(レバノン編)
旅のコース
10.バールベック遺跡
旅の8日目。いよいよ明日は旅行最終日となる。寂しいかぎりだが、時の過ぎるのを止めることはできない。早朝5時半の空はまだ暗い。やがて白み始める空を眺めれば、今日も雲のかけらはどこにも見当たらない。この地は“曇り”という言葉を忘れ去って、ただ“快晴”という言葉しか知らないようだ。
う〜んと背伸びして深呼吸一番、今日も走るぞ310km。今日のコースは国境を越えてレバノン国内に入り、そこで2つの遺跡を見学して再びシリアに入国、そしてダマスカスに向かうという忙しい旅である。これまで北上を続けてきたバスの旅も、今日は反転して南下し、レバノン国内へ入ることになる。
ロケーションのよいこの部屋から、まずは窓外の景色をのぞいて見よう。6時を過ぎると、朝日が昇って街並みを明るく照らし始める。この街も石造りの建物ばかりで、街全体が白とベージュ色に染まっている。そんな街並みのあちこちに、その存在を知らせるかのようにモスクのミナレット(尖塔)がそびえている。雲ひとつない青空に抱かれて、ハマの街はいま目覚めようとしている。 |
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