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   N0.3





10.ルクセンブルク観光(3日目)

今日でルクセンブルク滞在は3日目。午後にはベルギ−へ戻る予定なので、午前の半日しか観光はできない。7時半に起床して、朝食を取りに階下のカフェへ。朝食の用意は、いつものおばさんだ。食事を始めていると、隣の席に珍しく日本人青年が座る。いろいろ話をしてみると、現在アメリカに住み、経済学の研究で大学院に在学中だとのこと。勉強の合間をぬって駆け足旅行に来たそうで、これからベルギ−へ移動するのだという。
 

昨日の遠足で、さすがに脚が疲れている。それでも徒歩で出かけよう。今日のお目当てはミニトレインである。これを利用すると、脚を使わずにすむ。身仕度をしてリベルテ通りをアドルフ橋に向かって歩いていると、もう一つ隣の駅前通りで何やらテントを張った出店が並んでいる。つい引き込まれるように、そちらへ向かって行くと、そこには通りの両側いっぱいに出店がずらりと並んでいる。そうか、今日は週末土曜日で、この通りを歩行者天国に早変わりさせ、フリ−マ−ケットを開いているのだ。この長い通りに衣類、食料品、雑貨など、さまざまな商品を陳列したテントショップが並んでいる。まだ、朝の早目の時間帯なので、それほど人出は多くない。






歩行者天国でフリーマーケットが










ミニトレイン
特に買いたい物はないので、そのまま通り過ぎてアドルフ橋へ向かい、憲法広場に出る。ミニトレインはここからの出発になっている。すでに、トレインは待機している。






出発前のミニトレイン










広場の一角にあるチケット売り場で乗車券(6.5ユ−ロ=920円)を購入。このミニトレインは、小さいながらも座席指定になっており、勝手に座ることはできない。走行しながらヘッドホンで説明を聞けるようになっており、英・独・仏・オランダ語などがそろっている。残念ながら、日本語は用意されていない。この地では、まだお得意様ではないのだろう。ベルギ−ではちゃんと日本語もあったのだが……。
 

いよいよ出発である。広場を出発した列車はアドルフ橋に向かう。乗り心地は、そんなに悪くはない。アドルフ橋のたもとから坂道を下りてペトリュッス渓谷に入って行く。その中央部にはペトリュッス川が流れ、川沿いにはアスファルト道路が走っている。その両側は美しい草木の緑に囲まれた公園地帯になっている。列車は、この舗装道路をグルント低地に向かってゆっくりと走って行く。
 

進むに連れて、ヘッドホンからは荘重な音楽をBGMに歴史劇が流れてくる。日本語がないから英語で聞いていると、どうもルクセンブルクの建国の歴史を劇に仕立てた歴史劇のようだ。緑に覆われた美しいペトリュッス渓谷をゆっくり走りながら、この素晴らしい背景音楽に乗って流れてくる臨場感あふれる史劇を聞いていると、あたかもその時代に遡ったかのような錯覚に陥る。これはなかなか効果的なトレインの旅である。
 

列車はグルント(低地)へ向けてゆっくり走る。写真を撮りたいポイントは多々あるのだが、フォトストップもないし、この振動ではどうしようもない。ただ、窓から両側に流れる風景を史劇を聞きながら静かに眺めるしかない。列車はボックの砲台が見える谷向かいまで来ると、そこからUタ−ンして戻り始める。列車は川沿いの舗装道路を走るので、昨日歩いたル−トとは違っている。車両の屋根が邪魔して上を見上げることができない。屋根もガラス張りで展望ができるようになっていれば良いのに……。ここは低地で渓谷になっているのだから!
 

列車はもと来た道をゆっくり走りながら、低地を抜け、アドルフ橋を下から眺めながらペトリュッス渓谷を通り抜け、その麓から坂道を上りあがって橋のたもとに出る。ここから憲法広場に戻ってミニトレインの旅は終わりとなる。その間にヘッドホンから流れる史劇も幕となる。所要時間は50分で、なかなか素敵なコ−スである。初めて訪れる観光客には、ルクセンブルクの町の特色を知る上で格好の観光ル−トかもしれない。団体客の乗客が多いようだ。


昼食は公園で
トレインを後にすると、この地の記念にお土産を買っておこうとギョ−ム広場のあるセントロ(町の中心部)へ向かう。昨日と同じ通りを歩いていると、例の八百屋さんに、今日も新鮮で見事なイチゴが出ている。味をしめて、またまた買うことにする。ギョ−ム広場の側を通りかかると、テントが張られて広場いっぱいにマ−ケットが開かれている。何があるのだろうと見回ってみると、肉類、鮮魚、野菜、果物、その他の食品類が売られている。それを見てふと、ここで昼食用の食べ物を買いそろえ、ハイキング気取りでペトリュッス渓谷の公園で昼食にしようと思いつく。
 





ギョウーム広場でもフリーマーケットが









そこで、パンとクロワッサンを1個ずつ、それに美味しそうなソ−セ−ジがあるので、これを2本買うことにする。フル−ツは、すでにイチゴを買っているので結構な昼食ができる。あとはお土産を買い揃えれば終わりだ。近くの土産品店に回り、目星をつけていた小さなミニカップを1個買うことに。これにはアドルフ橋の絵が描かれているので記念になるというわけだ。 


