写真を中心にした簡略版はこちら→ 「地球の旅(ブログ版)」



No.1
(フィンランド)




9.フィンランドの首都・ヘルシンキへ
 
旅行7日目。今日はヘルシンキへ移動の日だ。前回の旅と同様、バルト海を高速船で渡るコ−スである。9時50分の出港なので、あまりゆっくりしていられない。7時に起床し、洗面を済ませると地下の食堂へ。品揃え豊富な朝食で十分に腹ごしらえをすると、出発準備OKだ。 


波止場へ
ところが玄関先に出て外を伺うと、小雨が降っている。昨夜まではあんなに好天だったのに、もう今朝は雨模様である。なんと移り変わりの早いことだ。晴れ間はわずか1日しかもたない。愚痴っていてもしょうがないので、タクシ−で波止場まで行くことにしよう。そこでタクシ−を呼んでもらい、間もなくやって来たタクシ−に乗って「サダム・タ−ミナルD・パルン(港のタ−ミナルDへお願い)」と片言のエストニア語で告げる。これで通じたらしく、ドライバ−はうなずくと、波止場を目指して走り出す。
 

ここの波止場はタ−ミナルがA〜Dに別れてそれぞれ離れており、これを間違えると大変なことになる。ヘルシンキ行きの高速フェリ−が出港するのはDなのだ。距離は短く、10分足らずで到着。前回の時はCタ−ミナルだったのだが、このタ−ミナルは新設されたらしく、きれいな大きい建物になっている。案内に尋ねると、乗船するフェリ−の窓口は2階になっている。そこでチケットを提示して乗船券をもらう。一般船室はすべて自由席になっている。時間があるので屋舎内をぶらりと回って売店などを見物する。
 





ターミナルDの2階待合ロビー










快適なフェリー
2階の待合で待っていると、やがて乗船ゲ−トが開いて出国手続きが始まる。フェリ−ごとにゲ−トが異なっているので注意が必要だ。ブリッジを通過して船内に入ると、前回と違って豪華な船内になっている。スペ−スもゆったりと広く、シ−トもクッションの良いリクライニングになって素晴らしい。豪華なラウンジもあって、ゴ−ジャスな雰囲気だ。乗客も少ないので、広い船内に散らばるとほとんど人影も見えないほどだ。これは快適な船旅ができそうだ。料金は片道30ユ−ロ(=4,100円)である。
 





これが乗船した高速フェリー(雨で窓が濡れていてよく撮れない)












船内のゆったりしたラウンジ










9時45分、船は定刻に雨のタ−リン港を静かに離岸する。小雨にけむる向こうには、懐かしい旧市街の風景が広がっている。見馴れた塔が竹の子のようににょきにょきと立っている。だから、それを見ればどの位置かがすぐに分かる。左端には高いヴィルホテルが、中央にはキ−ク・イン・デ・キョクのトンガリ帽子の建物、聖ニコラス教会の塔、それにネギ坊主のネフスキ−聖堂の塔や大聖堂の尖塔が並んで見える。右端には、この街で一番高い聖オレフ教会の尖塔がそびえている。これが最後の見納めだ。
 

 ターリン港の風景。左端のビルがヴィルホテル、右端の尖塔は聖オレフ教会。

ヘルシンキ到着
船は速度を増しながら波静かなバルト海を滑るように進む。心地よいシ−トに座って窓外を眺めると、静かな海の向こうには低く、細く、長く伸びた半島が以前と変わらぬ風景を見せている。それが途切れると、あとはバルトの青い海がどこまでも広がるだけで、陸の景色はどこにも見えない。やがて遠くに陸影が見えたかと思うと、懐かしのヘルシンキ港へ入港する。こうして静かな船旅は1時間40分で終わりを告げる。



 ターリン港を出ると、この半島に沿って航行する。左方向へ進んでいる。




ヘルシンキのこと
ここヘルシンキは、三方を海に囲まれた人口約50万の街で、1812年にロシア皇帝アレキサンダ−1世がこの地に遷都して以来、首都として栄えた。その歴史を振り返れば、スウェ−デンに約650年、ロシアに約100年間支配され、幾多の戦乱で何度となく国境線を変えられている。そして1917年、ロシア革命と同時期に独立を勝ち取った。
 

この街には、いわゆるレンガ色の屋根と白壁の中世ヨ−ロッパの町並み風景は見られず、また高い教会の尖塔もほとんど見られない。わずかにヘルシンキ大聖堂とウスペンスキ−寺院の塔や、中央駅のタワ−ぐらいだろう。それだけに、なんとなく近代的な雰囲気が感じ取られる。 


