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5.ハワイ島溶岩ナイトツアー
ハワイ4日目。今朝も5時半に起床。ハワイの旅も今日で実質的に終わりとなる。明日は帰国の旅が待っているだけだ。観光最終日となると、なんだか心さびしい思いがしてならい。旅の最後はいつも感傷的になる。


明るくなって窓外を眺めると、洋上の彼方にシャワーを含んだ黒っぽく怪しい雲がわき立っている。今日は快晴は望めず、にわか雨の多い不安定な天気になりそうだ。お陰できれいな虹がよく見られる。


ワイキキ沖にはきれいな虹が・・・

今日はハワイ島の溶岩を中心に見に行くのだが、夜の溶岩流出を見る観光で、そのため今朝のホテル出発は9時半とゆっくりである。それまでにゆっくりと朝食を部屋で取る。昨日用意していたマーフィン、牛乳、そしてリンゴである。


ホノルル空港へ
今日はハワイ島観光で空路ハワイ島のヒロ空港へ飛ぶ。そこでまずは予定時間にピックアップされてホノルル空港へ。ここから約50分の飛行である。このツアーの参加者一行は総勢12名。男性は3人のみで、下は女子小学生から高年の者まで多彩な顔ぶれである。


機に搭乗して眼下に太平洋の青い海をぼんやり眺めていると、やがてハワイ島上空にさしかかる。なだらかな斜面が広がる島影が見え始める。あれがハワイ諸島の中で最大のハワイ島なのだ。機は午後1時前、ヒロ空港に無事到着。


ハワイ島が見えて来た


ヒロ空港着陸


ヒロ空港屋舎


ハワイ島のこと
別名ビッグアイランド(Big island)と呼ばれるハワイ島。 ハワイ全6島の中で一番大きく、若い島である。面積は10432kuで四国の半分程度。人口は約15万人。ハワイ島の最大都市ヒロは経済の中心地で日系移民がつくった町である。

                  ハワイ島略図


ハワイ島は他の島と異なり特徴のある島で、世界で最も活発な活火山のひとつ(キラウエア)、海底から測った高さが1万mを超える世界最高峰(マウナケア)、世界で最も巨大な山(マウナロア)、州最大の公園(ハワイ火山国立公園)がこの島にある。また、緑の生い茂る熱帯雨林から火山性砂漠、雪をかぶった山頂から美しい黒砂ビーチまで、世界の異なる気候帯のうち2つを除くすべての気候帯が存在する珍しい島でもある。


ヒロ市内へ&昼食
空港では現地旅行社のガイド氏の出迎えを受け、早速小型車でヒロ市内へ移動。昼時を過ぎているので、そのままレストラン「CAFE100」へ直行し、そこで昼食となる。ここは名物料理ロコモコの発祥の店として有名である。


空港からヒロ市内へ向かう


ヒロ市内に入って来た


レストラン「CAFE100」

メニューはもちろんハワイ名物料理の“ロコモコ”である。これはハワイのファストフードが発祥といわれる料理で、ハンバーグと目玉焼きをご飯の上に乗せてグレービーソースをかけた、いわばどんぶりのようなもの。これはヒロでレストランを経営する日系人が発案したとされるが、そのルーツは不明とか。


ロコモコの料理

料理が盛られた器がプラスチックパックで、それが気に入らないが、食べ応えは十分。完食するとお腹は満腹である。


ファーマーズマーケット
食事が終わると、ヒロのダウンタウンにあるファーマーズマーケットへ。ここはつまり現地の農産物や工芸品などが売られている市である。広いテント張りの屋根の下に、地元民が持ち寄って新鮮野菜や果物類などを売っている。マンゴの値段は少し高いが、パパイヤなど6個で1ドルとバカ安。荷物になるので買うのはあきらめる。


マーケットの様子


マーケットの内部


工芸品も売っている

ここで小半時間ほどを過ごした後、次はココナッツ・アイランドへ移動する。


ココナッツ・アイランド
ダウンタウンのマーケットから東へ移動。途中、金ピカのカメハメハ大王像を右手奥に見ながら走ると、間もなく到着である。このアイランドはヒロ湾に浮かぶちっちゃく可愛い島で、人工の島のような感じである。しかし、その狭い敷地にはヤシの木やその他の樹木が生い茂り、緑の芝生も広がって家族連れには格好の公園となっている。到着寸前に生憎とシャワーがやって来て傘をさしながらの観光となる。


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ココナッツ・アイランド

この小島との間には70mほどの橋が架けられてあり、それを歩いて島へ渡ることができる。この島の岸辺にはよくウミガメが見られるそうだが、今日は運悪く姿は見られずである。岸辺に立って眼前に広がる静かなヒロ湾を眺める。


