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    no.11
(南アフリカ・ケニア・タンザニア・ジンバブエ・ザンビア・ボツワナ)



(ボツワナ編)






11.チョベ国立公園サファリ・・・・ ライオンのハンティング
 
10日目。アフリカの旅も残り少なくなってきた。今朝はチョベ国立公園へ早朝サファリに出かける。その後はジンバブエのビクトリア・フォ−ルズへ戻り、ホテルへ入る予定である。6時出発ということで、今朝は5時前に起床。昨夜は、早起きに備えて早寝したので睡眠不足の心配はない。
 

身仕度を整えて集合場所のバオバブの巨木の前に行くと、朝食用のスナックが用意されている。パンと飲物類といった簡単な内容である。早朝なので食事の準備ができないわけだ。それでも、こうしてサファリ客のためにスナックを準備してくれている。早速、コ−ヒ−とパンをつまんでお腹を満たす。これで、出発準備OKだ。
 

早朝6時、まだ薄暗い中を2台のジ−プに分乗してチョベ国立公園へ向け出発する。ここはボツワナ北東部に位置し、7万頭という圧倒的な数のアフリカゾウを有する国立公園である。宿泊ロッジからくるまで20分足らずの近距離のところにあり、移動距離が短くてありがたい。 


公園に近づいたころ、道路の側に大きな黒い影がぬ〜っと現れる。おや? 1頭のゾウがのそり、のそりと歩いている。早速、われわれを歓迎して出迎えに来てくれたのだろうか。それにしても、こんな公園の外をうろつくとは……。この様子だと、公園内はさぞかしゾウの群れであふれているのかもしれない。そんな期待を胸に公園内に入って行く。
 





朝の薄暗い中、のそりのそりと・・・









樹林に囲まれた地道を走っていると、左前方の草むらにライオンの群れを発見。それがなんと、ハンティングでゲットしたバファロ−に群がりながら、獲物の肉をおいしそうに食べている情景に出会う。今朝のサファリで最初に出会ったこの迫力シ−ンに、すっかり眠気が取れてしまう。そこには8頭のライオンがいるようだ。あの500kg以上もある巨体のバファロ−を仕留めるのだから、彼らのハンティング振りは、すさまじいばかりである。このでかい獲物に群がるライオンの姿は、迫力満点である。
 

いつ仕留めたのかはよく分からないが、すでに満腹して横たわっているライオンもいれば、まだガツガツと獲物に取り付いているものもいる。この様子からみると、すでに昨日ハンティングは終わっているようだ。ドライバ−にそのことを尋ねると、多分そうだと教えてくれる。






バッファローの獲物を取り囲むライオンたち









今、かぶりついている様子を見ていると、その中の1頭がすっぽりと頭を獲物の腹の中に突っ込んでいる。内蔵のおいしいところを食べようと、まず腹の部分に穴をかじり開け、そこから内蔵を引き出して食べるのだろう。その後にできた空洞に、なおも頭を突っ込んであさっているのである。これだけの巨体獲物であれば、数日はエサの心配はいらないのだろう。

 




真中のライオンは腹の中に頭を突っ込んでいる。









この場を後にして進んでいると、道路沿いにホロホロドリが遊んでいる。ふっくらとふくらませた羽には、こまやかな白黒の斑点模様が全身にちりばめられていて、その優しい姿には野性とは思えない親しみを感じるものである。地道の道路を走っていると、あちこちで彼らに出会うのだが、いつも群れながらよちよち歩いている。その姿がまた可愛いものである。
 





可愛いホロホロドリの群れ










ホロホロドリをそっと除けながら、くるまはどんどん奥へ進んで行く。突然、道路脇の草むらからヒヒの親子が飛び出す。かと思うと、今度はインパラの登場だ。竪琴のような美しい角を持つのは雄だけだそうだが、その優美な姿はいつ見ても美しい。しかし、このおとなしい動物は、小柄でか弱さもあってか、ライオンなど肉食動物たちの格好のハンティングの標的にされるのである。また、彼らの数は多いから、どこでも容易に出会うことができ、ハンティングには困らないだろう。
 





 ヒヒの群れ















優美な姿のインパラ










今度はチョベ川沿いに出て川岸沿いにくるまを走らせる。今度こそ、ワニが見られるか? そう期待しながら心をはずませるが、これも空振り。どこまで走っても、動物の姿は見えず残念である。再び樹林の中に戻り走っていると、今度はちょっと開けた草原の中に大量のバファロ−の群れがいるのを発見。この付近には数台のサファリカ−がすでに集まっている。われわれ以外のくるまは、みんな欧米人が乗っている。欧米が近いせいもあってか、アフリカには欧米観光客が多いようだ。
 





