N0.3
(モンゴル国)





5.首都ウランバートル市内観光
モンゴルの旅3日目。朝6時に起床。ストーブを焚いてもらったお蔭で寒さは感じず、熟睡できた。昨夜は夜中に雨が降ったらしい。昼間でなくてラッキーだった。だが外に出てみると、空には厚い雲がかかっている。しかし、時間が経つにつれ青空がのぞき始め、次第に陽射しが強くなる。最後の1日も好天に恵まれそうだ。天に感謝である。


(動画)キャンプの朝の風景


今日の予定は、ここテレルジ国立公園から移動してウランバートル市内に戻り、市内観光めぐりである。市内観光はそれほど時間がかからないとのことで、出発はゆっくりである。


そして深夜12時発便で帰国の途に着く。モンゴルとは今日でお別れなのだ。


タルバガン
朝食前にキャンプ内を散策してみる。かなり奥までゲルが配置されている。朝日を浴びてゲルが輝いている。そんな中を周回していると、足元に何かリスに似た小動物がちょろちょろと走り回っている。すぐに隠れるので、じっと待っていると、再び姿を現す。


そこで動画に撮ろうと試みるが、残念なことに液晶画面が光に反射して対象物が見えない。仕方なく当てずっぽうに撮影したが、後で見ると、ほとんど動物の姿は写っていない。残念・・・。


(動画)タルバガン

このリスに似た小動物はタルバガンと呼ばれるそうで、日本名はシベリアマーモットと言うそうだ。リスの仲間らしい。これを食すると美味しいそうで、かなりの美味らしい。


朝 食
散策を終えると朝食取りに食堂ゲルへ出かける。昨夜、ガイドと朝食の時間を打ち合わせそこなって何時が朝食なのかわからない。だが、お腹が空いて来たので単独で出かける。


私たち3人のテーブルには、すでに料理が用意されている。ハム、ソーセージ、卵焼き、トマト、キュウリ、それに食パンなど。飲み物は別室にあるので、そこでコーヒーをカップに注いでいただく。


朝 食

私が食べ終わるころに、ガイドが顔を出し、談笑しながら食事する。ドライバーはまだ姿を現さない。9時半に出発するとのことで、ゆっくりと落ち着いている。食後は草原に出て思い残しのないように、その風景を脳に刻み込み、美味しい空気を胸いっぱいに吸い込む。目の前では放牧された1頭の牛がのどかに牧草を食んでいる。草原ならではの風景である。


(動画)牧草を食む牛


見送りの儀式
我ら一行が出発しようと車に向かっていると、キャンプの女性スタッフが民族衣装に今度はお椀を持って現れる。我われの車に向かってお椀の液体をしゃくで振り撒いている。何事かと尋ねると、旅の安全を祈ってミルクを撒いているのだという。いろん風習があって興味が掻き立てられる。


見送りの儀式


(動画)見送りの儀式


スフバートル広場

9時半に出発した我らが車は、もと来た道を一路ウランバートルへ向かう。途中、草原に放牧された羊の群れに出会う。


(動画)草原に放牧された羊


1時間半で市内に到着。最初の観光はスフバートル広場である。この広場は市内の中心に位置し、市民の広場となっている。


周囲には政府宮殿(国会議事堂)、ウランバートル市役所、文化宮殿(カルチャーセンター)、モンゴル国立オペラ劇場、ウランバートル中央郵便局、モンゴル証券取引所などが広場を囲むように立ち並んでいる。そして広場の中央にはスフバートルの騎馬像が置かれている。彼は30歳で夭折したソ連式共産主義モンゴル革命の指導者なのだ。


(動画)スフバートル広場


この広場にはモンゴル国の0地点の印が刻まれている。この場所から、各モンゴルの地方都市までの距離が測られている。日本でいうと、日本橋にある道路元標にあたる場所といえるわけだ。広場の片隅に立ち、広大な広場の様子を動画に収める。


民族歴史博物館
政府宮殿の横に位置する博物館だが、そこへ移動して見学する。撮影は有料となっており、パスすることにする。何処の博物館もそうだが、展示物が多いだけに見学には時間がかかる。


展示は発掘された石器時代の用具をはじめ、建国の歴史からチンギスハーンの時代を経て現代に至るまでのさまざまな遺物や衣装などが展示されている。主要な部分を見学して終わりとする。


