N0.2
(モンゴル国)



 

4.モンゴル大草原へ(テレルジ国立公園)
モンゴルの旅、2日目。6時起床。気になる天候だが、ホテルの窓から外を眺めると曇りで、雨はなし。今日は草原行きなので、この天候が続くことを祈るばかり。窓の外にはビルが立ち並んで視界をふさいでいる。


(動画)ホテルの窓より眺めた風景

今日の行動予定は午前中、テレルジ国立公園へ移動する。ウランバートルから約80kmほど離れた場所で、車で1時間半の距離にある景勝地。その途中で観光ポイントをめぐって公園に到着。そして午後は待望の乗馬体験(2時間)の予定となっている。モンゴル大草原を満喫できる唯一の日だと思うと、いやが上にも心は高鳴る。天候が崩れず、予定通りの実施ができることを願っている。


朝 食
7時過ぎ、まずは食堂に行って朝食だ。ビュッフェ方式で好みの料理を選んで皿に取り分ける。パンは食パン、フランスパンなどにバター&ジャム、フルーツはスイカ、オレンジ、リンゴなど。これにソーセージ、ハム、ベーコンなどの肉類にエッグ。飲み物はコーヒー、紅茶、ジュース類がそろう。なかなかのご馳走である。モンゴルでは自国生産が少ないので、これらの食材の多くは輸入品とみられる。


食堂には日本人のツアーグループ十数名の姿が見られる。少し話を聞いてみると、東京発のツアーで昨日はゴビ砂漠の観光を終えてここへ到着したとのこと。今日はまた遠方の観光をする予定という。


若き女性ガイド
部屋に戻って身支度を整えると出発だ。8時半に1階ロビーに出ると、すでにガイド嬢とドライバー氏は姿を見せている。ガイド嬢は昨夜の出迎えから始まり、帰国する空港までスルーで専属案内役を務める。私一人のためにである。なんだか秘書同伴の旅行気分でウキウキルンルンである。


彼女の名はアヌジン嬢で19歳。モンゴル大学の1年生で数学を専攻しているとのこと。将来はIT関係の仕事をしたいという。この時期は夏季休業中で大学は休み。それを利用してガイドの仕事をしてるそうだ。


彼女は日本人の父とモンゴル人の母親の間に生まれたハーフである。愛らしく優しさあふれる表情はとても魅力的である。両親は日本在住で横浜に住んでおり、高卒まで4年間一緒に過ごしたという。日本語はその時代に覚えたもので、難しい言葉などを除けば問題なく会話ができる。モンゴルでは祖父母の家に住んでいるという。


ドライバー氏は運転歴10年の子持ちで働き盛りの年齢。愛想の良い頼もしいがっしりとした体躯の持ち主。家族のために頑張るんだと意気込んでいる。


郊外へ
我らが車は、早朝でまだ混雑が見られない市街地を走り抜けて行く。間もなくすると山並みと緑の草原が見え始める。舗装道路で走行には問題なく、快適である。低い山並みや草原を眺めながら走り抜ける。時には草原の中で草を食む羊の群れも見られる。どこまでも続く直線の1本道を走行する。


早朝のウランバートル市街


ウランバートルからテレルジ国立公園へ向かって走行中


ウランバートルからテレルジ国立公園へ向かって走行中


草原の中の長~い1本道


(動画)ウランバートルからテレルジ国立公園へ向かって走行中


(動画)ウランバートルからテレルジ国立公園へ向かって走行中。羊の群れが見える。


チンギスハーン像テーマパーク
最初の観光ポイントはウランバートルから1時間ほど走ったところに位置するチンギスハーン像である。距離にしてウランバートルから東へ54km離れたトゥール川の高台に位置する。ここはテーマパークになっており、その面積は212ヘクタールと広い。その中央に高さ30mの騎馬像がそびえ、その円形の台座は高さ12m、直径は30mもある。


走行していると、左前方の遠くに凱旋門に似た入場門が見えてくる。門の上にはカッコイイ騎馬群像が乗っている。その奥に銀色に輝く騎馬像がちらりと見えてくる。車は門をくぐり、広場内に駐車。大きな像を見上げながら近づく。


テーマパーク入口門


チンギスハーン像



(動画)チンギスハーン騎馬像

像の右手には黄金の鞭が握られている。実はこの鞭がいわく因縁のもので、ハーンがこの場所で拾った鞭用の木切れだったとか。その謂れからこの場所に騎馬像が建てられたという。なぜこんな野原に騎馬像を建てたのだろうという疑問が、これで解消する。


