4.ブル−ジュ観光……サイクリング・運河クル−ズ・ム−ル貝・366
段
滞在2日目。今朝は6時半起床と早起きだ。今日はブル−ジュへ日帰り観光に出かけるのだ。昨夜は早目に寝たため睡眠十分で、時差ボケの心配はまったくない。気になる空模様を見ると、昨日と同様ぱっとせず、時折霧雨が降るといった様子である。
洗面、身仕度を済ませて1階の食堂へ。ここはバイキング方式で、広い食堂には各種のパン・クロワッサンやト−スト、それにハム・ソ−セ−ジ・玉子・ヨ−グルト・フル−ツ・各種飲み物など、一通り揃っている。この朝食代は別料金で9ユ−ロ(1,300円)と高い。今日は1日歩き回るので、しっかり食べておこう。
デイバッグに水、傘、カメラを入れて、いざ出発。南駅の切符売り場で10回券のレイルパス(60ユ−ロ=8,500円)を購入。次のブル−ジュ行きは何時かと尋ねると、8時10分発という。乗り場はどこかと重ねて尋ねると、あちらだと指で指示して教えてくれる。時計を見るとあと3分しかない。無理かなと思いながら、あわてて階上のホ−ムめがけて走り出す。が、何番ホ−ムかが分からない。途中の案内所に駆け込んで尋ねると15番ホ−ムという。
ナンバ−表示を見ながら15番ホ−ムを探し、階段を駆け上る。それと同時に、列車がホ−ムに滑り込む。なんとタイミングのよいこと。とにかく間に合ってほっとする。これを逃すと1時間も待たなければいけない。何事もあきらめずにやってみることだ。この列車はオステンド行きのIC列車で、ブル−ジュに着くまで途中ゲントに止まるだけである。
日曜日で時間が早いためか、乗った車内はがらんとして乗客はたった私一人。貸し切り専用車とはもったいない。隣の車両を見ても乗客はただの一人だけ。この時間帯は乗客が少ないようだ。ポルトガルのリスボンからシントラに向かう列車でも、車内に一人だけの体験をしたことがあるが、なんだか特別待遇を受けたようで満悦気分にひたれる。この特別列車は、途中ゲントに停車したあとはブル−ジュに向けて快走する。
ブルージュへ向かうIC列車
車内は貸し切り状態
ブル−ジュ(Brugge)のこと
この町を縦横に流れる運河には、50以上の美しい橋がかかっている。「Brugge」とは、“橋”の意味で、そのことが町の名の由来になっているのだろう。北海と水路で結ばれていたブル−ジュは、12、13世紀には西ヨ−ロッパ随一の貿易港となり、中世ヨ−ロッパの商業の中心として繁栄した。しかしその後、水路が沈泥のため浅くなり、商船の出入りができなくなって都市機能は次第に失われてしまう。それがかえって、この町が中世の景観をそのまま現在に残すことになり、中世の町がそのまま封じ込められた雰囲気を持っている。
レンタバイク(貸し自転車)
列車は50分かかって、ひっそりとしたブル−ジュの駅に到着。ここで下車する人も数人しかいない。
ブルージュ駅のホーム
この列車で到着
時折降る霧雨模様だが、今はなんとか止んでいる。これなら自転車もいけそうだ。サイクリングで町中を自由に走り回りたいのだ。この駅には貸し自転車があるというので、早速駅の案内所に尋ねてみると、チケット売り場の3番窓口で申し込みなさいと言う。窓口に行って貸し自転車を申し出ると、1日間夜8時までの貸し出しで9ユ−ロ(1,300円)、デポジット20ユ−ロ(2,800円)という。そこでパスポ−トを提示して料金を支払うとバ−チャ−を作ってくれる。これを別の場所にある自転車管理場所に持参して提出し、自転車を受け取る。
サイクリングで市内観光
さあ、これで準備OKだ。方向を尋ねながら颯爽と町の中心マルクト広場を目指して走り出す。おっと、その前に記念写真を撮っておこう。
ブルージュの駅前にて
これが貸し自転車
何度か通行人に道を尋ねながら石畳の道をゆっくりと走って行く。この石畳はヨ−ロッパらしい雰囲気をただよわせて素敵なのだが、自転車の走行には不適で、ガタピシととても乗り心地が悪い。中世の香りがただよう人通りの少ない町並みを眺めながら走っていると、その向こうに町のシンボル鐘楼が見えてくる。雨に濡れて光る石畳の道と静かにたたずむ町並みの素敵な風景にしばし自転車を止めて眺め入る。
中世の雰囲気がただよう街並み
不思議なことに、どこの町並みの建物も申し合わせたように隣家とぴったり壁を密着させて建っている。隣家との間に1cmの隙間もないのだ。これだと、互いの家が持たれ合って長持ちするのかもしれない。しかし、最初に家を建てる時はどうやって行うのだろう?
マルクト広場
鐘楼から響きわたる美しいカリヨン(組み鐘)の音に誘われるように、マルクト広場に到着する。徒歩だと駅から20分ほどの距離にある。広場の一角には高い鐘楼がそびえ、その中央にはフランスの圧制に立ち上がったこの町の英雄ヤン・フレ−デルとピ−テル・デ・コ−ニンクの二人の銅像が立っている。その傍らには観光用の馬車数台が静かに客待ちをしている。
そして、この広場を取り囲む込むようにネオゴシック様式のどっしりとした州庁や郵便局、それにギザギザ刻みが特徴的な切妻屋根の建物群が立ち並んでいる。このギザギザ刻みの屋根造りは前面の壁だけに装飾的に施されているもので、屋根全体がノコギリ型になっているわけではない。この中世の雰囲気がたっぷりとただよう広場にたたずんでいると、鐘楼から甲高いカリヨンの音が鳴り響き、中世の時代にタイムスリップしてしまったようだ。このカリヨンは15分置きに鳴る仕組みで、数種類のメロディがあるようだ。まだ時間が早いせいか、広場の人出は少ない。 |
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