N0.10




岩山にそびえるエジンバラ城
勘定をお願いし、フィッシュ&チップスとビールの代金合計£6.95(1600円)を支払う。まあまあリーズナブルな金額である。満腹のお腹を抱えてプリンセス通りへ引き返す。通りの交差点で信号を待ちながらふと前方を見上げると、岩山の上に何やら城壁らしいものが見える。ひょっとして、あれがエジンバラ城? 通りがかりの人に尋ねると、間違いなくお城なのだ。街の中心部に位置しているとは地図で知っていたが、こんな間近に見えるとは予想外で、そのカッコいい姿に思わず立ち止まってしまう。


プリンセス通りの交差点から眺めたエジンバラ城

なるほど、この街が「近代のアテネ」と呼ばれるゆえんが分かるような気がする。アテネのアクロポリスの丘にそびえるパルテノン神殿のように、まさにいま夕日を浴びながら岩山の上にエジンバラ城がそびえている。その美しいシルエットに惹かれるように、プリンセス通りを横切って通りの下の公園に下りていく。ここ道路下の低地帯には素敵なガーデンがあり、市民の憩いの場となっているようだ。この側をウェーバリー駅からつながる鉄道路線が走っており、駅は目の前である。


低地に広がる素敵なガーデン
夜の8時はとっくに過ぎているのに、まだこんなに陽は高く、見上げる青空の中に夕日を浴びながら優美なシルエットを浮かべるエジンバラ城の姿がとても印象的である。歴史と風格のただよう古都の素敵な風景である。道路からスロープを下りてガーデンへ出ると、木々の間にグリーンが広がり、静かな夕暮れの風景を見せている。ここはお城のそびえる岩山のふもとに当たり、深い仰角で城を見上げることになる。そのシーンがなんとも素晴らしく、いつまでも見とれてしまう。この素敵なガーデンのベンチで憩いながら、夕暮れのそよ風の中、夕映えのお城を眺めるのは最高の気分である。


木陰越しに見上げるお城の風景も赴きがある



ガーデンに下りる道から眺めたエジンバラ城



低地のガーデンから眺めたエジンバラ城




魔女狩りの伝説
この低地帯には次のような伝説がある。中世の魔女狩り時代には、このガーデン一帯は深く広い池だったそうで、そこに魔女と思しき女性を連れて来ては身体を縛って池に投げ込んだという。その縛り方が面白く、右の耳と左足の指、左の耳と右足の指をそれぞれ縛りつけ、その状態で池に放り込むのだそうだ。そして浮き上がってくれば魔女と判定し、処刑場に連れて行かれて処刑されたという。一方、浮かび上がらない者は魔女ではないと判定されて開放されたという。(この話は観光バスの案内で説明されたもの)。中世時代には、今から思えばお伽噺のようなことが、いともまじめに、真剣に行われいたのだ。その魔女判定池も、今は一滴の水もなく、静かな芝生の公園となっている。


次の絵はエジンバラ城の絵画だが、その昔、麓に湖があったことを証明している。これはAlexander Nasmyth (1758-1840)というスコットランドを代表する風景画家の絵で、スコットランド国立美術館所蔵のもの。現在は、この絵の湖の部分手前が多分ウェーバリー駅で、その先がガーデン(公園)になっている。当時ののどかな風景が髣髴とさせられる。




ブリッジからの風景
ここから上りあがってプリンセス通りに戻り、そこから歩道を少し西へ歩くと左手に曲がる細いブリッジがかかっている。この道は鉄道路線が走る低地帯の上を横切るブリッジになっており、そこからウェーバリー駅を見下ろすことができる。ここからの眺めは、低地帯のあるエジンバラの街の特色をよく示している。


ブリッジから見下ろしたウェーバリー駅

下の写真に見える低地帯の鉄道路線より左側が新市街、その右側が旧市街に分かれている。そして右手の丘には中世の香りが残る歴史と趣のある建物が並び、左手の尖塔とあいまって古都の雰囲気を醸し出している。新市街とはいっても、その町並みには200年以上の歴史を経た建物が並んでいるという。



 ブリッジよりの眺め。谷間に広がる低地帯。中央の奥下がウェーバリー駅、左側上がプリンセス通りで、この左側区域が新市街。右側が旧市街。




ここからもう一つ先の辻にTHE MOUNDという通りがある。このMOUNDの通り沿いにはRoyal Scottish Academyや美術館(National Gallery)の建物が見える。もうこの時間だと、すでに閉館しているのだろう。この通りをそのまま上りあがると、旧市街のMarket 通りに出る。


The Mound の通り。この先を上ると旧市街のMarket 通りに出る。
左のスコットランド国旗がひるがえる建物がRoyal Scottish Academy



美術館近くの路面にはめ込まれているエジンバラ市街の鋳造模型。
右側の高い丘がエジンバラ城。


宿はQueen Street の外れ

ここからきびすを返し、宿へ引き上げる。プリンセス通りに戻ってそこを横切り、真っ直ぐQueen Street へ向かう。ここへ通じる道路もスロープになっており、緩やかな坂を上って下りおりるとQueen Street に出る。この通りは新市街のメインストリートだが、今の時間帯には人影も車の姿もほとんどなく、ただ王朝時代の石造りの建物が道の両側に整然と並んで、ひっそりと静まり返っている。週末土曜日だからだろうか?


プリンセス通りから真っ直ぐクイーン通りに向けて抜けると、その向こうに
海が見える。



ひっそりとした夕暮れ時のQueen Street

ようやく陽が傾いて陰を落とし始めたストリートを、一人てくてくと宿へ向かう。部屋に戻ってシャワーを浴びると、コーナーに用意されたティーを飲みながら地図を片手に明日の観光ポイントを検討する。こうして床に就いたのは夜10時のことである。 



(次ページは「エジンバラ市内観光編」です。)










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