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5.シンガポ−ル観光
 
いよいよ旅の最終日、5日目の朝を迎える。6時に起きて窓外を眺めると、今日もソロの空は晴れ上がっている。今日はシンガポ−ル経由で帰国の旅が始まる。これで今度の旅も雨に遭わずにすんだわけだ。やはり乾期だからよかったのだろう。これが頻繁にスコ−ルにでも遭うと、雨脚が強いだけに動きがとりにくい。天の神に感謝である。
 

空港へ
早目の朝食を終えると、ソロ空港へ向けて出発である。10時35分発の便だが、この地方空港からもシンガポ−ル行きの便があるのだ。でも、1日わずか1便しかないらしい。町外れの空港に到着すると、各自でチェックインを済ませ、荷物検査を受けて待合いロビ−で待機する。シンガポ−ル航空かと思っていたら、SILK AIRという地方の小さな航空会社の機体である。
 

こぢんまりとしたソロの空港


ソロの飛行場

シンガポールへ
たっぷり待たされた後、機は定刻に離陸すると、ジャワ海の上空を北へ飛行し、赤道を横切ってシンガポ−ルへ向かう。2時間の飛行時間だが、その間に昼食のサ−ビスを受ける。食事したりしていると、退屈する間もなくシンガポ−ル・チャンギ空港へ到着である。入国手続きを済ませてロビ−に出ると、出迎えのバスに乗って市内半日観光が始まる。
 

7年ぶりに見る市内の様子だが、空港から市内へ向かう高速道路は、以前と変わらず素晴らしい緑の木々に覆われて手入れが行き届き、とっても気持ちが良い。シンガポ−ルで、この道路の眺めが一番好きな風景でもある。このストリ−トに入ると、緑の楽園に来たような感じで、なんだかほっとするのである。クリ−ンで清潔な街のイメ−ジは今もなお健在で、インドネシアの雑然とした雰囲気とは好対照をなしている。
 

緑の楽園を感じさせるストリート

マーライオン公園
バスはマ−ライオン公園でストップ。ここで下車してウォ−タ−フロントを見物する。好天に恵まれて、じりじりと照りつける直射日光の暑いこと。ここには有名なマ−ライオンが口から勢いよく噴水しながら沖を向いて立っている。奇妙な姿だが、これはシンガポ−ルのシンボルなのだ。1972年につくられたもので、上半身がライオン、下半身が魚という面白い像である。ライオンはシンガポ−ルの名前の由来であるシンガ(ライオンの意味)に由来し、魚は港町シンガポ−ルを象徴しているという。
 

今度も前回の時と同じように、マ−ライオンを手の平の上に載せて写真を撮ってもらう。ところが前回と違うのは、マ−ライオンが前の位置から少し移動しており、その上、間近の突堤から見れるようになっているのだ。そのため、像が至近距離過ぎて手の平に載せるには大き過ぎ、うまく写真とのバランスが取れないのである。これを7年前の時の写真と比べてみよう。やはり、以前の写真がうまく載っているように撮れる。昔から今の位置にあったら、こんな写真の撮り方も考え出されなかったのかもしれない。
 





 04年10月の場合















 7年前の場合










辺りを見回すと、7年の間にこの付近は開発されてノッポビルのホテルが建ったり、亀の甲みたいなホ−ルができたりなど、高層ビルが立ち並んで様変わりの風景にになっている。土地柄の狭い国だけに、海浜を埋め立てたりしながら、絶えず開発が進んでいるのだろう。




マーライオン公園よりの眺望




ふと、マ−ライオンの方を振り向くと、今ちょうど結婚予定のカップルが事前に記念写真を撮っている最中である。公園の広場に子供のマ−ライオンが造られており、それが格好の被写体になって記念撮影に彩りを添えている。カップルにとっては、今が一番の幸せム−ドいっぱいなのかもしれない。家庭生活に入ると、何かと現実的な事柄が待ち受けており、なかなかラブラブム−ドばかりとは行かないようだ。
 

マーライオンの前で記念撮影する婚約者カップル

公園の片隅におみやげ品のショップがあり、外は暑いので残りの時間を店内で過ごすことにする。涼を求めて入った積もりが結局、小さなフクロウの木彫りとマ−ライオンの置物を買う羽目になる。7年前に、この地の記念品を何も買っていないような気がしたからである。
 