民族歴史博物館


ガンダン寺
ガンダン寺は1838年に建立されたチベット仏教寺院で、スフバトール広場から徒歩15分ほどの距離に位置するウランバートルのシンボル的存在になっている。


ガンダン寺の山門


ガンダン寺本殿

ソ連時代には寺院としての機能は失われていたが、1940年代には回復し、チベット仏教の再評価の中心的存在となっている。観音堂には見上げるほどの大きな観音像があるが、初代観音像はスターリンによって破壊され、現在は二代目の観音像が祀られている。内部は写真撮影禁止となっているので、その様子はお見せできない。


入口手前には大型のマニ車が置かれ、高い敷居がある。それをまたいで堂内へ入る。敷居を踏んではいけないことになっている。高さ25mの大きな観音像の台座の周囲には、ここにも大型のマニ車が並んでおり、参詣者は右回りに回りながらマニ車を回転させて行く。


そして堂内から出る時は、チベット仏教の教えに従い、後ろ向きになって背を向けずに後ずさりしながら敷居を跨ぎ外に出る。堂内から出ると、出口の所にある大型のマニ車を回転させ、退散するわけである。こうしたお参りの作法があるわけだ。


ガンダン寺でまず目に付くのは鳩の大群である。その多さには圧倒されるほどである。境内の一か所に群れをなし、集まっている。なんとそこでは参詣者がエサを与えているのだ。傍では鳩のエサを売っており、参詣者はそれを買ってハトに与えている。この場所がハトのエサやり場なのだ。満腹したハトたちはすぐ横の仏塔に群れをなして休んでいる。ハトにもいろいろしきたりがあるようだ。


境内にはハトの群れ


仏塔に群がるハト

広い境内には幾つかの別院があり、その一棟では僧たちの修行している姿も見られる。


ノミン・デパート
ガンダン寺を後にすると、次はウランバートル最大のデパート、ノミン・デパートへ向かう。このデパートは市内のメインストリート、エンフタイワン通りの北側に面する7階建てのデパート。昔は階段のみだったとか。最近はエレベーターやエスカレーターが設けられている。


ノミン・デパート

中に入るとエスカレーターがあるので、店内の様子を見るためこれを利用して最上階まで上ってみる。やはり日本のデパートと同様に、1階は化粧品関連や貴金属商品が置かれ、上階には婦人物や紳士物が置かれている。電化製品、土産品雑貨もある。


喉が渇いたのでアイスクリームを買って小休止。その後は4階の土産品売り場で土産品を物色し、ミニゲルやモンゴルのネームが入ったキーホルダーなど、かさばらない小物の土産品をゲット。


昼 食
デパート見物が終わると、大きなレストランへ移動。ここで昼食となる。料理はスープと肉。これでお腹満腹。


前菜


同 上


食料品ザハ(市場)
レストランを出ると市民の胃袋、食料品ザハへ向かう。ザハとはモンゴル語で市場の意。市場の規模は小さいが、肉や魚、野菜に果物、海外からの輸入食品やスパイスなどが、所狭しと並べられてる。


肉の売り場

ここでの注目品はキャビアとモンゴル産の岩塩。キャビアはロシアに近いこともあり、破格の値段で手に入るとか。モンゴル岩塩は甘味があり、どんな料理にも合うという。


市内の主要観光ポイントは以上で終わり、あとは劇場で民族歌舞の観賞を残すのみである。しかし、劇場の6時開演まで余裕時間があるので、眺望のきく所に案内してもらうことに。予定にはない行動で、ドライバーさんのサービスである。


ザイサンの丘
そこで向かったのがザイサンの丘で、市内の外れにある高台の丘である。ここからウランバートルの街が一望できる。この丘の頂上へと続く長い一本道はすべて階段で、一番下からなんと一番上まで640段もあるそうだ。しかし、途中まで車が上れるので、そこからだと頂上まで200段。


我われはその地点まで上ってみたが、生憎と階段の一部が工事中で、頂上へ上ることをあきらめる。そこで車を止めた場所から市街の一部を俯瞰し、動画に収める。


(動画)ウランバートル市街の眺望


トゥール川
その後は高台から下ってトゥール川のほとりに出る。この川はゴルヒ・テレルジ国立公園に端を発し、最終的にはバイカル湖に注ぎ、そして北極海に注いでいる。11月半ばから4月半ばまで凍結するという。ウランバートルはこの川の北岸に広がっている。


