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   no.3
(ブラジル・アルゼンチン・ペルー)



(ブラジル編)



4.アマゾン河クル−ズ・・・・合流点の奇観、緑の悪魔、ピラニア釣り

4日目。昨夜はたっぷりと睡眠を取って6時に起床。疲れも取れて体調はすこぶる好調だ。真っ先にカ−テンを開けて窓外を眺める。すると、朝ぼらけの空にはきれいな青空が静かに広がっている。シメタッ! 今日は終日アマゾン河クル−ズの予定なので、これが雨だとどうしようもない。いそいそと身仕度を整えると、デラックスの朝食を取る。今朝の出発は遅いので、ゆっくりと過ごせる。
 

ここで、宿泊ホテルのことについて少し案内しておこう。このデラックスホテルはマナウス市内から18km離れた郊外に位置し、アマゾン河の支流ネグロ川のほとりに建つ瀟洒で快適なホテルである(トロピカル ホテル マナウス。料金:シングル…$270〜$323、ダブル…$310〜$372<00年9月現在>)。ジャングルの中に造られた白亜の建物はリゾ−ト気分を味わうには十分で、広い庭園や大きなプ−ル、それにミニ・ズ−のちょっとした動物園まで備えている。建物は大きく横に伸びているため廊下がバカに長く、それも幾つもに分岐している。だから、表示をよく見ながら歩かないと迷子になってしまう。



 ホテルの中庭。白亜の建物がアマゾンの太陽に映える。左側にはショップが並ぶ。




まずは前を流れるネグロ川に出かけてみよう。玄関前から熱帯雨林の茂みを下りていくと、すぐ目の前には、朝の陽光に黒々と映えるネグロ川が広がっている。熱帯の美しい青空に溶け込むように広がる川の流れは海としか思えないほど広大で、それが大アマゾンの壮大さを如実に物語っている。流れの速度は時速1km。その悠然とした流れからは、どちらが上流か下流かの判別さえつかない。写真の向かって右側が上流で、左側の下流沿いにマナウスの町がある。真向かいに見えるのは川中に横たわる島で、川岸ではない。対岸は、はるか彼方の向こうに霞んで見えない。このことからも、その河幅の広大さが分かるというものだ。





 ネグロ川・朝の風景。川中には島影が見える。向こう岸は遠く霞んで見えない。




目の前の川岸には船着き場の桟橋があり、そのポンツ−ンの上にはコンビニが店を開いて、清涼飲料水や食料品を売っている。写真の船はアマゾン河クル−ズの遊覧船で、今朝はここから出発である。われわれが乗船するのは、これより小型のチャ−タ−船である。
 

アマゾン川のスケ−ルの大きさに息をのまれた後、再び熱帯雨林の茂みを通り抜けてホテルへ戻る。よく見ると、茂みの中のあちこちに、大きなアリ塚の土盛りが点在している。そうだ、ここはジャングルなのだ! 蚊に注意しながら、急いで通り抜ける。 


今度は、ホテル裏側にあるミニ動物園に回ってみよう。ここも熱帯雨林の茂みが広がっており、その中に幾つかの動物ゲ−ジが置かれている。空のものもあるが、ジャガ−その他の動物やカラフルなインコなど、数種類の動物が見られる。この茂みにはマンゴの木が多く、その枝から玉のようにぶら下がったマンゴの実が朝日を浴びて緑色に輝いている。こんなところが、南国ならではの光景なのだ。
 





 ジャガーが2匹











 
  
             

 名前は?















色あざやかなインコの類













 

             マンゴの実がぶらりぶらり










ここからプ−ルに回ってみる。その広いプ−ルサイドには何台もの寝椅子が並べられ、早くも数人の宿泊客が寝そべっている。まだ朝の8時過ぎというのに、ジリジリと照りつける太陽の日差しは強烈で、日中には出られたものではない。すでに、気温30度を超えているのだ。ここのプ−ルは、手前から緩やかなスロ−プ状になって入りやすく造られており、奥に行くに従って次第に深くなっている。こんなところで、数日間のんびりと時の過ぎるのを忘れられたら、どんなにか素敵なことだろう。将来の楽しみにとっておこう。



 ホテルのプール




部屋に戻ろうとすると、ロ−ビ−の奥に旅行代理店が目に留まる。ここには2社が入っていて、宿泊客のアマゾン観光を案内している。そこで、こちらもちょっと覗いてみよう。パンフを取って眺めていると「いかがでしょうか?」と、すぐさま店長が応対に出る。そこで、いろいろ質問を試みる。その結果、次のことが分かった。
  《観光の種類》(00年9月現在)
  ・ジャングルホテルの宿泊(ジャングルロッジ・サルバド−ル、1泊$15
   0)
  ・ボ−トによる探検旅行
  ・ジャングル・サバイバル
  ・水上飛行機による遊覧 (30分−$100、60分−$150、75分−
   $200)
観光の種類やコ−スはいろいろで、1泊〜3泊かけてのアマゾン奥地探検など、扱う旅行社によって様々な内容があるようだ。
 

さて、あちこち見回っているうちに出発の時間だ。われわれのアマゾン河クル−ズは1日観光だけのもので、アマゾン河流域を少しだけかじる程度の入門編といったところである。ホテル前の桟橋からチャ−タ−船に乗り移ると、いよいよ出発である。高いエンジン音を響かせながら川下に向かって走り出す。ここから下流のマナウスの町まで17km、ソリモンエス川との合流点まで約31kmの距離にある。これから船は合流点まで走り、そこで2つの川が合流する様子を見ることになっている。この黒い川が合流点で茶色の川と合流するのだが、そこが有名な観光ポイントになっている。
 