ラッフルズ卿上陸地点
マ−ライオン公園を後にすると、今度は近くのラッフルズ卿上陸地点に向かう。この地の名門ラッフルズホテルは、このラッフルズ卿に因んで付けられた名前である。イギリス人、ト−マス・スタンフォ−ド・ラッフルズ卿は、ほぼ独学で勉強しながら、14歳の時東インド会社に就職し、現在のマレ−シアのペナンに派遣された。1811年、英仏戦争のさなかにオランダ植民地であるジャワ島へ渡り、その後副知事としてオランダの植民地システムの立て直しに貢献した。
 

1817年にはナイトの称号を与えられ、その後東南アジアでイギリスの勢力を拡大するためにシンガポ−ルに上陸し、シンガポ−ルの発展に貢献した。その上陸地点がシンガポ−ル川左岸で、それを記念して川向こうの高層ビルを背景に真っ白な立像が置かれている。この付近は植民地行政の中心地だった所で、当時の由緒ある建物が今も立ち並んでいる。こうしてラッフルズ卿は、シンガポ−ルにとって忘れ得ない歴史上の人物となっている。
 







 シンガポール河岸に建つラッフルズ卿の
 立像
















マウントフェ−バ−
バスはここから移動してマウントフェ−バ−へ向かう。ここは海抜115mの小高い丘で、市街を眺望できる観光ポイントであり、この地を訪れる観光客は必ず立ち寄る所である。バスは坂道を上りあがってストップし、そこで下車すると展望台へ。こんもり茂った森の一角に船の甲板風の木製フロア−が設けてあり、そこから眺望できるようになっている。以前は展望台らしい場所は設けられてなく、ただ足場の悪い道路から眺めるだけだった。それが今はこの場所に移っているらしい。



マウントフェーバーよりセントーサ島を望む




しかし、眺望の視野は以前の方が広く、市街のビル群も少しは見えたのだが、現在の展望所の視界は森に遮られて一段と狭く、セント−サ島がやっと見えるぐらいの範囲しかない。この地には高い山がないだけに、格好の展望場所が得られないのだろう。やや失望しながら立ち去ると、隣接しているみやげ品店に立ち寄り、そこでお勧めのマンゴジュ−ス(缶入り)を買って喉を潤す。
 

シンガの不動産
これから下山して免税店ショッピングへ向かう。その道すがら、女性の現地ガイドさんの話に耳を傾ける。それによると、当地の家賃や不動産価格はかなり高く、庶民には手が出ないそうだが、シンガポ−ル国籍があれば、将来の年金を担保に安い価格でアパ−トを取得できる制度があるという。彼女の場合は3LDKの部屋に月額2万円程度のロ−ン返済で入居しているそうで、将来はそれが自分の物になるという。なかなか合理的な制度である。
 

ところで、今夜の帰国便は深夜の1時過ぎの飛行便となっている。それまでまだたっぷりと時間があるので、夕食後の余裕時間にセント−サ島観光をしきりに案内し始める。2時間のコ−スで40米ドルだという。前回の旅では忙しい観光で市内観光をはじめ、ディナ−クル−ズ、ナイトサファリ、そして国境を越えて隣国マレ−シアのジョホ−ルバル市まで足を伸ばした。ところが、このセント−サ島だけ訪れる暇がなく、ここだけを残して帰国したのである。そんな事情があったので、この際申し込むことにする。
 

オ−チャ−ドロード
免税店は有名なオ−チャ−ドロードの近くにあり、そこへバスは横付けして店内に入る。ショッピングには無用の私は、一人抜け出てオ−チャ−ド界隈の散策に出かける。道路の向こう側に出ようと陸橋を渡っていると、真下にチリひとつない整然としたストリ−トが見える。これはスコッツ通りで、その先を左へ曲がったところがメインストリ−トのオ−チャ−ドロ−ドである。
 

整然としたスコッツ通り

陸橋を渡った先は大きなショッピングセンタ−で、中には様々な店舗が並び、人でごった返している。そこの地下に下りてみると、広い食堂フロア−になっており、様々なエスニック料理店がずらりと並んでいる。食事ならこんなところが安くて最適だ。


エスニック料理店が並ぶ地下フロアー

そんなことを考えながら地上に出ると、歩道をぶらぶらとオ−チャ−ドロ−ドへ向かって歩いて行く。今日は土曜週末とあって、人出で賑わっている。
 

オ−チャ−ドロ−ドに出てみると、ここも人の波である。ところがこれと対照的に、車道の方はひっそりとして車もほとんど走らず、緑の並木に包まれて静かな雰囲気をただよわせている。週末になると、いつもこんな風景なのだろうか? 