(動画)ココナッツ・アイランドよりヒロ湾を望む


ビッグアイランド・キャンディーズ
ココナッツ・アイランドを後にすると、南へ少し移動してキャンディーのショップ&工場へ向かう。ここは1977年に創業したというマカデミアナッツ・キャンディーとクッキーを製造する工場である。100%ハワイ産のマカデミ アナッツ、コナコーヒー、地元産の卵、本物のバター、そしてチョコレートなどを使って製造していると言う。


屋舎内に入ると、その奥に大きなガラス張りの窓があり、そこから製品の製造工程が見れるようになっている。ちょうど今、クッキーに1枚1枚ていねいにチョコを塗っている様子が見て取れる。


お菓子の工場

屋内はショップになっており、マカデミアナッツやクッキー製品が並んでいる。マカデミアナッツを買いたいと思い尋ねると、今は夏で塗られたチョコが溶ける恐れがあり、日本への持ち帰りは無理だと言われ購入を断念。


残りの時間は表の庭に出て休息。周りには黄色や赤い花が咲き乱れて心を癒やしてくれる。やはり常夏のハワイには多種類の花が多い。













キラウエア火山国立公園
キャンディーズで30分ほど過ごした後、次はいよいよこのツアー一番の見どころであるキラウエア火山の観光である。車はヒロの街から南下しながらキラウエアへ向かう。山間部にさしかかると雨模様となり、霧がかかってくる。


雨が降り出した

国立公園入口ゲートを通過し、ジャガーミュージアムへ向かう。そこには展望台があり、キラウエア・カルデラ(キラウエア火口)の壮大な景色が見られるのだ。到着すると早速、展望台へ。目の前にはぽっかりと大きく口を開けた火口がど〜んと飛び込んでくる。その迫力あるシーンに圧倒される。火口からは白い噴煙が立ち上り、確かに活きた火口であること示している。火口の上には、それをまたぐように美しい虹がかかっている。


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噴煙を上げる火口


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虹と火口



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きれいな虹が・・・


ミュージアムの屋内に入ってみると、溶岩類の展示物と同時に地震計が何個も取り付けられて、火口の動きをリアルタイムでチェックしている。ここはトーマス・ジャガーによって創られた博物館である。


地震計


Steam Vents(スチームベント)
ひとしきり火口を見物した後は、少し離れたスチームベントに向かう。ここは地面に開いた穴から硫黄分を含まない蒸気が噴き出ている場所である。地面に含まれる雨水が地下の熱い岩で熱せられて水蒸気となって噴出するそうで、雨の時や寒い時のほうが蒸気が多く、見応えがあると言う。


スチームベント。水蒸気は見えない。

今日は気温も高く、大して雨もないので、蒸気の噴出はほとんど見られずである。


Lava Tube(ラバ・チューブ)
スチームベントを通り過ぎて、次はラバ・チューブに向かう。これは溶岩洞窟のことで、溶岩流の外側が外気に触れて冷え固まり、内側の熱いドロドロの溶岩はそのまま流れ出てしまう。溶岩トンネルはこうして作られたものである。


その場所はシダの生い茂る山林の中にあり、そこへ通路を下って行く。何となくジャングルの中を歩いている気分である。しばらく下って行くと、その先に小さな橋が見える。ここを渡った先にトンネルがある。


ラバチューブの看板


密林の感じ


シダの密林


洞窟入口にかかる橋

トンネルの中は丸くくり抜かれており、熱せられた溶岩流がこの中を流れていた跡なのだ。自然に作られたものだから、円形の空洞になっている。照明の明かりの中を数十メートル歩いてトンネルの外に出る。その先にも長いトンネルがあるそうだが、一般観光用はここまでである。再び密林の中の道を上って道路に戻る。途中、キジに似た鳥が散歩しているのに出会う。


洞窟内


キジに似た鳥



溶岩台地に虹が・・・


溶岩台地&夕食弁当
小雨の降るラバ・チューブを見学した後、下降して溶岩台地へ向かう。高度が下がると雨は止んで、空には虹がかかっている。到着してみると、眼前に広がる壮大な溶岩の大地が飛び込んでくる。見渡すかぎり溶岩に覆われた光景は迫力満点で、大自然の営みに圧倒されて息を呑むばかり。その溶岩群は海岸線に向けてゆるやかな斜面を埋め尽くしている。かつては真っ赤に燃えながら、この斜面を溶岩が流れ落ちていたのだ。