馬像の内部にはエレベーターが設置され、上の展望窓から自然風景を眺められるようになっている。そして内部にはハーンの博物館、展示場、レストラン、バー、土産物店、会議場などが設けられている。我われは先を急ぐので内部の見物はパスし、その勇壮な外観のみを見物する。


この広場の片隅には鷲使いのおじさんがいて、羽の長さが2mもありそうな大鷲を片手に乗せ操っている。持ってみろと鷲を差し出されるが、さすがに恐れをなして逡巡し、ここは遠慮する。傍には2羽の小型鷲も置いている。観光客向けのサービスなのか、料金を取るのか定かでない。


鷲使いのおじさん


ここにも鷲が・・・


オボー(OBOO:石塚)
騎馬像を後にすると目的地のテレルジ国立公園へ向かう。その途中、オボーと呼ばれる石塚に立ち寄る。道路沿いの高台に設けられた石塚で、円錐形に小積まれた石の塚である。これはチベット仏教に由来するもので、峠や丘、草原など神聖な場所に作られる。円錐形に作った基壇の上部に木枝をさし、その中心に三叉(三つまた)、矛や槍を立てる。


オボーの石塚。人が回っている。


ここにも鷲が・・・

モンゴル人はこれに天神地祇(ぎ:土地の神)が降りて宿ると考える。そしてこの塚の傍を通る時は立ち寄り、オボーの周りを時計廻りに3回まわって、健康や旅の安全を祈る。その時、傍の小石を3個拾って1回回るごとに石を塚に投げ入れ、願い事をする。ガイドに従って3回回り、小石を投げ入れて旅の安全と天候が崩れないことを祈る。私にとっては初体験のことだが、こうした異国での体験は旅の醍醐味でもある。


亀 岩
オボーを後にしてしばらく走るとテレルジ国立公園区域に入る。広大な草原が広がっており、これがモンゴル大草原なのだと思うと、いやが上にも胸が高鳴る。ついに念願の大草原を目の当たりにする。


車は草原の中を走り抜け、公園の外れにある亀岩の見物に向かう。しばらく走ると、遠くに岩の塊が見えてくる。近づくにつれ、岩の塊は亀の形を見せ始める。至近距離で車は停車すると、下車して岩の側に近寄ってみる。なるほど、名称のとおり亀によく似た巨大な花崗岩の岩である。裏側に回ると何の変哲もない、ただの岩である。だが、この裏側から登ることができるそうで、首のところに出られるそうだ。この岩、高さは15mほど。


遠くに亀岩が見えてきた


亀岩


(動画)亀岩の風景


ここテレルジ国立公園地帯は、その昔、古代時代には火山地帯だったらしく、そのため花崗岩の岩が連なる低い連山が見られ、その中には何かを連想させる面白い岩が見られるのが特徴である。


岩の連山


奇岩が多い


民家訪問
亀岩の見物を終えると、次はゲルで実際に暮らす地元の遊牧民の民家を訪問する。少し移動すると、草原の中にゲルが見えてくる。この一つが見学でお邪魔する民家のゲルなのだ。 


ゲルの中に入ると、中央にストーブが置かれ、神棚、食卓などが並ぶ。タンスもある。円形壁に沿ってベッドが2つ離れて置かれている。一つは夫婦用なのだろう。入口横には小さなキッチンテーブルが置かれ、その横には大きな電気冷蔵庫が見える。また、ゲルの外には自家用車まで止まっている。これからすると、かなりの文化生活を送っているようだ。素朴な昔のままの生活風景を見たかったのだが、文明の波はここまで押し寄せ、願いはかなわなかった。


(動画)遊牧民のゲル内部


遊牧民は来客を大事にもてなす習慣がある。そのため突然の来客にも必ず茶菓をふるまう。我われが訪れた時も中央のテーブルには茶菓が用意され、それをいただくことに。この茶菓は遊牧民特有のもので、羊のミルクを干してかため、それをカリントウ風に細長くしつらえたものが主である。これが硬いのなんのって、カリカリと歯が折れそうである。歯が弱い人は、それこそ歯が立たない代物である。歯が欠けないように用心しながら、2、3個いただく。客はふるまわれた物をいただかないと主人に対して失礼になる。


