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     N0.12




クロアチア編



旅のコース





ドブロヴニクへ
昼食が終わって一息つくと午後1時半、いよいよこの旅の最後のハイライト、古都ドブロヴニクへ移動開始である。朝方は小雨が降ったりと不安定な天気も、今はすっかり落ち着いて青空が広がり始めている。もう天候の心配はなさそうだ。


これからアドリア海沿岸の海岸線をひた走るわけだが、いったいどんな景色が見られるのか楽しみだ。情報によると最近、この沿岸ルートは道路工事のため迂回ルートになって、ずいぶんロス時間が生じているそうだが、完了予定が5月中旬ごろとのことだったので、今日あたりは大丈夫かな?という話。こればかりは実際に行ってみなければ分からない。


心配をよそにバスはスムーズにどんどん走り続ける。車窓に流れる海岸線の風景は予想以上に素晴らしく、紺碧の空と海、それに緑の中に別荘風の家並みが見られる景色は実に美しい。リアス式海岸というほどではないが、結構起伏に富んだ海岸線が絵になる風景をつくり出している。船だまりがあったり、屹立した岩山の岬があったり、素敵な入り江があったりなど、変化に富んだ景色が楽しめる。とにかく海が真っ青で素晴らしくきれいだ。


沖合いに島が見える


船舶の船だまり


急峻な岩山と岬


別荘が並ぶ?


この紺碧の海

かなり走ったところで道路沿いのカフェに入り一時休憩となる。そこにはテラスもあって前に広がるアドリア海を眺望できる。陽光に映えて眼前に横たわるアドリア海を眺めながら、大きく深呼吸をして心身の疲れを癒やす。



 休憩で立ち寄ったカフェのテラスより眺めたアドリア海




ボスニアの国境越え
ここを後にするとバスはさらに走り続け、次第にドブロヴニクへ接近して行く。すでに工事は完了しているらしく、ここまで問題なく素敵な海岸線を走行する。


岬に並ぶ家並み


オリーブ畑が広がる


やがてボスニア・ヘルチェゴビナの国境に近づく。面白いことに、この国境を越えていったん入国し、しばらく走って再び出国してクロアチアに再入国するという複雑な地形になっている。つまり、この先にあるドブロヴニク地域はクロアチアの飛び地になっているのだ。


次の写真は、添乗さんがその飛び地の関係を図示してくれたものである。これを見るとクロアチアがボスニアの沿岸に突き出た狭い国土で2分される形になっている。ボスニアの海岸線はわずか9kmだが、このためドブロヴニク地域がクロアチア本土と分断されているわけである。この理由は歴史的経緯があるわけだが、要するに国家間紛争の緩衝地帯としてボスニアを間に挟む形になったらしい。現在、他国を通らずにクロアチア本土からドブロヴニクへ行けるように、長大橋の建設が進んでいるらしい。


ドブロヴニク(地図の下部)が飛び地になっている状況を示す地図

そうこうしているうちに、ボスニアの国境検問所に到着。またやっかいなチェックがあるのかな?と思いきや、ここはフリーパスでそのまま検問を通過する。行き先がドブロヴニク地域に限定されているかららしい。


ボスニアの国境検問所


海岸には瀟洒な家が・・・


スーパーで買い物
ボスニア地域に入ってしばらく走ると、一軒のスーパーマーケットが現れる。ここで買い物タイムで最後の休憩である。当初に予定されていた休憩だが、ここのスーパーで売られているクロアチアの老舗のチョコを割安で買おうというのだ。前の広い駐車場には各国の団体バスが出入りして賑わっている。ここは格好の休憩が取れる名の知れたスーパーのようだ。


ボスニア区域にあるスーパーマーケット(ボスニア通貨以外にもユーロ、
クーナが使える)


店内に入るや否や、みんなお勧めのチョコレート売り場目指して殺到! 奪い合うようにして買い急ぎ、瞬く間に積み上げられたチョコの山が消えていく。横で見ていた店員はあっけに取られた様子で、ニヤニヤしながら補充の品を出して棚に並べている。みんなそれぞれに思いの品をゲットして一段落すると、あとはしばしのフリータイムである。


玄関前に出ると、横でアイスクリームを売っている。すかさずバニラを買って喉を潤す。ついでに売り子のお嬢さんと会話を楽しむ。
「毎日忙しい?」
「多くの観光客が立ち寄るので結構忙しいよ。」
「出身はどこなの?」
「ボスニアよ。あなたは日本人?」
「そうだよ。日本人客は多い?」
「う〜ん、かなり多いなあ・・・。」
「ところでさ、“どうも”という言葉はどんな意味? 日本人がよく使うのよ。」
「それはね、“サンキュー”という意味だよ。正しくは“ありがとう”と言うんだけどね。」


