランドへ移動する日である。11時40分発の飛行機だが、空港まで10分と近いので、ゆっくりできる。朝8時に起床して外を見ると、今日も空は晴れて天候は心配なし。天候不安定な地域にしては、4日間の滞在中好天続きに終わり、ほんとにありがたい。10時に予約したシャトルバスがホテルまで迎えに来るので、それまでに朝食を済ませ、身仕度を整える。
 

時間どおりにやって来たシャトルバスに乗り込むと、あっという間に空港へ到着。愛しいクイ−ンズタウンの町にゆっくり暇を告げる間もない。空港でたっぷりと待ち時間を過ごして、やっと機上の人に。1時間40分の飛行は、機内食を食べることで過ぎてしまい、退屈する間もない。そして午後1時半、機はオ−クランド空港に到着。


オ−クランドについて
この街はニュ−ジ−ランド最大の都市で人口は90万人。だが、首都ではない(首都はウェリントン)。北島の北部のくびれた地形の上に発展した入り江の街で、タスマン海と南太平洋に挟まれている。サンフランシスコに似て坂の多い街だが、二つの良港を持って海外貿易、国内商工業の中心地として発展してきた。
 

1840年、2代目総督ウィリアム・ホブソンが先住民マオリから金貨55ポンドやタバコ、毛布などの雑貨品と引き換えに、この地を買い取ったという。それ以後、首都がウェリントンに移されるまでの25年間、植民地時代の首都として栄えた。
 

フェリ−埠頭に近い中心部の目抜き通りはクイ−ン・ストリ−トで、その周辺には代表的な高層ビルが立ち並んでいる。その一角に空を突き刺すように伸びる高さ328mのスカイ・タワ−(SKY TOWER)がそびえている。そして港にはハ−バ−ブリッジがかかり、なんとなくオ−ストラリアのシドニ−ハ−バ−の風景を彷彿させる。


ホテルへ
案内所で市内への行き方を尋ねると、エア−バスが便利で安いというので玄関に出て停留所を探す。と、ちょうどそこにブル−のエア−バスがやってくる。早速飛び乗ってチケットを買う。このバスは空港と市内を往復する循環バスで、旅行者に便利なように多くの停留所に止まりながらサ−クル状に走行する。だから、降りる場所がサ−クルの最後の方であれば時間がかかることになる。サ−クル内にある主なバックパッカ−宿泊所前にも止まるサ−ビスぶりである。
 

空港からダウンタウンの中心部までノンストップだと約20分ぐらいで行けそうだが、あちらこちらと寄り道してストップするので、40分ぐらいかかる。エア−バスの料金は、
・大人……NZ$13(往復NZ$22)
・バックパッカ−……NZ$11(往復NZ$18)
となっている。このバスは、クイ−ンズタウンのシャトルバスのように個別に送迎をしてくれるものではなく、停留所しか止まらない路線バスである。
 

幸いにも、ちょうど私の宿泊ホテル前が停留所になっているので便利この上ない。そこで、ドライバ−にその停留所に来たら知らせてもらうように頼み、後部座席に腰を下ろす。車内の両サイドには写真のようにパンフレット置場が設けられ、そこに多種類の観光パンフが置かれている。これほど抜け目のない案内は、日本のバスでは見られない光景である。
 





エアー・バスの車内
案内パンフがいっぱい









中心街に入るとダウンタウンの目抜き通り、クイ−ン・ストリ−トを通り越して、私の宿泊ホテルとは違う方向へ走り出したので、慌ててドライバ−に駆け寄り尋ねると、「まだですよ。そこに着いたら教えます。」と言う。しばらく走って、今度はいよいよホテル近くのストップではないかと思っていると、そこも通り過ぎてしまう。また慌ててドライバ−へ駆け寄って尋ねると、「もう間もなくですよ。」と言う。こんな風に、直線コ−スを走るのではなく、あちらこちらとぐるぐる回って行くので、初めての者には複雑で分かりにくい。
 

ようやくカスタムズ・ストリ−トの目的のバス停で降りると、目指すホテルは道路向かいの正面にある。早速チェックインを申し出ると、インタ−ネットで予約しているはずなのに、なかなかデ−タが見当たらず、係が困惑している様子。ついにはボスまで呼び出して、いろいろ調べている。いったいどうしたのだろう?
 

