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クロアチア編



旅のコース





シベニク観光
バルカン半島の旅6日目。とうとう旅の後半に入ってしまう。いつも体験することだが、後半になると時が矢のように過ぎて行く感じがしてならい。あっという間に帰国日を迎えてしまうのである。この感覚は私だけなのだろうか? 1日でも長く居たいとの思いが強く働くからだろう。


6時に起床してみれば外は雨だ! 気温も冷え込んで辺り一面霧に包まれている。やはり山間部の天気は変わりやすい。湖群観光が今日でなくて良かった!と胸を撫で下ろす。今日の観光客はほんとに気の毒だ。これでは美しい湖群も霧に包まれて眺望もきかないはずだ。午後になれば霧も晴れるかもしれないが、午前の観光はまともにできないに違いない。



 深い霧に覆われた湖群地域(ホテルの部屋の窓より撮影)




他人事とはいえ、天候が気になりながら朝食取りに食堂へ向かう。今朝の出発が8時半とのことで、早目の朝食でお腹を満たす。この雨では食後の散策もできず、室内閉じこもりで荷物の整理にかかる。まとめるほどの荷物もないのだが・・・。


シベニクへ
雨降る朝8時半、辺りは霧に包まれて真っ白になった見通しの悪い雨の中をバスは南下して、ここより約200km離れた古都シベニクを目指す。今日のコースはプリトヴィッツエからシベニクへ移動し、そこで約2時間の観光と昼食、その後シベニクから50kmほど離れた古都トロギールへ移動して観光、その後は30km離れた今夜の宿泊地スプリットへ移動する。こうしてアドリア海沿岸の古都を巡る1日である。この天候、果たして回復するのだろうか?


ホテル出発時の気温は11℃。走り始めると外気の気温は9℃まで下がっている。やはり山間部の気温は冷え込んでいる。それが雨ともなれば、なおさらのことだ。これまでのところ上着不要で通してきたが、今朝は久々に上着着用である。


車窓からの眺めも霧に包まれて遠景は見えない。そんな中、草原に1台の戦車が置かれているのが目に留まる。こののどかな草原に突然現れた戦車だが、これはいったい何なのだ? きっと内戦紛争時代の遺物なのだろう。戦乱時代の記憶の風化を防ぐための象徴的存在なのかもしれない。平和なしには、我々の旅も実現できないことを強く実感する。


霧に霞んで遠景も見えない


忽然と草原に現れた戦車

出発から1時間ほど走ってハイウェーに乗る。南下するにつれ、霧も晴れ、雨も止んで天候は回復してくる。これなら今日の観光も天気の心配はなさそうだ。しばらく走るとガソリンスタンドに入ってトイレ休憩となる。そこの路側に咲き乱れるピンク色の花が優しく心をなごませてくれる。


ハイウェーに乗って走る


ピンク色の花が愛らしい

出発から2時間ほど南下してザダールという町を通過。この付近からきれいなアドリア海が見え始め、山間部からやっと海岸線に出たことを知らされる。この地点ではすでに気温も21℃にまで上がっている。出発時点から10℃以上も上がって上着も不要となる。山の風景もいいが、クロアチアはやはり紺碧の海が良く似合う。オリーブ畑の向こうにアドリア海が見えたり、フォトストップで素敵な入り江を見下ろしたりしながら海岸線を南下する。こうして出発から3時間、ザダールから1時間後の11時半、ようやく第一目標のシベニク到着である。空には青空がのぞいている。


アドリア海を臨む斜面の住宅地


陽光に映えるアドリア海。手前はオリーブ畑。


入り江の側にも住宅が・・・


オ〜!ワンダフル!! 深く入り込んだアドリア海。斜面にはオリーブが・・・。


シベニクのこと
シベニクはクロアチアの歴史的都市で人口 5万1千人(2001年)を有し、アドリア海東岸のクロアチアの都市では最古の町である。 ダルマチアの中央、クルカ川がアドリア海に流れ込む場所に位置している。今日のシベニクは芸術、文化、生活の発信基地となっており、シベニクの中央教会、「シベニクの聖ヤコブ大聖堂」はユネスコの世界遺産に登録されている。 15世紀から16世紀にかけて、幾人かの成功した建築家たちははこの大聖堂を完全に石で建築し、ゴシック様式とルネサンス様式の両方を兼ね備えたつくりに仕立て上げた。


(シベニクの航空写真:上下左右に移動して見られます)


B点が聖ヤコブ大聖堂。左は海岸線。


古都シベニクの観光
今から1千年前に築かれたというこの町の旧市街は、海岸線から伸びるスロープ地帯に広がったこぢんまりした港町だが、その路地は細く縦横に入り組んでいて分かりにくい。あまり見所のないこの町のとっておきの観光目玉は、何と言っても世界遺産の聖ヤコブ教会である。この聖堂と歴史を感じさせる細い路地がこの町の特徴といえるのかもしれない。


河岸線に到着したバスを下車すると、現地ガイドに案内されて観光が始まる。ゆるやかなスロープを上りながら噴水のある公園に出ると、そこを通り抜けて広場に出る。途中、下校途中の3人連れの女子児童に出会い、写真を撮らせてもらう。その屈託ない天真爛漫な彼女らの笑顔が、この町の素敵さを表しているようだ。どこの国を訪れても、子供たちの笑顔は実に素晴らしい。