バッファローの群れ
ライオンに狙われているとは知らずにのんびりと過ごしている。












集まったサファリカー










ここからさらに付近一帯を探索しながら回る。もうすでに1時間以上もサファリしているのに、まだ公園内では1頭のゾウにも出会わない。路上で1頭のはぐれゾウに会っただけである。この公園には7万頭もいるはずなのに、これは一体どうしたことなのか? そんな思いに耽っていると、路上に残された大量の山積み糞が目に入る。これがゾウの糞なのだ! 大型動物で大量の草を終日食べているので、その糞も並みの量ではない。その痕跡を記念に撮っておこう。

 




ビッグなゾウの糞
燃料にはもってこい。









しばらく走っていると、ドライバ−が無線で何やら連絡を取り合っている。すると、くるまはUタ−ンして、先ほど見たバファロ−の場所に引き返す。何が起こったのだろう? と興味深げに見守っていると、ライオンのハンティングが始まりそうだというのである。バファロ−の群れに近い茂みの中にライオンが隠れているらしい。さあ、どんな光景が見られるのだろう。目の前で、ハンティングの場面が見られたら最高のサファリである。みんな声をひそめ、息を殺しながら見守っている。
 

10分経ち、20分経ち、30分が経過する。が、何の動きもない。その時、茂みの間に広がる草っ原の中に1頭のライオンが姿を現す。姿勢を低めながら、抜き足差し足でバファロ−のいる方向へ静かに前進している。確かに獲物を狙っている動作である。今にも飛びかかる雰囲気である。辺りにはピ〜ンと緊張が走る。しかし、ライオンは茂みの中に隠れ込んだまま動こうとしない。バファロ−の群れはライオンの存在には気づかず、相変わらずのどかな光景を見せている。その中に、1頭の子牛が紛れ込んでいる。恐らくライオンは、それを狙っているのかもしれない。ライオンにしても、下手に動けば蹴り飛ばされて命を落とすことになる。だから、慎重にそのチャンスを狙っているに違いない。
 





バファローを狙って茂みに入るライオン
頭の部分が茂みに隠れている。







息をひそめながら待つこと約1時間、それでもライオンはハンティングにかかろうとしない。とうとう時間切れで帰路に着くことになる。ほんとに残念である。その後、果たしてハンティングが見られたのだろうか、それとも不発に終わったのだろうか……。こうして早朝6時から始まったサファリは、7万分の1頭のゾウと、ライオンの朝食風景に出会った成果のみで、9時半終了となる。
 

3時間半という時間の割りには、サファリの内容がやゝ物足りない感じである。ここは7万頭というゾウの棲息地帯でありなが、公園内では1頭のゾウにも出会うことができないとは意外である。乾季には、飲み水を求めてチョベ川岸に多数のゾウが姿を現すそうだが、これまで雨季だったため、中央奥部にも水飲みのための池ができて、川岸まで来る必要がないのだろうとドライバ−はいう。とまれ、ゾウの大群を見れなかったのが惜しまれてならない。
 

このチョベ国立公園を最後に、今度のアフリカ・サファリの旅は終了となる。これまでずいぶんと時間をかけながらナクル湖、ナイバシャ湖、アンボセリ、ンゴロンゴロ、セレンゲティと渡り歩き、そして最後にこの公園を陸と川から探索するという大サファリの旅であった。それぞれの公園で出会った多くの野性の動物たちは、サファリハンタ−たちに多くの興奮と感動のシ−ンを見せてくれ、深い感銘を与えてくれた。時にはシャワ−に遭いながらも、晴れ渡った青空の下に広がるサバンナをかけずり回りながら、野生の動物たちがそこに繰り広げる生と死のドラマをたっぷりと観察することができたことに大満足である。
 

ただ惜しむらくは、ビッグ・ファイブ(ゾウ・ライオン・サイ・バッファロ−・ヒョウ)と呼ばれる大型動物のうち、ヒョウだけに出会えなかったことである。ヒョウは木の上に隠れて暮らしていることを思えば、そう簡単には出会えないのかもしれない。そのほか、野性のワニが見れなかったのも残念至極である。
 

そんな感慨にふけっていると、くるまはロッジに帰着。次への移動準備をそそくさと整えて10時過ぎ、今度は迎えのバスに乗車する。






宿泊したロッジの玄関と利用したバス









これから国境へと向かい、ジンバブエ国内に戻るわけである。バスは再び草原と樹林地帯が広がる中を国境に向かって突っ走る。整備された舗装道路はとても快適で、ひときわ深く澄んだアフリカの青空を眺めながらのドライブは、滅多と味わえないこの地だけのものであろう。
 






ジンバブエ国境へ向かう道路








やがて国境事務所に到着すると、ボツワナ、ジンバブエ両国の出入国手続きを行う。相変わらずボツワナ事務所の係官は陽気で明るく、そして親しみのある愛想を惜しみなく振りまいている。彼女に別れを告げると、いよいよジンバブエ入国だ。



(次ページへつづく。)










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