やがて事情が判明する。同じ系列の同じ名前のホテルが目と鼻の先にあるのだが、それが分からずにチェックインしたらしい。こちらとしては、そんな事情は不明なのだから迷うのも当然である。すぐに係がそのことを説明し、別のホテルへ案内してくれる。ものの1〜2分も歩くと、クイ−ン・ストリ−トのクイ−ンズア−ケ−ドに出るのだが、その一角にホテルはある。ここで無事チェックインを済ませる。


ハ−バ−・クル−ズ
3時半に港をめぐるハ−バ−・クル−ズがあるというので、部屋にも入らず荷物をフロントに預けたままで出かける。すぐ近くのフェリ−埠頭から出るのだが、出発まで時間は5〜6分しかない。急ぎ足で海岸のほうへ歩き、フェリ−乗場を探し出す。案内所へ飛び込んでクル−ズのことを尋ねると、午後の便はすでに終わって3時半のクル−ズはないという。ガイドブックが数年前の古いせいもあってか、時間が変わっていたのだ。明日は市内観光の予定があるので、クル−ズを繰り延べるわけにはいかない。
 

息を切らして急いだかいもなく、がっかりしていると、係の女性が「もし港をめぐりたいのなら、個別にフェリ−に乗って行くしかありません。」という。そうか、そんな手もあるのだと思い直して、その話に乗ることにする。ハ−バ−・ブリッジを見たいのだと告げると、彼女は、「1日券を買って対岸のBirkenheadに渡ればいいですよ。その他Devonportにも行けます。」と言いながら、それぞれのフェリ−の発着時刻と戻りの発時間まで丁寧にメモして教えてくれる。
 

礼を言って早速チケット売り場に急ぎ、フェリ−乗船の1日券(NZ$8=約500円)を買ってバ−ケンヘッド行きのフェリ−に飛び乗る。この埠頭から出発するいずれのフェリ−も双胴の高速船である。バ−ケンヘッド行きのコ−スはハ−バ−・ブリッジの下をくぐり抜けて行くので、ブリッジ見物にはもってこいのコ−スなのである。バ−ケンヘッドはあまり大きな町ではないと見えて、フェリ−も小型で乗客も少ない。


Birkenheadへ
3時40分に出発したフェリ−は、ゆるやかなカ−ブを描きながら湾内に横たわるブリッジをくぐり抜け、ほんの10分で対岸の町・バ−ケンヘッドに到着。こうして見ると、シドニ−のハ−バ−・ブリッジより見劣りがして、思ったより貧弱である。しかし、港の風景の大きなアクセントになっているのは間違いない。



 フェリー上より眺めたオークランド市街。針のように細く突き立つのはスカイ・タワー(高さ328m)。



 バーケンヘッドへ向かう途中の船上から眺めたハーバー・ブリッジ                    




波止場に到着してみると、なんともひなびた所で、付近には何一つ店もなく、人気もなく、家並みも見えない。ただ波止場から続く道路沿いには大木の並木があり、その下に駐車した車の行列が静かに主の帰りを待っているだけである。出迎えの小型バスが発車してしまうと、一人取り残された感じで、次の船便が来るまで待たなければいけない。案内所の係が教えてくれた時間によれば、半時間後には次のフェリ−が来ることになっている。
 





バーケンヘッドに到着したフェリー。遠くにブリッジが見える。








町まで遠い感じがするので、ぶらつくわけにもいかず、この待合室さえない波止場で待つしかない。そう思っていると、海岸沿いに設けられたちょっとした公園が目に入り、そこのベンチに腰掛けて時を過ごすことにする。この岸辺からオ−クランドのダウンタウン方向をブリッジ越しに眺めながら、次のフェリ−が来るのをのんびり待つことにする。
 





 バーケンヘッド
 右手が公園









ところが時間になってもフェリ−の姿はいっこうに現れない。おかしいなあと思って、時間を確かめに波止場の方へ行くと、時刻の掲示板が立っている。それを見ると、なんと次の便はあと1時間後になっているではないか! あの係がいい加減な時間を教えているのだ。その係の女性は、時刻表も見ないですらすらと空で便の時刻を書き記してくれるので感心しながら見つめていたのだが、やはり間違っていたのだ。これを知っていれば、上陸せずにそのままUタ−ンすればよかったのだが、それもできずに悔やまれることしきりである。
 

途方に暮れながら公園に戻り、動物園の熊みたいに、あっちに行ったり、こっちに戻ったりと、狭い公園を行ったり来たりしながら歩き回る。じっと座っていると寒いのだ。誰もいないので話し相手もいない。こうしてただ独り、対岸のオ−クランド市街やハ−バ−・ブリッジの風景を見飽くほど見せつけられながら時の過ぎるのを待っている。
 





バーケンヘッドから眺めたハーバー・ブリッジと市街








すると、沖合の方から小さな1人乗りのヨットを岸辺に向かって漕いでくる者がいる。それには中年男性が1人乗っている。近づくヨットを見ると、釣竿が1本積み込んである。そこで、ヨットを引き上げようとする男性に

「釣りに出かけたのですか?」

と声をかけてみると、

「No fisshing.No sailling.Only sports!」

と笑いながら返してきた。どうも、船漕ぎ運動に出かけたらしい。そこで、

「いい運動になりましたか?」

と問い返すと、

「Yeah!」

と息を切らしながらうなずいている。そして、さっさとヨットを片づけると、どこかへ立ち去ってしまう。
 

再び独りになり、時計とにらめっこの時を過ごしていると、やっとブリッジの向こうにこちらへ向かうフェリ−の船影を確認する。そのうち、どこからともなく出迎えの小型バスがやってくる。ようやく、人気のない波止場にも動きが見え始める。白波を立てる船影はみるみる大きくなり、やがて波止場に着岸。これで、やっと“本土”へ戻れる。待つこと1時間半、しかし乗船時間はたったの10分。とんだ無駄足を踏んだものだ。