高山植物。可愛い花が・・・


同 上


草原に咲く花たち


タンポポ


コーヒー色の穂先が愛らしい


ゲル到着
民家を立ち去ると、草原の一角にあるゲルに向かう。今宵の宿になるもので、初体験である。この大草原のあちこちにツーリストキャンプと称されるゲルの群落がある。10個以上のゲルが集まって集落を形成している。これをツーリスト向けに貸出し、いわゆるホテル経営を行っている。我われのキャンプは12~13個のゲルの集落で、こぢんまりとしたほうである。


(動画)宿泊したゲルの風景


キャンプの駐車場に到着すると早速、遠来の客へのもてなしの儀式が始まる。キャンプで働く若い女性スタッフが民族衣装で出迎える。手に持つお盆には、さきほど民家でご馳走になった硬いカンリトウが載っている。その1個を取ってカリカリといただく。


歓迎の儀式

出迎えの儀式が終わると、今夜宿泊のゲルへ案内される。いちばん手前のゲルで便利この上ない。中に入ると、中央にストーブ、円形壁に沿って両側にベッドが一つずつ。つまりツィンルームになっている。入口横にはソファーが置かれている。


奥の壁に入口がある。なんとこれがシャワー&洗面トイレ室である。広々として輝いている。別棟のゲルに連結されていて別の部屋になっているのだ。これだといちいちトイレに行くのに外に出て別棟に移動する必要はないわけだ。寒い夜に外の別棟に移動するとなると、どうなることかと不安に思っていたが、これで不安解消である。この部屋に1人とは贅沢な話。


(動画)宿泊したゲルの内部


ゲルの配置だが、どこのキャンプでもゲルの入口が一定の方向を向いている。それは風向のためだそうで、その場所で風がゲルの中に吹き込まないように向きを決めているそうだ。


滞在中、ずっと乗せてもらった車

  <ゲ ル>
モンゴル遊牧民の移動式住居。組み立て、運搬が簡単で、移動しながら生活する遊牧民にとっては先祖から受け継いだ大切な文化である。ゲルの中でのマナーなど、事細かなルールがある。


昼 食
ゲルには12時過ぎに到着し、一段落すると昼食だ。食堂専用の別棟に移動し、用意されたテーブルに着く。料理は、これも連結されている別棟の調理場から配膳される。出された料理はスープとポテト、肉、ライスが皿に盛られている。ボリュームはないが、お腹はこれだけで十分満たされる。


昼食の料理

昼食が終わると、これから始まる乗馬に備え、自分のゲルで一時休息。2時に馬がやって来るという。


ゲル前で晴れ渡った大草原の風景を眺め入っていると、隣のゲルに人影が・・・。日本人の様子なので話しかけてみると、なんと京都在住の若い夫妻で、昨日から宿泊しているという。話の中で、夜は冷え込んで寒く、昨夜はよく眠れなかったという話。ストーブを焚いたがよいとのアドバイスを受け、今夜はストーブをお願いすることに決める。


初の乗馬体験
予定の2時になっても馬の姿が見えない。いったいどこから馬はやって来るのだろう?と興味深く草原の彼方を見回し続ける。その間に、ガイドが脛当て(すねあて)とヘルメットを用意してくれる。乗馬の時、これを着用するのだという。それにしても馬の到着が遅すぎる。ガイドもやきもきしている。


待ちくたびれていると、ようやく馬が到着。予定の2時より小1時間遅れの3時近くである。馬主の親子が5頭の馬を引き連れている。京都の夫妻とガイド、それに私とガイドの分の5頭である。京都の夫妻は昨日も乗馬したそうで、今日は2回目だという。


馬が到着

到着が遅れた理由は、1頭の馬が行方不明となり、それを探し回るのに時間がかかったという。生き物だけに、何が起こるかわからな。仕方ないことだ。


さあ、いよいよ乗馬である。脛当てを着用し、ヘルメットをかぶる。脛当ては馬の体を傷つけないためとか。乗馬の際は馬の左側面から乗ることと指示される。反対側だと馬が慣れておらず、暴れ出す恐れありという。


すね当て


乗馬直前の姿

指示通り左側に立ち、鐙(あぶみ)に左足を乗せ、鞍の取っ手を握り、左足で勢いをつけて蹴り上げ、身体を馬上の鞍に跨らせる。同時に右足を鐙に乗せる。そして手綱を持つと出発準備OKである。

