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               No.1




(8 日 間)

 緑の草原で草をはむ羊の群れ・・・・それはニュージーランドの原風景

氷河時代の美しい遺産・・・・それはフィヨルド


 冠雪したサザンアルプスの山並み・・・・それはニュージランドの宝石


   これら大自然の景観が織りなす絵のような風景が楽しめる静かな国・・・・
                       それがニュージーランドだ!


(2002年10月26日〜11月2日)




ニュージーランド旅行日程

日付 日数 ル − ト 泊数 タイムテ−ブル・内容
2002年
10/26
(土)
成田 → クライストチャーチ →  
機内 18:15発 → 9:20着 乗り継ぎ
     
27(日)  → クイーンズタウン 11:30発 → 12:35着、
28(月) クイーンズタウン ワカティプ湖遊覧 
29(火) クイーンズタウン ミルフォード・サウンド観光
30(水) クイーンズタウン 市内観光
31(木) クイーンズタウン → オークランド 11:40発 → 13:25着。
11/1(金) オークランド 市内観光 
  2(土)   8 オークランド → 成田 9:30発 → 17:00着 






1.後回しになったニュ−ジ−ランド(NZ)の旅
 
5、6年前にNZの旅を思い立ってガイドブックをそろえたものの、1ペ−ジもめくることなく、結局他の国々を先に回ることになってしまった。それが今度、どうにかその順番が回ってきた。古くなったガイドブックを取り出しながら、感慨深くNZへの思いを改めてかみしめるのだった。
 

南半球にはオ−ストラリア大陸が所狭しとばかりに、デ〜ンと居座っている。その隣に、いかにもしとやかそうに遠慮がちにたたずむ国……それがNZの印象である。今度、訪れてみると、確かにそんな印象どおりの静かな美しい国であった。さすがに人口約343万人と少ないだけに、どことなくもの静かな国でもある。香港や東京などの喧噪とは大違いだ。
 

訪れたこの時季は初春の季節で、公園や街角には美しい花が咲き乱れていた。特に桜の花、それも八重桜ばかりがあちこちに咲き誇っていて、日本の春を思わせた。それでも春まだ浅きという感じで、南に下がったクイ−ンズタウンなどでは、夜は冬服でも肌寒く感じられた。
 

世界に名だたるフィヨルド(氷河によって浸食されてできたU字谷が海面下に沈み、海水が侵入してできた狭く、深い湾のこと)を抱えるフィヨルドランド地帯は、月間平均雨量が400〜600ミリと他の都市部の5〜6倍もの多雨地帯で、好天に恵まれる日が少ない地域である。そんななか、私が訪れたフィヨルド観光の目玉、ミルフォ−ド・サウンドでは、幸運にも好天に恵まれ、素敵な景観を満喫することができた。
 

この国は、こうしたフィヨルドの景観をはじめ、大自然の美しさや果てしなく広がる草原、それに手入れの行き届いた公園や庭園が独特の風景を演出してくれる。それは機上からの眺めでも十分に確かめられた。
 

今度の旅では、湖畔の町クイ−ンズタウンとこの国最大の都市オ−クランドの2ヶ所を訪れ、そこを中心に観光しながら近郊へも足を伸ばした。以下は、その折の詳しい旅行記である。


2.湖畔の町・クイ−ンズタウンへ
 
今度の旅で初めて利用するニュ−ジ−ランド航空は、定刻の18時15分を30分も遅れて成田を飛び立つ。乗客はほぼ満席で、そのほとんどが日本人客である。これからクライストチャ−チまで11時間、そこで乗り継いで最初の目的地ク−インズタウンまで1時間、合計12時間の空の旅が始まる。いつものこととはいえ、夜間の長時間飛行は身にこたえる。よく眠れない上に、腰まで痛くなる。それでも懲りずに旅に出かける。いやはや……。
 

ベルト着用のサインが消えると、早速夕食のサ−ビスである。ワインとビ−ルをもらって喉を潤し、結構な機内食をいただく。出発前日まで、現地NZ発の天気予報を調べていたのだが、いずれも芳しくない予報である。特に南島の南西部、つまりフィヨルドランド地域一帯はいつも「heavy rain」とか、「shower」の表示ばかりになっている。これまでの旅で雨に遭うことはほとんどないのだが、今度ばかりは雨を覚悟しなくてはならないのだろうか。そんな思いに耽りながら夕食を済ませる。酔いが回っていい気分だ。
 

少しはウトウトしたのだろうか? ふと窓外に目を移すと、夜と昼の境目なのか美しいオレンジ色の空間が帯状となって横たわっている。そして、それは次第に明るさを増しながら、昼の世界へ移ろうとしている。宇宙船からの眺めも、こんな感じに見えるのだろうか? やがて、軽い朝食が出されて一服すると、間もなく到着の時刻である。
 

