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    N0.15
(ヨルダン・シリア・レバノン)



(レバノン編)


旅のコース




11.アンジャル遺跡

この石切り場を後にすると、次の目的地アンジャル遺跡へ向かって南下する。遠くに冠雪したレバノン山脈を眺めながら、ブドウ畑の広がるのどかな田園地帯を駆け抜けて行く。この麓一帯に広がるベッカー平野は肥沃な土地柄のようで、農産物も豊富に取れるのだろう。先の石切り場から小1時間走ったところで、アンジャル遺跡に到着である。

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◎特記事項
イスラエル軍、レバノン攻撃
イスラエル軍は28日(06年5月)、レバノンの首都ベイルート郊外と東部のベッカー高原計2ヶ所を空爆した。イスラエル国内の報道によると、数人の負傷者が出た模様。軍は同日早朝にレバノン国境付近の基地がロケット弾攻撃を受け、兵士1人がけがをしたことへの報復だとしている。どのイスラム過激派が攻撃したのか不明だが、イスラエル軍の空爆はパレスチナ解放人民戦線総司令部派の武器庫などが標的になったという。(06年5月29日付け朝日新聞)

下の写真で見るように、のどかなベッカー高原の様子ではあるが、この記事のようにいつ何が起こるか分からない地域である。旅行記でもその意味のことを述べているが、これは現実の話となっている。わずか2ヶ月ほど前にここをバスで通過しただけに、その思いがひとしおである。

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美しい草原が広がるベッカー平野


広大なブドウ畑が広がる


ここにもブドウ畑が・・・

こんなのどかな地域に、ウマイヤ王朝のアンジャル遺跡は静かに広がっている。この遺跡は南北および東西貿易ルートの交易都市として、8世紀の初めウマイヤ朝のワリード1世によってよって建設された計画都市である。都市のデザインは、パルミュラ遺跡に見られる四面門を持つ古典的なローマ様式の設計になっており、その大きさは(320m×400m)の長方形の街で、縦横のストリートによって4区画に分割されている。アンジャールの繁栄は灌漑による水の存在が基礎になり、これによって可能になった集約的農業生産に依存していたという。一毛作の穀物や砂糖、綿などは都市を潤わせたという。


アンジャルのメインストリート。ここに600軒以上の商店が並んだ。

都市内部には2本の20m幅メインストリートがあり、全盛期には600軒を超える商店が並んで商業の中心だったという。また、ローマ様式の浴室、2つの宮殿、それにモスクも持っている。まだ発掘途上のようで、その原形は不明である。バールベック遺跡などに比べるとめぼしい建築物もなく、見劣りする遺跡である。一部修復されたり、復元されたりしている部分もある。見所の少ないこの遺跡では、1時間足らずの滞在でシリア国境へ向かう。


復元された宮殿のアーチが美しい



前掲写真と同じメインストリートの風景。両側の石積み壁は復元されたもの。



        復元された外壁。遠くに復元された四面門とアーチが見える。







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