化粧品メーカー「AHAVA」(アハバ)
遺跡見物に1時間以上を費やしてから、再びロープウェーで下山する。その麓には死海にある有名な化粧品メーカー「AHABA」の売店があり、そこに立ち寄る。このメーカーは高度な専門知識と技術を駆使して神秘的な死海からミネラル成分などを抽出して優れたスキンケア製品の数々を世に送り出している有名メーカーである。
アハバのショップ
アハバの店内
店内の陳列棚には泥石鹸、塩石鹸、ミネラル石鹸など各種の石鹸をはじめ、さまざまな化粧品類が並び、店員が熱心に説明している。石鹸などは複数個購入するとオマケが付くなどして割安になっている。これに乗せられて、私も3種類の石鹸を購入することに。有名メーカー品だけに日本国内で買うと割高になるため、ここでまとめ買いするメンバーもいる。
世界最古の町「エリコ(ジェリコ)」へ
一通り買い物を終えると、次の観光地エリコの町へ移動する。マサダから死海沿岸をさらに北上し、その北端部のクムランを通り過ぎて内陸部に入り、少し走ると目的地エリコである。この町はベツレヘムと同様、パレスチナ地区にあるため、国境のイスラエル軍検問所を通過して町内に入る。特にうるさいチェックはなく、何事もなくスムーズに通過する。
移動の途中で見られるナツメヤシの植林
ベツレヘムと違って、緑の多いのどかな田舎の風景が広がっている。もともとこの地にはオアシスがり、それで人々が住み着いたそうで、死海に近いこともあって海抜マイナス250mの低地となっている。紀元前8000年には周囲を壁で囲った集落ができていたと言われ、世界でも最古の町と言わており、旧約聖書にも度々登場する町だそうだ。
エリコの町に入ったところ
エリコの戦い
また、この町は歴史的にも「エリコの戦い」としても知られている。3000年の昔、モーセの後継者ヨシュアに率いられてイスラエルの民は、神様が「あなたがたに与える」と言っていた約束の地カナン(現在のパレスティナ地方)を目指して前進して行く。
しかし、その前にカナン人の都市の中でも有数の堅牢な城壁に囲まれた都市エリコを突破しなければならない。戦いの初日、イスラエル軍は城壁を一周するだけで帰る。その次の日も、その次の日も無言で同じとことを繰り返す。こうして心理作戦に出る。エリコの守備軍もかなり疲れてくる。
そして7日目、この日だけは城壁を7周する。その7周後、先導する祭司7人は一斉に角笛を吹き鳴らし、同時に指揮官のヨシュアは「エリコに向かって大声で叫べ」と合図し、イスラエル軍は一斉に勝鬨の大声をあげる。すると、それだけであの頑丈な城壁が崩れ落ちたのである。もちろん神が崩したのである。城壁をなくしたエリコ側は防衛もできず、陥落して全滅したという。(旧約聖書:ヨシュア記による)
この聖書の話は発掘調査によって証明されてはいないが、城壁が崩れたのは恐らく地震によるものだったのではないかと推測されている。
エリコの遺丘
町の片隅に小さく低い盛り土のような丘が見える。ここが遺跡の丘で、近年発掘調査によって次第にその全容が分かって来ている。ここにはすでに1万年前、人が住んでいたと思われる痕跡が発見されている。そしてそれは年代を重ねるに従い、地震や火災などによる破壊と建設が繰り返されたらしく、地層の幾層にもわたって時代ごとの痕跡が発見されている。
遺跡現場は5〜6mほども深く掘り下げられており、むき出しになった地層が古代の人々の営みを物語っているようだ。発掘調査が進めば、エリコの戦いの証拠が発見されるかもしれない。
発掘された遺跡
深く発掘された遺跡
遺跡が二重の城壁で囲まれていたこを示す図面
時代ごとの層が見える
この遺跡の丘から眺めるエリコの市街は緑の樹木に埋もれるように立ち並ぶ民家が眺められる。この草木1本も見られない死海西岸地区の砂漠地帯では、きわめて珍しい光景である。それもこれも“エリシャの泉”の恩恵である。これで灌漑が行きとどき、町中全体が緑化されている。 |
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