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     N0.7




6.モハーの断崖観光

ゴルウェー2日目。朝6時に起床。今日はモハーの断崖再挑戦の日である。一番気にかかるのは天候であるが、窓からのぞいて見ると、外は曇り空。このまま雨が降らなければ、断崖見物には支障はないだろう。ひとまず安心である。


遅い出発のツアー
朝食の時間は8時からというので、部屋に用意されているポットでお湯を沸かし、コーヒを入れて飲んだりしながら、のんびりと過ごす。その間に観光パンフを調べてみると、「バレン高原とモハーの断崖」の観光ツアーには2種類のコースがあることが判明。一つは昨日参加したツアーで、他の一つはそれより時間が短いツアーで、料金も前者より2ユーロ安い14ユーロ(シニア料金:2100円)となっている。二度目のモハー行きにはこれが最適とばかりにこれに決めることにする。出発時間も午前11時半と遅く、帰着は午後5時過ぎと早くなっている。


腹応えあるアイリッシュ・ブレークファースト
8時になって食堂へ出向く。ダブリンのゲストハウスの朝食はお粗末で、もうひとつだったが、ここのB&Bの朝食はどうなのだろう? キッチンはマダムと若いお手伝いさんの2人でまかなっている。片隅のテーブルにはコーンフレーク、リンゴ・バナナなどのフルーツ、それにミルク、ジュースなどが用意され、昨日の朝とは雲泥の相違である。


食卓に出されたのはアイリッシュ・ブレークファーストで、写真のようにベーコン、目玉焼き、ウィンナーソーセージ、輪切りのソーセージ、ベイクド・トマトなどが盛られ、皿の縁には小さく刻んだカラフルな野菜が散りばめられてムードたっぷりの内容である。これにトーストパン2枚とバター・ジャム、それにコーヒーOR紅茶がポットに入れて出される。デザートにバナナとリンゴをいただく。これだけの分量を朝からいただくと、お腹にずっしりとこたえる。


アイリッシュ・ブレークファースト。皿の縁にカラフルな野菜のチップが並ぶ。

出発が遅いので、朝食の後は部屋でTVでも観ながら、ゆっくりと時を過ごす。昨日は一番列車でダブリンからこの地に移動し、到着したその足でモハーの断崖の一日ツアーに参加するという強行軍で、疲労気味の身体だけに休養が必要だ。旅先でのぜいたくな時が流れて行く。


インフォメーションへ
10時になって腰をあげ、カメラと水、それに傘を用意して出発する。まずは駅のすぐ近くにあるインフォメーションを目指す。そこで11時半発のツアーに申し込む。そのついでに、「この国では何時のシーズンが安定した天候になるんですか?」と女性の係に尋ねると、難問と見えてしばらく首をかしげている。やや間を置いて、「そうですね、やはり5月でしょうか?」という返事が返ってくる。それほど、この国の天候は年間を通して不安定だということなのだろう。というわけで、この国では傘は欠かせないのである。


ゴルウェーのメインストリート
インフォメーションを出ると、この街のメインストリート・Shop Street とHigh Streetに向かう。ゴルウェー駅から通りを出た所に公園広場があって、市民の格好の憩い場所になっている。その広場の横からつながる道路がshop street で、その先がHigh Street へつながり、これらのストリートが街のメインになっているようだ。通りに入ると、まだ人影は少なく、荷卸しの車などが通りを塞いでいる。メインストリートといっても、どこか田舎町の感じで、両側には靴店、宝石店、本屋、レコード店、食品店、衣料品店などが軒を連ねている。午後になれば賑わうのだろう。


のんびり過ごせる公園広場


ゴルウェーのメインストリート、ハイ・ストリートの朝の風景

通りを戻って公園広場に出ると、そこの片隅に日陰を見つけて腰を下ろす。この公園も人影は少なく、ただ夏の陽光が静かに照りつけている。この街はなんとなく人込みも少なく、のどかな雰囲気がただよっている。ただ、この国の一番の名所である「モハーの断崖」を控えているだけに、その観光基地の町となっており、多くの観光客が立ち寄る街でもある。しかし、市内観光はめぼしいポイントがないため、モハー観光のツアー団体も素通りするか、宿泊のみといった様子である。


ミニバスで出発
そろそろ出発の時間となったので、出発地点へ移動する。このツアーは昨日のそれとは別会社のもので、ゴルウェー駅からの出発ではなく、そこから公園広場前を通り抜けて角を曲がった位置にある。そこにはすでにミニバスが待っており、陽気な若いドライバーにチケットを見せて乗り込む。ところが、乗客は私だけのたった1人。すでに10時発のバスが出発した後だけに、この11時半発のバスにはあまり需要がないのだろう。しかし、ダブリンから2番列車で到着した観光客にはありがたい観光バスだと思えるのだが・・・。


「おや? 乗客は私だけですか?」とドライバーに尋ねると、「今のところ、そうなんです。真夏になると多いのですが、この時期は割りと少ないんですよ。」と話す。これだと私1人の貸し切りバスになりそうだなあ・・・そう思っていると、若い1人の欧米人男性がやってくる。これでやっと2人になる。その後、しばらく待っても人影は見えないので、これで出発となる。


カナダ青年との出会い
昨日走った同じ道をたどりながら、バスは郊外へ向けて走行する。早速、同乗の青年と話を交わす。なんと、それが驚いたことに日本の千葉で2年間、ジオスの英会話学校の講師として働いていたという。今では日本語も忘れ、片言の用語しか覚えていないという。現在はカナダのトロントに住んでいるそうで、フリーライターの仕事をしているという。今度の旅はアイルランド、ベルギー、スウェーデンを周る予定だそうで仕事半分、ホリデー半分だという。