公園の片隅には偉人の像が・・・


噴水の向こうに海が見える


像を載せた噴水


あどけない子供たちの笑顔が素晴らしい


城壁に埋め込まれた昔の彫像


広場の向こうに教会の尖塔が見える

石造りの古い家が立ち並ぶこの町特有の細い路地を抜けながら進んで行く。路地には商店も軒を連ねている。路地にはその昔、牢獄だった装飾つきの鉄格子窓があったり、塔が見えたり、さらには石造りの猫の水飲み場まで登場して、この町の歴史や生活文化が垣間見れて面白い。


細い路地には商店が・・・


この町は細い路地が縦横に走っている


彫刻装飾のある昔の牢獄の窓


きれいな石畳の路地


教会の前にはいわれのある鐘が・・・


路地脇に特設された猫の水飲み場。繰り抜かれた石の器になっている。

こうして路地を通り抜けて進むと、その向こうに白亜のドームが見えてくる。これが世界遺産・聖ヤコブ大聖堂なのだ。その前には、ちょっとした広場があるのだが、ここが共和国広場で、普段は大道芸人の姿が見られて賑やからしい。だが今日は、ひっそりとして他の観光客の姿も見られない。


ヤコブ大聖堂が見えてきた


大聖堂前の広場(共和国広場)。この先左に回った所が大聖堂正面門。


広場の前の階段を上りあがると・・・


この路地に出る。磨耗した石畳が歴史を物語る。

聖ヤコブ大聖堂
この聖堂の建造が始まったのは1402年。多数のヴェネツィアと当地の職人の手によってゴシック様式のものが建立された。その後、丸天井や屋根、ファサード(建物の正面部分)などが拡張され、外部には彫刻が施された。それ以前にも外側には幾つもの人間の頭を含むさまざまな石造彫刻による装飾が施されており、それらは現在でも外壁面に残って異彩を放っている。この聖堂が完成したのは100年以上も経った後で、公式に献堂されたのは1555年となっている。


紺碧の空に浮かぶ聖ヤコブ大聖堂

正面入口は海岸へ通じる階段に面しているため、全体像は階段下から見上げざるを得ず、撮影もままならない。共和国広場に面した横手にも装飾彫刻が施された入口門があり、そこには向き合う2頭のライオンの見事な彫像が置かれている。


広場前の大聖堂入口。向き合う2頭のライオンの彫像。
左右のライオン像の上部にアダム(足だけ見えている)とイヴの彫像がある。



大聖堂前(右手)から眺めた路地の風景。下部壁面には
人の頭の彫像が並ぶ。


堂内に入ると全体に薄暗く、高い丸天井と正面の窓から差し込む自然採光だけで電光は灯されていない。それだけに分厚い石組みの壁面がいっそう重々しく感じられ、それが堂内に荘重感をただよわせている。内部には華やかな彩りのステンドグラスもなく、装飾彫刻による重厚感はあるものの全体的に質素な感じである。


堂内の中央祭壇と高い丸天井


ひっそりと輝くステンドグラス


聖人の石棺?


フリータイム
大聖堂の見学が終わると、ランチタイムまでしばしのフリータイムとなる。そこで向かった先は大聖堂の正面門から下ったすぐのところの海岸通りである。海岸に下りて振り返ると、斜面には5月の陽光に映える家並みが立ち並んでいる。これらの家々は細い石段と細い横路地で結ばれている。頂上に見えるのは昔の砦跡だろうか?


紺碧の空と海が素晴らしい(大聖堂正門前から)


海岸から続く斜面に広がる旧市街。細い路地と階段で結ばれている。

長い岸壁は格好のプロムナードで、そこに係留されて並ぶ白くスマートなヨットが目の前の紺碧のアドリア海に映えて、いかにもリゾート地といった風景ムードをつくり出している。この海はクルカ川の河口流域に当たるのだろうか? 地図で見ると、奥深い入り江の感じである。今日は風が強く、風波で海面には白波が立っている。近くをぶらりと散策してみると、古い昔の砲門が置かれていたりして、いにしえの時代がしのばれる。


海岸通りにはいにしえの砲門が並ぶ



 素敵な海岸のプロムナード。紺碧の海に白いヨットが映える。




昼食はブロデッド
昼食の時間が来て近くの海の見える素敵なレストランへ案内される。少し高台になっているこのレストランは、座席の窓越しに海が見える素敵な場所に立地して、食事しながら目の前の素晴らしい風景を楽しむことが出来る。これだと食事も一段と味わいが深くなるというもの。



 レストランの窓から眺めた素敵な風景




本日の昼食メニューは、この地にふさわしいブロデッド料理である。これは魚介類の煮込み料理で、アドリア海の漁師料理らしい。魚の添えには粉パスタで作ったケーキ状のもの。これにサラダが加わり、デザートは珍しいアイスケーキが出される。日本の煮付け魚は辛目の醤油味なのでご飯の添えが要るが、このブロデッドは味が穏やかで、そのままいただける。魚料理もいろいろあるものだが、料理加工されたものよりも、素材そのものを味わう刺身が最高と思うのだが・・・。


これがブロデッド料理


現地のビール

シベニクの観光は昼食でしめくくり、次は古都トロギールへ向かう。



(次ページは「古都トロギール観光」編です)










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