憲法広場の横から階段を下り、ペトリュッス渓谷の公園へ向かう。川の流れる低地まで下りると、川沿いには先ほどトレインで通った道路が走っている。その両側には木々が生い茂って緑豊かな公園地帯となっている。その緑陰にあるベンチに腰掛け、特製弁当を広げて昼食を始める。緑に囲まれたのどかな雰囲気の中で食べる食事は、またひとしおおいしいものである。川向こうには噴水の上がる公園もある。その光景を眺めながら、ゆっくりと食事を味わう。うむ、このソ−セ−ジ、なかなかうまいぞ……。
 

食事が終わって一息入れると、噴水の傍まで行ってみる。この場所は昨日、一昨日と渡った橋の真下になるところで、その橋が描く幾つものア−チがとても美しい。






噴水のある公園と橋。
橋のアーチのシルエットが美しい








地元の人たちは車で乗り入れて来ているようだ。市民の格好の憩いの場でもあるのだろう。エンジンの音が聞こえるのでふと見ると、ミニトレインがこちらへやって来る。ベ−ジュにグリ−ンのツ−ト−ンカラ−に塗られたトレインは、この緑あふれるペトリュッス公園の雰囲気によくマッチしている。これがアントワ−プのミニトレインのように真赤だと様にならない。






ペトリュッス公園を走るミニトレイン










ホテルへ、そして列車の旅

この公園でたっぷり1時間を過ごした後、いよいよ帰り支度だ。さあ、これからホテルへ戻り、2時20発の列車でベルギ−へ戻らなければならない。帰路はアドルフ橋のたもとから上りあがってみようと、橋を目指して公園の道をてくてく歩き始める。やがて、欝蒼と茂る森林の間に、この渓谷を一またぎする大きなア−チを持つアドルフ橋が姿を現す。






ペトリュッス渓谷をまたぐアドルフ橋









先ほどの噴水の上の橋といい、このアドルフ橋といい、それぞれ上からと下からと立体的に観察したことになるのだが、やはりルクセンブルクはこれらの橋を抜きにしては語ることができない街なのであろう。ペトリュッス渓谷という深い谷間があり、それが街を分断するかぎり、これらの橋は不可欠のものだからである。
 

この橋の見納めに最後の一瞥を送ると、坂道を上って橋のたもとに出る。ここから一直線にリベルテ通りを進むとわがホテルである。そこで預けた荷物を受け取ると、そのまま真っ直ぐ中央駅へ向かう。チケットは往復券を買っているので心配はない。そのままホ−ムへ出ると、珍しくも車両運搬列車が止まっている。2階建ての列車には車が満載されている。新車のようだが、いったいどこへ運ばれるのだろう?
 





ルクセンブルク中央駅ホーム。車両運搬列車には車が満載








定刻発車のブリュッセル行きIC列車に乗り、これから3時間の列車の旅が始まる。車窓からの眺めも見慣れた風景だけに、あまり代わり映えがしない。車内は空いているし、居眠りしがちになりながらも、ルクセンブルクで過ごした3日間の思い出に耽り始める。とにかく、緑があふれ、こぢんまりとした落ち着きのある町である。そう言えば、昨日案内してくれた韓国人の話では、ここの冬は住む所ではないと言う。気温は低くて寒いし、空は暗くて雪まじりの雨は降り続くし、太陽が拝める日がないと言う。そんなことを肩をすぼめながら語っていたのだが、今の季節からは想像もできない感じである。


ブリュッセル到着
夕方5時過ぎ、無事ブリュッセル南駅に到着。これから最後の2泊は、最初に泊まった駅前のホテルに予約を取ってある。そこで、夕食は例によって駅構内のファ−ストフ−ド店で調達して持ち帰りにしよう。行き付けの店に行くと、慣れた調子でヤキソバと焼き飯をパックに詰めてもらう。それと缶ビ−ル1本も忘れずに仕入れる。これで夕食は十分だ。
 

これも泊まり慣れたホテルにチェックインすると、カウンタ−には前と同じ女性スタッフがいて私の顔を覚えており、6日ぶりの再会を歓迎してくれる。部屋に入ると、まずはシャワ−を浴びて汗を流す。今日も終日快晴で気温が高く、歩いていると汗だくになる。ついでに汗ばんだシャツ類をみんな洗濯し、すっきりした気分になる。
 

一休みしたころで、ビ−ルを飲みながら持ち帰りの食事をいただく。焼き飯とはいっても、本物の中華焼き飯ではなく、焼き飯もどきといったところである。米はパサついているし、そんなにおいしいものではない。むしろ、ヤキソバの方がおいしい。そうは言いながらも、とにかくお腹は満腹となる。
 

日程に1日ゆとりが持てたので、明日はここから近距離にあるゲントの町を訪れてみよう。途中で出会った若い日本女性の話によると、とても素敵な町らしい。明日の楽しみを胸に抱きながら、8日目の旅の夢を結ぶとしよう。



(次ページはベルギー「ゲント観光編」です。)










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