人出で賑わうオーチャードロードの歩道


ひっそりとしたオーチャードロードの車道

ここから踵を返すと、ウィンド−ショッピングをしながら、ぶらりぶらりと免税店の方へ引き戻す。
 

集合時間にはまだ間があるので、店内を巡ってみる。この免税店ギャラリ−は大きく立派な建物で4階建てとなっており、各フロアごとにセクションが分かれてブランド品をはじめ様々な商品が陳列されている。買い物に用無しの私は、4階のソファ−に身を沈めて時間まで休息する。
 

セントーサ島へ
夕食の時間となり、近くの中華レストランへ移動。一通りの中華料理とビ−ルでお腹と喉を満たすと、いよいよ夜の部観光でセント−サ島へ繰り出す。観光の始まりは、市内中心部のビルからケ−ブルカ−でセント−サ島へ渡る。マウントフェ−バ−からセント−サ島までこのケ−ブルカ−が渡っており、その中間地点にあるこのビルの中を通過しているのだ。かなり高い位置を通過するので、市内の絶景が丸見えである。今は夜だからシンガポ−ルの夜景が見渡せる。だが、この振動では夜景の写真が撮れないのが残念である。


この循環するゴンドラには間隔を置いてテ−ブル付きのものがあり、その中で飲食しながら風景を楽しめるようになっている。恐らくレストランから食事を取り寄せ、ゴンドラに乗って何回か巡るようになっているのだろう。なかなか乙な計らいである。
 

スカイ・タワ−
ゴンドラに分乗すると、星のようにまたたく市内の夜景を見物しながら、セント−サ島へ渡って行く。半分の距離だから、あまり乗りおけはない。終着点で降りると、目の前にスカイ・タワ−が待っている。これは高さ110m、直径が15mの回転展望台で、一度に72人が乗れるようになっている。ド−ナツ型ゴンドラの真ん中の穴に直径2.5mのタワ−のポ−ルが突き抜けていると考えればよい。今はお客が少なく、われわれ一行の他には数人しか乗っていない。
 

スカイタワーのゴンドラ

窓際に座って待っていると、ベルが鳴って静かに動き始める。大きな回転ゴンドラがゆっくりと回りながら少しずつ上昇して行く。つまり、110mの高さにまで昇りながら、360度の景色を楽しめると言うわけである。宝石をちりばめたような夜景が、ゆっくりと回転しながら目に飛び込んでくる。意外とシンガポ−ルの夜景は地味な感じで、あまり壮観さは見られない。


スカイタワーより眺めたシンガの夜景

頂上まで達すると、下降はあっという間に終わってしまう。ものの10分もかからない感じである。料金は大人S$10、子供S$6。  
 

モノレール
タワ−からの見物を終えると、今度は島内をめぐるモノレ−ルに乗車する。ケ−ブルカ−の終着駅の近くにあるM3のステ−ションからモノレ−ルに乗り、ぐるりとほぼ一周して時計台のあるM1ステ−ションで下車。ここから37mの高さがある大きなマ−ライオンのレプリカに向かって歩いて行くと、ミュ−ジカル・ファウンテンという噴水ショ−のある池に到着する。ここで毎夜、噴水を利用したレ−ザ−光線によるファンタジック・ショ−が行われるのだが、今夜はこのショ−を目当てにセント−サまで出かけて来たというわけだ。
 

ミュ−ジカル・ファウンテン
広い噴水池を囲むように階段式のコンクリ−ト製スタンドが設けられ、観客はそこに座ってショ−を見物する。すでに多くの観客が席に着いて開演を待ち構えている。


