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クロアチア編



旅のコース





プリトヴィッツエ湖群国立公園観光
バルカン半島の旅、5日目。早くも旅の前半が過ぎることになる。旅の後半も見所いっぱいで、その期待感に胸がふくらむ。今度の旅は自然の素晴らしさと古都のロマンを満喫させてくれるコースで、後半がその山場を迎えることになる。


6時に起床してみれば、空は快晴で穏やかな青空が広がっている。
やった〜!ついてるぞ〜!!と心の中で喜び叫ぶ。というのは、今日の旅程が今度の旅のハイライト、プリトヴィッツエ湖群の観光だからである。山間部だけに雨になれば霧に包まれ、世界遺産に登録されるほどの明媚な湖群の観賞が台無しになるからだ。不安定な天候が続く今度の旅だけに、この点が最大の懸念点で、これはついているなあと胸を撫で下ろす。だが、安心は禁物。山間部だけに天候は変わりやすいのだ。


部屋の窓から見下ろす風景はグリーンが美しいゴルフ練習場で、テニスコートがこれに隣接している。ザグレブ郊外の静かな朝の風景である。宿泊ホテルは市街から離れた閑静な郊外に立地していて、周囲にはこれと言ってめぼしい物はなく、遠くにアパートらしい建物が見えるだけである。


ホテルの壁には素敵なバラの花が・・・



 部屋の窓から眺めた朝の風景




プリトヴィッツエへの道
バイキングの朝食を済ませ、旅支度を整えると9時に出発。バスはザグレブから南下しながら約150km離れたプリトヴィッツエへ向かう。出発するとすぐにハイウェーに乗り、快走しながら南下を続ける。バスに設置された温度計は19℃と快適気温を示している。車窓には相変わらずグリーンの美しい草原風景が流れ、その中を一直線に伸びるハイウェーを走り抜ける。


プリトヴィッツエへ向かう途中の車窓風景


一直線に走るハイウェー

ハイウェーを1時間ほど走ると普通道に出て、のどかな田園風景の中を走行する。プリトヴィッツエへの道程はボスニアとの国境沿いを走るわけだが、この辺りでは独立時の内戦による弾痕の跡が残る家や破壊された建物の残骸など、当時の悲しい爪跡が残っている。当時の記憶を風化させないためにも、修復せずにそのままの状態を残すのだという。


ラストキ村
コースの途中に、ラストキ村という素敵な村落があるとのことで、この村に寄り道することに。バスを降りると見下ろす目の前には川が流れ、大小の滝が至るところに流れ落ちて素晴らしい自然の景観を見せている。とうとうと流れる清流と緑の木々に埋もれたこの村は、まさに小プリトヴィッツエといった感じである。なんと素敵な雰囲気の村なのだろう。絵本に出てくるような風景に心が洗われる思いで、思わず深呼吸したくなる。


流れは清流そのもので、水は透き通って川底まで見えている。愛らしい滝もあれば大き目の滝ありで、緑の木陰から流れ落ちる様はたとえようのない美しさである。流れる空気にも酸素やマイナスイオンがたっぷり溶け込んでフレッシュそのものの感じである。この地球上にはいろんな風景が見られるが、その片隅で小さいながらもこんな素敵な光景が楽しめるというのも旅の醍醐味であろう。


滝と緑に埋もれたラストキ村の風景



(動画)ラストキ村の素敵な風景




まるで絵本の世界


緑の木々に埋もれた家々


心なごむ風景に見とれる



(動画)滝と緑に包まれたラストキ村



川沿いには水車小屋もあって、現在でも老人が小麦粉をひいているそうで、その人気は遠くまで伝わり、わざわざ遠路買いにくる客もいるとか。自然の水力でのんびりと挽かれた粉は味もまた格別なのかもしれない。


