(ペルー編)
12.チチカカ湖への道・・・・ ラ・ラヤ峠・民家訪問・シユスタニ遺跡
12日目。今朝は5時半に起床。今日はチチカカ湖へ移動の日だ。早い朝食を済ませて7時過ぎ、バスはチチカカ湖へ向けて長い一日の旅に出る。空は穏やかに晴れて気持ちがいい。チチカカ湖からやってきた青年ガイドを乗せて、バスはクスコの町を抜け、森林のないなだらかな山並みを見ながら平原の中を突っ走る。
しばらく走って、とある村にさしかかると、ガイド君がパン屋の前でバスを止め、みやげに持ち帰るパンを買っている。ここのパンはおいしいことで有名だそうで、いつもこの村を通りかかる時には買って帰るのだという。それは“チュ−タ−”という名のパンなのだが、写真のようにかなり大きい丸型のパンなのだ。
こんなに大きなパンが・・・。チューターという名のパン。味はなかなかのもの。
この村では以前、大パン作りに挑戦し、直径5mの大パンを作ってギネスブックに登録されたそうだ。添乗さんが買ったのをみんなで少しずつ試食してみる。中には何も入っていない食パン風味だが、少し甘味があってなかなかおいしい。こんな郊外の小さな村で、こんなにもおいしいパンが作れるとは見上げたものである。
また、しばらく走ると、今度はインカゲ−トにさしかかる。この地点からクスコへ向けてインカ帝国の領域内となる。ゲ−トの高さは10mほどだが、インカの石積み技術によってきっちりと積み上げられ、それが谷間の平原を塞き止めるように長く横たわっている。インカ時代には、このゲ−トで通行人が検問されていたのだろう。
インカゲート
ここから手前がインカの領域。
ゲ−トを抜けてバスは再び走り出す。しばらくすると、今度は瓦製造で有名なミミバンバ村にさしかかる。外で粘土を固め、それを小さな小屋の窯で焼いている様子が見える。あちこちの工場小屋の煙突からは煙が立ち上っている。いずれも、素朴な建物である。クスコからこの辺りまでは瓦の屋根が多いのだが、先のプ−ノの方になると、トタンやメタル造りの屋根が多くなるという。
バスが進行するに従って、途中の道路工事が目立つようになる。クスコ〜プ−ノ間の道路は、まだほとんど舗装されておらず、ほこりっぽい地道が続いている。しばらく走ると、谷間にきれいな湖が見え、その山の斜面に両手を大きく広げたキリスト像が立っているのが見える。さらに進むと、今度は谷間を流れる川が見え始める。細めの川なのだが、これはアマゾン河の上流になる川だそうだ。これが1〜2月の雨季になると水位が増して観光客がラフティングを楽しむという。
コースの途中に、こんなきれいな湖が・・・。左手山の斜面には白いキリスト像が見える。
この川がアマゾン河の上流になる。
コ−スの進行中、時折ポリスコントロ−ルの検問所があり、その都度運転手が降りて何やら書類を提示し、許可印をもらっている様子である。こうして、クスコから2時間半ほど走ったところで、シュクタニのバスタ−ミナルでトイレ休憩となる。しょうしゃな建物で囲まれた門構えのモ−タ−プ−ルになっており、白い壁が陽光に映えて、まぶしく輝いている。
シュクタニのバスターミナル
小休止をとったあと、バスは再び走り出す。次のストップは2時間ぐらい後だという。しばらく走ると、点在する村の各家庭に番号が大きく書かれた小屋が付属しているのが目につく。なんだろうと思っていると、フジモリ政権下にトイレボックスが各家庭に配られたものだという。その小屋に番号を付してあるのだが、別に意味はないらしい。この地のトイレは、地面に穴を掘り、それが満杯になるとまた別の場所に穴を掘って移動するという。天然の自動処理で手間がかからない。
これからバスは次第に高度を高め、標高4200mの高原を走って行く。途中のカリエンテスの村ではリュウマチに効く温泉が湧いている。道路沿いにある露天風呂では、多数の老若男女が入浴しているのどかな風景が見られる。日本の温泉場と同じ風景で懐かしい。ここを過ぎると間もなく、標高4300mの高地にあるラ・ラヤ峠にさしかかり、ここでバスは一時ストップとなる。高地に慣れたためか、高山病の症状はみられない。
峠に降りたって澄み切った空気の中で深呼吸一番、空を見上げると流れる雲が手に届くように低くたなびいている。4300mの高さとは思えない感じで、周囲を見渡すと枯れ草の平原の端から裾野を引いた山並みが荒い岩肌を見せながら目の前に横たわっている。中には万年雪を冠雪した山も見られる。今日は天候が良いので、この高さでもけっこう暖かい。この場所では、通行客相手に数人の露店商が店を並べ、物を売っているのどかな風景が広がっている。 |
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