(動画)壮大な溶岩台地


(動画)溶岩台地:その2

この時点で夕方5時を回っている。そこで夕食となる。用意された弁当をこの壮大な溶岩台地の中でいただこうと言うわけだ。台地の中を走る道路に車を止め、そこからでこぼこの台地の中を少し歩き下って適当な食事場所を見つけにかかる。すると溶岩で埋まった以前の道路が一部露出している場所を発見。一行はそこで腰を下ろし、夕食弁当のお開きとなる。


(動画)この溶岩台地で弁当をお開き

溶岩に囲まれて食事するなんて、滅多とない珍しい機会である。溶岩台地を渡る風に吹かれながら、のんびりと弁当をつつく。この溶岩群が海岸線に流れ落ちる様は壮観そのものだったに違いないと、その時のことを想像しながら思いに耽る。


食後、台地の中を散歩していると、面白い溶岩流の跡型を発見。無数のひだをつけた溶岩流の跡型があちこちに見られる。あたかもドロりと溶けたアメを流して冷やしたような光景である。それぞれに形が異なるので見とれてしまう。これが真っ赤に溶けて流れる光景を目の当たりにしたいものだが・・・。


溶岩流の跡型


同 上


同 上


同 上


同 上


ところで、キラウエア火山は溶けた溶岩流が真っ赤になって流出する光景をナマで見られるので有名だが、残念ながら現在は流出が止まっていて溶岩流は見られないと言う。数年前に起きた地震で溶岩の流出口が塞がったためらしい。今度のハワイ島観光は、これを目的にツアーに参加したのだが、それが見られず実に残念至極である。


再びジャガーミュージアム展望台へ
ようやく陽も傾いて夕暮れ時になってきたので、再びミュージアム側の展望台へ戻ることに。先ほど見物した火口が夕闇に燃え上る様子を見物しようと言うわけだ。


溶岩台地の中をミュージアムへ向かう

昼間は白い噴煙しか見えなかった火口が、夕闇の中に赤く染まった噴煙を上げているのが見える。火口の底では煮えたぎる真っ赤な溶岩が噴出しているのだろう。これが火口から吹き上がれば壮観で迫力ある光景が見られるのだが、今は穏やかに火口底で赤く燃えているだけである。もっと暗くなれば赤く染まる火口の噴煙が見られるのだろうが、帰路の飛行便の時間もあるので、この夕暮れタイムが精一杯なのだ。


赤々と映える火口の噴煙


(動画)夕暮れの中に赤く染まる噴煙


ヒロ空港へ、そしてホノルルへ
赤く燃える噴煙を見おさめに、一行は山を下ってヒロ空港へ向かう。出発は夜9時ごろの飛行便。山上では小雨に遭ったりもしたが、燃える火口や壮大な溶岩台地をめぐるなど、溶岩観光を満喫することができた。


あとは一路ホノルル空港へ飛行し、ホテルへ帰着するのみ。ホノルルへ到着したのは夜10時ごろ。出迎えの車でホテルに到着したのは11時近くである。こうして夜遅くまでかかったハワイ島観光はやっと幕を下ろすことになる。


ゆっくりと湯船につかって疲れを癒やし、予定の観光を無事終えたことにほっとしながらハワイ最後の夜を過ごす。


6.帰国の旅
今日はハワイの旅、最終日で帰国の日である。7時ごろゆっくりと起き出し柔軟体操で体調を整える。沖合では今朝も早くから波乗りを楽しんでいる。もうそのシーンを見るのも今日でおさらばである。


まずは朝食の調達に取りかからなくては・・・。昨日、帰着が夜遅かったので、今朝の朝食の用意ができていない。身支度を整えて最寄りのABCショップへ出かける。このショップは早朝から開店しているので便利この上ない。ハワイ最後の朝食はイナリ寿司と牛乳&リンゴである。空港への送迎車は11時にホテル玄関前に来ることになっているので、それまではゆっくりと過ごせる。


時間どおりにやってきた出迎えの車に乗ってホノルル空港へ。ワイキキの街の風景をしっかりと目に焼き付けながら感慨に耽っていると、やがて空港到着である。早速、チェックインを済ませ出発ロビーへ。


昼時になって来たので、ここで少し腹ごしらえをしておこう。出発便は午後2時前なので、食事にありつけるのはまだ先のこと。そこで適当なスナックが取れるショップはないかとロビーをうろついていると、その一角にスターバックスのショップを発見。ここでドーナツ1個(3.75ドル)、コーヒー小(2.80ドル)を注文。


空いたテーブルに腰を下ろし、ハワイ最後の飲食を始める。大きなカップに注がれたコーヒーをゆっくりと傾けながら、4日間の旅に思いを馳せる。時はあっという間に駆け抜けて、すべてを過去のものにしてしまう。ハワイの真新しい過去を静かに手繰り寄せながら、思い出の棚にしまい込む。(完)

                            (2012年10月26日脱稿)










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