スタンドを埋める観客

8時40分、1人の指揮者が現れ、いよいよ“Magical Sentosa”と銘打ったファンタジック・ショ−が始まる。指揮者の指揮棒に合わせてミュ−ジックが奏でられ、それに呼応して様々な造形の噴水が噴射される。
 

1人の指揮者が噴水池の前に登場


ライトアップしながら様々な噴水の造形が音楽にのせて変化を見せる


同 上


フィナーレのころに見せる壮観な噴水ショー

これには一応のスト−リ−があり、画面の中に登場するKiKiというモンキ−のマスコットと一人の指揮者が掛け合いながら海底のファンタジックな世界へ観客をいざなってくれる。タコや魚たちと出会ったり、美しい真珠姫に会ったりしながら物語は展開していく。これらのショ−は、噴水で造られる広い水煙のスクリ−ンにレ−ザ−光線で映像を写し出す仕組みになっている。レ−ザ−とコンピュ−タ−を組み合わせた現代技術が駆使されているだけに、なかなか珍しいショ−である。 

水煙のスクリーンにモンキーのKiKiが登場

 
美しいプリンセスも登場

最後のクライマックスでは、水中から突然火炎が噴火し、予期せぬできごとに観衆は一瞬驚きどよめく。それが時にはスタンド間近の小さな池からもド−ンと噴水と一緒に火炎が吹き上げられるので、思わず身を引いてしまう。迫力満点である。
 

クライマックスは噴水と火炎に包まれる


至近距離から吹き上がる噴水の水しぶきに濡れる

このミュ−ジカル・ファウンテンでは、昼夜にわたってショ−が行われているが、夜の部だけ、このレ−ザ−による“Magical Sentosa”が上演されている。ショ−・タイムはそれぞれ次のようになっている。いずれも30分の上演時間である。
 <昼の部>
  午後5時、同5時半の2回
  (レ−ザ−によるショ−はない)

 <夜の部>
  午後7時40分と8時40分の2回
  (レ−ザ−による“Magical Sentosa”が上演)

いずれも料金は無料で、入場者は自由に見ることができる。
 

レジャーランド・セントーサ
このセント−サ島はその昔、一漁村に過ぎなかったのだが、その後開発されて現在ではシンガポ−ルにおける一大レジャ−ランド兼リゾ−トのような島になっている。そのため、ここには種々の施設が完備され、訪問者の好みに合わせたエンジョイの仕方ができるようになっている。


私が体験したスカイタワ−やモノレ−ル、ミュ−ジカル・ファウンテンの他、宿泊施設、ビ−チ、ゴルフ場、キャンプ場、蝶と昆虫の王国、ドルフィンラグ−ン、2500種類の魚が見られる水族館、熱帯雨林散策など13種類のアトラクションがそろっている。そのほか6つの宿泊施設、29の飲食店、3つのバ−やパブ、9のブティックやみやげ品店など多種類の施設が設けられ、楽しめるようになっている。ここに一日入り浸って過ごすのも、素敵なバカンスになるのかもしれない。
 

ショーが終わってみんな時計台の方へ引きあげる


この前方にミュージカル・ファウンテンがある。マーライオンがかすかに見える。

(セントーサ島の公式HPはこちらです。)


ミュ−ジカル・ファウンテンのショ−は30分で終わり、その後は迎えのバスに乗って空港へ直行だ。これで今度の旅のすべては終わり、あとは深夜便に搭乗して帰国するのみである。空港へ行ってみると、日本人乗客でいっぱいだ。こうしてみると、日本人にとってシンガポ−ルは、なかなか人気のある街なのだろう。クリ−ンで清潔な街……確かにそんな印象を受ける素敵な街だが、土地柄が狭いだけに、アスファルトとコンクリ−トで固められた“人工的な美”の匂いがしないでもない。やはり田園風景が見られないのは寂しいものである。これはシンガの街が抱える宿命なのかもしれない。
 
帰国の途へ
そんなことを考えていると、満席の乗客を乗せた機は深夜の1時5分、重そうに離陸しながら、シンガの夜空に吸い込まれて行く。福岡に着くのは早朝8時過ぎのことである。
                         (04年11月6日脱稿)






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