水車小屋も・・・

上流から流れに沿ってしばらく歩き、その途中で壊れそうな橋を渡って約20分ほどの散策は終わりとなる。


古びた橋が素朴でいい


家の側には池の水が・・・


ホテルで昼食
再びバスの人となり、緑あふれる素晴らしい草原を左右の車窓に眺めながら進んで行く。12時近くになってプリトヴィッツエ湖群領域に入り、その近くにあるホテルに到着。この時の気温は22℃で、出発時からするとかなり高くなっている。


途中の車窓風景


車窓風景。視界は緑一色で埋め尽くされる。

まずはここで昼食のご馳走である。メインメニューはポークで、これにカルボラーナのスパが付いている。食堂は広々としたスペースで大きな窓越しにしたたるような木々の緑を眺めながらの食事は気分最高である。午後は湖群を歩き回ることになるので、しっかりと腹ごしらえをしておこう。


プリトヴィッツエ湖群国立公園のこと
世界遺産(自然遺産)に登録されているクロアチア最大の観光名所。この公園は首都ザグレブとアドリア海沿岸の間に位置しており、200キロ平方メートルの中に大小16の湖と92の滝がある。中心となるプリトヴィッツエ川は、最も高い標高639mの湖から、最も低い標高150mの湖まで、その差489mを流れ下る。これが16の湖と92の滝でつながっている。


湖底が見えるほど透き通ったエメラルドグリーンの静かな湖から、滝となって水が流れ落ちていく。それがいくつも連なっている様は、自然が造り出した壮大で美しい階段のようにも見える。水辺にそって歩くと、誰もが感動するほどの美しさである。


この公園は石灰岩質の岩盤に長い年月をかけて作り出されたもので、エメラルドグリーンにきらめくいくつもの美しい湖や、いくつもの滝が織り成す景観を楽しむことができる。 また、300種類近い蝶や、カワウソ、ヤマネ、クマなどの動物が生息している。ヨーロッパ屈指の美しさを誇る国立公園であるが、冬から春にかけては園内のホテルやレストランは休業となるところが多いため、訪れるなら夏から秋の紅葉シーズンがおすすめである。ただし、7月、8月のハイシーズンには多くの観光客であふれるという。


今は観光客であふれるのどかで美しい湖群地域だが、91年の紛争時代にはこの地域もセルビア人勢力に占拠されて銃弾や砲弾が飛び交い、森の動物たちはすべて姿を消したという。95年にはクロアチアに奪還され、紛争も終わって今はのどかな環境となっている。この素晴らしい湖群地域も戦乱の影響で一時期「危機遺産」に登録されたことがあるという。こうした悲しい過去の歴史を秘めている湖群地域であることも忘れてはなるまい。


プリトヴィッツエ湖群観光
肉とスパゲッティでお腹を満たした後は、いよいよ本番到来である。ホテルからバスで少し移動し、湖群観光ルートのメインゲートに到着。ここから徒歩で観光が始まるわけである。我々のコースは、まず下流域から水辺の木道を練り歩いて上りながら大きな湖に出る。


ここから遊覧船で15分ほど奥へ進んで上陸し、そこから再び徒歩で水辺の散策を続ける。ひとしきり進んだ所で終わりとなり、そこから電気バスに乗って戻ることになる。このコースで所要約3時間である。コースはまだまだ奥のほうまであるので、これをすべて回るとすれば、ほぼ1日がかりとなるのだろう。我々のコースで全体のコースのほぼ2/3といったところである。空は出発時点のように快晴とまで行かないが、曇り空でまずまずの天候である。


出発に際してガイドが言うには、「この領域では熊や狼がたまに出没します。遭遇の際には私たちが最初の餌食になりますので、後に続いて来てください。」と、みんなを笑わせる。それはともかく、笑い話で終わることを祈るばかりだ。


さあ、これからの3時間、滝の水が放出するマイナスイオン(滝の側では豊富なマイナスイオンが認めら、精神安定、血液浄化の効果があるとのことだが、その真偽は不明)と森のフィトンチッド(樹木が放出する殺菌作用の物質)を身体いっぱい存分に吸い込み、細胞の隅々までリフレッシュしよう。     