するとすかさず、バッグからメモ帳を取り出してノートしている。なかなか熱心なお嬢さんだ。ついでに、日本語の“おはよう、こんにちは、こんばんは、さようなら、幾らですか? あなたが好きです”などを英語とクロアチア語に翻訳して教える。これも熱心に書き留めるので、
「語学が好きなの?」と尋ねると、
「えゝ、語学にとても興味があるの。いま一番関心があるのがポルトガル語よ。」
「お〜、オブリガード、ボアタルデ、ポルファボール・・・ね。何ヶ国語を話すの?」
「英語、フランス語、スペイン語よ。それにポルトガル語を少し・・・。」
「あなたはマルチリンガルなのね! すばらしい〜!」


この近くに住んでいるというこのお嬢さんは、なかなかの語学達人である。毎日訪れる多くの外国人との会話が彼女にとっては実践的な語学学習の機会となっているようだ。


ドブロヴニクのビューポイントへ
好奇心旺盛な彼女に別れを告げると、再びバスはドブロヴニクへ向けて走り出す。ここから先の海岸の風景はまた一段と素晴らしく、夕日に映えるアドリア海の景色が目を楽しませる。目的地に近づくにしたがって、海岸に広がる町並みの景観が多くなる。住宅街に囲まれたヨットハーバーが見えてくると、間もなくドブロヴニク到着である。


湖のようなアドリア海


小さな浮きが並んでいるのはムール貝の養殖


夕日に映える海が美しい


斜面にはオリーブの木が並ぶ


紺碧の海に白い船体が映える


穏やかな海面に夕日が映える


吊り橋の風景


このヨットハーバーが見えてきたらドブロヴニクはもうすぐ

ホテルに入る前に、ドブロヴニクのタウンを見下ろすビューポイントに案内するとのことで、これはありがたい。これまで何度となく写真や映像で見てきたのだが、直に目にするのはもちろん初めてのことだ。バスはドブロヴニクの町を直下に見下ろしながら通り過ぎ、先の丘の道路を進んで行く。やがて停車したポイントは、斜め右下方の遠くにタウンが見える場所で、ここからの写真が宣伝写真などによく使われる有名ポイントなのだ。


ところがタイミング悪く、ちょうど夕日の逆光になって写真にうまく撮れない。私の安物のカメラでは暗くしか写らないのである。折角の貴重な機会なのに、実に残念至極。


逆光の中に翳るドブロヴニクの遠景



(動画)ドブロヴニクの遠景


ならば、引き返す途中の車窓から撮影するしか仕方ない。通過中にタウンが真下に見えるチャンスがあるのだ。この一瞬に期待をかけるしかない。こうして、その一瞬をとらえて撮影したのが次の写真である。先のビューポイントからの撮影は午前中でなければ逆光になってベストの写真は撮れない。


車窓より眺めたドブロヴニクの町


車窓より眺めた至近距離のドブロヴニク


朝日に輝くドブロヴニク旧市街(翌朝の移動中に車窓より撮影)


レストランで夕食
ドブロヴニクに到着したのが夕暮れ時の7時前。夏時間なのでまだ外はカンカンに明るい。ホテル到着が遅くなるので町のレストランへ直行し、夕食となる。そこはなかなかしゃれたレストランで、天井にはツタカズラみたいな緑の木を這わせてあり、涼感いっぱいである。夕食メニューはスープ、チキン&ポテト、デザートはフルーツポンチである。飲み物はビール(小ビン:18クーナ=360円)を注文。バスの長旅で乾いた喉を潤しながら、料理に舌鼓を打つ。


時も良し、食事たけなわとなる頃、片隅でバンド演奏が始まる。軽いメロディーに南国ムードが店内いっぱいに広がり、なかなかのムーディーな雰囲気に酔いしれる。こうしてドブロヴニクの素敵な夕べは過ぎて行く。



(動画)レストランのムードを盛り上げるバンド演奏


この後、ホテルにチェックインして床に入ったのは10時過ぎのことである。明日は楽しみのドブロヴニク観光だ。いったいどんな素顔を見せてくれるのだろうか? 晴天を祈りながら眠りに落ちる。



(次ページは「ドブロヴニク観光」編です。)










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