ホテルへ
ブリッジを渡って入国手続きを済ませ、少額をユ−ロ通貨に替える。さあ、これで二度目のフィンランド入国も無事完了だ。早速、ホテルへ移動しよう。予約はしてあるので心配ないが、このしょぼ降る雨ではトラムでの移動も大変だ。そこでやむなくタクシ−を利用することに。ヘルシンキでは、ほぼ英語が通じるので困ることはない。タ−ミナル前で客待ちのタクシ−をとらまえ、ホテル名を告げて走り出す。ホテルまで10分とかからない短距離で、あっという間に到着である。
 

中央駅へ
バ−チャ−を示してチェックインすると、いま部屋の清掃中だから少々お待ちをと言う。そこで荷物を預け、その間に昼食がてら中央駅まで出かけることにする。駅までのル−トを教えてもらい、傘を片手にてくてくと歩いて行く。だが、なかなか見覚えのある駅の塔が見えない。通行人に尋ねながら進んで行くと、やっと駅舎が見えてくる。もう15分も経過している。ホテルの案内では駅まで直ぐのようになっているが、これでは虚偽表示だ。駅に近いところを依頼していたのだが、これでは失敗だ。
 

中央駅の構内に入ると、人込みでごった返している。前回の時のホテルは駅のすぐ裏手だったので、ここにはよく通ったものだ。懐かしい思いで地下街に下り、食事処を探しにかかる。だが、一通りめぐってもレストランらしきものは1軒も見当たらない。やむなくパンやサンドイッチを売っている店に落ち着く。ここでサンドとコ−ヒ−を取ってフロアのテ−ブルで昼食にする。
 





中央駅のコンコース











ヘルシンキカード
この街にもヘルシンキカ−ドがあるので、今度もそれを買っておこう。トラムやバス、それに地下鉄などが乗り放題だし、いちいち切符を買う手間が省ける。それに入場無料のミュ−ゼアムなども含まれている。ここには3泊するので、その方が効果的だ。そこで食事を終わると、駅のインフォメ−ションに行き、2日間用のカ−ドを求める。料金は35ユ−ロ(=4,800円)。
 



 ヘルシンキカード(2日用)
 裏面に氏名、開始年月日と時刻を記入






7年前に訪れた時は、インフォメ−ションは駅舎の外側の狭い場所にあって係は1人だったのが、今はコンコ−ス内の一角にちゃんとした場所が設けられ、それも質問セクションごとに窓口を分け、係員も二人がかりで案内している。そして順番待ちのカ−ドをマシンから取り出し、呼ばれるのを待たないといけない有り様だ。それほど、ビジタ−が多くなっているということなのだろう。
 

ホテルへ
これからホテルに戻って休息にしよう。歩きながら駅や街の様子を眺めると、喧噪な感じはしないが、やはりバルト3国と比べると高いビルに道路も広く、もちろんトラムや地下鉄も走っていて大都会の雰囲気がただよっている。ここには中世時代の旧市街などは見られないが、北欧特有のひっそりとした落ち着きが感じられる。目印に覚えた建物を確認しながら、ホテルの方向へ歩いて行く。


ホテルの手前まで来ると小さな食品マ−トを発見。そこで明日の昼食用などにパン、ミルク、ジュ−ス、果物などを仕入れる。明日は日曜日で店もお休みなので、少し多めに買い込む。これで食料は当分安心、あとはホテルに戻って休息するだけだ。
 

預けた荷物を受け取って部屋に入り、ベッドに横たわってガイドブックを見ながら明日から2日間の行動計画を練る。今度の旅では、結局、前回の時に回ったポイントをもう一度おさらいする感じになりそうだ。シベリウス公園、セウラサ−リ野外博物館、スオメンリンナ島などで、懐かしさをたぐる旅になるだろう。実は、ヘルシンキから列車で2時間の距離のトゥルクの郊外にあるム−ミン谷に行ってみたいのだが、今年は6月半ばからの開園で、生憎と時期が合わず残念至極である。
 

ホテルで夕食
夕食時になり、付近を探索してみるが、どこにもレストランらしきものは見当たらない。やむなくホテルのレストランで取ることに。馬鹿の一つ覚えみたいに、スパゲッティができるかと尋ねると、OKとのこと。そこで、夕食はスパとビ−ルに決まりだ。食後、部屋に戻るついでに、明日のシベリウス公園とセウラサ−リへのバスの行き方をレセプションで尋ねる。するとパソコンで詳しく調べてくれ、それぞれのバスの乗り場と時刻表をプリントアウトしてくれる。その案内ぶりには感心させられる。ホテルもこうあってほしいものだ。あとは部屋に戻って静かな雨に濡れるヘルシンキの夜をくつろぐ。



(次ページは「ヘルシンキ市内観光」編です。)










inserted by FC2 system