公園入口

メインゲートの方向指示板を見ながら、鬱蒼と茂る木々がつくる緑のトンネルをルンルン気分で通り抜け、いよいよコースに入って進んで行く。

ルートのエントランスを示す案内板


湖群コースの案内板。右端からスタートして左方向へ進み、中央の長い湖に出ると遊覧
船で奥まで進んで上陸。そこからさらに左へ進んでUターン。



(プリトヴィッツエ湖群の航空写真:上下左右に移動して見られます)

観光ルートは写真の上方からスタートして下方へ進みます




緑のトンネルをくぐり抜けてコースへ向かう

と、遠くから轟々という水音が聞こえてくる。やがて視界に飛び込んできたのは深い谷向かいの山頂から流れ落ちる滝の景観である。これが大滝と呼ばれる湖群の中で一番長い滝なのだ。そのすぐ下にはエメラルドグリーンに映える階段状の湖が眺められ、そこから流れ落ちる小さな滝が大滝と競演している。う〜ん、なんと素晴らしい光景なのだ!


上の長い滝が大滝。眼下に見下ろす風景は“オ〜、ワンダフル〜!”



(動画)大滝の景観



小路を歩き始めると、路傍には可憐な花が咲いて、心和む光景を見せてくれる。


コースには可憐な花が・・・


ここにも・・・


緑と黄色のコントラストが素敵

その一方で、次々と現れる美しい湖群と滝の流れに目を奪われながら、設けられた木道を歩いて行く。


山影を映した鏡のような湖面



(動画)上の場面の動画




透き通る湖水にはマスがうようよ・・・・


あれっ、雨が・・・。

ここを通って回り込むと、最初に眺めた大滝の下に出る。水しぶきの飛沫をかまわず浴びながらその直下に立ち、流れ落ちる滝を見上げながら、その素敵な落下具合にしばし見とれる。



(動画)大滝の下に向かっているところ



(動画)木道を通って大滝に向かう



幾筋かに分流しながら適度な広がりの水幕をつくり、その水量も多からず、少なからずの絶妙のバランスを保ちながら高い落差を流れ落ちる。豪快な滝もいいが、この湖群にふさわしいエレガントなこんな滝もなかなか素敵である。


大滝の落下風景。その優美な姿に感動。



(動画)大滝直下の景観



滝しぶきを浴びた後は、木道や木陰の小路を通り抜けながら、心が洗われるような数々の湖水や滝と感動のめぐり合いを続ける。棚田のように階段状になった湖面から次々と変化しながら流れ落ちる見事な自然の造形美に、ただただ感嘆の声をあげるのみである。苔むした変化に富む岩に砕かれながら千変万化の姿を見せて流れ落ちる滝の様子は、まさに“オ〜!、ワンダフル〜!!”である。とにかく息が止まりそうなシーンの数々に感動の連続である。


岩に砕かれて流れる川


階段状の湖水から次々に滝が流れ落ちる


緑に覆われながら流れる清流


階段状に流れる滝


階段状の滝が続く


やや大きな湖水。奥のほうに滝が見える。



(動画)山影が湖面に映える




たくさんの分流滝が流れ落ちる



(動画)鏡のような湖面に山影が映える




湖水の側の小路がなんとも素敵


緑陰を流れるせせらぎに心洗われる思いが・・・

これまでに十分なマイナスイオンとフィトンチッドを吸収して身も心もリフレッシュした感じである。そんな思いで進んでいると、眼前に鏡のように静かで大きな湖面が見えてくる。その遠くに船影も見えてくる。ここがこの湖群で唯一遊覧船が運航されている大湖なのだ。


鏡のような湖面に船影が見える


遊覧船が桟橋に到着



(次ページへ続く・・・)










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