高度を下げ始めた機体の窓からは、タスマン海に広がるクライストチャ−チのきれいな海岸線が見え始める。途切れ雲が広がっているが、好い天気のようだ。この調子で好天が続いてくれたらいいのだが……。






タスマン海に広がる海岸線










到着は遅れを取り戻して、定刻に無事到着。ここクライストチャ−チ空港でニュ−ジ−ランド初の第一歩を踏み入れることになる。時差は通常3時間だが、この時期は夏時間になるので4時間となる。時計の針を合わせておこう。


ニュ−ジ−ランドのこと
今から1千年以上も前、南太平洋ポリネシアに住むマオリ族の1人が何ヶ月かの航海の途中、この島ニュ−ジ−ランドを発見したのが始まりらしい。これをきっかけにマオリ族が移り住んでいたが、1642年にエイベル・タズマンがヨ−ロッパ人として初めてニュ−ジ−ランドの地を踏むことになる。彼は母国オランダの海岸地方ゼ−ランド州の名をとって、「新しいゼ−ランド=New Zealand」と名付けた。
 

1769年、イギリス人ジェ−ムズ・クックが立ち寄り、南北沿岸の調査をするなどしてニュ−ジ−ランドをヨ−ロッパへ紹介した。これをきっかけに捕鯨やアザラシの捕獲、カウリの木の伐採などのため、多くの白人が訪れる。その後、イギリス人による植民が促進され、マオリ族とのワイタンギ条約が結ばれて、ニュ−ジ−ランドはイギリスの植民地となる。
 

1914年の第一次世界大戦には12万人もの兵士を派兵し、その貢献でイギリスから強い自治が認められ、実質的に国としてスタ−トを切る。現在のニュ−ジ−ランドは、脱英連邦の傾向を強め、それに代わってオ−ストラリア、日本、アメリカなど、地理的・経済的につながりの深い国々との関係を強化している。輸出総額の半分以上が農・畜産物だが、近年は観光産業に力を入れている。
 

人口約343万人で、英国系が80%、ほかにマリオ、ポリネシア人という人口構成になっている。国技はラグビ−、宗教は国民の80%がキリスト教となっている。


国内線へ乗り継ぎ
クライストチャ−チ空港が最初の到着空港なので、ここで入国審査の列に並んで入国手続きをすませる。オ−ストラリアもそうだが、この国への入国も少しうるさい。お菓子類の端まで税関申告書に書かされる。それを怠ると多額の罰金が科されることになる。そして菓子類を持ち込むと、「申告あり」の窓口に並ぶことになる。また、すべての入国者が再度バッグなどの持参物をX線検査にかけられることになる。こんな経験は初めてのことである。
 

とにかく無事通過し、到着ロビ−に出る。出迎えの人たちが人垣をつくっている。そんな中を通り抜けて国内線乗り場を探す。係員に尋ねると、この先を行った所にあると言う。バスで移動する手間がかからないので助かる。教えられた方向へ移動すると、国内線乗り場はすぐに分かる。そこで、途中にあるNZ銀行で早速両替をする。現金での交換レ−トは1NZ$=63円台である。(02年10月27日現在)
 

ここで約2時間の待ち合わせで、クイ−ンズタウンへ向かう。待合いロビ−に行くと、ここには日本人の顔はほとんど見られない。みんなクライストチャ−チで泊まるようだ。ここからクイ−ンズタウンへの飛行時間は約1時間と短い。出発時間となり、さらに南へ向かって機が飛び立つと、すぐに昼食のサ−ビスである。そして12時半、こぢんまりとしたクイ−ンズタウン空港に到着。周りは緑の草原に覆われた小高い山々に囲まれ、静かな空港である。
 





こぢんまりとしたクイーンズタウン空港









地面が濡れているところをみると、今しがたまで雨が降っていた様子である。でも今は、雲は多いが晴間がのぞいている。ありがたい。


クイ−ンズタウンのこと
この町は南島南部に横たわるS字型をしたこの国3番目に大きいワカティプ湖の北岸に位置し、サザンアルプスの山並みに抱かれた美しい湖畔の小さな町である。かつてはゴ−ルドラッシュに沸いたこともあり、金を掘りにやってきた男たちが、この町を“女王の住む町”と名付けたのが町の名の由来だといわれる。
 