夏になれば、この河畔ではテントを張ってキャンプするそうで、市民のちょっとしたリゾート地となっている。河岸に立ってみると、川幅はそれほど広くないが、その雄大な流れにしばし見とれる。


(動画)トゥール川



民族歌舞観賞
開演の時間が迫ってきたので、劇場へ移動する。6時開演で写真撮影は有料とのこと。撮影したら切りがないので、これもパスすることに。


(動画)劇場内部の様子


開演となり、民族衣装を身にまとった出演者たちが、いろいろなモンゴル民族舞踊を踊って見せる。どこの国も同様に、民族特有の舞踊はそれぞれに素晴らしいものがある。


こうした舞踊に加え、馬頭琴やホーミーの演奏もあり、多彩な内容である。ホーミーを楽しみにしていたが、惜しいことに1曲しか演奏されなかった。


最後はなんと、馬頭琴の楽団によるラデッキー行進曲が演奏され、みんな手拍子で盛り上がる。洋楽と馬頭琴の組み合わせが面白く、意外な演奏曲にあっけに取られた感じである。これを最後に民族歌舞ショーは幕となる。

<馬頭琴>
弦は馬のしっぽの毛を束ねてできており、これもやはり馬の毛を張った弓で弾く。モンゴル語ではモリン・ホール、馬の楽器、と呼ばれている。モンゴルでは古くからモンゴル民謡の伴奏のために用いられてきた。
(馬頭琴の写真)


<ホーミー>
ホーミーとは、一人の人が1つの声門から高さの異なる二つの音を同時に出す音楽で、まさに人間楽器だといわれている。モンゴルで生まれた技法であり、世間では分類として音ではなく音楽として認識されている。
(ホーミーの動画) ⇒ こちら


最後の晩餐
民族歌舞はおよそ1時間半ほどで終了し、劇場を出て街中のレストランへ移動する。最後の晩餐にふさわしく、豪華な羊肉のしゃぶしゃぶ料理である。


テーブルには釜が置かれ、これに柔らかい子羊の肉と鶏肉、それに野菜類と麺まで揃えてある。そしてチャーハンも並べてある。なんとも豪勢な夕食である。


しゃぶしゃぶ料理

肉を熱湯にさっと通し、タレにつけて食べる。肉は柔らかく、なんと美味なことか。麺はこしがあって、これもなかなかのもの。思わず食が進んでお腹は満腹となる。ただ、日本米を食べなれた私には、チャーハン飯の硬さには手が出せず、残念である。

帰 国
最後の夕食を終えると、いよいよ帰国の旅である。レストランから、そのまま空港へ移動し、9時半到着。そこでこの2日間、私一人のために常時付き添ってくれたガイド&ドライバーさんらと別れを惜しむ。


空港出発ロビー

深夜12時発便なので、時間はたっぷりある。チェックインを済ませると、両替した残金が少しあるので、土産品ショップで全部を使い果たす。


帰国ルートは来た時と同様に、韓国インチョン空港経由で成田へ向かう。インチョン着は早暁の4時。そこで5時間も待って成田へ向かう。こうして帰国は徹夜状態の旅になる。機内で眠れればいいのだが・・・。そんな思いを胸に小型バッグ1つを持って機上の人となる。モンゴルよ、さようなら・・・。


あとがき
今度の旅は現地滞在わずか2日間という超短期の旅となった。だが、これまで多くの旅をして来たが、今度の旅ほど充実した心に残る旅はなかった。それは現地ガイドとドライバーの心こもるもてなしがあったこと、それに好天に恵まれたことがあったからである。


私一人のためにガイドとドライバーが付きっきりで案内するという、これまでに経験したことのない贅沢きわまる旅であった。そんなことから、またモンゴルに出かけたいとの強い思いがわいてくる。しかし、こんな旅は二度と経験できないのかもしれない。大事に大事に心の奥底にしまっておこう。若きガイド嬢、そして子煩悩のドライバーさんをはじめ、その他のモンゴルの人々に心より感謝したい。(完)
        
                           (2014年9月20日脱稿) 

 

 

   







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