出身国はポーランドで、カナダと2つの国籍を有しているという。日本のこと、トロントのこと、ワルシャワやアウシュヴィッツのことなど、共通の話題で話がはずむ。ワルシャワの治安について尋ねると、やはり良いとは言えないという話。スウェーデンやベルギーの観光ポイントについて、いろいろアドバイスすると、熱心にノートを取って聞いている。さすがにライターだけのことはある。 


素敵なパノラマ風景
バスはゴルウェー湾を望むスロープにさしかかると、ここでフォトストップ。目の前には陽射しを浴びたゴルウェーらしい風景が広がっている。昨日と違って晴れ間が多く、明るい光景を見せている。前方左手から中央にかけて、低くたなびくようにアラン諸島の島々が横たわっているのが見える。昨日の風雨がなければ、今はあの島に渡っているはずなのに・・・と悔やまれる。そして右手には、ダイナミックな大自然が残り、雄大な風景が見られるコネマラ地方の山並みが遠くうかがえる。なんとも穏やかなパノラマ風景である。



 ゴルウェー湾の風景。前方ずっと遠くにアラン諸島が低くたなびくように浮かんで見える。右手遠くの低い山並みがコネマラ。




大型バスに合流
バスはここからさらにスロープを上り、緑あふれるバレン高原の中を走り進む。その途中で、とあるB&Bの前でストップ。そこには5〜6人の男女パッカーたちが待っており、彼らをピックアップする。多分、ツアーを依頼していたのだろう。そこからさらに進んだ高原の中の道路でバスはストップ。前方には大型バスが止まっている。するとドライバーが、あのバスに合流してもうらうので乗り移ってくれという。な〜んだ、ここで先回りしていた大型バスに合流とは・・・。


二度目のドルメン遺跡
このバスは、昨日訪れたAILLWEE洞穴を観光した後、この地点で私たちのミニバスを待っていたらしい。すでに乗客はほぼ半分の席を埋めており、これにわれわれが加わると空席は少ししか残らない。ここからバスはバレン高原を走ってドルメン遺跡に向かう。しばらく走ると、昨日雨の中で見たドルメンが見えてくる。ここでストップ。


昨日とは打って変わって、まぶしいほどの陽光を浴びたドルメン遺跡が輝いている。今日は傘なしで、ゆっくりと撮影ができる。そこで前後左右に回りながら、その古代の巨石墳墓を全方位から撮り収める。別名”巨人のテーブル”と呼ばれるこの遺跡の周囲にはロープが張ってあって近寄れず、内部の様子がどうなっているのか分からない。


絶妙の均整によって有名なこの古代墳墓(ドルメン)だが、石器時代からバランスをとって現在に至っているという。このような様式は橋門墓と呼ばれるそうだ。奈良飛鳥の石舞台墳墓はもっと規模が大きいが、このPOULNABRONE DOLMEN は、石舞台より数千年も古い時代に遡る。


ドルメンの写真(側面)


ドルメンの写真(縦面)


ドルメンの写真(反対側面)


ドルメンの写真(後面)

待望のモハーの断崖へ
ここを後にすると、バスは海岸線に向けて走り出す。この後の観光は「モハーの断崖」を残すのみである。二度目の私にとっては、あの洞窟観光が省略されるのはうれしいことだ。今日の目的はただ一つ、モハーの断崖をこの目で見ることである。進むにつれて雲は霧散し、昨日とはまる反対に、空には真っ青の抜けるような青空が広がり始める。まるで昨日のお詫びだと言わんばかりに、青空で歓迎しているようだ。日が変わると、こうまで違うのだ!


やがて見慣れたパーキングと斜面の道路が見えてくる。あの青空の中に浮かぶ風景はどうだ。昨日は雨風でさんざんな目に遭ったのだが、その同じ場所で今日は青空のお出迎えである。やはり再挑戦してよかったと、胸おどる思いでバスを降りる。ここで昨日と同じ、1時間半の自由時間である。

断崖へ向かう斜面が見えてきた



 左側はパーキング。右側の建物はビジターセンター。右端は断崖へ向かう丘陵のスロープ。




今日の快晴の下、周りのすべての風景がくっきりと、輝くように眺められ、昨日風雨でびしょ濡れになった同じ場所とは、とても思えない感じである。嬉々として足取りも軽く、ビジターセンターを通り抜け、スロープにとりかかる。ここは丘陵地帯になっており、ここを上りあがって海岸地帯に出ると、そこに目的の断崖が見えるはずである。昨日は霧の世界しか見れなかったが、今日こそは果たしてどんな姿を見せてくれるのだろう? 期待に胸を膨らませながら上って行く。


ビジター・センター入口

ゆるやかなスロープを上りあがって頂上に出ると、その向こうの眼下に念願の断崖がドカ〜ンと姿を現す。昨日は、ここで傘を吹き飛ばされそうになってびしょ濡れになりながら上り歩いたのに、今日のこの見事な空の青と断崖の眺望はどうだ! 移り気なこの地の天候も、今日ばかりは“ほれ、ゆっくりとご覧なさい”といわんばかりに青空を天空いっぱいに広げて雲を散りばめようとしない。ここぞとばかりに、まずはこのシーンを写真に収める。


この丘陵のスロープを上って断崖へ向かう



 丘陵の頂上から眺めた断崖の眺望。この道の先を下ると断崖の展望ポイントに出る。






(次ページへつづく・・・。)










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