<モンゴル馬>
モンゴル馬の大きさはサラブレッドの2/3ぐらいだそうで、身長160cm~170cmの人が馬の横に立つと、馬の鼻先が人の頭の上にくるのがサラブレッド。これに比し、モンゴル馬は馬の耳が人の顔あたりにくるという。その分、鐙が低く、乗り降りがしやすい。モンゴル馬はとても扱いやすいという。 

乗馬の経験は過去、ヨルダンのペトラ遺跡で500m往復の距離を馬主の引き馬で乗った経験があるだけである。今度は2時間かけて本格的な乗馬だけに、どんな感じになるのか楽しみである。


乗馬に先立ち、カメラ持参での乗馬は禁止とガイドから注意を受ける。馬上で撮影したりすると、シャッター音などに驚いて馬が急に暴れる恐れがあると。また、撮影時に落馬の危険もあるという。こうして、馬上からの撮影を試みようとの魂胆は見事に打ち砕かれてしまう。


総勢5人が馬上の人となり、いざ出発である。私の馬が先頭で馬主の子供が手綱を引き、最後尾は馬主の親父さんが付き、とことこと歩き出す。一段高い視点からの眺めはまた格別で、草原の眺めがいっそう映えて見える。う~ん、これが馬上の眺めなのか・・・と感動する。


馬は草原の道なき草むらを歩くので、時には窪みがあったりする。そこに足を突っ込みながら歩くので、その度に馬の体がガクンと上下にアップダウンする。思わず振り落とされないように鞍の取っ手をしっかりと掴んで身構える。


こうして乗馬していると、鞍もつけない裸馬に飛び乗って草原を疾走してみたいとの衝動が沸き起こる。無理な話とは思いながらも、これが私の草原での夢である。


京都の夫妻が1時間で終わるというので、草原を周回していったんゲルに戻る。小休止のあと、再び乗馬して草原の中へ。今度は私とガイドの2人きりである。そして違う方向へ馬を走らせる。

<馬の歩法>
馬の歩法には「常歩(なみあし)」「速歩(はやあし)」「駈足(かけあし:ギャロップ)などの種類がある。

普通は常歩で分速110mほど。騎乗者にはごく軽い前後の揺れが伝わる。

速歩は分速220mほどで、騎乗者には強い上下の揺れが伝わる。

駈足は分速340mほどで、騎乗者にはブランコのような大きくゆったりとした前後の揺れが生じる。

乗馬初心者の私の場合、もちろん常歩で乗るわけで、コトコトと小刻みの振動が伝わる。途中、ガイドから乗馬スタイルの忠告を受ける。鞍の後ろに寄り過ぎとのこと。これでは尻が痛くなるという。


当初、馬の到着が1時間ほど遅れたので、馬主も予定が狂い、できれば早目に切り上げたいとのこと。残り1時間の乗馬時間が残っているのだが、30分で終わることにする。


そこでふと速歩の体験をしたいと思いつき、その旨を所望する。折角の機会なのだ。御者の指示に馬はカタカタと振動を伝えながら走り出す。常歩の場合は、トコトコトコトコのリズムだが、速歩になると、それが少し早くなってカタカタカタカタッと言った感じになる。


こうして10分ほど速歩で走り、常歩に戻る。そこでもっと速歩を続けますか?と尋ねるので、これでOKですと答える。と言うのは、ヘルメットが振動でずれ、額の前に垂れ下って視界を遮るのだ。ヒモはしっかり留めているはずなのに、ヘルメット部分を直接留められないので、ヘルメットだけが勝手に動き回る。そんなわけで、速歩をあきらめざるを得ない。こうして30分の追加乗馬は終わり、午後4時半にゲルに戻る。


アリヤバル寺院
小休止した後、アリヤバル寺院の観光に出かける。日程表にある観光ポイントを消化するためである。ガイドが後で思いついたため、行動が前後してしまう。実は、先に見物した亀岩の先にこの寺院は位置しているのだ。だから、亀岩見物の際に先まで移動して、この寺院をめぐればよかったのだ。ゲルに戻った後だと、方向が反対になるので、再度改めて亀岩の先まで出かけなければならない。


アリヤルバル寺院は、大自然の小高い丘の岩山に囲まれたチベット仏教の寺院。色彩豊かな本殿が岩山の中腹にある。本殿までの参道は途中までが草原、 そして吊り橋を渡り、最後は108段の石段を上る。チベット仏教で用いられるマニ車(マニぐるま)などもあり、今も厚い信仰に支えられている。