Devonportへ
再びブリッジをくぐり抜けてフェリ−埠頭に戻ると、今度はその隣の桟橋から出るデボンポ−ト行きのフェリ−に乗り換えだ。とっくに5時を過ぎているので、勤務帰りの通勤客が列をなして並んでいる。これからみると、この町はバ−ケンヘッドとはケタ違いのようだ。間もなくやってきたフェリ−に乗り込むと、対岸のデボンポ−トへ向けて出発だ。今度は大型の高速船である。
 





正面がフェリー埠頭
左端のビルがフェリービル
背後にスカイタワーが見える。






先のバ−ケンヘッドは対岸に向かって左方向へ進み、ブリッジをくぐり抜けて行く方向だが、この町は埠頭のほぼ真向かいの対岸にある。それだけ距離も短く、8分で到着である。





 デボンポートへ向かう途中の海上風景。左手の岸がデボンポート。




上陸してみると、波止場には商店が並び、さきほどのバ−ケンヘッドとは様子が全く違う。海岸べりにはきれいな遊歩道が設けられており、ここから対岸の市街中心部の高層街が眺められる。高層ビル群の規模がさほどないため、それらが描くスカイラインも寂しく、ニュ−ヨ−クのマンハッタンを眺めるようにはいかない。夜景のほうが素敵なのかもしれない。



 デボンポートの岸辺から眺めたダウンタウン風景                  




波止場から出て奥へ進むと、幅の広い道路がまっすぐ伸びて、その左側には商店街のア−ケ−ドが並んでいる。ここは歴史のある町だそうで、この一帯は落ち着いた雰囲気が流れており、すっきりとしてきれいな感じである。まだ人通りもなく、ひっそりと静まり返っている。通りの前方に眺めのよさそうな小高い丘が見えるが、あまり奥へも行けず、人気のない短い商店街を見歩くだけにして波止場へ引き返す。
 





デボンポート波止場前から続くストリート









さすがに、ここから対岸へ往き来する人は多い。ということは、オフィス街へ通う人たちのベッドタウンになっているのだろうか? 中心街を離れて、交通の便も良いこんな静かで落ち着いた町に住むのもいいかもしれない。そんなことを思いながら待っていると、満員の乗客を乗せたフェリ−が到着。それに乗り込んで、ダウンタウンへ戻る。


夕食はエスニック料理へ
上陸して時計を見ると、頃合の夕食時である。由緒ある雰囲気をただよわせる茶色のフェリ−ビルディングを抜け、少し歩くとカスタムズ・ストリ−トに出る。これと交差するのが目抜き通りのクイ−ン・ストリ−トで、夕食場所を探すのには事欠かない。
 





フェリー埠頭に近いカスタムズ・ストリート









所狭しと多様な商店が並ぶクイ−ンズア−ケ−ドを歩いていると、オリエンタル・エスニックのレストラン街が目に留まる。こんな所は気軽な感じで食べられるので入りやすい。中に入ると、広いスペ−スの室内の両側には、中華、タイ、インド、ベトナムなどの各国料理店がずらりと居並び、中央には自由に座れるようにテ−ブルとイスが配置されている。どの国に行っても、エスニック料理店のスタイルは同じである。
 





中心街の目抜き通り・クイーン・ストリート
左手がクイーンズアーケード







一回り物色すると、ベトナム料理店でエビ入りス−プ麺、インド料理店でカレ−、中華店で焼き飯と種類を欲張って注文する(それぞれ各NZ$7=440円)。どの店も分量が好みで自由に増減注文できるし、料理の写真も出ているので注文に便利である。もちろん、どれも少量の注文である。これらを注文し、飲物にビ−ルをゲットすると、これで夕食準備OKだ。
 

ベトナムのエビ入り麺は、さすが麺大国だけあってなかなかおいしい。インドカレ−は、思ったよりも辛さがない。焼き飯はまあまあというところ。少量ずつとは言え、結構な分量になるので、たちまちお腹は満腹。毎日、こんな調子ではちょっと太り過ぎになるぞ〜。そう思いながら食べ終わると、ポ−ズをとるインド料理店の夫妻を背景に店内の記念撮影をパチリ。
 





エスニック料理店風景










外に出ると、付近をぶらつきながら目と鼻の先のホテルへ戻り、預けていた荷物を受け取ると、はじめて部屋にたどり着く。とうとう、この旅もあと一日となった。心寂しい思いにかられながら、バスル−ムに入る。



(次ページは「オークランド市内観光編」です。)










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