今では国内に数ある観光地の中でもきわだって人気の高い町として賑わいを見せているが、その背景には豊富なアクティビティが揃っていることにある。ラフティング、ジェットボ−ト、バンジ−ジャンプ、パラグライダ−、それに冬のスキ−などが楽しめる。現地住人の話でも、安心して住める居心地のよい町だそうである。


レイク・ビュ−のホテル
空港案内所で市内への交通の便を尋ねると、タクシ−でなければシャトルバスが便利だろうと言う。ドア・ツ−・ドアでホテルまで運んでくれると言うわけだ。往復チケット(NZ$10=630円)を買うと割安になるというので、それを求めることにする。また、帰路の出発時間を予約していると、その時間にホテルまで迎えに来てくれる。ということで、この町ではシャトルバスを利用するのが便利だ。
 

7、8人の乗客を乗せた小型バスは、車の少ない郊外の道路を走り抜け、のどかな美しい風景をゆっくり見る間もなく、空港から約10分でクイ−ンズタウンの中心街に到着。便利この上ない空港である。ホテルはそこからすぐのところにある。
 

このホテルは湖畔に建つロケ−ション抜群のホテルである。ホテルで無事チェックインを済ませるが、入室は準備の都合で2時からだという。今度の旅では、ホテルの予約をインタ−ネットで申し込んでみた。ここは湖畔の町でもあり、4泊もするので、折角のことだから湖の見えるレイクビュ−の部屋を取ることにした。これは正解だった。
 

とまれ、入室までには時間があるので、この間に幾つかの観光予約を取っておこう。まずはフィヨルド観光の人気コ−スであるミルフォ−ド・サウンド日帰り観光の予約である。ここクイ−ンズタウンから、ミルフォ−ド・サウンド観光の日帰りツア−が数種類用意されている。


バスで往復するコ−ス、往きはバスで帰路が飛行機のコ−ス、昼食付きの有無、日本語ガイドか英語ガイドかなど、好みに応じて選ばれる。ただし、飛行機に関しては、悪天候地帯であるため、折角予約していてもその6割り方が欠航になるというから注意が必要である。その場合はバスで帰ることになる。
 

係の説明を受けながら、結局、日本語ガイド付きで往きはバス、帰路は飛行機のコ−スを選び、昼食のオプションは無しで申し込む。これで料金は1人NZ$423=26,600円 、この内飛行機運賃はNZ$245=15,400円。
 

観光の内容は、片道のバス走行時間が5時間半、ミルフォ−ド・サウンドの観光クル−ズが1時間半、帰路のフライトが35分である。バスでの往復になると、それだけで11時間もかかることになり、帰着は夜になって疲れ果ててしまう。これともう一つ、マオリ族のショ−(マオリ・コンサ−ト&フィ−スト)が見られるディナ−ショ−の予約を申し込む。
 

こうしている間に、入室OKの時間となり、キ−をもらって最上階の7階の部屋に入る。早速、窓を開けてテラスに出ると、息を呑むような素晴らしいシ−ンが目に飛び込んでくる。そこにはニュ−ジ−ランドらしい澄んだ美しい湖畔の風景が開けている。遠く正面にはサザンアルプスの切り立つ山並みが白く雪を頂きながら輝いている。湖のほとりには公園の森が緑豊かに鬱蒼と広がり、左手奥には町並みが見える。そして、湖上に静かに浮かぶ白いヨットやボ−トが湖面に映えて、湖の青さをいっそう引き立たせている。テラスにじっと立ちながら、この心洗われる素敵な風景にしばし見とれる。 



  ホテルの窓から眺めたワカティプ湖のグランド・ビュー。左側は街並み、正面湖岸の森は公園、遠く正面には冠雪した山並みが見える。




ふと眼下のホテルの中庭を見ると、そこには1本の八重桜が今を盛りに咲き誇っている。この地でも桜の木があちこちで見られるのだ。見慣れた日本の風景が、遠く離れたここでも見られ、1年のうちに二度も桜の花を眺めることになる。南半球と北半球の違いの面白さが、こんなところにも感じられる。
 

ほっとして安堵の気分にひたっていると、気持ちが緩んだせいか眠気を催してくる。シャワ−でも浴びて、この静かな環境でひと眠りするとしよう。時差は4時間なので問題はないが、何せ夜間飛行なので身にこたえる。まずは休息が必要だ。


夕方の散策
夕方4時ごろになって目を覚ますと、やおら町中の散策に出かける。今は夏時間で日が長く、夜の8時ぐらいまで太陽は沈まず明るい。だから、夜でもゆっくりと散策ができる。
 

ホテル前の道路を隔てた湖畔沿いに観光案内所があり、ここに立ち寄ってみる。お目当ては、このワカティプ湖を蒸気汽船でのんびり遊覧しながらWalter Peak牧場に上陸して戻るという観光である。係の説明によると、