<マニ車>
マニ車は円筒形で、側面にはマントラが刻まれており、内部にはロール状の経文が納められている。大きさは様々で、手に持てる大きさのものがあれば、寺院などでは数十センチ、大きいものでは数メートルにも及ぶマニ車が設置されている。チベット仏教の場合はマニ車を右回り(時計回り)に、ボン教の場合はマシモ車を左回りに回転させると、回転させた数だけお経を唱えるのと同じ功徳があるとされている。チベット仏教とボン教の混在地区などでは、仏具店でマニ車を購入しようとすると、どちらの宗教かを聞いてから内部にその宗教の経文をセットしてくれる。


マニ車(大型)            マニ車(小型)

車は午前に見た亀岩の前を素通りし、さらに先へ走行する。やがてアリヤバル寺院の山門が見えてくる。山門の手前に車を止め、そこから徒歩で寺院を目指す。近道を行こうと草むらの道を歩き始める。足元が悪い細い野道である。寺院は前方に見えているが、なかなか遠く、たどりつかない。足元には可愛い高山植物の花が咲いている。


山 門


遠くにアリヤバル寺院が見える


野の花たち


同 上

ようやく108つの石段下にたどり着く。この石段を上ることによって108つの煩悩が滅されるという。階段を上りあがった先に、寺院の建物が建っている。石段までたどり着いたものの、ここでギブアップ。日々のウォーキングで鍛えた脚ではあるが、午前の観光や午後の乗馬などでかなり疲れているのだ。そんなわけで、石段下までで失礼する。


アリヤバル寺院の階段(108段)


(動画)アリヤバル寺院のふもとより眺めた風景


帰路は石段の左手にある吊り橋を渡って通常の参道を下って行く。橋の橋げたが傷んでいて、一部分めくれて欠落しており、足を踏み外すと危険である。この橋もまた、お経を唱えながら渡ることで煩悩が滅されるという。ようやく山門をくぐり抜け、車上の人となる。


寺院の横手にある吊り橋

ゲルに戻ったのは午後の6時。まだ陽は明るい。夕食は7時とのこと。それまでにシャワーを浴び、汗を流す。お湯もシャンシャンと出て快適なシャワーである。


夕 食
7時になって食堂ゲルへ出かけ、ガイド、ドライバーと3人でテーブルを囲み、食事が始まる。メインディッシュは肉料理で、デザートはスイカである。モンゴルでは気温のせいで栽培できないから、輸入ものである。飲み物はミネラルウオーターである。


夕食の料理


食事の折、ガイドが「今夜は晴れているので星空が見えます。10時になったら夜空の見物をしましょう。」と誘ってくれる。同時に、今夜はストーブを炊いてほしいとお願いしておく。


夕食を終えて、ひんやりした草原の空気を吸いながら、ふと空を見上げると、前方にうっすらと虹がかかっている。草原の虹である。


草原の虹


夜空見物
10時になってゲルの外で待っていると、ガイドが星座表を持参して現れる。この地で見れる星座表である。見上げる空はきれいに晴れ上がって満天の星空が広がっている。空気が澄んだ大草原の中で見る夜空は、また格別のものである。


じっと見上げていると、ヒシャク型の北斗七星が輝いているのが見える。これを見るのは何年ぶりだろう?ずいぶん昔に見たきりである。普段の生活の中では、なかなか見る機会がない。この貴重な機会をとらえ、モンゴルの星空をじっくりと観察する。


ストーブ焚き
部屋に戻ると、キャンプの若い女性スタッフが薪と石炭を持ってストーブに火を点けている。モンゴルの暖房用燃料はすべて石炭なのだ。石炭は国内で採掘されているので安く手に入るらしい。


(動画)ゲル内部でストーブを炊く


ストーブに入れた石炭は少ないので、火が持てるのはせいぜい数時間分と思われる。スタッフが引き上げると、部屋が温かいうちに床に入るとしよう。念のため持参した厚いセーターを着込んでベッドに横たわる。モンゴル2日目の夜は草原の中のゲルで夢を結ぶことにする。快晴の草原で1日を過ごせたことに心満ちる思いで静かに目を閉じる。10時半床に就く。


(次ページは「首都ウランバートル市内観光」編です。)



     

 





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