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   no.8
(ブラジル・アルゼンチン・ペルー)



(アルゼンチン編)



7.イグアスの滝(アルゼンチン側より)・・・・滝、また滝……
 
アルゼンチン入国
バスがイミグレ−ションに到着すると、記入したEDカ−ドとパスポ−トを持って下車し、入国審査を受ける。難なく通過し、これでいよいよアルゼンチン入りである。再びバスに乗ってジャングルに囲まれた舗装道路を走って行く。
 

間もなくすると、バスは横道へそれて赤茶けた狭い悪路の地道に入って行く。これから、アルゼンチン側のイグアスの滝を見に行くのである。両側には鬱蒼としたジャングルが迫っている。ここは地道の悪路だけに、いったん雨が降るとぬかるんで車は通れないので、通行禁止となる。ということは、雨天の日は、ここからのイグアスは見られないということになる。今日は幸い好天なので、通行止めの心配はない。
 

ボートに乗ってイグアスへ
悪路を通り抜けると、川岸の広場に到着する。そこは対岸に渡るボ−トの発着所になっている。バスから降りて乗船待ちの行列に並んで待つ。14〜16人乗りぐらいの小型ボ−トだが、これに乗って向こう岸に渡り、そこからイグアスの滝を眺めるのである。






このボートに乗って向こう岸に
渡る。








内外から観光客が大勢詰めかけている。隣に並んでいる中年のおやじさんが、「日本のサッカ−は残念だったね。ブラジルに負けちゃったよ。」と話しかけてくる。ちょうど、シドニ−オリンピックの真っ最中で、その試合があったばかりなのだ。そこで、「おめでとう。」とブラジルの勝利を祝して握手を求めると、「いや、私はアルゼンチン人なんですよ。」という。てっきり、ブラジル人とばかり思っていたのだ。
 

やがて順番が来て乗船となる。ボ−トの両サイドのベンチに向かい合わせに座ると、救命具を着用せよという。準備が終わると、いざ出発である。向こう岸は遙か遠くに見えるほどの広い川幅で、この川の流れがすぐ右手の落下地点で“悪魔ののどぶえ”を生み出す滝となっている。右手前方には、その白い水煙を上げる滝口が見える。船外機を1基付けただけのボ−トは、軽快なエンジン音を響かせて走っているが、もしこのエンジンが故障でストップでもしたら、そのまま川に流され、“悪魔ののどぶえ”へ真っ逆さまという事態になりかねない。その点の安全対策はどうなっているのだろう。そんなことを考えているうちに、ボ−トは対岸へ到着。そこには、帰りの観光客が列をつくって乗船を待っている。 





 川を渡っているところ。左前方が船着き場。右前方は滝の落下口、中央には水煙が見える。




展望橋からの眺め
足元の悪い船着き場を上がると、ブラジル側と同様に長い展望橋が設けられている。川岸沿いをジグザグに伸びるこの橋は、長さ200m以上はあるようだ。この橋の先端が“悪魔ののどぶえ”の落下点で、その白い水煙が滝口から舞い上がっているのが見える。橋をどんどん進むにつれて、滝の轟音が次第に大きさを増してくる。



 展望橋の風景。前方に見える水煙が滝の落下口。




橋の先端に到達すると、そこには目を見張るような大自然の景観が繰り広げられている。あの広い川の悠然とした流れが突然切り立つ断崖に出合い、それが川底を失って真っ逆さまに落下しているのである。茶褐色の滝の水流が、雲のようにむくむくと沸き立ちながら落下する様は、ただただ、すさまじいの一語に尽きるものである。じっと眺めていると、その滝の中に吸い込まれそうな錯覚に陥り、恐怖感さえ覚える迫力である。



 この壮観なパノラマ景観に息をのむ。これが“悪魔ののどぶえ”の落下口。




昨日観察したブラジル側からの滝の眺めは、白い水煙にはばまれてその全貌が見れなかったが、ここからは、その落下し始める滝の様子が十分に観察できる。ブラジル側の橋からの眺めは、下から滝を見上げる位置にあるが、ここからの眺めは滝を見下ろす位置になっている。そのため、それぞれに趣を異にする滝の観察ができるのである。つまり、見上げる角度のブラジル側では、すごい滝しぶきと風圧の中で地響きする轟音と水煙の迫力に圧倒されるわけだが、この場所では多少水しぶきはかかるものの、それほどのものではなく、落ち着いて滝の落下口を観察できるのである。やはり、上流から眺める位置にあるので、轟く様子が穏やかなのだ。そうはいっても、その豪快さに違いはない。
 

ホテルへ
橋の先端の欄干にもたれて写真を撮り終わると、ボ−ト乗り場に引き返し、再び川を渡って無事出発点に戻る。ここでの滝見物は、これで終了。これからバスに乗り、セラトン ホテルに向けて移動する。間もなく、斜めに削いだような白亜のホテルが見えてくる。そのままホテルに入るのかと思えば、バスはその手前で止まり、これから再び滝の見物に出かけるのだという。そこでバスを降り、ホテルの広大な庭園の端を横切って滝のほうへ歩き進む。南米の太陽が照りつけ、汗が吹き出てくる。暑い。
 