・クル−ズだけを楽しむもの(NZ$35=2200円)
・Walter Peak牧場に上陸して羊のショ−を見たりするもの(コ−ヒなどの飲物付 きでNZ$53=3300円)
・これにバ−ベキュ−が付いたもの(NZ$70=4400円)

などのコ−スがある。この船は2時間ごとに運行されており、上陸するコ−スは都合3時間半の観光となる。そこでバ−ベキュ−の昼食付きコ−スを申し込むことにする。
 

これでひとまず明日の日程を埋め、あとは町中の散策を始める。ホテル前の通りはビ−チ・ストリ−トで町の中心を貫く主要な通りである。この町の中心部のストリ−トは、いずれも碁盤の目のように整然と走っており、狭い町だけにどの通りも長さ100m程度の短いものである。ぶらりぶらりと歩行者天国になっているビ−チ・ストリ−トをぶらつく。道の両側には土産品店やレストランなど、さまざまな商店が軒を連ねている。
 





静かなビーチ・ストリート










ここを通り抜けて、最後の夜に予約したマオリ・コンサ−ト&フィ−ストの場所を確認しに行く。少し外れにあるので、付近の人に尋ねながらやっと探し当て、場所を確認する。その帰路にはビ−チ・ストリ−トに隣接するこの町一番の古い通りクイ−ンズタウン・モ−ルに回ってみる。通りの入口には「QUEENSTOWN MALL」と大きく記された板の看板が通せんぼするように路上に据えられている。このストリ−トにも、しゃれたさまざまな店舗が並んでいる。
 





町一番の古い通りクイ−ンズタウン・モ−ル









どのストリ−トも並木が植えられ、派手な看板やネオンも見られず、清楚で落ち着いた雰囲気が漂っている。商店街では珍しい光景だが、町で規制でもされているのだろうか? モ−ル通りの両側に並ぶ店々を眺めながらのんびり歩いていると、すぐに湖岸に突き当たる。ここにはちょっとした広場があり、ここから湖の奥の方まで眺望がきく。その片隅に人物像が立っているが、この町の礎を築いたゆかりのある人物なのだろうか。すぐ目の前には、あす乗船する予定の蒸気汽船が見える。
 





湖岸に設けられた広場










付近に中華料理店を見つけたので、早目の夕食とする。二階に上って店内に入ると、夕食時間には早いのか、まだ誰一人お客の姿は見えない。案内されるままに一番奥の窓際の席に座り、出されたメニュ−を一覧する。それは日本語で書かれており、各国語に応じたメニュ−が用意されて便利である。麺類が欲しくなったので、エビ入りラ−メンと中華風野菜炒め、それにショウコウ酒を注文する。
 

その間に、お水を持って来てくれたチャイナドレス姿の若い女性が日本語で応対するので、おやっと思っていろいろ話を聞いてみる。彼女は、この町に居着いて3年になるそうだが、最初はワ−キング・ホリデイ・ビザで入国し、このレストランに職を得て働いていると言う。それが1年で終わると、お店から継続して働かないかという希望が寄せられ、ワ−キング・ビザを取得して今も働いていると言う。そんな日本人がこの町にも数人いるとのこと。私の若いころには、とても考えられないことだっただけに、海外でこんな過ごし方ができる今の若者たちがとても羨ましく思えてならない。
 

この町は治安も問題なく、安全で住み心地のよい所だと言う。冬もそれほど寒くなく、雪もほとんど降らないという。日本人観光客がけっこう多いらしく、シ−ズン的にはこれから夏に向けてがいい季節だとのこと。将来、帰国するかどうか迷っているらしい。
 

注文のエビ入りラ−メンはなかなかの味で、私の望みを満たすものだった。ショウコウ酒をちびりちびりと飲みながら、ボリュ−ムのある野菜炒めをいただき、お腹は満腹状態。一服すると、彼女に別れを告げてホテルへ引き上げる。
 

その途中、コンビニが目に入り、店内を物色してみる。ハム・ソ−セ−ジ・果物類まで揃えてあるので、コンビニというより、ちょっとしたス−パ−の食品売り場といったところか。ここでオレンジとワイン(1本NZ$14.3=900円)、ミネラル水、それにソ−セ−ジを買い込んで帰る。
 

初日の夜は、こうして静かに更けて行く。とはいうものの空はまだ明るい。この分だと、明日の天気も良さそうだ。もう一度、窓外の夕暮れ風景を眺めながら、明日に備えて早目の就寝としよう。



(次ページは「ワカティプ湖遊覧編」です。)










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