現在の河幅は8〜9kmだが、水量が増えると河幅は広がることになる。水温は22度と温かく、流速は時速1kmでゆったりと流れている。だから、どちらが川上か分からない。水深は40m〜50m、深いところで90mほどもあり、3万トン級の船が楽々航行できるという。また、川中には大小さまざまの島があり、それが対岸と見間違うような大きな島もある。
 

このネグロ川は黒っぽい色をしているのだが、その理由は長年にわたって川底に積もった木々の皮から流れ出る液汁のためだという。薬草の液汁も混じっているので、お腹が痛いときは、この川の水を飲めばよくなるそうだ。そして薬草のせいか、あるいは酸素が少ないせいかは分からないが、この川には蚊がわかないという。だから、川岸に裸で寝ていても蚊はまったく出て来ず安心なのだという。
 

途中の川岸には海水浴場に適した砂浜も見られ、地元民が海水浴を楽しんでいる風景が見られる。この付近にはナマズしかおらず、怖いカンジルやピラニアもいないから安心して泳げるという。ピラニアは、細い支流に入ったところに生息している。アマゾンには約3000種類の魚類が生息し、そのうち30%ぐらいしかネグロ川にはいないという。
 

この川をさかのぼると家が次第に少なくなり、2日間も走ると民家も何も見えないジャングルだけになり、さらに上流へ進むと、たまにヤリなどを持ったインディアンと出会うという。ガイドさんは去年、テレビ局一行と同行して彼らと出会ったそうだ。インディアン部落に入るには、政府の許可が必要な上に、4000ドル相当の物資(砂糖・塩・その他)を持参して渡すのだという。そんな話を聞いていると、今でもタ−ザンの世界が残っている感じがする。  


ネグロ川の河岸には赤い石ころが多く、それを使って建築材料にするという。また、この川の上流に向かって1日ほど行った地点に、大きな蛇がいるという。その付近の河幅は13kmもあるそうだが、その中央部分を小船は絶対に通らないという。というのは、長さ約30mもある大蛇が顔を出して待っているそうで、飲み込まれてしまうというのだ。なんだか信用ならない話のようだが、10年ほど前に軍隊がそれを仕留めたことがあり、その時の長さは30mで幅は80cmだったという。ウソみたいな話だが事実のようだ。             


もう一方の支流ソリモンエス川はネグロ川の黒色に対して泥水の茶色をしており、その流速は時速7kmと早く、水温は17度でナマズその他の魚が多く獲れるという。この川を利用する現地人は、川の泥水をいったんこして飲んだり、洗濯したりするそうだ。アマゾンの川では、朝方と夕方が凪いでいて、昼間は波が立って危ない場合もあるという。
 

マナウスに近づいてくると、川岸の斜面には民家が立ち並び、別荘地帯なども見える。川中に何やら変わった型の船が何隻も点在している。これは水上ガソリンスタンドだそうで、航行中の船舶がオイルを買うのだという。アマゾンならではの珍しい商売である。
 





川岸には多数の民家が













             

水上から見たマナウスの町















珍しい水上ガソリンスタンド









やがてマナウスの町を遠くに眺めながら、船は一路合流地点に向かって航行する。船は1時間半かかって観光ポイントの合流地点に到着。広がった川面を眺めると、そこには珍しい光景が横たわっている。アマゾン最大の支流ネグロ川の黒っぽい水と本流ソリモンエス川の茶色の泥水が、混じり合うことなく線を引いたように見事に分離しながら流れている。茶色と黒の層が境目をつくって見事なまでに分かれている。この奇妙なコントラストの現象は、下流約10kmにわたって見られるそうだ。この2つの水流が混合しない理由は、泥水の比重がネグロ川の水より重いためらしい。





 合流点の奇観。手前の黒いネグロ川と泥水のソリモンエス川が分離したまま流れている。




この珍しい光景を後にすると、今度は上流に向かって半時間ほどさかのぼる。島の間を抜けて進むと、やがて波静かな入り江の奥に設けられた桟橋基地に到着。そこには、人気のないアマゾンの大自然の中に広がるのどかな風景が静かに横たわっている。この基地ではレストランと土産品店が営業している。今日の昼食はこのレストランなのだ。





 静かな入り江のような川岸にある桟橋基地。左は水上レストラン。




上陸すると、ここからジャングルの中に入る。基地の裏はジャングルになっており、その中を少し切り開いて板木造りの遊歩道が設けられている。






ジャングルの中に作られた 遊歩道









ここから300mほど奥にあるオオオニバスを見物するのだ。さあ、蚊に刺されないように虫除けを塗布して出発だ。一列に並んで熱帯雨林の茂るジャングルを奥へ奥へと進んで行く。ジャングルの経験は初めてである。これがアマゾンのジャングルなのだと思いながら進んでいると、前方がぱっと開けている場所に出る。そこがオオオニバスの葉っぱが見える池なのだ。



 オオオニバスの池




その池は思ったより狭く、葉っぱの大きさも予想外に小さいものである。まだ成長していないのか分からないが、あのタ−ザン映画で見られるように、人間が乗っても沈まない大きな葉っぱを想像していただけに、少々がっかりである。あんな大きなものは、いったいどこにあるのだろう。ここでは見られないのが残念である。
 

葉っぱの間の水面をふと見ると、そこに小さなワニが1匹泳いでいる。ワニの子供なのだ。ということは、この付近に親ワニもいるはずなのだが、辺りを見回してもどこにもその姿は見られない。これもまた失望である。ジャングルを抜けて来た割りには、期待外れの感じである。それでも記念の写真を撮り終えると、もと来た遊歩道を引き返して基地へ戻る。
 





葉っぱの間に子ワニが・・・












(次ページは「ピラニア釣り」編です。)










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