旅のコース
9.ハマの大水車とクラック・デ・シュバリエ城砦
7日目。旅の楽しみも残りわずか、早くも明後日には帰国の旅に変わる。起床はいつものように5時過ぎ、外はまだ暗く、空には見事な残月がかかっている。写真に撮ってみたが、ハレーションを起こしてうまく行かない。あきらめて柔軟体操、洗面と日課をこなす。
夜明けの窓
そうこうするうちに、東の空が白み始め、間もなく日の出の時刻となる。このチャンスをとらえて、パルミュラの日の出の風景を撮ってみよう。この部屋は前にも述べたように角部屋で左手と表の二箇所に窓がついており、左手からは市街が、表の窓からはナツメヤシの密林と遺跡の一部が眺められる。
待ち構えていると、市街地越しの砂漠の中から静かに朝日が昇り始める。早朝5時40分のことである。途端に地上は明るく輝きを増し、夜の闇に包まれていたヴェールを次第にはぎ取って行く。まずは市街地の見える横窓からの風景を撮ってみよう。朝ぼらけの中に街並みが広がっているのが見える。近くのモスクのミナレットがひときわそびえている。今朝のアザーンの声は聞こえなかったが、眠っていて気づかなかったのだろうか? 右に目を移すと、ナツメヤシが鬱蒼と生い茂って海のように広がっている。パルミュラ(ヤシの町)の名のとおりだ。 |
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