遊歩道からの眺め
ガイドさんに案内され、階段を下りながら川岸の方へ進んで行く。ここでもブラジル側と同様に川沿いに設けられた遊歩道がある。ただ、ここの歩道はジャングルの中をジグザグになって続いている。木陰に囲まれた歩道を歩いていると、木々の間から次々に大小の滝が見えてくる。汗を拭きながら、さらに進んで行くと、目の前が急に開け、眼前いっぱいに白い滝のカ−テンが広がるすばらしい景観が飛び込んでくる。横一直線に長々と広がる滝のカ−テンがとても印象的で、壮観で豪快な景色ながら優美な雰囲気を漂わせている。なんとも美しイグアスの姿で、二段重ねの暖簾にも似た見事な滝の造形に、しばし言葉を失ってたたずんでしまう。このシ−ンを、もらさず写真に収めておこう。



 滝のカーテンが広がる景観がなんとも美しい。この自然の造形美に、ただただ感嘆するのみ




ここから少し進むと、その向こうには、激しい水煙を上げる別の滝が現れる。“悪魔ののどぶえ”なのだろうか。ふと、その下を見ると、木の葉のようなボ−トが今まさに滝に迫ろうとしている。その様子を眺めているうちに、昨日体験したあのクル−ズのシ−ンが、再び思い出されてくる。今、乗客はすさまじい滝しぶきを前にして、緊張感で震えているに違いない。このボ−トは、アルゼンチン側から出発したものである。 
 





“悪魔ののどぶえ”に突進する ボート










さらに奥へ進んで行くと、歩道のどん詰まりに達する。断崖に突き出た歩道の先端には、頭上から覆い被さるように落下する豪快な滝が水しぶきを上げている。水量豊かに幅をいっぱいに広げて流れ落ちる滝を至近距離から眺める壮観さは、まさに迫力満点。その轟き渡る轟音に、人の声は吸い込まれて何も聞こえない。
 





頭上から頭を叩かれる感じ。 そのド迫力に一瞬たじろぐ。









この滝を最後に、そこから引き返し、階段を上がって帰途につく。ブラジル側と違って、この遊歩道から眺められる滝のシ−ンは、より変化に富んで観光客を楽しませてくれる。遊歩道も平坦ではなく、階段も多くてぐるりと周遊するコ−スになっている。このどん詰まりまで半時間は歩いたのだろうか。そこから戻って階段を上り、坂道を歩き上ってホテルの横まで戻るのだが、それまでに約1時間も歩き回ったことになる。暑い中に上り下りを歩くので、かなり疲れる滝見物である。
 

ホテルで昼食
ようやくホテルに入り、ランチとなる。このシェラトン ホテルの建物は、全室が滝側を向いて横一直線に並び、それがピラミッドのように斜面の設計になっているのが特徴的である。そのすっきりした外観と広大な庭園が、川向かいのカタラタス ホテルとまた違った趣を呈している。玄関を入ると広々としたロビ−が待ち受け、そこでゆったりと、くつろげるようになっている。なんと、そこのソファ−に座ると、居ながらにしてイグアスの滝が丸見えとなるのである。それほど、このホテルは抜群のロケ−ションなのだ。


ピラミッドの斜面のようなつくりのシェラトン インターナショナル イグアス ホテルロケーションは抜群。


このナイスビュ−にうっとりしながら、奥のダイニングル−ムへと入って行く。なんと、この食堂までもが滝をまともに眺望できる位置になっている。そこで、滝の見える素敵なテ−ブルに座って昼食が始まる。今日の昼食はビュッフェスタイルなので、好みのものを皿に盛ってたっぷりといただく。すばらしい滝の眺めをデザ−トにしながら食事ができるなんて、なんとぜいたくな昼食なのだろう。このホテルが誇る豪華な風景である。
 





ホテルのダイニングルームから 眺めるイグアスの滝。








これで、余すところなくイグアスの滝を満喫したことになる。天候にも恵まれ、空から川から、そしてブラジルとアルゼンチンの両側からと、可能なかぎりイグアスに肉迫してその真髄を堪能することができた。大満足のイグアス探検は、こうして終わりを告げる。
 

空港へ
食後一服すると、いよいよ空港へ向けて出発である。その途中、広い土産品センタ−へ立ち寄って時間を取る。何も買う物はないので、ただ店内を徘徊するだけである。珍しいのは、店の隣に設けられた鳥のゲ−ジである。そこには、南米原産の色鮮やかな鳥たちが飼育されており、その中にはブラジルの国鳥トッカ−ノの愛嬌たっぷりの姿も見える。美しいオレンジ色の大きなくちばしを持ち、首は真っ白、体は真っ黒という3色カラ−のコントラストは実にお見事というほかはない。造物主が、きっと丹精込めてつくりあげたのだろう。
 



ブラジルの国鳥・トッカーノ
(実物の写真が撮れなかったので、
雑誌の写真を拝借掲載しました。)









鳥たちに別れを告げ、そこから再びバスに乗って空港へ向かう。近距離なので、すぐに空港到着である。飛行機の出発予定時間は午後3時5分。ここからブエノスアイレスへ飛び、5時には到着の予定である。



(次は、「ブエノスアイレス」編です。)










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